障がいのある子どもを育てている家庭でよく購入を検討される福祉車両。長く、日常的に使うからこそ、しっかり情報収集して選びたいですよね。
でも時間がないし、子どもを連れて店舗に行くのは大変…！
まだそこまで本格的に検討していない段階だけど情報は欲しいなぁ
という方向けに、今回は福祉車両をレポートするためにファミケア編集部がHonda本社まで行ってきました！STEP WGNについて説明してもらいながら、試乗した様子をご紹介！STEP WGNならではの特徴やおすすめポイント、気になる購入金額までお伝えしていきます。
本稿は「福祉車両をもっと知ろう！特集」にて福祉車両メーカーのHonda様と企画協賛でお届けしています。
福祉車両STEP WGNの特長
福祉車両（車いす仕様車）のSTEP WGNは、Honda車いす仕様車の中で最も大きな車種です。
車椅子を乗せる位置の異なる3種類のタイプがあり、シートの使い方の幅が豊富なのが嬉しいポイントです。2024年のキッズフェスタの時には最も反響があった、家族での移動に人気の車でもあります。
ライター小澤障がい児のいる家庭では、きょうだいをふくめた家族でのおでかけが多かったり、こどもに医療的ケアがあって荷物が多かったりすることもあるので、比較的大きな車内スペースを必要とする家庭には使いやすいですね。
STEP WGN（車いす仕様車）の概要
| 車種名 | STEP WGN / SPADA〈FF〉 |
| 主なタイプ | 2列目乗車タイプ / 3列目乗車タイプ/2列目&3列目乗車タイプ |
| カラー | プラチナホワイト・パール / クリスタルブラック・パール / スーパープラチナグレー・メタリック / トワイライトミストブラック・パール / ミッドナイトブルービーム・メタリック |
| インテリアカラー | ブラック |
| 耐荷重 | ウインチ耐荷重 120kg / スロープ耐荷重 200kg |
詳しい車の大きさや乗車可能な車いすのサイズはHonda公式サイトで提供されているSTEP WGNの寸法表も参考にしてみてくださいね。標準装備などが全て一覧で知りたい方向けには主要装備表も用意されています。
【障がい児ママが試乗してみた！】福祉車両STEP WGNのレビュー
それでは早速重心児を育てている筆者が、Honda福祉事業課のみなさまと一緒に実際にSTEP WGNを試乗した感想をレビューしていきます！
試乗体験した筆者の情報
- 子ども：6歳の重症心身障害児（身体障害者手帳1級）。移動は車いすを使用している。
- 運転歴：約20年
- 普段乗っている車：ミニバン（FREEDクラスのコンパクトタイプ）
ライター小澤今回はファミケア編集部メンバーのお子さん、あちょくん（4歳/重症心身障害児/きさく工房のRV-pocketⅡシリーズバギー使用）が一緒に試乗してくれました！
1. 車いすを乗せる：車いすを乗せるまでの動作が楽！
まずは福祉車両初心者の筆者に、車いすを乗せる準備の見本を見せてもらいました。
ライター小澤シートの折り畳みがすごく楽そう！でも簡単そうに見えて実はコツがいるのかな？私にもできますかね？
Honda 山﨑さん大丈夫です！ぜひやってみてください
筆者は普段、福祉車両に乗っていないので、初めてスロープを出します。
ボタンを押して、バックドアを開いて
スロープのロックを解除し、引き出します。
最後にシートを引っ張って倒せば乗車準備完了です。
ライター小澤思っていたより簡単にできました！
シートを引っ張ってポンと投げるように折りたためるのは、力もいらないし腰をかがめなくてもいいので、とても楽です。テールゲートも自動で開き、スロープをおろすときにもサポート機能があるので、ほとんど力を入れずに車いすを乗せる準備ができます。
無事にスロープを出すことができたので、次はバギーのあちょくんを乗せます。
ライター小澤バギーを押すのにも力がいらないです！
Honda 山﨑さんそうなんです、これが電動ウインチの力です。
電動ウインチとは？
電動ウインチは車いすやバギーの乗せ下ろしの際に使用する補助装置です。車内からベルトを伸ばし、車いすやバギーにフックで装着すると、乗せ下ろしの際にウインチがベルトを巻き取ることで乗降をアシストしてくれます。
電動ウインチのポイント
- 乗車中に車いすをしっかり固定
- 固定がしっかりしているので子どもへの振動や車酔い対策が可能
- 乗せ下ろしで力を入れずに車いすやバギーを押せる！
- ベルトを巻き取る中で進路補正されるので、進路が曲がってしまっても乗車位置までまっすぐ進行
