児童発達支援センターや児童発達支援事業所では、子どもの発達を促す様々な支援「児童発達支援」を受けることができます。
聞いたことはあるけどうちの子どもには必要なの?
児童発達支援の通所を勧められたけどどんな場所かわからない
という疑問を解決するために今回は、児童発達支援とは何か、種類や対象者、利用回数などについて実際に息子を通所させている筆者が紹介します。
児童発達支援とは
児童発達支援とは言葉のとおり、児童の心身の発達を促すための制度です。ママさんやパパさんの中では、児童発達支援のことや児童発達支援を行っている通所施設のことを「児発(ジハツ)」と略して呼ぶ事もあります。
障がいのある子どもや発達に心配がある子どもが児童発達支援を行っている施設に通所することで、訓練や遊びを通した学びを得ることができます。通所のスタイルや時間は、通所する事業所によって様々です。
児童発達支援はどんな制度?
児童発達支援は、児童福祉法に定められている障害児通所支援の制度の1つです。児童発達支援は、未就学児が通う「児童発達支援(児発)」と就学児が通う「放課後等デイサービス(放デイ)」の2つに区分されています。
2012年4月以前は、「児童デイサービス」という未就学児と就学児が一緒に通うサービスでしたが児童福祉法の改正によって未就学児と就学児の区分がわけられるようになりました。
厚生労働省の資料によると、児童発達支援の事業所は年々増加しており、9年で約4倍になっています。
【参照】障害者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001023067.pdf
児童発達支援と放課後等デイサービスの違い
利用対象者が未就学児の場合は「児童発達支援」、18歳までの就学児の場合は「放課後等デイサービス」となります。
児童発達支援も放課後等デイサービスも事業所が利用できる時間を定めています。たとえば、児童発達支援が10:00〜14:00、放課後等デイサービスが14:00〜17:00など、同じ事業所でも時間帯が違う場合もあります。放課後等デイサービスは就学児が利用するので、学校が終わった後の時間帯が中心になっているのが一般的です。
児童発達支援も放課後等デイサービスも、発達に心配のあるお子さんの身辺の自立や社会性の向上などの療育支援を行う点は共通しています。
また、児童発達支援と放課後等デイサービスでは、通所時の活動が若干異なる場合が多くなっています。
児童発達支援 | 食事など身の回りの生活の「自立訓練」や歩く動作のような「身体機能の向上」の支援が多い |
放課後等デイサービス | 学校生活における「大人関係」「自己管理スキル」などを身につける支援や宿題などの「勉強」に関する支援、中学生になると「テスト」や「就労」に対しての訓練・支援も行う |
児童発達支援を受けられる場所
児童発達支援を受けるには、児童発達支援を行っている施設などに通う必要があります。
児童発達支援を受けられるのは「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業」
児童発達支援を受けられるのは「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」です。児童発達支援センターも児童発達支援事業所も、通所する障がい児やその家族への支援を行うことは共通しています。(児童発達支援センターや児童発達支援事業所へ通うことを「通所」と表現することがあります)
児童発達支援センターのみ、相談支援や保育所等訪問、障がい児を預かっている施設への援助や助言を合わせて行うなどの特徴があり、地域の中核的な支援施設としての役割も持っていることが児童発達支援事業所との違いです。
児童発達支援センターや児童発達支援事業所は、子どもや家族にあった場所を自身で探す必要があります。
「児童発達支援センター」は保育園や他施設と連携をとって、子どもの発達の共有や助言もしてくれるんだね!
▼詳しい児童発達支援センターや児童発達支援事業所に関しても記事で紹介しています
児童発達支援センターや児童発達支援事業所はどんなことをする場所?
