使ってみたら意外と扱いにくい…? 吸引器ってこんなものなのかな
痰や鼻水の吸引が必要なお子さんを育てるご家庭にとって、吸引器は毎日の生活を支える大切な医療機器です。
一方で、初めて選ぶときには「いくつか種類があるの?」「何を基準に選べばいい?」と迷う方がほとんどでしょう。
この記事では、重症心身障害児(8歳)の母であり、看護師でもあるファミケアメンバー・上野さんに、実際に使用している吸引器「パワースマイル」についてお話しを伺いました。
使用感や「パワースマイル」の旧型・新型の比較、また、看護師ならではの視点を踏まえた製品選びのポイントもあわせてお伝えします。
「パワースマイル」とは?


在宅医療で広く導入されているポータブル吸引器。持ち運びしやすいサイズ感と安定した吸引力を兼ね備え、在宅ケアから外出時まで幅広く対応。
・販売:株式会社Sanko Medical
・現在販売中の「小型吸引器 パワースマイルハート」は、前身モデルである「パワースマイル」を約22%軽量化し、さらに持ち運びが手軽に。
・3電源対応(別売品の専用充電器セットやシガーライターコードがあると屋外や停電時でも使用可能)
吸引器どうやって決めた?我が家の購入の理由と今振り返って思うこと
-まずは上野さんのお子さんの状況についてお聞かせください。
上野さん:
8歳の長男が重症心身障害児で、座位が取れず寝たきりで過ごしています。以前は体調不良時やてんかんの発作後、痰などの量が増えてしまうタイミングで適宜、吸引器を使っていたのですが、最近は自力での排痰や唾液の処理が難しい場面が増えてきていて。
多い時は1時間に1回からそれ以上の割合で経鼻吸引しています。
-1時間に数回となると、なかなか気が抜けないのでは…。
上野さん:
そうですね。溜まらないときはさほど溜まらないですが、姿勢によってはすぐに喉がゴロゴロと鳴り始めたり、モニターの酸素濃度が下がったりするので吸引が必要になります。
ヨダレも喉の奥の方まで流れこんでしまうとどうしてもスムーズにすべてを取り切ってあげられず、時間がかかることもしょっちゅうです。
「吸引される」って決して楽なことではないと思うので、うまく吸ってあげることができないときは、息子に「ごめんね」と感じることもあります。
-吸引の経験があった上野さんでも、ご自身のお子さんのケアとなると、また違った難しさがあるんですね。上野さんは今、パワースマイルを使用されていますが、そもそもこちらを選んだ理由は何だったのでしょうか?
上野さん:
我が家の場合は、息子が入院していた病院の看護師さんにおすすめされたのがきっかけでした。実際の使い勝手もよく選んでよかったですが、今振り返ると、購入前にもう少し情報収集しておいてもよかったな、と思っていて。
今でこそ吸引器には種類があると知っていますが、当時は知識もなく「病院で使っているものと同じですし使いやすいですよ」と教えてもらい、比較検討もせず購入を決めました。
結果的に満足いく商品を選べましたが、本来であれば何かを購入する前は、実際の使用感や性能について十分な情報があるなかで、それぞれの家庭が自分たちの状況に合わせたものを選べるのが理想ですよね。
-確かに…。病院のスタッフの皆さんも、それぞれの吸引器の性能や特徴、使い方のコツまで網羅的に熟知しているかというと、必ずしもそうではないかもしれませんよね。
上野さん:
多くのご家庭にとって吸引器選びは人生で初めてのこと。けれど、情報も前提の知識がないまま購入を決めるケースがほとんどではないかな、と感じています。
使ってわかったパワースマイルのリアル!新旧比較とお気に入りポイント


-パワースマイルの実際の使い勝手について、さらに詳しく教えていただきたいです。
上野さん:
吸引圧も十分で、唾液や通常の痰も問題なく処理できています。軽いものではないですし多少かさばるものの、外出の際はバギーの荷台を活用して問題なく持ち運べています。


私が使っているのは旧式のものですが、今発売されている新型のものはさらに軽量化(本体のみで約1.6kg)されているので、持ち運びもより楽になっていると思います。
バッテリーのもちもよく、旧型でもしっかり充電しておけば1日安心して使えますし(※)、吸引力もコードでの利用時と内蔵バッテリーでの利用時で大きな差はないように感じています。我が家はかかりつけの病院まで車で1時間程度かかりますが、これまで充電が切れて困ったといったこともありません。(※編集部註:使用頻度や稼働時間によって異なります)
-使用にあたって、充電以外の面で困りごとは特にありませんでしたか?
上野さん:
吸引ホースと、痰などを貯めておく吸引瓶の接続部分が外れてしまい、外出時など、まれにホースの中の液が外に漏れてしまうことはありましたね。




