障がいのある子と旅行に行く時に困りがちなのが移動手段。特に飛行機で移動する遠出の旅行は、
大変そうだし乗れるか心配
と億劫になってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、実際に我が家のけんちゃんと沖縄に旅行にいった時の内容を参考に、飛行機に乗る際の事前手続きや乗り方についてご紹介します。「家族で旅行に行きたいな」と思っている方が旅行を楽しむための参考になれば、嬉しいです。
障がい児は飛行機に乗れる?
障がい児も飛行機に乗って旅行にいくことができます。航空会社では、障がい児や障がい者、その他の飛行機を利用する際にサポートが必要な人向けのサービスを提供しています。また、バリアフリー法に基づいた取組計画書を作成し、実践している航空会社もあります。
取組計画書の例:令和4年度 移動等円滑化取組計画書(JAL)
サービス内容は、航空会社によって様々ですが、サポートを利用しながら飛行機に搭乗することができます。ただし、医師の判断で飛行機の利用が難しい場合や体調が悪い時には利用することができません。
障がい児と旅行にいく時に使えるJALのサービス
今回の旅行で利用したJAL便では、障がい児をはじめ、その他のサポートが必要な人向けに以下のようなサービスを提供しています。(2023年9月時点)
スペシャルアシスタンスサービス
スペシャルアシスタンスサービスは事前に空港でサポートが必要な人の情報を登録しておく事で、空港での情報共有・サービス提供がスムーズになるサービスです。名前や電話番号をはじめ、車いすの情報や機内食の要望などを登録しておくことで、必要なサポートが受けられるほか、飛行機を利用する際に毎回情報を共有する必要がありません。
また、スペシャルアシスタンスサービスに登録することで専用のカウンターでのチェックインなども利用できます。
登録には3週間程度かかるため、旅行の日程が決まっていない段階でも早めに登録を済ませておきましょう。インターネットから登録が可能です。また、旅行会社経由の予約の際も、JALマイレージバンクのお得意様番号と必要なお手伝いや要望を旅行会社に伝えることで連携できるようになります。
スペシャルアシスタンスの登録窓口
https://www.jal.co.jp/jalpri/deals/card.html
プライオリティ・ゲストセンター
プライオリティ・ゲストセンターは体の不自由な人や病気やけがをしている人も安心・安全に飛行機を利用できるように設置されている相談窓口です。障害や特性に対する相談はもちろん、医療的ケアに関する質問や移植手術等の医療的な必要性を目的とした渡航のコーディネートまで行ってくれます。
離島に行く予定で飛行機を予約していましたが、台風直撃のため急遽3日前に沖縄に変更しました。
そのため、Webで予約できる席には、家族がまとまって座れる席がなかったのですが、プライオリティ・ゲストセンターに便が変更になったことを伝える際、席について相談したところ、まとまった席を確保していただけました。
障がい児と飛行機に乗る時の注意点
障がいのある子どもと飛行機に乗るために、事前に知っておくとよいポイントもご紹介します。
事前の準備や手続きが必要
飛行機に乗って移動するには、事前の手続きや医師の診断書の取得などの準備が必要です。「旅行したい日程に病院の診断書が間に合わない!」という事になってしまわないように、前々から余裕を持った手続きをしましょう。
また、はじめての旅行の場合は、わからない事もたくさんあるかと思います。質問があれば、事前の電話問い合わせでも丁寧に答えてくれるので、準備段階でリサーチをしましょう。
どうやって乗るのか目処をつけて航空会社を選ぶ
航空会社によって機内での乗り方や受けられるサービスに違いがあります。チケットを予約する前に、子どもの障がいや状態の場合どうやって乗れるのか、で航空会社を選びましょう。
我が家の場合、今回は抱っこで飛行機に搭乗しましたが、もう少し大きくなると成長しているため長時間膝抱っこで飛行機に乗るのは難しいかな、と思っています。
