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【解説】オストメイトとは?ストーマや日常生活と注意点も紹介

【解説】オストメイトとは?ストーマや日常生活と注意点も紹介
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「オストメイト」という言葉をご存知でしょうか。さまざまな病気や事故が原因で肛門や尿道から排せつができず、手術をしてお腹にストーマ(人工肛門や人工膀胱)を作った人のことをいいます。

日本国内で20万人以上いるといわれるオストメイト。しかし、外見から判断がつきにくく、オストメイトの方々がどのような生活を送っているかはあまり知られてはいません。

今回は、生後間もなく人工肛門造成手術を受けオストメイトとなった娘を持つ筆者が、オストメイトやストーマについて解説するとともに、オストメイトの日常についてご紹介します。

目次

オストメイトとは?

ストーマと呼ばれる人工肛門や人工膀胱を持つ人たちをオストメイト(Ostomate)と呼びます。オストメイトになる要因はさまざまで、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 生後すぐに判明する先天性の疾患
  • 炎症や潰瘍をともなう腸疾患など、長期にわたる腹痛や便秘、体調不良
  • がんなど、突然の発病や事故

オストメイトの平均年齢は70歳前後でほとんどが成人ですが、小児オストメイトも存在します。

【参考】オストメイトの生活と福祉「第9回オストメイト生活実態基本調査報告書」P5

URL:https://www.joa-net.org/pdf/202303_chap1.pdf

ライター 永田

筆者の娘の場合、生後間もなく「直腸肛門奇形(鎖肛)」と呼ばれる先天性の疾患があることがわかりました。胎児期に作られるはずの肛門が、何らかのトラブルでうまく形成されなかった病気です。

肛門がないと便を出すことができません。そのままにしておくと食事もとれないため、娘は生後2日目でストーマ造設手術を受けオストメイトとなりました。

ストーマとは?

ストーマとは、お腹に作った人工肛門や人工膀胱のことです。ここが、尿や便の出口となります。排せつする物や造設場所によってストーマにもいくつかの種類があり、大きく分けると尿を排せつする尿路ストーマ、便を排せつする消化管ストーマの2種類です。患者の疾患や症状によって、片方のみ造設するケースと、両方を造設するケースがあります。

ストーマからの排せつ、どうやってするの?

オストメイトが排泄をする際は、排せつ物はストーマから出てきます。「お腹から便や尿が出る」と聞いても、具体的なイメージがわきづらい方が多いかもしれません。オストメイトの方々は、どのように排せつを行うのでしょうか。

まず、オストメイトは便意や尿意を感じません。自身での排せつコントロールが難しいため、ストーマには常にパウチと呼ばれる袋を貼り付けておき、排せつ物が出てきたらパウチでキャッチできるような状態にしておきます。そしてある程度排せつ物がたまったら流して処理します。

パウチは一度装着すると数日もつといわれることも多いですが、便の状態や尿の量などに影響を受けるため交換頻度は人によって、また状況によっても異なります。

とくにハイハイや動きの活発な赤ちゃんのオストメイトはパウチが外れやすく、せっかく付けたのも束の間、便がもれ出してしまい、一日に数回交換することもまれではありません。

ほかにも、オストメイトが日常で抱える問題や課題にはさまざまなものがあります。

オストメイトの日常生活と困りごと

尿や便の出口が異なる点以外、オストメイトの方々の日常生活に特殊なものはありません。とはいえ、注意や工夫が必要なシーンもいくつかあります。

日々の生活のなかで、どのような課題があるのかみていきましょう。

課題1:外出先でパウチがはずれてしまう

パウチは汗や運動で外れることがあるため、多くのオストメイトが補助シールを貼ってずれを防いでいます。

しかし、パウチをどんなにしっかり装着しても、やはり取れてしまうことがあります。外出先ではずれると、たまっていた排せつ物がもれ出してしまい着替えや処理が大変です。そのため外出の際は必ず、パウチ交換に必要な器具や着替え一式を持ち歩くケースがほとんどです。

