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発達障害とは?種類や検査・診断の流れを実体験もふくめて解説!

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子育てをしている中で、「同年代の子と比べて発達が遅れている気がする」「異なる点があって気になる」と不安になった経験のある方もいるのではないでしょうか。

現在9歳になる筆者の娘は、保育園の先生からの助言をきっかけに発達検査をし、発達障害の一つ「自閉スペクトラム症」との診断を受けました。

この記事では、発達障害の種類や検査方法、診断を受けた後の流れなどを、筆者の経験談を含めて解説していきます。「子どもの発達について悩んでいる」「そもそも発達障害ってどんなもの?」など、発達障害に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

\この記事を監修してくれた先生/

佐々木 美都樹のプロフィール画像

言語聴覚士 佐々木 美都樹(ササキミヅキ)先生 / ササミ先生

北里大学言語聴覚療法学専攻を首席卒業。言語聴覚士免許(国家資格)及びパーキンソン病治療「 LSVT®︎LOUD」ライセンス所持。マカトン法ワークショップ基礎1、PECS®︎レベル1ワークショップ修了。成人を対象とした外来リハビリテーション施設・訪問リハビリテーション施設・介護老人保健施設、小児を対象とした児童発達支援事業所に勤務。息子の超希少進行性遺伝子疾患をきっかけに、オンラインでの相談事業を立ち上げる。現在は、児童発達支援事業所で勤務する傍ら、ことばの相談室Hopalを運営している。

目次

発達障害とは?

発達障害とは、生まれつきの脳の働き方の違いから、行動面や情緒面に特徴がある状態です。日常生活や社会生活において、得意・不得意なことと関わる環境や周囲の人との関係性にギャップが生まれ、あらゆる困りごとが起きやすくなります。

発達障害は、その特性から「わがままな子」「困った子」と捉えられてしまうケースも少なくありません。しかし、症状や困りごとが外見からは分かりにくいからこそ、本人や周囲の人が個性や能力、目標などを十分に理解してサポートすることが大切です。

また、発達障害は、生まれつき脳機能のアンバランスさがあるために発現すると言われています。そのため「親が怠けているから」「親の育て方が悪いから」というように、しつけや育て方が原因で起きるものではありません。

発達障害の種類

主な発達障害の分類図

発達障害は、次の3つに大きく分類されます。

自閉スペクトラム症(ASD)

社会的コミュニケーション面で困難がみられたり、日常での行動や関心へのこだわりがある、動作がパターン化するなどの特徴をもつのが「自閉スペクトラム症」です。Autism Spectrum Disorderの頭文字を取って、「ASD」とも呼ばれています。

かつては、言葉の発達に遅れがあってコミュニケーションを取るのが難しい古典的な「自閉症」に加えて、言葉や知的発達に遅れはないもののコミュニケーション面などで支援が望ましい「アスペルガー症候群」、自閉症やアスペルガー症候群などの特徴がみられるもののそれらの基準を満たさない「特定不能の広汎性発達障害」などに分類されていました。

しかし、米国精神医学会が2013年に出版した「DSM‐5」で自閉症という障がい名が廃止され、現在は「自閉スペクトラム症」または「自閉症スペクトラム障害」に統合されています

【参照】DSM5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)
URL:https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/dsm-5_guideline.pdf

▼自閉スペクトラム症とは?▼

注意欠如・多動性障害(ADHD)

「注意欠如・多動性障害」は、集中力が散漫になりやすい「不注意」、じっとしていることが困難な「多動性」、やりたいと思ったことを我慢しにくい「衝動性」がみられる状態です。Attention-Deficit/Hyperactivity Disorderの頭文字を取って「ADHD」と呼ばれています。

かつては「注意欠陥・多動性障害」という名称でした。しかし、自閉スペクトラム症と同様に、米国精神医学会が2013年に出版した「DSM‐5」にて「注意欠如・多動性障害」に変更されています。

「不注意が優勢」「多動・衝動性が優勢」「混同して存在」と症状は十人十色で、特性の表れ方でそれぞれ分類されるのが特徴です。

学習障害(LD)

