新幹線には、障がい児や障がい者が使える多目的室があるのをご存知でしょうか。帰省や旅行などで長時間移動になりやすい新幹線でも、快適に過ごすことができる個室の多目的室。筆者も息子と新幹線を利用する際は必ずといって良いほど利用させてもらっています。
お出かけや帰省をしたいけど新幹線で移動するのは大変だな
という方に向けて、今回は肢体不自由児の息子を育てる新幹線多目的室ヘビーユーザーの筆者が新幹線の多目的室を利用する条件や使い方、予約方法などをご紹介します。
新幹線の多目的室とは?
新幹線の多目的室は、身体が不自由な人や歩行が難しい人が優先的に利用できる新幹線内の個室です。
利用する新幹線によって若干異なりますが、施錠可能な広いスペースに2名がけのフルフラットでベッドになるシートやパイプ椅子、手すりなど快適に過ごしやすい設備が整っています。障害者手帳を持っている場合は利用区間の事前予約が可能です。予約がなくても当日あいていれば、利用できます。
身体障害以外にも障がいや特性によって新幹線の環境で過ごすことが難しい事情を説明することで予約して使えることもあります。必ず使えるとは限らないのですが、問い合わせをしてみるのがおすすめです!
多目的室が利用できる新幹線
基本的には全国のすべての新幹線で多目的室が利用できます。多目的室が設置されている号車は新幹線によってさまざまですが、主に16両編成の場合は11号車、8両編成の場合は7号車に設置されています。
新幹線名 | 車両編成 | 多目的室の号車 |
---|---|---|
のぞみ | 16両編成 | 11号車 |
ひかり | 16両編成 | 11号車 |
ひかり | 8両編成 | 7号車 |
ひかり(レールスター) | 8両編成 | 7号車 |
こだま | 16両編成 | 11号車 |
こだま | 8両編成 | 7号車 |
みずほ | 8両編成 | 7号車 |
さくら | 8両編成 | 7号車 |
かがやき | 12両編成 | 7号車 |
はくたか | 12両編成 | 7号車 |
つるぎ | 12両編成 | 7号車 |
あさま | 12両編成 | 7号車 |
多目的室はいつでも利用できる?
多目的室を使いたい時は、新幹線の車掌さんに声をかけて利用したいことを伝えることで利用が可能です。他の人が使っていなければ、多目的室を案内してもらえます。使いたい時に多目的室の場所までいっても施錠されているため、使うことはできません。
また、障害者手帳を持っている場合は、移動区間分の多目的室を電話もしくは窓口で事前予約できます。
他の人が予約で使っている場合もあるため、予約できる場合は事前の予約がスムーズです。
新幹線の多目的室が利用できる人や対象条件
車椅子ユーザーなどの身体が不自由な人が優先で利用することができます。身体が不自由な人が優先、となっていますが、利用したい理由がある時は、多目的室が空いていれば誰でも利用が可能です。
多目的室が利用できる人の一例
- 身体の不自由な人
- 乳幼児の授乳をしたい人
- 体調不良になってしまった人
- 着替えが必要な人
- 栄養注入など医療的ケアが必要な人
また、多目的室が利用できるのは対象者と介助者1名の定員2名となっていますが、3歳以下の子どもがいる場合は2名以上で乗ることもあります。
明確なルールがあるのかはわからないのですが、3歳児未満が2人の4人家族の場合、大人2人とも多目的室で案内されることもあれば、1席は通常の新幹線の席で案内されることもあります。割と予約時のケースバイケースな雰囲気なので、乳幼児と一緒に乗る際に希望がある場合は伝えてみたが良いかもしれません!
新幹線の多目的室を予約できる人・予約対象者
上記で紹介したように、新幹線の多目的室は当日空いていて必要性があると判断されれば、誰でも利用することができます。ただし、予約ができるのは障害者手帳などを保有している方(各鉄道会社判断)のみとなります。
新幹線多目的室に利用料金はかかる?
