障がい児を育てる日々の中で「私の関わり方、このままでいいのかな」「誰かに相談したいけれど、誰に言えばいいかわからない」と、悩むことはありませんか?発達への不安、きょうだい児への配慮、支援者とのコミュニケーションなど、正解のない悩みほど一人で抱えてしまうものです。
今回は、疾患・障がい児家族のための相談Q&Aアプリ「ファミケア」で開催した「専門家回答室」に寄せられた質問の中から、多くの家庭で抱えやすいお悩みをまとめました。専門家からの回答も紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
色んなお悩みがまとまっているから、気になる項目を選んでね
ファミケアアプリ「専門家回答室」とは
ファミケアアプリ内で実施している、ユーザーからの質問に専門家が回答するイベントです。
今回、質問にお答えいただいたのは小児精神科訪問看護ニトの代表 川﨑翔太郎さんです。
小児精神訪問看護 ニト 代表 川﨑翔太郎さん


小児精神科訪問看護 ニト 代表 川﨑翔太郎さん
明治学院大学心理学部卒業後、児童福祉施設や少年院等の訪問サービスや療育教室運営などで子どもや家族の支援に携わり、精神障害グループホーム運営を経て「小児精神科訪問看護ステーション ニト」を共同開設。現在は代表取締役。また、弟が軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症である経験から、家族としての気持ちにも深く共感しながら、訪問看護を通じて目の前の子ども自身に寄り添うケアを届けています。
「10年先を見据えてケアをしたい」という想いを胸に、生活場面で発達特性への対応が必要なお子さんとそのご家族へ自宅で必要なケアの形を全国に広げています。
川﨑さんについて詳しくはこちらで紹介されています。
子どもへの関わり方の悩み
Q:子どもに「もっとできることがあるのでは」と思ってしまいます
発語が難しく表現の手段が限られている子どもを育てています。
医療的ケアやリスク管理が生活の中心になると、気づくと「子どもの育ち」や「子どもらしさ」に目を向けられていない気がして、自分の関わり方に迷う日があります。「このままでいいのかな」「もっとできることがあるのでは」という不安にどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
A.この不安は、きっと多くの保護者が感じていることだと思います。
特に、医療的ケアや支援が日常の中にあると「守ること」に意識が向いて、なかなか「子どもらしさ」にまで余裕が持てないのも無理のないことです。
まずは「どんなときにその子らしさを感じたか?」とか「どんな時間を子どもと一緒に過ごしたいか?」を、自分自身で振り返ってみることが大切です。少しでもいいので、育ちの中のポジティブな部分を思い返す時間を持つと、気持ちが整理されることもあるかもしれません。
言葉での表現が難しくても、表情やしぐさ、ツールなどを通して「伝わった」「わかり合えた」と感じられるやりとりは必ずあります。そうした関わりが、子どもの安心感や自己肯定感につながっていきます。
また、迷いや不安をそのまま言葉にできる相手が一人でもいると、自分とは違う視点で子どもを見てもらえることがあります。支援者との関係がある場合は「最近少し気になっていて」と話してみてください。保護者からの問いかけを前向きに受け止めてくれるはずです。
Q:家で子どもと過ごすのがつらく、しんどいです。
重度重複障害のある子どもを育てています。
家では常にそばにいたがり、トイレにもついてきます。学校では先生方にたくさん関わってもらい、楽しく通えている一方で、家ではそれほどに関わることができないのが、我慢できないようです。
自分一人で学校と同じだけ関わるのは難しく、つらいです。どうしたら子どもが満足できる関わり方ができるでしょうか?