学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないものの「書く」「読む」「計算する」「推論する」の能力を学んだり行ったりするのに支援を要する状態です。Learning Disabilitiesの頭文字を取って「LD」と呼ばれています。

自閉スペクトラム症や注意欠如・多動性障害と同様に、米国精神医学会が2013年に出版した「DSM-5」で「限局性学習症/限局性学習障害(Specific Learning Disorder)」という名称に変更されました。

学習障害は、全般的な知的発達に遅れがなかったり、人によって表れ方が異なったりします。そのため、本人だけではなく周りの人からも気付かれないことが多く、診断が難しい特性です。

グレーゾーンとは?

発達障害は、DSM‐5に示されている基準に基づいて診断されます。しかし、DSM‐5が挙げている症状が一部しか表れていない場合「受診時にたまたま体調がよかった」などの理由で症状が目立たなかった場合「診断基準の全てを満たさない」と医師が判断するケースもあります

このように「発達障害の特性はあるものの診断がつかない状態」が「グレーゾーン」です。正式名称ではなく、「保育や教育の現場で不適応な行動がみられるものの、DSM‐5の診断基準を満たさないために診断がつかないあるいは未受診の子ども」というように、あくまで「診断を確定できない状態」を指します。

グレーゾーンは、診断を確定できない状態だからこそ、診断基準を満たす場合と比べて苦手なことが少ないと思われがちですが、そうではありません。周囲の理解や適切な支援が得られにくいなど、発達障害と同じような困りごとが生じる可能性もあります。そのため、できるだけ早い段階で、周囲のサポートを受けられるかが大切です。

発達障害と併存しやすい疾患・障がい・症状

発達障害には、併存しやすい疾患や障がい、症状がいくつかあります。発達障害の特性と上手に付き合っていくためには、併存しやすい疾患や症状を知ったうえで、適切に予防またはケアしていくことが大切です。

知的障害

知的障害は、発達期までに生じた知的発達の遅れによって、社会での生活で支援が必要な状態です。医療機関で問診や診察、行動観察、発達・知能検査などを行い、総合的な結果をもとに診断されます。

発達性協調運動障害(DCD)

発達性協調運動障害は、感覚をまとめ上げてなめらかな運動に繋げるための脳機能の一つ「協調運動」のコントロールが年齢相応にできず、日常生活で支障をきたしている状態です。食事や着替えなどの日常生活の動作をはじめ、手作業、運動バランスや姿勢の保持、学習などがスムーズにできない状態を指します。

チック

チックは、自分の意思に関係なく「運動」や「音声」を繰り返す症状です。原因ははっきりと分かっていませんが、脳機能の発達の偏りがひとつの要因と考えられています。ASDやADHD、不安障害などの傾向がある子どもに併存しやすいといわれているのが特徴です。

双極性障害

双極性障害は、気分が落ち込む「抑うつ状態」と活発な「躁状態」を繰り返す疾患です。症状や服薬状況などを総合的にみて、重度・軽度が診断されます。双極性障害は、ADHDの多動や衝動性、不注意によって積み重なった気分の揺らぎから発展しやすいのが特徴です。

うつ病

うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、気分や感情をうまく調節できなくなって心身への不調が出る疾患です。日本では、ADHDと診断された成人202名のうち49%、ASDと診断された成人339名のうち41%が「うつ病の診断を受けた経験がある」と答えたとの報告があります。

【参照】令和元年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 発達障害の原因,疫学に関する情報のデータベース構築のための研究-成人の発達障害に合併する精神及び身体症状・疾患に関する研究|厚生労働省
URL:https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2019/192131/201918004A_upload/201918004A0008.pdf

不安障害

不安障害は、きっかけもなく動悸・呼吸困難・吐き気などの発作が起こる「パニック障害」や、極度に緊張する状況(人前で話をする、食事をするなど)を回避する「社会不安障害」など、主に不安が基になっている精神疾患の総称です。過剰な不安や心配が6ヵ月以上継続すると、「全般性不安症」と診断されます。

