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子どもの補聴器(小児補聴器)とは?種類や値段、補聴器を作成するまでの流れを紹介

子どもの補聴器(小児補聴器)についての解説記事
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子どもの耳の聞こえを助ける小児補聴器は、聞こえやすさだけではなく日々のコミュニケーションを助ける大切な医療機器です。

今回は子どもの補聴器(小児補聴器)とはどんなものなのか、どんな種類があるのか、どうやって作成するのか、など小児補聴器の基本について解説します

目次

子どもの補聴器(小児補聴器)とはどんなもの?

小児補聴器

補聴器の役割は、単純に言えば、周囲の音を拾い、装用者の聴力に合わせて音を増幅し、その増幅した音を出力する、という機械です。補聴器は医薬品医療機器等法(正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、医療機器などの安全性と、体への有効性を確保するための法律です)に定められた医療機器です。

補聴器は医療機器の中でも「管理医療機器クラスⅡ」に分類されており、日常的に使う体温計などの一般医療機器よりも高度な管理・適切な使用が必要とされています。

幼い子どもが話ことばや読み書きの能力を身につけるには、「4500万語・2万時間の聞き取りができる環境が必要(フォナック こどもライン カタログより引用)」と言われています。そのため、ことばの理解や学習成果のためにできるだけ早いうちに”聞こえ”を改善してあげる事が大切です

子どもにとっての補聴器は、幼少期に大切な周囲の音や言葉を聞く環境を用意するための機器です。

うぐいす補聴器 田中先生

私は主に加齢性の難聴者に対する補聴器のフィッティングを日々やっています。

同じ補聴器だから、大人も子どもも同じことをするんじゃないの?と思われるかも知れませんが、全く違って、子どもの補聴器は、特に重要なんです。

周囲の音や言葉を聞く環境を表したイラスト

難聴には補聴器しか対処法はない?

難聴の場合の選択肢は補聴器だけではありません。補聴器の他にも、人工内耳手術といった方法をとる場合もあります。

難聴と診断されたら、個々のお子さんの状況によって、さまざまな選択肢がありますので状況を医師と相談して適切な対応をとる事が必要です。

補聴器の仕組みやパーツ

補聴器のパーツについても解説します。

補聴器の仕組みの説明

補聴器の各名称は上記画像の通りです。補聴器の仕組みとしては、以下のような流れで音をキャッチし、聞きやすいように変換しています。

  1. マイクロホン音口で、周囲の音を拾う
  2. 補聴器本体で補聴器を使う本人の聴力や生活に合った音に加工する
  3. イヤフックを通り、イヤモールド・イヤチップから音が出る

補聴器の本体にはスイッチがついていて、ボリュームコントロール(音量の上げ下げ)やプログラムの切り替えができます。

補聴器の電源は?充電は必要?

補聴器本体下部には電池ホルダーがあり、電池がなくなれば電池交換をします。動作時間の目安は一番持ちが良いもので110~190時間です。1週間から10日に一度くらい電池交換が必要です。

充電タイプの補聴器も最近は多く発売されています。充電タイプであれば、夜寝るときに補聴器を充電器に差し込み充電、朝起きると充電が完了しているので、充電器から出してすぐ付けることができるので、電池タイプのときに不便だった「大事な時に電池が切れる心配をしなくてはいけない」「小さなお子さんが電池を誤って口に入れないか心配」などの要素がなく、安心して使いやすくなっています

うぐいす補聴器 田中先生

補聴器の種類によっては、充電式に対応していないものもあるので、購入する際には、医師や販売店の専門家に相談してみましょう。

イヤーモールドとは?

耳かけ型の補聴器を使用する際には、耳の穴に耳栓を入れます。この耳栓から音がでてきて、鼓膜に音を伝えるのです。イヤモールドとは、この耳にいれる耳栓のパーツのことです

おとなの補聴器の場合は、既成の耳栓を入れることもありますが、子どもの補聴器の場合は、子どもが活発に動きやすくするため・しっかり音を耳に届けるために、耳型を取ってオーダーメイドで耳栓を作ります。これがイヤモールドです。

色は、さまざまなカラフルなものもあり、メーカーによってはラメを入れられたりもします。

小児補聴器を着用する子供

耳型をとるのは、歯医者さんで歯型をとる手順と同じようなものです。

耳にシリコン剤をシリンジで流し込み、5分程度待機した後に固まったら取り出します。痛みは全くありません。

耳型をとった後はメーカーで耳型を元にイヤーモールドをオーダーメイドで作成し、1〜2週間程度でできあがります。

子どもは成長が早いので、イヤーモールドも成長に合わせて作り直しをします。補聴器本体は何年も使いますが、イヤモールドはサイズアウトしたらまた新しいものを作り、常に耳にぴったりフィットした状態で補聴器を使用する必要があります。

