子どもに障がいがあることがわかったり、発達の遅れを指摘された場合に療育を勧められることがあります。
しかし、地域差はあるものの療育センターや児童発達支援の施設数はニーズに追いついておらず、利用枠が空くまで待たなければならないケースも多いです。
子どもの発達のためには、どんな関わりが効果的?
自宅で療育になる遊びがしたい!
と思っている方も多いのではないでしょうか?
そんな方に向けて障がい児育児中のママが療育、発達支援に繋がる遊びを紹介していきます!
子どもにとっての「療育」と「遊び」
「療育」とは、障がいのある子どもに対して発達を促す支援のことです。一人ひとりの発達段階や課題に応じてそれぞれにあった取り組みを行い、自立した日常生活を送ることを目指します。
また、子どもにとって「遊ぶ」ということは、成長において重要な要素です。子どもは遊びのなかで体力や運動機能の向上、社会性の向上、認知力の向上等、心身を発達させていきます。
▼療育とは?についてはこちらの記事で詳しく解説しています
おうちでできる!療育になる遊びのアイデア10選
ここからは、お家でできる遊びのアイデアの具体例を10選紹介していきます!
ふれあい遊び
子どもとのふれあいによって、体の感覚を養う遊びです。ママやパパとのやり取りで社会性やコミュニケーション能力に働きかけます。
用意するもの
- マットや布団
- 音楽
ママが歌っても、YouTubeで流しても良いですよ!
ふれあい遊びのやり方
- マットや布団など、やわらかい場所に子どもを仰向けに寝かせます
- リラックスできるように身体を上から下に優しくタッチ
- 両手を握って、「ふれあい遊びはじめようね」と声をかけます
- 歌に合わせて手でつついたり、くすぐったり、腕や足を優しく握ったりします。
- 終わりは、刺激に驚いたり大笑いした気持ちをクールダウンさせます。「楽しかったね〜」と声をかけながら、身体を優しく撫でてあげましょう
「一本橋こちょこちょ」や「キュウリができた」の音楽はおすすめです!
感触遊び
感触遊びは様々な感触を体験することで、触覚に働きかけます。感覚を処理する働き(感覚統合)を養うことができます。
用意するもの
- 椅子とテーブル
- 違った感触のもの5~6個(例:タオル、野菜、コップ、ビニール袋など)
感触遊びのやり方
- 子どもを椅子に座らせます。難しい場合はママの身体にもたれかかって座位をとる形でも大丈夫です。
- 色々な感触の物をテーブルの上に置きます。
- 子どもに「いろんなものを触ってみるよ〜」など、声かけをしましょう。
- 子どもと一緒に触ってみながら、感触、色や温度など感じたままに声に出して教えてあげましょう!例えば、タオルを触っている場合は「これはタオルっていうんだよ」「ふわふわだね」「あったかいね」というように、自由に声かけをします。
- 最後はお片付け。色々なものを触った後は、手を綺麗に拭いて清潔にしてあげましょう。
足や頬などで触れてみるのも、良い刺激になりますよ!
バランスボール
バランスボールで遊ぶことで、運動機能やバランス感覚を鍛えられます。心地よい揺れでリラックス効果もあります。
用意するもの
- バランスボール
バランスボールのやり方
- 周囲に物がないよう環境を整えます。
- バランスボールの上に乗せて、身体を支えてあげます。座るように乗せてあげたり、うつ伏せで覆いかぶさるように乗せてあげるのもおすすめです。
- 身体を支えながら、上下に弾んだり、前後左右にゆらゆらと揺らします。「ゆらゆら~」「おっとっと!」など声かけしながら遊ぶと盛り上がります。
- 最後はバランスボールから落ちないように、しっかり支え、ボールからおろしてあげます。
小さい子どもであれば、ママが抱っこした状態でバランスボールに座って遊ぶこともできます。筆者は子どもを抱っこして毎日バランスボールに座っていました。くれぐれも転倒には十分注意してくださいね!
粘土遊び
粘土遊びでは、粘土の感触を楽しんだり、創造性を育みます。粘土を握る、伸ばすといった動きは手の運動にもなります。つまんだり、ちぎったりする動きで、更に細かな指先の動きを鍛えることができます。
用意するもの
- 椅子、テーブル
- 粘土(口に入れても大丈夫な小麦粉粘土がおすすめ)
- ラップ、新聞紙
粘土遊びのやり方
- 汚れ防止のために、テーブルに新聞紙やラップを敷きます。
- テーブルの上に粘土を置きます。
- 触ったり、形を作ったり、自由に遊びましょう。色付き粘土の色を混ぜてみるのも楽しいです。
- 遊び終わったら、綺麗に手を洗いましょう。
楽器遊び
楽器遊びを通して聴覚を刺激し、リズム感や表現力を育てます。自由な自己表現はストレスの発散にも繋がります。
用意するもの
- おもちゃの楽器(タンバリン、鈴、マラカス、ピアノ…など)
タンバリンは、握る力や指の動きが難しい子どもでも音が出しやすいのでおすすめです!
