障がいのある子どもとのお出かけの際にかかせない障がい児用バギーですが「横にさせられたらいいのにな…」と思うことはありませんか?例えば唾液が多くてむせこんでしまう時や反り返りが強い時など、座った姿勢よりも横になった姿勢の方が、子どもにとっては楽な場合があります。
そんなときにあると役立つのが、フルフラットバギーです。この記事ではフルフラットバギーを6つご紹介します。製品ごとの特徴やおすすめポイントもあわせてお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください!
▼障がい児用バギーについて、詳しくはこちらの記事で解説しています
フルフラットバギーとは
フルフラットバギーとは、ティルト・リクライニング機能を使うことで、背もたれと座面を180°平らにすることができるバギーのことです。
フルフラットバギーのメリット
フルフラットバギーは背もたれを完全に倒すことができるため、外出時でも座っている姿勢だけでなく寝転がった姿勢をとることも可能です。長時間バギーに乗っていなければならない場合などは、横になる時間を作ることで身体的な負担の軽減が期待できます。
フルフラットバギーはこんな子どもにおすすめ
フルフラットバギーは、以下のような子どもに特におすすめです。
- 唾液や痰など分泌物が多い子ども:横向きになることで唾液が自然に口から出ていき、呼吸がしやすい
- 筋緊張が強い子ども:座るよりも安楽な姿勢をとることができる
- てんかん発作がある子ども:発作があった時に安全を確保しやすい
- 大きくなってオムツ交換シートが使えなくなった子ども:バギーの上でオムツ交換ができる
フルフラットバギーのデメリット
フルフラットバギーは機能が多い分、構造が複雑で本体が大きく、重い傾向にあります。さらに、折り畳み可能だとしてもコンパクトにはなりにくいものが多く、車への載せ下ろしに苦労する製品もあります。主な移動手段が車なのであれば、福祉車両の購入の検討が必要かもしれません。
メリットとデメリットを知ったうえで、子どもにとってどんなバギーが良いのか選択できると良いですね。
フルフラットにできる障がい児用バギー6選
ここからは障がい児用のフルフラットバギーを6つご紹介します。
キンバシーティングバギー(オットーボック・ジャパン株式会社)
オットーボック・ジャパンが販売するキンバシーティングバギーは、シートとフレームが分かれているタイプのバギーです。フレームには、通常のフレームと呼吸器対応フレームがあり、多くの医療機器を持ち歩く場合にも対応できます。また、座位保持専用のフレームに付け替えれば座位保持装置にも変化します。
成長対応機能がついており、座面、座奥行、背高を簡単に調整できますので、すくすく成長する乳幼児期の子どもにも安心です。
乗り心地を向上させるためにサスペンションも内蔵されています。対面式バギーへの変更も可能なので、子どもの様子を見ながら移動することができますよ。
体幹パッドやベルトなどのオプションも豊富ですので、子どもの身体の状態に合わせてカスタマイズできるのも魅力です。
製品情報
キンバシーティングバギー
サイズ、重さ:
サイズ①/シート7.5kg/フレーム10.5kg
サイズ②/シート9.5kg/フレーム11.5kg
カラー:グレー、ターコイズ、ピンク、グリーン
【商品カタログはこちら】
【オットーボック・ジャパンのInstagramはこちら】
スティングレイ(テクノグリーン販売株式会社)
テクノグリーン販売が製造するスティングレイは、なんといってもデザインがスタイリッシュでおしゃれなことが魅力です。
タイヤ幅が広く、サスペンション付きですので悪路でも衝撃が少なく、走行性が抜群。対面式バギーに変更することも可能です。
折り畳むこともできますが、少し手間がかかります。車体が低めの車の場合は前輪をひっかけて押し上げれば、そのまま車に乗せることも可能です。
YouTubeで検索すると詳しい説明動画もありますので、ぜひ参考にしてください!
製品情報
スティングレイ
サイズ/重さ/適応身長:
サイズ①/シート5.5kg/フレーム13.5kg/70~90cm
サイズ②/シート6.5kg/フレーム13.5kg/90~110cm
【商品ページはこちら】
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emio(EREVO JAPAN株式会社)
EREVO JAPANが販売するemioは比較的シンプルな構造のバギーです。重量も14kg(Sサイズ)とフルフラットバギーの中では軽め。手押しハンドルの角度が調整でき、フラットな状態でバギーを押す際にも操作しやすいです。折りたたむと自立可能なので、自宅玄関に収納する際にも場所をとりません。
オプションでフレームやシートのカラーを変更することができます。フレームは25種、シートは29種と豊富なカラー展開です。
折りたたむとコンパクトになり、軽いので車への載せ下ろしも可能です!