JALでは、状態固定用補助ベルトの貸し出しはありますが、カーシートのようなシートを貸し出しているのは見つけられませんでした。(問い合わせ等はしていません)ANAにはアシストシートの貸し出しがあるようなので、次回は別の航空会社の利用も検討しています。
搭乗や降機前後の予定には余裕を持って
飛行機に乗る際に手続きの時間やバギーを飛行機から降ろしてもらって受け取る時間などがあります。到着後も予定を詰めすぎず、時間に余裕を持っておくのがおすすめです。
障がい児と一緒に飛行機に乗る前の事前手続き
我が家では「今年こそ旅行に行こう!」と話が出た際に「けんちゃんって飛行機乗れる?」という疑問から、まずは事前調査をはじめました。事前の手続きについても、いくつか実施することがあったので流れに沿って紹介します。
旅行に一緒にいったけんちゃんの紹介
- 5歳の男の子
- 身長90センチ・体重12.5キロ程度
- 低圧持続吸引を24時間使用(コンセントが使用できない場所での外出時は低圧持続吸引機をモバイルバッテリーに接続して電源を確保)
- 反り返りが強く、座位保持装置がないと座位を保つのが難しい
- 外出時はバギー(きさく工房 RV)を使用
けんちゃんファミリーの紹介
- 今回は家族5人で一緒に旅行
- 小学2年生のお兄ちゃんと双子のお兄ちゃんの3人兄弟
持ち込んだ低圧持続吸引機
コンセント式(設置型)低圧持続吸引器
- 最大吸入量空気:最大毎分3,000cc
- 水:650cc(最大吸引圧力:-11kPa)
- 電源AC100V
- 消費電力4.5W (60Hz)/3.6W (50Hz)
1. 航空会社のホームページで情報を調べる
まずは、航空会社のホームページを見て必要な情報やサービスをリサーチ。今回はJALで旅行したので、以下のページなどを見て飛行機に乗る際の参考にしました。
ご利用可能なサポート-JAPAN AIRLINE
https://www.jal.co.jp/jalpri/support/
事前申告が必要なサポート-JAPAN AIRLINE
https://www.jal.co.jp/jalpri/pre-application/
2.JALのプライオリティ・ゲストセンターに電話で質問
公開されている情報を確認した後、個別でわからなかった部分や確認したい部分を電話で質問しました。我が家の場合は以下のような内容を確認したので、質問や回答内容を参考にしてみてください。
飛行機搭乗の日までの流れは?
飛行機搭乗の日までにしなければいけない手続きや流れについて確認をしました。飛行機を予約後は
- 医師が発行する診断書
- 予約番号や車いすの情報を記載した「必要な手配について」
の2種類の書類をFAXもしくは郵送で送る事前申告が必要でした。「診断書」と「必要な手配について」はフォーマットがあるため、ダウンロードして記入。当日はスペシャルアシスタンスカウンターで搭乗手続きができます。
診断書等の事前申告書フォーマット-JAPAN AIRLINE
https://www.jal.co.jp/jalpri/common/pdf/pdf-medif_jal.pdf
医療的ケアに必要な機器(低圧持続吸引機)の使用に制限等あるか
今回申請したのは低圧持続吸引機ですが、使用に制限はありませんでした。ほかの機種や医療機器で申請して拒否される可能性があるのかは不明なため、搭乗前の準備として電話確認しましょう。
また、持ち込みには前に記載したように診断書と共に情報の事前申告が必要です。医療的ケアに必要な機器が持ち込み可能なことを確認後、書類の用意も忘れないようにしましょう。
持ち込みの制限ですが、電話問い合わせの際に、吸引機の詳細より、バッテリーの種類や容量を聞かれたため、吸引機というより、モバイルバッテリーの機内持ち込みについて規定があるように感じました。
座位がとれないがどうしたらいいか
けんちゃんの場合は身長・体重が抱っこで搭乗が可能な規定範囲であったため、確認した際に膝に抱っこで搭乗ができることがわかりました。ちなみに膝抱っこで座席を使わない場合でも、航空券は必要です。
事前電話で確認していたものの、飛行機に乗る際も行き帰り両方で膝抱っこについて確認されました。推奨でないケースもありそうなので、こちらは事前確認をしておいた方が良さそうでした。