楽器遊びのやり方
- おもちゃの楽器を準備します。
- まずは触って、どんな音が出るのか鳴らしてみましょう。
- 音楽に合わせて自由に楽器を鳴らしましょう。
- リズムゲームをしてみましょう。例えば、「あんたがたどこさ」の曲の「さ」で音を鳴らす…という風に、リズムに合わせて音を鳴らします。
新聞紙やぶり
新聞紙をやぶるだけでも、刺激を与えることができます。新聞紙をやぶったり、ちぎったりすることで手の運動機能を高めます。
用意するもの
- 新聞紙やチラシ
新聞紙やぶりのやり方
- 周囲の物を片づけます。
- 新聞紙をもって、「ビリビリー!」と声に出しながら破きます。手でつかんで破いたり、親指と人刺し指でつまんで破いたりできる方法で新聞紙をちぎります。
- ちぎった新聞紙を集めて、上から散らしてみましょう。楽しく全身運動ができます!
- 最後はお片付け。「袋の中に集めましょう」と声をかけて、一緒に新聞紙を片づけましょう。
競争したり、ブルドーザーになりきって片づけたりすると、子どももノリノリになってくれます!
じゃんけんゲーム
一般的なじゃんけんでなく、身体全体を使ったじゃんけんと顔で表現するじゃんけんを紹介します。
じゃんけんを通して、ルールに沿った遊び方を学ぶことが狙いです。身体全体を使ったじゃんけんでは運動機能を高め、顔じゃんけんでは表情筋や口の筋肉を鍛えます。
用意するもの
- 特になし
じゃんけんゲームのやり方
- 最初にルールの説明をします。身体全体を使ったじゃんけんでは、「しゃがんだ姿勢がグー」「足を前後に開いた姿勢がチョキ」「両手を広げて上にあげた姿勢がパー」です。
- 「じゃん、けん、ぽん!」のリズムで、ポーズをとります。
- 全身運動に疲れたら、顔をつかったじゃんけんをしてみましょう。まず、子どもにルールを説明します。顔で表現するじゃんけんでは「唇をすぼめた顔がグー」「舌を出した顔がチョキ」「大きく口を開いた顔がパー」です。
- 「じゃん、けん、ぽん!」のリズムで、ポーズをとります。
風船遊び
風船を追いかけて手で弾ませることで、運動機能の向上や眼球運動の促進に繋がります。
用意するもの
- 風船
風船遊びのやり方
- 怪我防止のため、周囲に物が無いように片づけます。
- 風船をふくらませます。
- 子どもにルールを説明します。例えば「床に落とさないように10回風船を弾ませよう!身体のどこを使ってもいいよ」など、わかりやすく伝えます。
- 「いーち!にー!」と一緒に数を数えながら風船で遊びます。
- 楽しい遊びに興奮して、遊びをやめたがらないこともあるかもしれません。そんな時には「5回床に落ちたら終わり」など、終わるときのルールも決めておくと良いですよ。
言葉あてゲーム
語彙力、思考力を育てます。目を動かして対象を探す眼球運動能力、見たものを認識する能力など、視覚を鍛えます。
用意するもの
- あいうえお表(50音とイラストが入っているもの)
言葉あてゲームのやり方
- 50音表を広げます。
- 「いちごはどーこだ?」など、50音表に書いてあるイラストから問題を出します。
- 指さしで教えてもらいます。なかなか見つけられないときは「ここの辺りだよ~」と大体の場所のヒントを出してあげても大丈夫です。
- 上級編として、物の名前だけでなく「赤いものはどれ?」など、物の特徴を尋ねる問題を出すのも思考力を鍛えられるのでおすすめです。
すごろく
ルールに沿って遊ぶことを学んだり、成功体験で自信をつけることができます。家族でワイワイ遊ぶと楽しいですよ!
用意するもの
- サイコロ
- マスのかかれたシート
すごろくのやり方
- サイコロの1から6までそれぞれお題を決めます。例えば「1が出たら〇〇の歌を歌う」「2が出たら〇〇のふれあい遊び」など。子どもの発達段階や興味に合わせて決めましょう。
- サイコロを転がして、出た目のお題をします。そして、出た目の数だけシートのマスを進みます。
- 最初にゴールについた人が勝ちです。
お題を変えれば、飽きることなく遊ぶことができます!
日々の生活自体が療育!
「我が子のためになにかしたい!」という気持ちがあっても、「療育しなくては!」と日々頑張りすぎるのは疲れてしまいますよね。療育とは遊びを通して、子どもの発達を伸ばしていくことです。特別に頑張ろうとしなくても、日常生活の中には療育に繋がる要素がたくさんあります。大切なことは、大人が目的を理解して取り組むことです。
筆者の場合は一緒にお米を研いだり、、買い物してきた野菜を一緒に冷蔵庫にしまったりしています。それだけでも、視覚、触覚などさまざまな感覚への刺激になります。筆者の子どもは身体障がいのある重症心身障害児ですが、できる範囲で「お手伝い」として色々な経験をさせています。役割意識や成功体験を積むことは、子どもにとって自信にもつながりますよ!
子どもは遊びの中で、楽しみながら成長を重ねていきます。歌いながらリズムにのって身体を揺らす、散歩しながら綺麗なお花を探す…それだけでも、子どもが楽しんでいれば成長に繋がります。家族や支援者と過ごす楽しい時間こそが何よりの療育になる、と筆者は思います。
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