てんかん

てんかんは、「突然動作が止まる」「突然話が途切れて反応がなくなる」などの発作を繰り返す脳の病気です。発達障害とてんかんの併存率は高く、ASDでは5~38%、ADHDでは12~17%の併存が報告されています。

【参照】てんかんと発達障害|国立精神・神経医療研究センター NCNP病院
URL:https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/special/epilepsy-column_6.html

感覚過敏

感覚過敏は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が過剰に敏感な症状を指します。発達障害では刺激に対する「感覚」を脳が過敏に受け取ってしまいやすく、大きなストレスや苦痛を感じやすいのが特徴です。

感覚鈍麻

感覚や刺激に過剰に敏感な感覚過敏とは反対に、刺激に対して反応が鈍いことを指すのが「感覚鈍麻」です。感覚鈍麻は、光や音などをはじめとする五感や痛みなどの刺激に対して、反応が低くなります。

ライターMizuki

「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」をはじめとする発達障害は、種類や特性の表れ方、程度に個人差があります。ひとつの種類や特性が表れる人もいれば、いくつかの種類や特性が重なって表れる人もいるのが特徴です。

発達障害の特徴や症状・行動

「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」では、次のような症状や行動が主にみられます。

自閉スペクトラム症(ASD)

コミュニケーション時に困りごとが生じやすい

自閉スペクトラム症は、「視線が合わない」「乳幼児期に母親の後追いをしない」など他者に関心を示さなかったり、相手の立場になって考えるのが苦手だったりすることがあります。そのため、他の人とのコミュニケーションで困りごとが生じやすいのが特徴です。

言葉の発達がゆっくり/独特な言い回しをする

「年齢に比べて言葉の発達がゆっくりめ」「特定のフレーズを繰り返す」「人の言ったことをそのままオウム返しする」などがみられます。

そのほか、「流暢に話すものの独特な言い回しを多用する」「自分の話したいことを一方的に話す」というのも特徴です。

自分なりのこだわりが強い

「一人遊びが多い」「おもちゃを一列に並べて遊ぶ」「食べ物の好き嫌いが強い」など、日常生活で決められた手順や自身のやり方に強いこだわりを示すという特徴もあります。

独特のルールに沿って行動したり、勝ち負けや順番にこだわったりする場合もあります。

▼自閉スペクトラム症とは?▼

ADHD(注意欠如・多動性障害)

注意欠如・多動性障害は、忘れ物が多かったり、ルールを守れずにお友達とトラブルになるなどの問題が主に目立ちます。また、家や学校でしかられ続けることで、自尊心が低下するケースが多いのも特徴です。

自尊心の低下や失敗体験が積み重なると「うつ」「不安障害」といった二次障害が併存しやすくなります。そのため、できるだけ早い段階で気が付いて一人ひとりに適した対応をし、二次障害を防ぐことが大切です

注意欠如の症状(DSM‐5より)

  • 勉強中に不注意な間違いをする
  • 活動中に注意の持続が難しい
  • 話を聞いていないように見える
  • 指示に従えず勉強をやり遂げられない
  • 課題の順序立てが難しい
  • 精神的な努力が必要な課題を嫌う
  • 必要なものをよくなくす
  • 外的な刺激によってすぐ気が散る
  • 日々の活動で忘れっぽい

多動性・衝動性の症状(DSM‐5より)

  • 手足をそわそわ動かす
  • 席についていられない
  • 不適切な状況で走り回る
  • 静かに遊べない
  • じっとしていない
  • しゃべりすぎる
  • 質問が終わる前に答え始める
  • 順番を待つことが困難
  • 他人を妨害し邪魔する

学習障害(LD)

学習障害では、「流暢に読めるけれど書くことが苦手」「ひらがな1文字は読めるけれど単語や語句、文章が読めない」など、特定の分野で困難が伴います。そのため、どこが不得意なのかを見つけ、子どもに適した方法であせらずサポートすることが大切です。

読字障がい(ディスレクシア)

  • ひらがなの音読が遅く、読み間違える
  • 読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい
  • 文章を読むのがたどたどしく、文章の内容(あらすじ)をつかんだりまとめたりすることが難しい