A.家は「頑張る場所」ではなく「安心できる場」でよいと思います。
子どもとの関わりがつらく感じるほどに、これまで日々本当にいろんなことと向き合ってこられたんですね。家と学校は全く環境が違い、先生と保護者とでは役割も異なります。家では1対1になることも多く、負担が大きくなるのは自然なことです。
子どもにとって家が「安心できる場所」になっているからこそ、甘えが出たり、強く求められたりすることもあるかもしれません。しかし、それは保護者への信頼の証です。しんどいと感じることに、自分を「できていない」と責める必要なんてまったくありません。その関係を築けていること自体が、頑張ってきた証です。
その上でひとつお伝えするとすれば「関わりの“量”より“質”を大事にしてほしい」ということです。ずっと一緒にいなきゃ、全部応えなきゃ、と思うと心も体も疲れてしまいます。だからこそ、短い時間でも「お互いが気持ちよくいられる時間」を少しずつ積み重ねてみてください。
例えば、5分だけ一緒に音楽を聞く、絵本を読む、それも難しければ「ここにいるよ」「ちゃんと見てるよ」と伝えるだけでもかまいません。声のトーンや接し方をちょっと楽にしていく、そういった小さな工夫でも関係の質は変わります。「頑張らなきゃいけない関わり」になると距離を取りたくなるのも当然です。だからこそ、お互いにとって心地いい距離感を探っていくことが、結果的に関係を深めてくれるんじゃないでしょうか。
きょうだい児育児の悩み
Q:きょうだい児である妹にできることはなんでしょうか。
重度の知的障害がある小学生の兄と、4歳の妹を育てています。
兄が思いをうまく伝えられないとき、妹に手をあげてしまうことがあります。最近は癇癪の頻度も減りましたが、妹自身の物の扱いが荒くなったり、常に緊張しているように感じ、加配保育士をつけてもらいながら様子を見ています。
これまで兄中心の支援を続けてきましたが、今は妹をもっと大切に、家庭の中心に置いて関わりたいと思っています。兄妹の関係をどう見守ればよいか、実際に手が出てしまったときにどんな声かけをすればよいか知りたいです。
A.どうしても障がいのあるお子さんへの支援が必要な中で、「妹さんにもっと関わらなきゃ」と思っていること自体が、すごく素晴らしいと思います。
まずは、お兄さんの方のストレス発散方法がどれくらいあるのか、落ち着ける手段がきちんと用意されているのかを整理してみることが大切と思います。感情が爆発する前にどんなサインがあるのかも見ていけると、予防的な関わりができるかもしれません。
妹さんに対しては「あなたは悪くないよ」「ちゃんと見ているよ」っていう声かけを日常的に繰り返していくことが、安心感につながっていくと思います。自分を安心して表現できる場があることは、子どもの発達や心の成長にとってとても大切なことです。焦らず、できることから一つずつ始めていけたらよいのではないでしょうか。
ただ、これをすべて保護者だけで抱え込むのは本当に大変なことです。もし今すでに相談している支援先があるなら、ぜひ一緒に考えてもらってください。信頼できる相談先が一つでもあると、ずいぶん心が軽くなると思います。
支援者との関係の悩み
Q:支援者への上手な要望の伝え方が知りたいです。
重症心身障害児の4歳の息子を育てています。
福祉サービスを受けるうえで、要望や改善してもらいたいことを支援者にどう伝えたら良いか悩む時があります。選択肢が多数あれば「嫌われてもいいから言いたいこと言って、いざとなったら別の事業所に変えよう」と割り切れるのですが、重症心身障害児の通える事業所は限られており、選択肢がそこしか無いということもあります。
長い付き合いになるからこそ伝えるべきことは伝えたいものの、心象が悪くなったり、気まずくなるのも避けたいです。支援者側・事業所側から見て、どう伝えるのが良いと思いますか?何か参考になるような例があれば併せて教えてください。
A.実際、支援者との付き合い方って難しいですよね。
特に、選べる事業所が少ない場合「今の支援を失いたくない」って思うのは当然のことです。だからこそ、無理せずに付き合っていく方法を考える必要があります。
そのうえで、やっぱり「ここだけは譲れない」「これは伝えておきたい」っていう想いがあるなら、それを伝えることは、子どもの安心にもつながりますし、支援をよりよくするための大切な行動でもあるんですよね。
なので、まずは「キーパーソン」を見つけてもらえるといいと思います。支援者の中で、信頼できる人が1人でもいたら、その人にまずは相談してみてください。
伝えるタイミングも大事です。できれば、小さな違和感でもその都度言葉にするのが理想です。伝え方としては、「○○してほしくない」ではなくて、「○○してもらえると助かる」といった言い方をすると、角も立たないと思います。さらに「なんでそう思ったのか」という背景も一緒に伝えてもらえると、支援者も理解しやすくなります。
支援者にとっても、そういった声をもらえるのはありがたいことです。「伝わってなかったかもしれないな」「家庭では無理があったのかもしれないな」と、振り返るきっかけになります。
最後に大事なこととして、支援者との関係は長く続くものなので「今すぐすべてを解決しよう」と思わなくて大丈夫です。少しずつ言いたいことを積み重ねながら、長期的に信頼関係を築いていくことを目指していけたら、きっと安心できる支援体制に近づいていけると思います。
障がい児育児が「つらい」ときは相談を
今回はファミケアアプリ内でのユーザーからの質問と専門家の回答をご紹介しました。障がい児育児の中での悩みや迷いは、多くのママ・パパが同じように抱え、葛藤しています。
ファミケアアプリはそんな当事者の不安や悩みを気軽に相談できる場所です。
アプリ内では、今回ご紹介した「専門家回答室」のようなイベントを不定期で開催しているほか、日常の悩みや疑問を相談することができます。
「誰かに話を聞いてほしい」という時はぜひ覗いてみてね

















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