児童発達支援センターや児童発達支援事業所では、発達に心配がある子どもの身辺の自立や社会性の向上などの療育支援を行います。例えば、遊びながら手先を使う練習やおもちゃを使って手で押す練習などです。児童の発達具合や必要な支援に合わせた訓練を行います。
また子どもの家族のサポーターとして、困りごとの相談にのってくれる等の支援もしてくれます。
児童発達支援での1日
筆者の1歳の息子(身体的な発達遅延あり)が通所する児童発達支援では、その日の人数が揃うまで遊び、揃ったら全員で朝の会をします。その後各自に合った支援や遊びをして過ごします。
遊びの内容もさまざまで、手型足型をとったり、ボールプール遊びをしたり、楽しみながら色んな刺激を与えてくれています。遊びを通した刺激を受けることで発達を支援してくれます。
終わりの時間が来たら、全員で終わりの会をして終了です。
▼詳しい児童発達支援の内容や1日の流れはこちらの記事で紹介しています
児童発達支援の種類
児童発達支援は、児童発達支援センターや児童発達支援事業所によって、採用している活動タイプが様々です。親と子どもが一緒に通うタイプか分離のタイプ(親子分離)か、集団か個別かなどがあります。集団で親子分離、個別で親子参加など事業所によって提供している内容が違うため、希望を考えながら通所する場所を選びましょう。
個別タイプと集団タイプがある
児童発達支援には、個別タイプと集団タイプがあります。
個別タイプ
個別で支援を受けられるタイプの児童発達支援です。事業所にどんな職種の人が配置されているかにもよりますが、子ども1人に対して事業所の各職種の人が支援する形です。
筆者が通所する児童発達支援では、PT(理学療法士)や看護師、保育士が息子1人に対してつき、遊びを通して支援をしてくれます。他の子どもも同じ部屋にいますが、それぞれがそれぞれの遊びや訓練をしているので、直接関わることはあまりありません。
集団タイプ
集団タイプでは、5人前後の子どもが集まって、決められたプログラムの遊びをします。筆者の息子が通所している集団の児童発達支援では集まる子どもの年齢層は0歳〜2歳頃となっています。
子ども同士が関わることは少ないですが、同じ部屋で同じ遊びを一緒にするので賑やかで楽しい雰囲気です。
親子で一緒か別々の親子分離かのタイプがある
個別か集団かの他にも、親子参加タイプと親子分離タイプの違いがあります。
親子参加必須
子どもと親の両方の参加が必須のパターンです。時間は2〜4時間など幅があります。親が子どもと一緒に遊びに参加したり、見守ったりして過ごします。
親子分離
親子分離型の通園タイプの児童発達支援もあります。事業所によりますが、保育園のように送迎し、遊んだり昼食をとったりした後、お迎えを待って帰る流れだったり、午前中だけだったり、45分間だけだったりします。自宅近くまで送迎してもらえる事業所もあります。
筆者の息子が通う児童発達支援では、施設内なら親子分離が可能で、息子が遊んでいる間休憩室で休んだり、仕事をしたりして待っていることができます。
児童発達支援の対象者
児童発達支援の対象者は、発達に心配のある未就学児の子どもです。児童発達支援に通所するには通所受給者証の取得が必要であり、児童相談所や医師などにより療育が必要と認められた場合に利用できます。療育手帳はなくても問題ありません。
児童発達支援を受けるメリット・デメリット
児童発達支援へ実際に通所している筆者が感じたメリット・デメリットも紹介します。
メリット
子どもの心身の発達を促せる
遊びや訓練を通して、子どもの発達を促せるのが一番のメリットです。家ではできない遊びができたり、専門家がいるところで訓練をしてもらえたりと、刺激になることが多いです。
ママ友やパパ友が作りやすい
同じ病気ではないとはいえ、障がい児を育てる親として同じ境遇である親同士の繋がりをつくりやすいのも児童発達支援のいいところです。同じ地域で生活している場合も多いので、地域情報を得やすいのも嬉しいポイントです。
デメリット
大きなデメリットはありませんが、強いて言うなら2つのデメリットがあります。
地域によっては通所が一苦労
児童発達支援センターや児童発達事業所が近くにない場合、毎回長い時間をかけて通所しなければいけません。地域によっては通所が親の負担になる場合があります。
筆者も片道20分前後かけて通っています!