書字障がい(ディスグラフィア)

  • バランスのとれた文字を書くことが難しい
  • 文章を書く時に助詞などをうまく使いこなせない
  • 板書など書き写しの速度が極端に遅い
  • 考えた内容を書いて表現することが難しい

算数障がい(ディスカリキュリア)

  • 数の概念が身につかず、数系列の規則性などの習得が難しい
  • 計算を習得することが難しい
  • 文章題を解くのが難しい

【参考文献】「DSM-5の学習障害の診断基準」|『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』American Psychiatric Association 

上記に挙げた特徴は、必ずしも全て発達障害に該当するとは限りません。正確な診断のためには、専門の医師または心理士の問診・面接・行動観察・検査などが必要です。

発達障害かもしれない、と思った時の相談・診断・検査

筆者の娘は、4歳4ヵ月で自閉スペクトラム症の診断を受けました。

ライターMizuki

もしかして、発達障害かもしれない

筆者がなぜそう感じたか、そして実際に診断を受けるまでの流れをご紹介します。

1.発達障害かも?と思う行動があった

1歳になる前から、抱っこしようとするとよく身体を大きく反らしていた娘。「この子は抱っこが苦手な子なんだな」となんとなく思っていました。

ところが、2~3歳にかけて「一つの遊びに一日中没頭する」「同じ音や映像を繰り返し聞きたがる、見たがる」「順序にこだわる」など、興味が限定的であることにふと気付きます。

ライターMizuki

そういえば、周りの子どもにとっては気にならないことに不安を訴えて癇癪が起こる頻度も高くなってきたような…

娘が発達障害かもしれないと思い始めたきっかけです。

そのほか、次のようなことから「もしかすると発達障害かも?」と思うようになりました。

言語・コミュニケーション
・1歳半検診で言葉の少なさを指摘される
・登園時に癇癪を起こしてしまう(年少~年長まで)
・保育園で一人遊びが多い
・遊びに集中していると名前を呼んでも振り向かない
・CMのフレーズの一部など、意味を理解していない言葉を時間を置いて繰り返す

興味とこだわり
・保育園への持ち物で忘れ物がないか心配で、家を出る前・車の中・園に到着後と何度も鞄の中身を確認する
・CMのフレーズやアニメのセリフなどを、脈絡のない会話の中で突然言う
・箱やおもちゃ、日用品を自分の決めた配置で並べる。自分のなかで一区切りつくまで終わらない
・気に入った曲や絵本、DVDを一日の中で繰り返し見る

感覚
・誰かと握手やハイタッチした後に自分の手の匂いをかぐ
・抱っこされるのが苦手。前向きでの抱っこを好む
・急に新しい予定が入ると不安になる。いつもと違う道順を通ると泣いてしまう

その他
一時期、つま先立ちでの歩行があった

上記でご紹介した特徴は、自閉スペクトラム症の症状として必ずしも当てはまるわけではありません。発達の個人差によるものかの判断を含め、気になる点がある場合は専門家へ相談するのがおすすめです。

2.専門機関に相談する

3歳の頃、保育園の先生から「遊びや興味に強い偏りがあるように見える。癇癪で困っているなら、一度専門機関へ相談してみてもいいかもしれない。」と助言をいただきました。その後の流れは、次のとおりです。

①住んでいる地域の発達障害相談支援事業所をインターネットで調べ、電話をかける
②娘の様子や気がかりなことを相談
③担当の方が保育園での様子を直接確認などし、医療機関(こども療育センター)へ繋いでいただく

3.発達検査を受ける

療育センターと繋がった後は、問診や行動観察、心理検査や知能検査など、娘にどんな特性があるのかを明確にするための発達検査が始まりました。娘が受けた発達検査は「PARS」「新版K式発達検査」です。

PARS

困りごとの背景に発達障害(自閉スペクトラム症)の特性が存在しているのか、存在している場合どのような特性かを評価する検査です。心理士さんや看護師さんなどと面接を行い、子どもにどのような特性がみられているか、その特性でどのように困っているかを話します。

新版K式発達検査

1つずつ与えられる検査項目に子どもがどのように応答・反応するのかを観察し、その検査項目の通過基準を満たしているか評価します。積み木などのおもちゃや道具、日常的な材料や題材が使われているため、娘もとてもリラックスした状態で自然に行えました。

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4. 診断は?診断後は?