ライター 永田

ストーマの形にあわせ、パウチをいかにぴったり貼り付けられるかが重要です。

ストーマの形に合わせて粘着部分を切り抜いたパウチの写真
粘着部分をストーマの形にあわせて切り、うまくはめ込む

課題2:においが気になる

排せつ物が入ったパウチを常に身につけていることもあり、においが周囲にもれていないかどうかが気になってしまいます。中には外出をためらってしまう方も。また、便の性状やにおい、ガスの発生に影響する食べ物があるので、においの出にくい食事をとるよう気をつけるという方もいます。

課題3:スキンケアに気を使う

排せつ物の処理に必要不可欠なパウチ。粘着力が強く、またはがれないよう、肌に密着させて付けるため、ものによっては肌に合わず赤くかぶれ、ひどいと糜爛(びらん)ができることもあります。

交換の際はストーマ付近を柔らかな泡やお水で優しく洗うなどして清潔に保つことも大切ですが、肌荒れを繰り返す場合は、装着する前に保護用パウダーをふるのも有効です。ただ、パウダーをかけることで粘着力が弱まり、通常よりもパウチがはがれやすくなるデメリットも…。

いくつかあるパウチメーカーの商品のうち、実際に使ってみて自分に合うかどうか試行錯誤するほかありません。

オストメイトトイレの使い方

オストメイトの方が外出する際「あると助かる」と感じるのがオストメイト対応トイレです。

オストメイト対応トイレであることを示すマーク

皆さんも、こちらのマークのあるトイレをご覧になったことがあるかもしれません。オストメイト対応トイレであることを示すもので、このマークがついたトイレには、パウチ交換や排せつ物処理に便利な流し台などが付設されています。

通常のトイレで対応することも可能ですが、もともと座って用を足す仕様になっているため、パウチを外し、排せつ物の処理をしたい場合には無理な姿勢で行うことになってしまいます。その点、オストメイトトイレの洗し台では立ったままパウチを洗うことができるなど、楽な姿勢で処理できるようになっているのです。

オストメイトマークを目にしたことがあっても、どのような意味なのかよく知らなかった人もいらっしゃるのではないでしょうか。今後、街中でオストメイトマークを見つけたらそこにどのようなものがあるのか、意識して見てみてくださいね。

オストメイトが生きやすい社会とは

オストメイトかどうかは外見や普段の様子からはわからず、オストメイトでない人が、オストメイトの人たちの日常生活の課題や工夫を知る機会はあまりありません。

筆者自身、娘の疾患がわかるまではオストメイトの方たちがどのように排せつをしているか、日常生活で気を付けていることが何かなどを見聞きすることはまったくなく、娘のケアをする中で新しく知ること、驚くことがたくさんありました。

同時に、ストーマがあってもお風呂に入れることや旅行やスポーツも十分楽しめることを知り、オストメイトでない人たちと大きく変わらない生活が送れることも実感しました。

その一方で、外出時には「もしもパウチが外れたらどうしよう」「においがもれたらいやだから、電車に乗るのはやめておこう」と行動を制限したこともあります。

ためらう必要がないと理解していても、周りに迷惑をかけるかもしれないこと、それを受け入れてもらえないことが怖かったのだと思います。

こういった不安感は、他の多くのオストメイトの方も抱く想いかもしれません。無意識に持ってしまう心のバリアを低くするものは、「周りからの理解」ではないでしょうか

知らないだけで、実はすぐそばにいるオストメイトの人たち。どんな工夫をしながら生活しているのか、まずは知ることからはじめてみませんか。

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【解説】オストメイトとは?ストーマや日常生活と注意点も紹介

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この記事を書いた人

フリーライター・インタビュアー。人やモノがもつストーリーをひもとくのが好き。ライター活動のかたわら、小学生向けの表現教室運営も行う。21年生まれの次女は中間位の鎖肛っこ。「自分でよかった」と心から感じられる人が増えるといいなぁと思いながら暮らしています。座右の銘は「一隅を照らす」。

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