ただ、新型ではこのホース接続部がこれまでのプラスチックからシリコン仕様に改良されたことで密閉性が高まり、漏れの心配が減っていてありがたいです。全体的に扱いやすくなっている印象で、パーツも簡略化されたので日々のお手入れもより手軽になっています。
-特に「ここがよかった!」というパワースマイルのお気に入りポイントなどはありますか?
上野さん:
デザインの可愛さです。
楽になったとはいえ、基本的に吸引器のお手入れって、おっくうなんですよね(笑)。それぞれのパーツを分解して消毒して…。毎日のこととなるとつい手を抜きたくもなるんですが、パワースマイルには日々のメンテナンスを楽しくしてくれる気配りがあるんです。
例えば吸引瓶の蓋の裏面に描かれた小さなハートマーク。実はここ、蓋を開けて掃除するからこそ見える部分でもあって。


ついつい面倒に感じるメンテナンス時に、何気なく添えられたモチーフに気持ちが思わずほっこりする。使う人のことをイメージした、メーカーさんからの思いやりが感じられてうれしいです。
わが子にぴったりの1台と出会うために「吸引器のある生活」をイメージして製品を選ぼう
-実際に使ってみて初めてわかることも多い吸引器。上野政本さんが考える、製品選びのポイントやあらかじめ知っておくとよいことについて教えていただきたいです。
上野さん:
吸引器を選ぶうえで、やはり一番は子どもの障がいの状態や家族のライフスタイルに合わせたものを選ぶことが大切だと思います。
例えば、お子さんの痰の粘度が高い場合、排気流量が大きい「高流量タイプ」が向いています。排気流量とは、一定時間にどのくらいの空気を吸い込めるかを示す数値です。
排気流量が大きいほど、一度に多くの空気を吸い込めるため、吸引時にも安定した吸引力を得やすくなります。
吸引を始めたばかりの頃は、子どもの痰の量や粘り気がどの程度なのか、判断に迷うこともあると思います。そんな時は主治医の先生に痰の状態について聞いておけば、製品選びの参考になると思います。
場合によっては、排痰以上に鼻水の吸引をメインに使いたい、というご家庭もあると思います。そういったケースでは別途「オリーブ管」(※)を用意しておけばより楽に、手早く鼻水ケアができます。
よく外出されるお家であれば、在宅用のものと持ち運びに便利な軽量タイプのものを使い分けるのも手ですね。
ちなみに我が家の場合は、重すぎず軽すぎずな重量感のパワースマイルが合っていたなと思います。パワースマイルは「しょっちゅう外出するわけではないから、持ち運び専用の2台目を買うほどではない」と考えるご家庭には特にちょうど良いバランス感なのではないでしょうか。




-吸引器そのものはもちろん、付属品まで含めるとかなりいろいろなものがありますね…!ただ、これだけそろえるとなると、正直、費用も気になるところです。
上野さん:
そうですよね。実は、吸引器を購入する際には「日常生活用具給付制度」という、購入費用の一部について給付を受けられる制度があります。ただ、付属品は給付の対象外になるので注意が必要です。
対象となる条件や自己負担額、申請方法が自治体によって違うので、あらかじめ住んでいる自治体の窓口で確認してみるといいと思います。
我が家も吸引器を購入する際にこの制度を利用しました。その後、吸引が必要な場面が増えていったので、吸引器を準備しておいて本当によかったと思っています。購入費用も半額ほど助成いただいてほんとうに助かりました。
▼吸引器選びのポイントや購入に際して使える制度について以下でより詳しくまとめています


-ここまでお話を聞いて、複数の視点から「吸引器のある生活」をイメージしておくのが重要なのだなと思いました。
上野さん:
そうですね。子どもの状態は少しずつ変わっていきますし、実際に使い始めてから「ここも見ておけばよかった」と気づくこともあると思います。実際、我が家も吸引器を選んだ当時と今とでは、息子の状態や吸引する頻度も変わっています。
もちろん、これから先のことを全部想像して選ぶのは難しいものです。
だからこそ、今のお子さんの状態や普段の過ごし方を考えながら、わからないことは周りの人に聞いたり、実際に使っている人の話を参考にしたりして、自分たちに合いそうなものを探してみるといいのかなと思います。
我が家の経験も、これから吸引器を選ぶ方にとって、ひとつの参考になればうれしいです。
吸引器についてのアンケートを実施中!(回答期間:11月13日(金)まで)


吸引器を使っているご家庭の数だけ、使い方や選び方、お困りごとがあるはず。
・今使っている吸引器は?
・その製品を選んだ理由は?
・実際に使ってみて、満足しているところは?
・「もっとこうだったらいいのに」と感じていることは?
実際に使っているからこそわかる、皆さんのリアルな声を、ぜひ聞かせてください。
アンケート概要
回答所要時間:10分程度
記述形式:選択式を中心とした一部記述式
回答対象:電動吸引器を日常的にご使用中の障がい児、医療的ケア児の保護者(痰吸引だけではなく、鼻水吸引のみのご家族も対象)
募集期間:2026年10月13日(火)より2026年11月13日(金)23:59まで
※アンケート内容には一部、製品・サービス改良のためのご意見の項目があります
皆さんの回答は、これから吸引器を選ぶご家族に向けた情報発信に活用するほか、吸引器メーカーの皆さんにもお届けし、製品改良などにも役立てていただきます。
あなたのおうちの「吸引器、うちはこんなふうに使ってるよ」を教えてね!
















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