専門機関への相談や発達診断を経て、娘は4歳4ヵ月で「自閉スペクトラム症」との診断を受けました。不思議だったのが、いざ診断名を聞くと、結果が出るまで持っていた心配や不安がすっと軽くなったこと。娘の「苦手」に本当の意味で向き合う大切な手がかりが見つかり、親として安心したのだと思います。

診断を受けた後は、保育園と情報を共有したり、相談支援専門員さんが療育センター児童発達支援事業所と繋いでくれたりして「現時点で最適な支援」を考えていけるようになりました。

ライターMizuki

「娘を支えてくれる支援の手が増えた」
正直なところ、私にとってはそれが一番心強かったです。

発達障害の検査・診断とは?受けるべき?

子どもの成長に気がかりな部分がある、セルフチェックの項目に当てはまることが多いなど「発達障害かな?」と思ったら、できるだけすみやかに専門機関へ相談するのがおすすめです。

とはいえ、最初からいきなり医療機関を受診することに戸惑ってしまう方もいるはず。筆者もそうでした。まずは支援センターへ相談して心理検査やアセスメントを受けることで、困りごとや特性が把握できたり、公的な支援を受けられる場合もあります。

発達障害の診断が下りなかった場合でも支援は受けられる

検査の結果、発達障害の診断が下りないこともあります。子どもの状態や体調にも左右される場合があるため、診断が下りなかった後も気がかりなことがあれば、保健センターや子育て支援センターなどに相談してみましょう。また、「グレーゾーン」の場合でも支援を受けられます

発達障害のおすすめの相談先

発達障害者支援センター

発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。ご本人とその家族が豊かな地域生活を送れるように適切な指導やアドバイスをしたり、保健や医療、福祉などの関係機関と連携したりして総合的な支援環境の構築を図ります。

▼発達障害支援センター 一覧
http://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/

精神保健福祉センター

心の問題や病気で困っている本人や家族などの相談に応じて、アドバイスや関係機関への情報提供、精神科デイケアなどのプログラムを行っている場所です。

▼精神保健福祉センター 公式ページ
https://www.zmhwc.jp/centerlist.html

児童発達支援センター

障がいのある子どもが通所しながら、日常の基本動作・集団適応といったスキルを訓練できる施設です。利用の際はお住まいの市区町村にお問い合わせください。

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その他、保健所や保健センター、子育て支援センター、児童相談所でも発達障害に関する相談が可能です。

発達障害診断後の生活と支援

いざ発達障害と診断されると、その後はどうなるんだろう…

そんな漠然とした不安を抱えている方もいると思います。しかし筆者は、娘が自閉スペクトラム症の診断を受けてから、主に次のようなことが変わりました。

子どもにとってストレスを感じにくい生活習慣や環境を整えられるようになった

「スケジュールが変わると癇癪を起こすのでお出かけやお買い物に連れていけない」

「おもちゃを元の場所になかなか戻せない」

こんなとき、一人で対策を考えたり、娘に「言葉」で懸命に説明したりしていました。

しかし、娘に自閉スペクトラム症の診断がついたことで、娘の困りごとは「特性」からきているものだったんだな…!と妙に納得。その結果、筆者自身も、娘にとっての快適な生活習慣や環境を見直せるきっかけになりました。

工夫してみた一例

・見通しが立っていないと不安になるため、娘専用のカレンダーを作成して見える場所に掲示した

子ども専用カレンダー
予定が入ると、徐々に自分で書くように。(※ぼかし加工を施しています)