STEP WGNは車体が大きい分、テールゲートも大きいですし、スロープが長いので各パーツが重いはずなんですが、それを補うための機能がしっかりあるので作業はとても楽にできます。
ライター小澤Hondaの福祉車両の中ではSTEP WGNが一番大きい車種ですが、スロープを出す動作は一番楽かもしれません！
2.運転開始：大きいのに運転しやすい！
あちょくんを無事乗せられたところで、いよいよ緊張と不安を抱えての乗車です。
ライター小澤STEP WGNは大きいから運転が不安です…
Honda 田村さんそれが意外と大丈夫なんですよ！
ライター小澤そうなんですか…？とりあえず行ってみます！
と、恐る恐る試乗コースをスタートさせてみてまず気づいたのは、運転席からの視界の良さです。
ライター小澤車高が高いから周囲が見やすくて運転しやすい！
まっすぐ走るだけなら問題ないどころか、むしろ運転しやすいくらいでした。曲がる時やバックの時に大きさの感覚をつかむまで慣れは必要そうですが、「大きすぎて操作が難しい」という恐怖感はまったくなかったです。バックカメラもあるのでバックでの駐車も安心できます。
3.ドライブ中：高級感のある内装でのドライブが心地いい
実際に試乗してみて感じたのが、
ライター小澤なんだかこの車を運転するの、心地いい…！
ということです。
なんでだろう？と考えてみると、理由は車内の装備や内装にありました。
ライター小澤このハンドルの質感、なんだかとてもいいです！
Honda 田村さんそうなんです！「SPADA」という上質なグレードにSTEP WGNの福祉車両を設定しています。ハンドルの握り心地もいいですよね。
ライター小澤なるほど！シートの肌触りもいいですし、高級感のある車内にいる感覚が、運転も楽しい気分にしてくれます。
また、運転中に伝わってくる振動も少なく感じ、特に長距離のドライブは快適にできそうだなと感じました。
ライター小澤特に車好きでも、運転好きでもない私が感じるくらいの快適性で自分でも驚きました。これはぜひ実際に見て乗って確かめてほしい！！
4.ドライブ中：2列目に子どもを乗せれば近くで安心
ライター小澤運転のし心地もいいですが、子どもが近くに乗ってることもすごく安心感があります。
Honda 山﨑さんSTEP WGNの福祉車両ではバギーや車いすを2列目に固定することができるので、たしかにお子さんとの距離は近くなりますね。結構大事なポイントですか？
ライター小澤そうなんです、うちの子どもは体温調整が苦手なので、長距離運転の場合、頭や足などを触って体温や汗のかき具合を確認しながら、車の空調を調整することがよくあります。一時停止して子どもに触れるくらいの距離に乗せられるのはとても安心です。
STEP WGNは大きな車、というイメージがあったため、後部座席の子どもとあまり距離があると不安だなと思っていたのですが、実際に乗ってみてその不安は払拭されました。
5.ドライブ中：空調のコントロールが座席ごとにできる嬉しい仕様だった
Honda 山﨑さん今おっしゃっていた空調の話ですが、STEP WGNの場合座る場所ごとに温度管理ができるんですよ。
ライター小澤座る場所ごとに、ですか？
Honda 山﨑さんはい、運転席、助手席、後席と、座席の位置ごとに空調を変えることができて、どこに座っている方にとっても快適な温度に設定できるんです。
ライター小澤すごい！うちの子は熱がこもりやすいので、温度調整はいつもとても苦労していて…夏は後部座席が冷えにくいので、クーラーを最大にして、その分運転席の私は寒さを我慢する、ということがよくあったのでとても助かる機能です
6.試乗終了：降ろす時も簡単で収納もラクラク
試乗を終えて戻ってきました。駐車して今度はバギーを下ろします。
バギーを下ろすときにはスロープが下り坂な分、乗せる時よりも加速がつかないように気を使いますが、電動ウインチのおかげで力を入れずに安全に下ろすことができます。
また、ウインチベルトの収納も投げ込むだけなのでとても楽！毎日のことなのでちょっとした動作でも楽にできるのは嬉しいです。
※この動画はN-BOXのウインチベルトを写したものですが、全車種同じ機能を採用しているためSTEP WGNでも同じように収納することができます
ライター小澤スロープの長さは結構ありますね
Honda 山﨑さんHondaの車いす仕様車の中ではSTEP WGNのスロープが最も長く、全て引き出すと175.5cmになります。購入時はご自宅のスペースを確認したり、場所によって引き出す長さを調整してもらったりしていただくのが良いと思います。
