子どもがNICUに入院することになったけどどんな場所?
NICUとGCUは何が違うの?
出産した後、生まれた子どもがNICUに入院することになった時、心配になる親御さんは多いですよね。筆者もその1人でした。
そこで今回は、NICUとはどんな場所なのか、GCUの違いや入院する対象の子ども、NICUではどんなことをするのか、入院期間や入院費用などを解説します。
▼NICUの情報がまとまっているサポートガイドはこちら
NICUとは
NICUとは、「Neonatal Intensive Care Unit」の略で、新生児集中治療管理室のことを言います。医師や看護師、助産師が24時間体制で子どもの体調管理やお世話をしてくれる病棟です。
医療の発達により新生児死亡数が年々減り、予定より早く生まれた新生児や体重が軽く生まれた新生児、何らかの疾患や障がいを持って生まれた新生児たちの命を助けられるようになりました。その助けられた子どもたちが集中的に治療や管理をされる場所がNICUなのです。
NICUとGCUとの違い
よく似ている施設がGCU(Growing Care Unit)ですが、GCUはNICUでの集中治療を終え、呼吸や循環、栄養などが落ち着いた状態の子どもが入院する病棟です。
NICUと違い、入院する子どもは安定した状態なので、退院に向けて準備をしていくことが多いです。
退院にむけて、NICUからGCUに必ず転棟するわけではありません。筆者の息子はNICUからGCUを通らず、小児病棟に転棟し退院しました。
NICUに入院する対象の子ども
予定より早く生まれた在胎37週未満で生まれた早産児や2,500g以下と体重が軽く生まれた低出生体重児、何らかの疾患や障がいを持って生まれた新生児などです。
集中的な治療が必要であり、医師や看護師、助産師などの手厚い管理も必要な子どもが対象になります。
つまり、疾患や障がいがなく健康で、正期産であり、平均体重で生まれた子どもはNICUに入院する必要はありません。
退院目安や退院年齢は子どもの障がいや疾患、状態によって様々です。
筆者の息子は新生児仮死状態で生まれ、泣き声がなく、すぐにNICUへと運ばれていきました。集中的な治療が必要な息子のような新生児も、NICUに入院する対象の子どもの対象です。
NICUではどんなことをする?
実際NICUではどんなことをするのか、NICUで使う機器を紹介しながら解説します。
NICUで使う機器
保育器
新生児が過ごすのに適切な温度や湿度が保たれた新生児用のベッドです。
新生児によっては、皮膚が未熟なため体温を自分で維持することができず、保育器に入ることで、低体温や脱水症状になることを防ぐことができます。
人工呼吸器
呼吸機能が未熟な新生児に使われる機器です。気管にチューブを挿入したり、鼻マスクをしたりして呼吸をサポートしてくれます。
筆者の息子は筋肉が弱い疾患なので、自分で呼吸することが難しく、人工呼吸器にお世話になりました。最初の頃は気管切開をしていなかったので口にチューブを挿入したり、鼻マスクを試したりして過ごし、生後3ヶ月で気管切開したあとは、気管にカニューレを挿入し人工呼吸器を付けていました。
呼吸・心電図モニタ・パルスオキシメーター
心拍数や呼吸数、血液中の酸素飽和度を常時モニターで確認できるようにする機器です。表示される数値を元に、子どもの全身状態を常に確認することができます。
光線治療器
黄疸の症状が見られる時に使用する機器です。光を当てることで治療します。
筆者の息子も黄疸の症状が見られたので、保育機の上から光線治療器で治療していました。「ただ光を当てるだけで治療になるのかな?」と不安でしたが、ちゃんと症状が治まっていました。
輸液ポンプ・シリンジポンプ
水分や電解質、薬剤、栄養剤などを投与するのに必要な医療機器です。
それぞれの子どもに合った速度や量で投与することができます。
NICUの入院期間は?
