子どもが生まれたのは嬉しいものの、子どもがNICUに運ばれ、入院することになった時、心配になることの1つが費用のこと。
子ども身体の状態の心配は尽きない上に、
高額な費用を払わなければいけなかったらどうしよう
医療費用や入院費用を払えないこともあるのかな…
と心配になるお母さんお父さんは少なくないはずです。
そこで今回は、NICUの費用はどのくらいなのか、使える制度や助成の紹介、実際にNICUで半年間息子が入院していた筆者の体験談などを紹介します。
この記事を読んで、NICUに入院しているお子さんの親御さんが少しでも不安を軽減してもらえると嬉しいです。
▼NICUの情報がまとまっているサポートガイドはこちら
NICUとは
NICUとは、「Neonatal Intensive Care Unit」の略で、新生児集中治療管理室のことを言います。医師や看護師、助産師が24時間体制で子どもの体調管理やお世話をしてくれる施設です。
NICUに入院するのは集中的に治療や管理をする必要な子どもで、予定日より早く生まれた新生児や体重が軽く生まれた新生児、何らかの疾患のある新生児などが入院します。
【参照】地方独立行政法人大阪府立病院機構(PDF)
URL:https://www.gh.opho.jp/pdf/kango_nicur05.pdf
よく似ているとされるGCU(回復治療室)は、NICUでの治療を受けた後、安定した状態になった新生児が引き続き治療を受ける場所です。
【参照】ナース専科就職ナビ
URL:https://recruit.nurse-senka.com/html/content/article/2013
NICUで入院したときかかる費用
NICUで入院したときにかかる費用は、期間や状況によって異なりますが、各種制度をつかって高額な医療費負担にならないよう軽減することが可能です。
代表的なものとしては、出産後に加入する子どもの健康保険があります。
また、以下の制度や助成を利用すると、高額になりうるNICUでの入院費用をさらにおさえることが可能です。それぞれに対象が異なるため、実際に自分の子どもがどの制度を利用でき、助成を受けられるかは、病院に在籍しているソーシャルワーカーに相談してみましょう。また、申請するのに必要な書類や申請窓口も、お住まいの市町村区によって異なる場合があるので、事前に確認しておくと安心です。
高額医療費制度 | 乳幼児医療費助成制度 | 未熟児養育医療制度 | 小児慢性特定疾病治療研究事業 | 指定難病医療費助成制度 | 自立支援医療 | 入院時食事療養費標準負担額の減額 | |
対象者 | 全員 | 県内在住の乳幼児・未就学児※市町村により所得制限あり | 出生体重2000g未満の新生児 | 18歳未満の児童。対象疾患と認定基準あり。 | 指定難病児。年齢制限無し。対象疾患と認定基準あり。 | ・通院による精神医療を継続的に要する者・手術を伴う18歳未満の児童。対象疾患あり | ・市町村民税が非課税世帯の方・小児慢性特定疾病児童等又は指定難病患者 |
負担額 | 所得によって異なりますが、乳幼児福祉医療助成制度によって自費以外が還付されます | 医療費は0円※自治体により自己負担金あり※食事代、自費の検査、オムツ代は別途必要 | 前年度所得額に対して自己負担あり | 所得額に対して自己負担あり | 所得額に対して自己負担あり | 所得に応じた自己負担あり。 | 食費が減額されます |
申請窓口 | 加入している公的医療保険(勤め先の保健) | 市町村区 | 保健センター | ・居住している自治体窓口 | 市町村区 | 市町村区 | 市町村区 |
必要書類 | なし | ・子どもの保険証・印鑑 | ・養育医療給付意見書・お子様の健康保険証・所得税関係書類 | ・医師の意見書 | ・医師の診断書 | ・医師の意見書・申請書・保険証の写し・個人番号確認書類・所得を確認できる書類・・・ | ・保険証・マイナンバーが確認できるもの・入院期間が確認できる領収書・本人確認資料 |
申請時期 | 子どもの保険証の手続きを行う時 | 保険証ができたあと | 上記書類が揃い次第 | 医師の意見書をもらい次第 | 医師の診断書をもらい次第 | 必要書類が揃い次第 | 必要書類が揃い次第 |
【参照】
特色・取り組み|山口赤十字病院
URL:https://www.yamaguchi-redcross.jp/p4_tokusyoku/2_syonisyusan/2_nicugcu/index.html
入院や手術が決まりました。医療費はどのくらいかかるの?|あいち小児保健医療総合センター(PDF)