新幹線の多目的室は誰でも無料で利用できます。事前予約の場合は指定席扱いになりますが、個室料金などはかからないため通常の席で乗車する際と金額は同じです。
1級の身体障害者手帳もしくは精神障害者福祉手帳を持っている場合は割引(乗車料金のみ半額)が適用されます。
新幹線多目的室の室内や設備を紹介
一例として東海道新幹線の多目的室をご紹介します。室中にはフルフラットになる座席の他に、鏡や荷物棚、手すり、パイプ椅子などが置かれています。窓もついているので密閉感もなく快適です。
フルフラットにした場合、ベビーカーやバギー、車椅子は折り畳みが必要な部屋のサイズ感です。
ちなみに成長した息子の子ども用車椅子バギーはきさく工房のRV PocketⅡですが、移動スペースがなくてもよければ開いたままぴったりで隙間に入れることはできます。笑
開閉はボタン式で入り口には鍵がついているため、間違えて他の人が入ってきてしまう心配もなく安心です。
新幹線の多目的室の予約方法
新幹線の多目的室を事前に予約するには直接窓口で予約する方法と電話で予約する方法、一部の新幹線ではインターネットから予約する方法があります。また、電話やインターネットで予約する場合も、結果的にはチケットの受け取りで1度は駅に行く必要があります。(チケットを先に買っている場合は多目的室に席指定を変更することができます)
予約の際は障害者手帳もしくは同行して車椅子を見せるなど証明する必要があります。なお、デジタル障害者手帳ミライロIDも利用できますが、マイナンバーカードが連携されていない場合は無効になりますので注意してください。
直接窓口で予約する方法
直接窓口で予約する流れとポイントをご紹介します。
窓口予約で覚えておきたいポイント
- 1日で予約からチケットの受け取りまでの対応が可能
- 予約からチケット購入まで時間がかなりかかる
- 駅によっては混んでいるため列に並ばないといけない
窓口予約の流れ
多目的室の予約ができるのはみどりの窓口です。人気の窓口は混んでいることが多いため、時間帯や場所を選ぶのがおすすめです。
多目的室利用のための手書きの申込書を渡されるので必要事項を記入します。障害者手帳の確認や車椅子のタイプ(電動・手動等)、当日の乗車に駅員の介助が必要かどうかなど聞かれるので答えます。
次に行き先やどの新幹線に乗るかを伝え、グループ全員分の新幹線のチケットを購入します。障害者割引の対象の場合、自然な流れて適用してくれることが多いですが、忘れずに伝えるようにしましょう。
申し込みの手続きが済むと多目的室の空きの確認のためにしばらく待ちます。
無事、多目的室が空いていれば、チケットを発券してもらって予約完了です。
空き状況の確認はかなり長いこともあるので、一度席を外させてもらう時もあります…!(ただし、窓口の列には並び直しになります 涙)
電話で予約する方法
電話で予約する流れとポイントもご紹介します。
電話予約で覚えておきたいポイント
- 待ち時間が少ない
- チケットを最寄りの駅に受け取りにいく必要がある
電話で予約する流れ
電話予約の場合、受付先は各駅になることが多いようです。
JR東日本・JR西日本・JR東海など新幹線の路線によって受付先が異なります。
電話で乗りたい新幹線やその新幹線で多目的室が利用したいこと、介助は必要なのかどうかなどを聞かれるので伝えます。
希望の新幹線の多目的室があいているか連絡をもらいます。申し込みした電話で確認が完了する場合もありますし、一度切ってから折り返し連絡をくれる場合もあります。
多目的室の予約ができることがわかったら、最寄りの駅に発券にいきます。
JR東海では、場所によって新幹線駅での受け取りのみの対応になります。電話口で受け取りできる駅を確認してから、予約確認するのがおすすめです。
インターネットで予約する方法
インターネット予約は北陸新幹線と山陽新幹線のみの対応です。他の新幹線では多目的室のインターネット予約できないので注意しましょう。
インターネット予約で覚えておきたいポイント
- 北陸新幹線と山陽新幹線のみ対応
- 発券は最寄りの駅に行く必要がある
- 待ち時間が少ない
インターネットで予約する方法
インターネットから多目的室を予約する場合は、JRおでかけネットの「お身体の不自由なお客様へ」ページ下部から予約ができます。
往復の新幹線の情報や車椅子の有無やタイプ、希望の設備、お手伝いの必要有無などの必要情報を入力して申し込みます。
インターネットでできるのは申し込みのみなので、送信した情報をもとに駅で空き状況の確認がされます。結果がわかれば、JRから連絡がきます。
電話と同様に最寄りのJRの駅に発券手続きに行き、チケットを受け取ります。
多目的室以外に車椅子席の利用も
新幹線の多目的室の他にも、新幹線には車椅子に乗ったまま利用できる車椅子席があります。
車椅子席は普通の席もある車両にあるので、同乗者の方と一緒に新幹線内で過ごせます。通常のチケット購入と同じように座席予約しますが、多目的室と違い、車椅子席は新幹線予約アプリのスマートEXやインターネットからも予約ができます。
多目的室は人がたくさん入れるわけではないので、旅行などでみんなで過ごしたい時はこちらと多目的室を必要時に使う形にするのもおすすめです!
新幹線の多目的室を利用しておでかけしてみよう
長旅も安心できる環境が整った新幹線多目的室。車椅子ユーザーはもちろん、障がいや特性のある人も過ごしやすい設備が整っています。我が家も多目的室の存在を知ってから、新幹線移動がだいぶ楽になりました。
電話や窓口で予約をして利用したり、用事がある際は多目的室で済ませたりと様々な使い方もできます。
「遠出のおでかけや帰省、旅行など新幹線でのお出かけは大変だなぁ」と感じている方は、ぜひ一度新幹線多目的室を使っておでかけしてみていただけたら嬉しいです。
▼新幹線の利用時に受けられる障害者割引についてはこちらの記事で紹介しています
▼ 障害者割引適用のチケットが2024年からオンライン購入できるようになりました。多目的室を利用しない予約の場合はこちらの利用もおすすめです。
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