障がいのある子どもが将来安心して暮らせるように支えてくれる制度のひとつが「障害年金」です。
制度の名前は聞いたことがあっても、
うちの子ももらえるのかな?



どうしたらもらえるの?
など、具体的な内容はわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では障害年金の種類や受給条件、支給額など制度の基本的な仕組みについてわかりやすく解説します。
この記事の監修者
片岡 昌樹(社会保険労務士)


年金事務所や年金相談センターで約10年間、年金相談員として各種年金相談に従事。現在は仙台市で放課後等デイサービスを運営し、障害のある子どもたちやその家族と日々関わっています。障害年金について、制度や手続きを分かりやすく伝え、年金請求に対する本人や家族の不安を取り除くことを第一に考えています。
障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがが原因の障がいがあり、日常生活や仕事に支障が出るようになった人が受け取ることのできる年金です。
「障害者年金」といわれることも多いけど、正しい名称は「障害年金」だよ
障害年金を受給する対象となる病気の種類には、明確な決まりがありません。生まれつきの障がいや子どもの時に障がいを負った場合にも、20歳を超えたら受け取ることができます。
また、障害者手帳の有無も受給条件には関係ありません。障害者手帳と障害年金は別の制度であるため、障害年金が受給できる障がいの程度であれば、手帳がなくても受給可能です。
障害年金の種類
障害年金は以下の2種類に分かれており、初診日や加入していた年金制度によって、申請する年金が異なります。
| 年金の種類 | 対象 |
| 障害基礎年金 | ・初診日に国民年金に加入している人・20歳未満で発症した人(20歳前傷病) |
| 障害厚生年金 | ・初診日に厚生年金に加入している人(会社員や公務員など) |
つまり、障がい児が受給できるのは「20歳前の傷病による障害基礎年金」です。ここからはその制度を中心に解説していきます。
障害基礎年金とは
障害基礎年金は、初診日が国民年金加入中である場合や20歳未満で障がいがあると診断された場合に対象となり、原則として20歳から受け取ることができます。
障害基礎年金の等級
障害基礎年金は、障がいの程度に応じて1級と2級の等級に分かれています。
1級:日常生活の全般に介助が必要な状態
2級:日常生活が著しく制限される状態
さらに具体的な条件については、以下の「日本年金機構ホームページ」にて確認できます。



なお、精神疾患については等級判定のガイドラインが公開されています。
『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20160715.html
障害基礎年金で受給できる金額
障害基礎年金は2ヵ月に一度、等級に応じて決まった金額が支給されます。令和8年度(2025年度)の障害基礎年金の年金総額は次のとおりです。
| 障害等級 | 年金額(年間) |
| 1級 | 1,059,125円 |
| 2級 | 847,300円 |
※昭和31年4月2日以後生まれの方の年金額です
【引用】
障害年金ガイド令和8年度版|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf
支給額は毎年改定されるよ。最新情報は日本年金機構のサイトで確認してね。
障害基礎年金には所得制限が適用される?
20歳前傷病による障害基礎年金には所得による支給制限があり、障がい者本人の所得が一定額を超える場合には支給が制限されることがあります。
ただし、親や家族の収入が多いことを理由に年金が支給されなくなることはありません。
▼支給停止の目安
| 所得額(本人) | 支給内容 |
| 3,761,000円を超える場合 | 年金額の2分の1が支給停止 |
| 4,794,000円を超える場合 | 年金の全額が支給停止 |
また、受給するには原則として日本国内に住所があることも必要です。
障害基礎年金がもらえる条件
障害基礎年金を受給するためには、一般的に「初診日要件」「障害認定日要件」「保険料納付要件」の3つの要件を満たす必要があります。
ただし「20歳前傷病による障害基礎年金」では、保険料納付要件はありません。初診日が20歳前にあり、障がいの状態が障害等級1級または2級に該当する場合に受給の対象となります。
以下に、それぞれの条件について解説していきます。
1.初診日が20歳前であること
障がい児が障害基礎年金を受け取る場合、初診日が20歳未満であることを証明する必要があります。「初診日」とは、障がいの原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日のことです。
初診日の例)
- 知的障害の場合 → 「出生日」が初診日扱い
- 発達障害や子どもの頃に発症した病気・障がい→ 初めて医療機関を受診した日が初診日
なお、初診日の細かい判断は個別に異なるため、申請時には年金事務所での確認が必要です。
2.障がいの状態が1級または2級に該当すること
20歳前傷病による障害基礎年金では、障害認定日における障がいの状態で年金を受給できるかどうかや受給額が判断されます。
障がい児の場合は原則として20歳到達日(20歳の誕生日の前日)が障害認定日です。



ただし、発達障害などで初診日が20歳に近い場合は、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となるため注意が必要です。
障がいの状態は、診断書や提出書類などの情報を元に決められます。
障害基礎年金の申請方法
障害基礎年金の申請は、20歳の誕生日の前日(障害認定日)から行うことができます。
年金請求書や医師の診断書、病歴・就労状況等申立書など必要書類を準備し、市区町村の窓口に申請します。
診断書は20歳の誕生日の前日を基準として前後3カ月以内の現症日(障害の状態を確認した日)が記載されたものが必要です。そのため、20歳の誕生日の約3カ月前から準備を始めるのが目安です。





診断書を作成してくれる医師探しや医療機関への相談は早めに始めておくと安心です。
就学期からできる障害基礎年金の準備



障害基礎年金の受給に向けて、今からなにか準備しておいた方がいい?
将来に備えて、このような不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
障害基礎年金の申請には、これまでの病状や支援内容を書類に記載する必要があります。そのため、就学期からでも情報収集や病状の記録をしておくのがおすすめです。
あらかじめ申請書類や準備について知っておくと、いざという時に慌てずにすむよ
制度の基本を押さえて将来に備えよう
障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、障がい児は20歳を迎えると「障害基礎年金」を受け取れる可能性があります。
障害者手帳の有無や疾患名は関係なく、障害認定日(20歳の誕生日の前日)の障がいの程度が条件を満たすことで受給可能です。
障害基礎年金は、障がい児とその家族が将来安心して暮らすための制度です。今から制度について知っておくことが、将来の安心につながります。
















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