製品情報
emio
サイズ/重さ:
S/14kg
M/15.6kg
カラー:
基本のカラーは黒。オプション料金でカラー変更が可能です。
【商品カタログはこちら】
http://www.erevo.jp/img/emio_catalog16.jpg
【EREVO JAPANのInstagramはこちら】
nicotto(EREVO JAPAN株式会社)
nicottoはemioと同じくEREVO JAPANの製品です。大きな特徴はemioと同様ですが、nicottoは対面式バギーである点が大きな特徴です。オプションの呼吸器搭載台をつければ、人工呼吸器を使用している子どもにも対応できます。
お互いの顔が見えるので、親子共に安心感がありますね。nicotto(ニコット)というネーミングもとても素敵です。
製品情報
nicotto
サイズ/重さ:
S/14.7kg
M/15.7kg
カラー:
基本のカラーは黒。シートサイドのカラーは黒・赤・ピンク・青・黄から可能です。その他の色はオプション料金が必要となります。
【商品ページはこちら】
http://www.erevo.jp/custom33.html
【EREVO JAPANのInstagramはこちら】
グルービーⅡ医療的ケアモデル(株式会社コーヤシステムデザイン)
コーヤシステムデザインが製造するグルービーⅡは、ティルト/リクライニングタイプの場合フルフラットにすることが可能です。成長対応フレームのため、子どもの体格に合わせて背もたれの高さや座面の奥行きをある程度調整することができます。
フレームは、折りたたみ/固定/医療ケアモデルの3種類。なかでも医療的ケアモデルは、標準フレームよりも座面高が7㎝ほど高く設定されており、座面下の荷物スペースが広くとってあります。また、座面が高いことで車いすへの乗せ降ろしがしやすいです。ただし、重量が重く折りたたみができないので注意が必要です。
後輪の大きさは16インチ。介助者にとって操作がしやすいのが特徴です。オプションも充実しており、身体の状態に合わせたカスタマイズが可能です。タイヤのカラーまで変更可能で、フレームやシートのカラー展開も豊富ですので、個性的な車いすを作ることができますよ。
セミオーダーシステムのため、購入したい場合はS/M/Lいずれかのデモ機に試乗して身体に合わせてサイズを微調整する必要があります。
製品情報
グルービーⅡ 医療ケアモデル
サイズ/適応年齢/対応身長:
S/5~8歳/90~110cm程度
M/8~11歳/110~140cm程度
L/11歳~成人/140cm以上
重さ:16kg~
※こちらはデモ機のサイズ情報です
【商品カタログはこちら】
【コーヤシステムデザインのInstagramはこちら】
グランドフリッチャーピクシー(株式会社ミキ)
グランドフリッチャーピクシーは、ミキによる車いすブランドFORCEの商品で、従来からあるグランドフリッチャーの軽量化モデルです。背張り調整機能があり、子どもの状態に合わせて背張りを調整することで、安定した座位がとりやすくなります。コンパクトに折りたたみ可能で軽いため、車への載せ下ろしも比較的しやすいです。
介助のしやすさに配慮されたデザインもポイントです。例えば、ティルトレバーとリクライニングレバーの色がそれぞれ異なり一目でわかりやすくなっています。また、アームサポート(バギーの側面部分)の取り外しが可能となっており、子どもをバギーに乗せる際にも障害になりません。後輪のタイヤも大きくて、操作性が良いです。
製品情報
グランドフリッチャーピクシー
サイズ/重さ/:
詳細不明
カラー:
基本のシートカラーは黒。オプションでカラー変更可能です。
フレームのカラーは1コートであれば無償で選択可能。重ね塗りはオプション料金が必要です。
【商品ページはこちら】
https://miki-force.jp/lineup/grand_fletcher_pixie.html
【FORCEのInstagramはこちら】
フラットに近い状態にできるバギーも!
180°フルフラットにはならなくても、160°〜170°のフルフラットに近い状態までティルト・リクライニングができるバギーもあります。
「ずっと座っているのは疲れるからなるべく横になりたい」「発作の後は疲れるから横になりたい」という場合は、必ずしもフルフラットでなくても対応可能なこともあるので、検討してみても良いかもしれません。
フルフラットバギー同様、バギー上でのオムツ交換も可能です。しかし、少し角度がつくため、どうしてもおしりの部分に圧が集中しやすく、フルフラットバギーと比較するとオムツ交換や更衣はややしにくいことに注意が必要です。
子どもにぴったりのバギーを選ぼう!
今回はフルフラットバギーの中から6つの商品を紹介しました。気になるバギーがあれば、ぜひサイトやカタログを確認してみてください。
病院や担当理学療法士に相談すれば、デモ機を取り寄せてくれたり試乗ができたりすることもあります。また、各地で開催されている福祉機器展に出展されている場合には複数比較することも可能です。詳しくはお近くの福祉用具販売店に問い合わせてみると良いでしょう。
お住まいの地域の福祉用具販売店がわからない場合は、担当の理学療法士に相談すると情報が得られると思います。
製品ごとにそれぞれ特徴が異なりますので、子どもの状態や移動手段、住環境などを考慮して最適なバギーを選ぶことができると良いですね!
▼障がい児用バギーの購入方法はこちらの記事で解説しています
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