URL:https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/comedical/shinryo/iryou/pdf/chart.pdf
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/gaiyo.html
入院するとき(入院時食事療養費・入院時生活療養費)|大阪市
URL:https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000369687.html
手続きの流れ|小児慢性測定疾病情報センター
URL:https://www.shouman.jp/assist/process/
難病医療費助成の支給認定申請手続等|東京都保健医療局
URL:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/nanbyo/portal/seido/shinsei.html
自立支援医療(精神通院医療)申請者の方へ|埼玉県
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/b0606/jiritu-sien.html
指定難病医療給付制度について|埼玉県
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0705/nanbyo/gaiyo.html
NICUの入院費用が払えないことはあるのか
出産を終え、赤ちゃんがすぐにNICUへの入院となると心配なことも多いですよね。お母さんや赤ちゃんの体調はもちろん、金銭的な部分も気になるポイントだと思います。
NICUの入院費に関しては、上記で説明したさまざまな制度があるため、一部実費が自己負担になる可能性があるものの、高額請求になる場合は少なくなっています。
▼入院費用の支払い時に保険証が間に合わない場合についてはこちらの記事で解説!
筆者の息子の実際のケース
実際にNICUに入院した息子の、自費と実際にかかった費用について紹介します。
息子の情報
- 病名:先天性ミオパチー
- 出産時の体重:2223g
- 出産時の状況:重症新生児仮死状態で生まれ、すぐにNICUに。呼吸をする力が弱かったため、産後すぐに人工呼吸器管理をされていた。
- NICU入院期間:約4ヶ月(気管切開をするまで)
- 必要な医療的ケア:人工呼吸器、吸引、経管栄養(ED)
NICUでの入院費用について
自費だと1ヶ月250万円以上かかっていましたが、健康保険に加入しており、上述の「小児慢性特定疾病治療研究事業」、「指定難病医療費助成制度」などが当てはまっているため、負担額は軽減されました。
実際の請求額は月に2万円程度で、その2万円のほとんどが毎日の医療材料費であるオムツ代でした。
また他にもこんな事例があります。
指定難病も医療的ケアもない子どもが3週間入院しました。自費だと約200万円くらいでしたが、保険や制度や助成を使って、2万円程度に抑えられました。
指定難病あり、医療的ケアは人工呼吸器(1週間)、経管栄養(NICU退院直前まで)ある子どもがNICUに入院していました。自費だと約200万円、実際に払った費用は数万円でした。
アメリカでの出産だったのですが、自費だったら1ヶ月数千万円、実際に払った費用は数万円でした。指定難病あり、医療的ケアはNICUに入院中、経管栄養と胃ろうがありました。
NICUの入院費用は制度や助成を利用すれば払える費用におさえられる
出産後、子どもがNICUに運ばれて入院することになった時、心配になるのがNICUでの医療費用や入院費用。
「高額になるんじゃないか」
「入院が長くなると余計に、払えないほどの費用になるんじゃないか」
と、子どもの身体のことだけでも心配なのに、費用のことまで不安になるのはとてもつらいですよね。
しかし今回紹介した制度や助成を利用すれば、高額な医療費になることは少なくなっています。
自分の子どもがどの制度や助成に当てはまるのかわからない人もいると思うので、そんな時は、病院にいるソーシャルワーカーに相談しましょう。
自分で調べて当てはまるかどうか悩んでいるよりも、専門家に相談してしまった方が話は早いです。
この記事を読んで、少しでもNICUでの医療費用や入院費用ついて不安が軽減してくれたら嬉しいです。
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