空港で普段使っているバギーはどこまで乗れるか
空港で貸し出ししている車椅子では座位が保てないため、当日は普段使っているバギーでの移動を考えていました。搭乗前にどこまで乗っていけるのかを確認したところ、飛行機に乗る直前までは利用が可能でした。
また、飛行機を降りる時には手荷物受取所か飛行機を降りたところで受け取りが可能でした。
3.病院で診断書を書いてもらい、航空会社へFAX
主治医に記入いただいた「診断書」、親が記入した「必要な手配について」をFAXしたところ、担当者から提出した書類の認識合わせの電話があったので対応しました。
認識合わせは、医師記載の内容について読み合わせをしました。そのほかにも子ども用の車椅子バギーを降りる場所や乗る場所、飛行機の乗り方について聞かれました。
障がい児と一緒に飛行機に乗る方法
準備が終わったらあとは当日の搭乗です。当日の空港での手続きから、飛行機を降りるまでの手順も紹介します。
1. 空港に到着したら搭乗手続き
今回利用した空港は羽田空港です。到着したら、スペシャルアシスタンスカウンターにて手続きします。
時期的に夏休みに入っていることもあってか、待ち時間は15分ほどでした。
カウンターではチェックイン、荷物を預ける以外に、吸引機・バッテリーが事前申告したものとあっているかなどの確認を行います。この時、バギーを飛行機から降りたところで受け渡ししてほしいとリクエストしました。
搭乗手続きは合計で1時間程度かかったため、余裕をもっていくことをおすすめします。
ちなみに、羽田空港にはエレベータがあちこちにあったので、エレベーターを探して遠回りといったこともありませんでした。
2. 保安検査を受ける
搭乗前に保安検査を受けます。保安検査の際は優先レーンがあるので、待ちなしで通過できました。
保安検査は、子どもはバギーに乗ったままで通過でき、低圧持続吸引機も接続したままで大丈夫だったのでバタバタしなくてすみました。
バギーは金属製のためチェックでひっかかりますが、かるくボディーチェックをされて通過することができました
3. 飛行機に搭乗
飛行機の搭乗時間になったら、ターミナルから搭乗します。搭乗の際は優先案内をしてくれます。飛行機に乗るところまではバギーで行くことができました。
座席につくまでは抱っこしていましたが、吸引機のチューブが座席に引っかからないようにCAさんがチューブを持ってくれたり「荷物を持ちましょうか?」と声をかけてくれて親切でした
搭乗した時に他にも車いすの方がいましたが、その方は航空会社の車いすを使用しているようで、車いすのまま機内の席まで案内されていました。
4. 機内で過ごす
今回はエコノミークラスで旅行しました。離陸タイミングくらいから、座席についているAC電源も使用できるようになりました。
どの医療機器に使えるかどうかはわかりませんが、持ち込んだ低圧持続吸引機は稼働しました
機内では「大きい声ださないでねー」と念じながら抱っこしていました。そして身体の重みや反り返りで腕が痛くなるので、クッションが大活躍。向きをかえつつ、ひたすら抱っこして離陸まで過ごしていました。
今回は抱っこで搭乗したので、クッションは機内で過ごす際の抱っこの重みをやわらげてくれたり、反り返りの際にも支えになってくれて便利でした
飛行機から降りる
飛行機を降りるところでバギーを受け取りたいとオーダーしていたため、降りるのは一番最後でした。飛行機を出てすぐのところでバギーを渡していただけました。
飛行機旅行を楽しもう!
空港のスタッフの方や機内のCAさんもみなさん優しく接してくれました。手伝いを申し出ていただいたり、リクエストにも快く答えて頂けます。
飛行機での移動に関しても、実際に乗ってみて3時間の抱っこは少々疲れましたが、それ以外にストレスを感じるシーンはなかったと思います。
兄弟揃って沖縄に行って、海やプールにも入れたので満足な旅行になりました。飛行機での旅行は大変だな、と感じるかもしれませんが、ぜひ一度トライしてみてくださいね。
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