・癇癪が起きたときや心を落ち着けたいときに過ごすための静かな空間を部屋の一角に作った

癇癪を起こしたときに過ごすための空間
定位置の「落ち着き必須アイテム」は定期的に娘が自分で変更

・棚や収納ボックスに「何をいれる場所か」のラベルを貼り、目で見て「何をするところか」を理解できるようにした

何を入れる場所かのラベルが貼られた収納ボックス
自分の目で場所を確認しながら片付けることで自信UP

社会的なサポートを受けられるようになった

さまざまな社会的サポートを受けられるようになったのも、診断名がついてから大きく変わった点です。娘は現在、月に1回のペースで療育に、週に2回のペースで放課後等デイサービスに通っています。

家庭や学校以外での繋がりや相談できる場所では、娘の新たな一面や成長を見られて新鮮でした。娘の特性をさまざまな側面から見てくれる人がいるのは、娘にそして筆者にとって非常に心強いものです。

子どもだけではなく親自身のメンタル改善にも繋がった

「一生懸命向き合っているつもりでも、なぜか娘が癇癪を起こしてしまう」

「お友達や周りの人との距離感をつかみ切れない娘が孤立しているように見える」

毎日起きる小さな“なぜだろう”の積み重ねで、親である筆者も無意識に疲弊していました。

しかし、診断名がついて「自分や娘のせいではない」と理解できてからは、適切な対策や問題の解決のために前向きな気持ちになれています。「〇〇ができない」「〇〇が不得意」ではなく「笑顔がかわいい」「元気で明るい」などよい面に目が向くようになり、将来を不安に思うよりも、いまを大切に過ごすことを意識するようになりました。

発達障害の治療・発達支援

発達障害は、先天的な脳の働きが関係しています。そのため、病気とは異なり、現在の医学での完全な治癒は困難です。

しかし、発達障害の特性による日常生活・社会生活での困りごとは、適切な治療や対策、周りの人たちの理解で軽減できます。子どもの行動に対して、どのように接すればいいか親が学ぶ「ペアレント・トレーニング」という手法もあります。

気になることがあれば家族で抱え込まず、まずは専門機関へ相談して、特性に適したサポートはどんなものかを探してみましょう。

発達障害でも自立・就職できる?

発達障害の方が仕事をするうえでは、「集中力を持続しにくい」「同僚や上司とのコミュニケーションがうまく取れない」などの困りごとがみられる傾向にあります。このように、日常生活や社会生活で難しいことが多いと、将来的に自立や就職が難しいのではないかと考える方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

たとえば「マニュアルがしっかりあるとできる」「細かい手作業は苦手」など、まずは本人が得意・不得意を把握していることが大切です。また、周囲から適切なフォローを得られる環境では、能力を十分に発揮できる可能性も高まります。

家族だけではなく「みんなで育てている」という安心感

「発達障害」という言葉の羅列だけ見ると身構えてしまう方もいるかもしれませんが、どんな状況でも、視点を変えればポジティブな受け止め方ができます。「こだわりが強い」は「自分の世界を持っている」、「物事を覚えにくい」は「マニュアルやルールが明確なら対応できる」、「見通しが立っていないと不安」は「スケジュール管理が好き」です。

しかし、本人が生活するうえで困っている特性については、やはり適切なバックアップがあると安心ですよね。症状や困りごとを「発達障害」とひとくくりにしてしまわず、子どもの成長や行動で気がかりなことがある場合は、専門機関で慎重な診断を求めるようにしましょう。

発達障害の子どもをお持ちのご家族、そして「我が子には障がいがあるかも」と悩まれている方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

こちらの記事は下記サイトを参照した上で執筆しました。

DSM5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/dsm-5_guideline.pdf

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター:こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MbkmLbVbTEhSpxyE

一般社会法人 日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp/

てんかんと発達障害|国立精神・神経医療研究センター NCNP病院
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/special/epilepsy-column_6.html

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この記事を書いた人

日本心理学会認定心理士、サービス介助士。「自分らしさを忘れない」をコンセプトに、自閉スペクトラム症の娘との暮らしをゆるりと楽しむママです。フリーライターとして臨床心理・介護・児童福祉・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集などに携わりながら、児童福祉施設へも訪問しています。

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