子どもの補聴器の種類

子どもの補聴器にもさまざまな種類があります。どんな種類があるのか、解説します。

耳かけ型

子どもが補聴器を使用する多くの場合、耳かけ型を使用します。

補聴器本体を耳の後ろにかけ、イヤモールドを耳の中に入れて音を聞きます

子どもの補聴器はカラフルなラインナップがたくさんあり、選ぶ楽しさもあります。また、汗をたくさんかく子どもも安心して使えるよう、防水防塵に対応しています。

耳かけ型小児補聴器のラインナップ

骨伝導型

骨伝導型はヘッドバンド式などで、骨を伝って音を聞きます。聴力の適応の幅が狭い点や、音が伝わる部分がずれてしまうと上手く聞こえない点から、ほぼ使われていません

軟骨伝導型

軟骨伝導補聴器は、新しい形式の補聴器で、耳の軟骨部に振動を伝えて聴力を補うものです。これまでは、一般的な補聴器を使用できない人々(外耳道閉鎖症や小耳症の患者など)は、骨導補聴器埋め込み型骨導補聴器を使用することが一般的でした。

しかし、体に対する負担を軽減し、聴力の選択肢を広げるために、補聴器メーカーリオン社と奈良県立医科大学との共同研究により軟骨伝導補聴器が開発されました。

箱型(ポケット型)

小型のラジオのようなものを胸ポケットにいれ、そこから有線でつながったイヤホンを耳に入れて音を聞きます。

以前は使われていましたが、最近は耳かけ型の補聴器の性能が進化したので、ほぼ使われなくなりました

補聴器の周辺機器

補聴器には得意とする範囲があります。それは、聞き手と話者が1.5m以内に 1対1でいる場合で、かつ騒音がある一定レベル以下であること。

距離が1.5mを超えると音を拾いにくくなります。おとなの補聴器であれば、会議や食事中など、聞き取りたい多くの場面が1.5m以内の会話で済むことが多いので、補聴器だけで大丈夫なことが多いですが、子どもの場合はそうではありませんよね。

広い教室で先生が遠くから話したり、クラスメイトの発表を聞いたり、体育や音楽の授業を受けたりすることもあると思います。そんなときは、周辺機器としてワイヤレス補聴援助システムが有効です。

マイクを話者につけてもらい、マイクから拾った音声をワイヤレスで補聴器に飛ばし、補聴器で聞くという仕組みです。ワイヤレス補聴援助システムを使えば、遠くの先生の声も聞きとりやすくなります

補聴器が集音できる範囲の説明

このワイヤレス補聴援助システムで有名なのは、フォナックというメーカーの「ロジャー」というもの。研究結果では、以下のような効果も発揮されています。

補聴器+ロジャーでお子さまの反応が良くなったと、80%の家族が回答。ヴァンダービルト大学での最近の研究では、家庭内でロジャーを幼児期から使用することの多くの利点が実証されています。補聴器のみの装用と比較して、ロジャーを使用することでこどもは1日8時間で5,300語以上の単語を聞くことができるようになり、それは家庭内での会話が42%増加したこ とに相当します。*2 また80%の家族が、親からの呼びかけに対するこどもの反応が良くなったと回答し、さらにこどもの 欲求不満が35%軽減されたことが報告されています。

*2 : Benitez-Barrera, C..R, Angley G., & Tharpe, A.M. (2018).家庭におけるリモート マイクロホン システムの使用:介護者の会話への影響。Vol. 61, 399-409. Journal of Speech, Language and Hearing Research,  https://doi.org/10.1044/2017_JSLHR-H-17-0168

ロジャーも、障害者総合支援法の対象機種があり、支給をうけることができます。申請をするときに、ロジャーの要望も医師に伝えてみるとよいでしょう。

子どもの補聴器の作成の流れ・購入方法

子どもの補聴器の作成や購入は、補聴器の販売店だけではなく、主治医自治体との連携が必要です。通常、難聴の診断があって補聴器を購入する場合は、自治体の補助を受けて購入することが可能なので、ご家庭の負担も実際の金額よりも軽減されています

近年、子どもの難聴は新生児スクリーニング検査で発見されることが多くなっていますが、次第に聞こえがわるいかも?と親が感じるケースもあります。

まずは、近くの耳鼻咽喉科の医師や主治医がすでにいる場合は主治医と相談しましょう。

詳しい子どもの補聴器の作成の流れや購入方法は以下の記事でご紹介しています。

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子どもの補聴器の調整

子どもの補聴器は買って終わりではなく、定期的な調整が必要です。特に子どもの場合は成長と共に状態も変化しやすいため、定期的な調整をしっかりと行いましょう

補聴器に調整はなぜ必要?

補聴器は、つけてすぐ聞こえるようになるわけではありません。個別に聴力は異なるので、周波数ごとに足りない音を大きくすることで調整します。

補聴器を買い替えた場合や聴力が変化した場合も調整が必要です。脳が入ってきた音に慣れる必要があるので、補聴器で良く聞こえるようになるためには、ある程度の時間が必要なのです。時間経過とともに補聴器を調整していくことで聞こえやすくしていくことができます。

調整ではどんなことをするの?