集団に馴染めない場合がある
これは児童発達支援センターで働く看護師さんに聞いたのですが、子どもによっては集団の児童発達支援に馴染めず、遊びに参加できない場合もあるそうです。
他の子どもがいる空間に威圧感を感じたり、シャイな性格だったりすると、通所が難しい場合があります。集団が難しいなという場合は、個別のタイプもあるので利用も検討しましょう。
児童発達支援を受けるための費用・料金
児童発達支援は市区町村の受給者証による助成と自己負担によって支払います。具体的な金額は所得に応じて決定されます。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | |
一般1 | 市町村民税課税世帯 | 通所施設、ホームヘルプ利用の場合 | 4,600円 |
入所施設利用の場合 | 9,300円 | ||
一般2 | 上記以外(世帯年収900万円以上) | 37,200円 |
所得に応じて月額の条件が決まっており、生活保護世帯が0円、市町村民税非課税世帯が0円、世帯収入約900万円以下が4,600円、それ以上が37,200円です。
【参照】障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html
居宅介護や短期入所などの障害福祉サービスを複数利用している人は、そのままだと重複して費用を払わないといけなくなるため、1番利用回数が多い障害福祉サービスの業者に「上限額管理」をお願いして役所に提出する必要があります。
通所受給者証とは
通所受給者証により、利用者は1割負担でサービスを受けることができます。
通所受給者証の取得には、医師の意見書または診断、スコアなど、専門的な目で見て療育の必要性があると認められた書類が必要です。療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳も利用できます。
支給申請書や障害児支援利用計画案(相談支援専門員の方がいれば作成してもらう事ができます)、マイナンバーなどと一緒に市町村区に提出すれば通所受給者証が発行されます。
発行に必要なものは市町村区によって違う場合も多いので、役所で確認してから準備をしましょう。
▼受給者証についてはこちらの記事で詳しく解説しています
▼障害者手帳についてはこちらの記事で詳しく解説しています
児童発達支援の利用回数
児童発達支援を利用できる回数などの支給量は、月単位で通所受給者証で決められています。各子どもや保護者の状況、利用意向などをふまえて審査が行われ、支給量が決められます。
たとえば、児童発達支援全体の支給量の上限回数が月に20回の方の場合、全部で20回、児童発達支援を利用することができます。2ヵ所の児童発達支援に通う場合は、Aの児童発達支援には月に12回、Bの児童発達支援には8回通うことができます。
ただし、児童発達支援を行う施設と契約している支給量以上に利用することはできないので、支給量上限が20回だったとしても、施設と契約しているのが10回だった場合は10回までしかその施設は利用できないという事になります。
通所受給者証が発行されたら、月にどれくらい通いたいかを各児童発達支援を行う施設と相談するようにしましょう。
児童発達支援に通い始めるタイミング
児童発達支援に通い始めるタイミングは、子育てをしていて、発達に遅れがあるかもしれないと親御さん自身で感じた時や、理学療法士、医師などの専門家から見て児童発達支援に通ってみてはどうかとアドバイスをもらった時などです。
前者の場合でも、一度専門家にお子さんの発達面を相談してから児童発達支援に通いましょう。児童発達支援に通所するのに必要な書類を医師に書いてもらう必要があるため、専門家の意見も必要です。
児童発達支援を利用する方法・利用の流れ
児童発達支援を利用したいと思ったら、まず通所受給者証を発行します。発行するには、医師の意見書や診断など専門的な目で見て療育の必要性があると認めてもらわなくてはいけません。
次に通所受給者証が発行されるまでの間に、児童発達支援センターや児童発達支援事業所を探します。通い続けられる距離や子どもに合いそうな雰囲気かどうかなど、安心して通える場所を探すのがポイントです。
その後、児童発達支援センターや児童発達支援事業に問い合わせて見学に行きます。通えそうだと思った児童発達支援センターや自動発達支援事業所と契約をしましょう。
実際に通う際は、その児童発達支援センターや児童発達支援事業所のルールに従って希望日を伝え、通所します。クラスによっては空きがない事もあるため、見学や契約時に確認しておくのもおすすめです。
▼児童発達支援の利用までの流れはこちらの記事で詳しく解説しています
児童発達支援で働いている人・職種
児童発達支援センターや児童発達支援事業所には、スタッフとして必ず配置されている職種と必要に応じて配置される職種があります。
前者は、組織運営全般を担う「管理者」と、個別支援計画を作成し、提供サービスを管理する専門職である「児童発達支援管理責任者(児発管)」個別支援計画に基づいて療育を実施する「児童指導員」、「保育士」です。
後者は「言語聴覚士(ST)」や「理学療法士(PT)」、「作業療法士(OP)」などの機能訓練担当職員や、施設内で医療的な行為をしてくれる「看護師」です。
児童発達支援で受けたい機能訓練がある場合は、その職種の人が働いているかどうかを契約前に確認しておきましょう。また体調管理が不安な場合や医療的ケアがある場合は看護師のいる事業所を選ぶと安心です。
児童発達支援に通って楽しみながら発達を促そう
発達に心配があるお子さんの身辺の自立や社会性の向上などの療育支援を行う児童発達支援。未就学児の障がい児が施設に通所することで発達のために必要な支援を受けることができる制度です。
1歳の息子には遊びを通して発達を促してくれるので、楽しみながら児童発達支援センターに通所できています。通所するには通所受給者証の発行が必須で、利用回数もご家庭や子どもの状況によって変わってきます。
通所するタイミングは悩むと思いますが、もし発達が気になるようだったら、医師や理学療法士などの専門家に相談してみましょう。専門的な目で見てもらえると安心して決断できます。
児童発達支援によって配置されている職種も違うので、施設選びに悩んだ時にどんな職種がいるのか聞いてみるといいかもしれません。
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