【試乗の感想】福祉車両STEP WGNは運転が楽しくなる車だった
試乗が終わってみた率直な筆者の感想は
ライター小澤とにかくSTEP WGNの運転楽しい！！！
でした。試乗をしてわかる部分でもあるのですが、ドライブが本当に快適です。
負担感はなく、むしろ運転がクセになる
試乗前は「大きくて運転しづらい車」「私には運転は無理そう」というイメージを持っていましたが、試乗してみてかなり印象が変わりました。大きいからこそ使いやすくできるような機能がついているので、スロープの出し入れも全然負担感がありません。
むしろ乗る前の不安はなく、快適で運転が楽しい！とずっとドライブできそうでした。
ライター小澤もし私のように「STEP WGN＝大きいから運転が不安」というイメージを持っている方がいれば、ぜひ一度体験してイメージの変化を体験してもらいたいです！
きょうだいがいる家庭やリクライニングバギーを使っている家庭におすすめ
車に乗る人数が多い家族構成の方やリクライニングしたままバギーを乗せたいご家庭には、STEP WGNがおすすめだと感じました。また、運転席から子どもとの距離を近くしたい！という方にもおすすめです。
車内が広々として、快適に過ごせるのがSTEP WGNは魅力に感じました。同じHonda車の中だと、FREEDは車いすの子どもが3列目に乗るため、運転中は手がほぼ届きません。自宅などの駐車場に対してのスロープの長さや予算の注意点もありますが、おすすめポイントにあてはまる場合はぜひ試乗してみてくださいね。
ライター小澤私も今回3車種に試乗させてもらいましたが、それぞれ最初のイメージとは違った感想になったのでぜひ乗り比べてみて欲しいです！ちなみに2台車椅子が乗るのはSTEP WGNのみです。
福祉車両STEP WGNの購入にはいくらかかる？
最後に、気になるSTEP WGNの費用についてです。費用の一例として見積もりを出していただきました。
| 福祉車両（車いす仕様車） | 標準車 | |
| 車体価格 | 3,730,000円（※消費税非課税） | 3,466,100円（※税込） |
| ディーラーオプション | 312,200円（※消費税非課税） | 349,910円（※税込） |
| 諸費用 | 257,410円 | 241,710円 |
| 支払い総額 | 4,299,610円 | 4,057,720円 |
※本体、諸費用、よく採用されるオプションをつけたときの金額
※参考金額のため、詳細は販売店にご相談ください
ライター小澤標準車との価格差は20万円くらいなんですね
Honda 山﨑さんはい、どの車種も福祉車両と標準車の差額はだいたい20万円くらいになります。あとは相談する販売店やその時の在庫状況などによって値引きが入る場合もありますので、詳しくはお近くのオレンジディーラーに相談してみてください！相談だけ、見積もりだけでも大歓迎です。
福祉車両STEP WGNは大きくても運転しやすい！
Hondaの福祉車両STEP WGNは、普段ミニバンを運転している筆者にとっては、大きさはそこまで気にならず、想像以上に運転しやすい車でした。テールゲートの開閉やスロープの出し入れも個人的には他の車種と比べても一番楽にでき、2列目に車いすを乗せられることで子どもとの距離も近く安心です。
今回筆者は乗る前のイメージが乗ってみてからかなり変わったので、実際に触って乗って確かめてみないとわからないものだな、と実感しました。
子どもが大きい方やきょうだいがいる方、またバギーのリクライニングの角度をフラットに近くしたいという子どもがいる方など、空間に余裕がある車を運転したい方はぜひ一度実物を見てみてください。
STEP WGNの試乗をお試しされたい方は、福祉車両の販売店「オレンジディーラー」を活用してみてくださいね。
＼ 気軽にお試ししてね ／
2024年11月16日（土）から17日（日）【※開催終了】にかけて、Hondaの福祉車両が関西キッズ機器展に登場！実際に車に乗ってお試しすることもできます（※クルマを走らせることはできません）。
イベントには福祉車両に詳しいオレンジディーラースタッフがお待ちしています！運が良ければ山﨑さんや田村さんに直接相談もできるかも…？
▶︎関西キッズ機器展の詳細はこちら
※本イベントは終了いたしました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうざいました。