調整では聴力検査をしたり、補聴器をつけてどのくらい音が聞こえるかの検査をしたりします。スピーカーから出てくる音を聞いて、聞こえ方をチェックします。その結果をみて、調整者(言語聴覚士や認定補聴器技能者)が、補聴器から出る音を調整します。検査は痛みを伴うものはないので、安心してくださいね。

子どもに特化して開発された補聴器もある

子どもが過ごす環境は、大人と違います。大人は、仕事場や家の中など、比較的静かな環境で話すことが多く、逆に雑音が多い、例えば電車の中で、込み入った話をすることはそう多くはないと思います。

ですが、子どもは、雑音が多くある環境で、話をする場面が多くあります。教室のグループ学習で正面・後ろ・左右の声を聞き取ったり、外で風が強く吹く中、鬼ごっこで声を聞き取りながら遊ぶなど、さまざまな音環境で、四方八方からくる声を聞き取って活動しなければなりません。だからこそ、子供向けに開発された補聴器という視点で補聴器を選ぶのもよいことだと思います。

例えば、フォナック補聴器の子ども専用自動環境適応プログラム「オートセンス スカイ OS」は、子どもたちの実環境を録音した音声データを使って機械学習させているので、子どもが日々過ごす様々な環境における「ことば」と「騒音」を的確に分類し、補聴器内部で適切な音に調整して、耳に音を届けてくれます。

様々な補聴器と補聴器が補助する生活の1日のスケジュールを紹介したイラスト

子どもの補聴器の値段・補助金

子どもの補聴器はさまざまな制度を利用して購入することができ、要件にあてはまれば大きく負担を減らすことができます

総合支援法で聴覚障害者手帳を取得し、補装具として補聴器の支給を受ける場合

聴覚障害で身体障害者手帳を取得した後、補装具として補聴器の支給を申請します。各メーカーで支給対象の補聴器が定められており、高度難聴型耳かけ型は43,900円、重度難聴用耳かけ型は67,300円が基準価格となっています。

自己負担額は、1割負担になることが多く、上記価格の1割をご過程で負担、残りの9割分を補聴器の支給を受けることができます。(所得制限等で1割負担にならない場合もあります)

また、故障や買い替えの際も福祉制度として整えられています。故障時は、数千円の自己負担で修理が可能、5年毎程度で新しい補聴器の支給を受けることもできます。さらに、上記で述べたワイヤレス補聴援助システムも申請が可能です。

申請には、医師の診断書も必要です。詳細は、居住しているの市区町村障害担当・障害福祉課へ確認しましょう。

自治体の軽度・中等度難聴児支援を受ける場合

身体障害者の交付対象にならない程度の難聴(軽度・中等度難聴)の子どもに向けて、自治体独自で支援制度がある場合があります。インターネットで、「中等度難聴 子ども 〇〇市・区(お住まいの地域)」と検索すると、情報がないか検索できます。

自治体支援として、たとえば、東京都の場合は137,000円が助成されます。問い合わせ窓口は、東京都内の住んでいる市区町村の障害福祉担当課が問い合わせ窓口となっています。

メーカーの制度を活用する

ほちょうき購入サポート」、「こども割」や「こども価格」など、子どもむけの購入価格を設定しているメーカーがあります。

メーカーによって対象機種や対象年齢が異なりますので、補聴器販売店で確認ください。購入の際は、学生証在学証明書など子どもの年齢が分かる書類の提示が求められます。

子どもの成長を助けるのが補聴器

子どもの時期は、言語の発達においてとても大切な時期です。補聴器は、子どもがたくさんの音や言葉に触れる環境を作ってくれます。最近の補聴器は大きく進化していて、各子どもの聴力ニーズに調整できる最新の技術を備えています。この記事でご紹介した補聴器やイヤーモールドなどが、お子さんの補聴器選びの一助になれば幸いです。補聴器が、毎日身に着ける、お子さんの大切なパートナーになれることを祈っています。

役立つ資料
補聴器に限らず、難聴と診断された場合の選択肢などが丁寧に解説されています。
フォナック補聴器 保護者のためのガイドブック 監修:廣田 栄子先生(筑波大学名誉教授、医学博士)「お⼦さまに難聴があると診断されたら

記事内画像はすべてフォナック補聴器のご協力により提供いただいております。

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子どもの補聴器(小児補聴器)についての解説記事

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この記事を書いた人

田中智子のアバター 田中智子 認定補聴器技能者 うぐいすヘルスケア株式会社・うぐいす補聴器 代表取締役 MBA(経営学修士)

補聴器を「日常生活をポジティブに自分らしく過ごせるようになるためのツール」と捉え、補聴器専門店「うぐいす補聴器」を開業。以前は有名補聴器メーカーのマーケティング部に所属し、全国5000店舗へ補聴器販売の指導を実施した経歴を持つ。高齢者難聴を得意とし、地域住民への啓蒙活動、高齢者への補聴器の装用トレーニングなども実施している。

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