NICUの入院期間はその子どもの状態によって変わりますが、日本産婦人科医会が全国のNICUを対象に、2003年におこなった「NICUに関する実態調査報告」によると、多くの新生児が1週間から1ヶ月程度で退院できるというデータがあります。
【参照】NICUに関する実態調査(その2) 集計結果 P13 『NICUに関する実態調査報告』|社団法人 日本産婦人科医会
URL:https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/research/boshi/NICU_0503.pdf
低出生体重児で、体重が増えるまでの間の1週間〜数週間で退院できる子どももいれば、疾患や障がいによって数ヶ月〜1年以上入院する子どももいます。
どのくらいの期間になるかは、担当医や担当看護師に相談してみましょう。
筆者の息子は、気管切開をして状態が落ち着くまでNICUに入院していたため、入院期間は約4ヶ月でした。
▼NICUの入院期間や実際の退院までの手順についてこちらの記事で紹介しています
NICUの入院費用は?
NICUの入院費用は高いんじゃないの?
払えないほど高額だったらどうしよう
そう心配している方もいると思いますが、今では各種制度を使って高額な医療費負担にならないよう軽減することが可能になっています。
例えば、一般的に利用できるものでいうと出産後に加入する子どもの健康保険や、高額医療制度などです。また、子どもの状態によっては、未熟児養育医療制度、指定難病医療費助成制度などの制度や助成があります。
自分の子どもがどの制度や助成を利用できるかは、病院にいるケースワーカーに相談すると、正しい情報が得られますよ。
▼NICUの入院費用についてはこちらの記事をご覧ください
NICUに子どもが入院していたときの想いや経験談
息子がNICUに4ヶ月間入院したときの想いや経験談を最後にご紹介します。
最初の頃の面会は週に1回の15分だけ
コロナ禍であったこともあり、最初は1週間に1回、15分の面会でした。
そんな状況下でできるだけ日々の息子の様子がわかるようにと、担当看護師さんが気をきかせてくれて「息子くんノート」という日々の息子の様子を写真と文章で紹介してくれるノートを作ってくれました。毎回面会に行くたびにそれを読むのが楽しみでした。
徐々に面会時間が長くなり、最後の方は週4日1時間程度面会をすることができるようになりました。
NICUの面会ではおむつ替えや沐浴を経験
NICUでの面会では、おむつを替える練習をしたり、母乳を綿棒につけて息子の口の中に入れたり、抱っこをしたり、沐浴の練習をしたり、親としての経験をさせてもらいました。
身体が小さく弱々しい息子を見ているのは心が痛む時もありましたが、会う度に少しずつ身体が成長していく息子の姿を見ることで「へこたれててはいけない!」と励まされる日々を過ごしました。
気管切開の手術をし、小児病棟へ転棟するまでには約4ヶ月かかりましたが、NICUは先生や看護師さんを含めてあたたかみのある居場所だったなと、今振り返って思います。
NICUは集中治療や管理が必要な新生児が入院する場所
早産児や低出生体重児、何らかの疾患や障がいを持って生まれた新生児が入院する病棟であるNICU(Neonatal Intensive Care Unit)。状態が安定してから入院するGCUとは似ていますが、入院対象となる子どもが異なります。
NICUでは、集中して治療ができるように数々の医療機器を使用し、新生児が安心して過ごせるようになっているため、産後心配な親御さんも安心して預けられますよ。
また、入院期間はその子どもの状態によって1週間〜1年以上と異なってきますが、担当医や担当看護師と相談して決めていけば退院への不安も軽減できます。
入院費用に関しても不安を感じている人もいると思いますが、今では保険や補助、助成があるので高額になることは少なくなっているので安心してください。
生まれたばかりの自分の子どもがNICUに入院することになると不安も大きいと思います。筆者も不安で心配でどうしようもありませんでした。
しかしNICUには、助けてくれる医療者がたくさんいる、あたたかみのある子どもの居場所でもありますよ。
この記事を読んで少しでもNICUについて知ってくれたら嬉しいです。
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