障がい児育児、経済的に少し苦しい…
障がいのある子どもを育てるご家族にとって、経済的な負担は大きな課題です。そのため支援制度が用意されていますが、知らないために利用できていないケースも多くあります。
そこでこの記事では、障がい児育児に関する主な経済的支援である「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」を中心に、その他受けられる支援についてもわかりやすく解説します。
障がい児育児を経済的に支援してくれる制度ってどんなものがあるの?
そんな方はぜひ参考にしてみてください。
特別児童扶養手当法とは?
特別児童扶養手当法とは、精神または身体に障がいのある子どもまたはその保護者・養育者への支給に関する法律です。1964年「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」という名称で制定されました。
支給によって障がい児への福祉を増進し、生活を豊かにすることを目的としています。
【参照】特別児童扶養手当等の支給に関する法律|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82090000&dataType=0&pageNo=1
「特別児童扶養手当」とは
特別児童扶養手当は、精神または身体に障がいのある20歳未満の子どもの福祉を増進するために支給される手当です。
対象
20歳未満の精神または身体に障がいのある子どもを家庭で監護、養育している保護者など
支給条件
- 対象の子どもが20歳未満
- 対象の子どもが日本国内に在住している
- 対象の子どもの保護者または養育者が日本国内に在住している
- 対象の子どもが母子生活支援施設、保育所、通園施設を除く児童福祉施設に入所していない
- 対象の子どもが障がいを理由に公的年金を受給できない
なお、受給資格者(障がい児の父母など)もしくはその配偶者または生計を同じくする扶養義務者(同居の父母などの民法に定める者)の前年の所得が一定の金額以上の場合は支給されません。
▼ 特別児童扶養手当についての詳細は、こちらからご覧いただけます
「障害児福祉手当」とは
障害児福祉手当は、20歳未満の精神または身体に重度の障がいのある子どもを育てるご家族などが受けられる手当です。その障がいのため必要な精神的あるいは物質的な特別な負担を軽減し、特別障害児の福祉を向上させることを目的にしています。
対象
精神または身体に重度の障がいがあり、日常生活で常に介護が必要な在宅の20歳未満の方
支給条件
- 対象の子どもが20歳未満
- 対象の子どもが日本国内に在住している
- 対象の子どもの保護者または養育者が日本国内に在住している
- 対象の子どもが障がいを理由に公的年金を受給できない
なお、受給資格者(重度障がい児)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者または受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母などの民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上の場合は支給されません。
▼ 障害児福祉手当についての詳細は、こちらからご覧いただけます
特別児童扶養手当と障害児福祉手当の違い
特別児童扶養手当と障害児福祉手当は、どちらも障がい児家庭に手当を支給する国の制度です。しかし、特別児童扶養手当と障害児福祉手当では、受け取る人(対象者)が異なります。
特別児童扶養手当は「20歳未満の精神または身体に障がいのある子どもを家庭で監護、養育している保護者」が受け取ります。
一方、障害児福祉手当の対象は「精神または身体に重度の障がいがあり、日常生活で常に介護が必要な在宅の20歳未満の方」。つまり、子ども本人です。
また、特別児童扶養手当は原則として毎年4月、8月、12月に、障害児福祉手当は原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。
その他の経済的支援
特別児童扶養手当と障害児福祉手当以外にも、障がい児育児で利用できる経済的支援の制度はあります。例えば、次のような支援制度です。
税金の控除
障がい児を扶養している場合、所得税の控除を受けられます。同一生計配偶者または扶養親族が障がい者の場合、障がい者控除として1人当たり27万円(特別障害者の場合は1人当たり40万円)が所得金額から差し引かれるのが特徴です。
また、同一生計配偶者あるいは扶養親族が特別障がい者で、ご本人やその配偶者またはご本人と生計を一緒にする親族のいずれかと普段から同居している場合は、障がい者控除として1人当たり75万円が所得金額から差し引かれます。
▼税金の控除の詳細はこちらからご覧いただけます
自立支援医療制度
心身の障がいを除去または軽減するための医療について、医療費の自己負担額を減らす制度です。次のような方が対象者となります。
- 精神通院医療:統合失調症などの精神疾患があり、通院による精神医療が継続的に必要な方
- 更生医療:身体障害者福祉法に基づいて身体障害者手帳の交付を受け、その障がいを除去・軽減する手術などの治療により確実に効果が期待できる18歳以上の方
- 育成医療:身体に障がいがあり、その障がいを除去・軽減する手術などの治療で確実に効果が期待できる18歳未満の子ども
▼ 自立支援医療制度の概要についてはこちらをご覧ください
公共サービスの割引
その他、次の公共サービスなどで割引を受けられる場合があります。
障がい児やその保護者(付き添い人)に対して割引
- JRなどの鉄道会社
- 航空会社
- バス
- タクシー など
公共料金の割引
- NHKの受信料
- 水道料金の割引
水道代の割引内容は、各自治体で異なります。対象者になっているのか、どれくらい料金が減免になるのかなどは、各自治体の相談窓口でしっかりと確認しましょう。
公共施設での割引
- 公立の施設
- ホテルなどの宿泊施設
- 遊園地
- 映画館などの娯楽施設 など
交通費の助成
地域によっては、交通費の助成をしている場合もあります。例えば、千葉県四街道市では、障害者支援施設に通所している障がいのある方、または通所時に付き添いをしている介助者の方に、通所の際の交通費を助成しています。
交通費の助成は、自治体が独自に実施している場合がほとんどです。そのため、利用できる制度や条件は地域によって異なります。詳細な情報や申請方法については、お住まいの自治体の福祉課や障害福祉課に問い合わせてみてください。
▼障がい者が使えるガソリン代の助成についてはこちらの記事でくわしく解説しています!
自動車税の減免
障がい児の通学や病院への送迎に家族が車を使用している場合、自動車へかかる税金が減免になるケースもあります。これは、障害者手帳の種類や等級に応じて適応される制度です。
具体的な条件は地域で異なるため、お住まいの自治体へ確認してみてください。申請の窓口は、普通車が都道府県、軽自動車が市町村です。
日常生活用具の補助費
障がい者・障がい児・難病患者などを対象に、日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与する支援です。身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具についても、補装具の購入等に要した費用の額(基準額)から利用者負担額(原則1割)を除した額を補装具費として、国が一部を負担してくれます。※
▼ 日常生活用具の補助費の詳細はこちらからご覧いただけます
▼日常生活用具給付制度についてはこちらの記事でも解説しています
障がい児育児の経済的支援を賢く活用し、よりよい環境づくりを
障がい児の育児には、さまざまな経済的支援が用意されています。支援を最大限に活用するためには、各制度の内容や申請方法を正しく理解するのが重要です。
また、自治体によって独自の支援制度がある場合もあるため、地域の福祉課や障がい福祉課に相談するのも有効といえます。経済的な負担を軽減し、子ども本人そしてご家族によりいよりよい環境を得るためにも、利用可能な支援制度を積極的に活用しましょう。
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