精神または身体に障がいがある子どもやその家族に支給される特別児童扶養手当。
今回は、特別児童扶養手当がどんなものなのか、支給対象者や支給月額、所得制限、支給時期、手続きの手順、更新についてなどを紹介します。
特別児童扶養手当とは
特別児童扶養手当とは、精神または身体に障がいがある子どもに支給される手当です。その子どもを育てる親や家族などが特別児童扶養手当を受け取ることができます。障害の程度に応じ、1級または2級として認定されます。
特別児童扶養手当については、1964年(昭和39年)に制定された特別児童扶養手当等の支給に関する法律に規定されています。法律の内容の一部は以下のようなものです。
第一条 この法律は、精神又は身体に障害を有する児童について特別児童扶養手当を支給し、精神又は身体に重度の障害を有する児童に障害児福祉手当を支給するとともに、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者に特別障害者手当を支給することにより、これらの者の福祉の増進を図ることを目的とする。
第二条 この法律において「障害児」とは、二十歳未満であつて、第五項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある者をいう。
第三条 国は、障害児の父若しくは母がその障害児を監護するとき、又は父母がないか若しくは父母が監護しない場合において、当該障害児の父母以外の者がその障害児を養育する(その障害児と同居して、これを監護し、かつ、その生計を維持することをいう。以下同じ。)ときは、その父若しくは母又はその養育者に対し、特別児童扶養手当(以下この章において「手当」という。)を支給する。
厚生労働省「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」
URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82090000&dataType=0&pageNo=1
特別児童扶養手当の支給対象
特別児童扶養手当の支給対象者は、20歳未満の精神または身体に障がいのある子どもの養育者(親など)です。対象条件に当てはまっていることで支給対象となり、支給には1級と2級の区分があります。
支給対象条件と区分
1級、2級の判定基準の一部は以下のような内容です。規定および目安を含めて、市区町村によって総合的に対象かどうか判断されます。
1級 | 1.視覚障害(両眼の視力がそれぞれ0.03以下の場合もの、一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下の場合など) |
2.両耳の聴力レベルが100デシベル以上の場合 | |
3.両上肢の機能に著しい障害を有する場合 | |
4.両上肢の全ての指を欠く場合 | |
5.両上肢の全ての指の機能に著しい障害を有する場合 など |
2級 | 1.視覚障害(両眼の視力がそれぞれ0.07以下の場合、一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下の場合など) |
2.両耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合 | |
3.平衡機能に著しい障害を有する場合 | |
4.そしゃくの機能を欠く場合 | |
5.音声又は言語機能に著しい障害を有する場合 など |
また上記の規定以外にも、障がいの程度によっては支給対象となる場合があります。以下は東京都の事例ですが、住んでいる市区町村によって基準が違うため、事前に確認しましょう。
身体障害
おおむね身体障害者手帳1級~3級程度(下肢障害については4級の一部を含む)や疾患により長期にわたる安静を必要とする状態にある場合
知的障害
おおむね愛の手帳1~3度程度
精神障害
上記と同程度の障害(自閉スペクトラム症等により日常生活に著しい制限を受ける方等)
重複障害
複数の障害がある場合(上肢4級+下肢6級など)は、個々の障害の程度が上記より軽度な場合でも該当となるケースあり
参照:特別児童扶養手当(国制度)|東京都福祉局 東京都心身障害者福祉センター
URL:https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/teate/toku_ji.html
手当の支給対象外の人
以下のような場合は、特別児童扶養手当の支給対象外となるので気をつけましょう。
- 申請する親や障がいのある子どもの住所が日本国内にないとき
- 障がいのある子どもが肢体不自由児施設や知的障害児施設などの施設に入所しているとき
- 障がいのある子どもが障がいを理由に公的年金を受け取っているるとき
特別児童扶養手当の支給月額
特別児童扶養手当の支給月額は障がいの程度に応じた等級によって変わってきます。
等級 | 1級(重度障害児) | 2級(中度障害児) |
手当額(子ども1人につき) | 55,350円 | 36,860円 |
※金額は令和6年4月現在
特別児童扶養手当の所得制限
特別児童扶養手当の受給資格者や受給者の配偶者、扶養義務者の前年の所得に基づいて、特別児童扶養手当が支給されるかが決まります。
児童扶養手当の所得制限については以下の通りです。限度額を超えると、その年度の支給は停止されます。
扶養親族の数 | 受給資格者 | 配偶者及び扶養義務者 |
0 | 4,596,000 | 6,287,000 |
1 | 4,976,000 | 6,536,000 |
2 | 5,356,000 | 6,749,000 |
3 | 5,736,000 | 6,962,000 |
4 | 6,116,000 | 7,175,000 |
特別児童扶養手当の支給時期
特別児童扶養手当の支給時期は、基本的に年に3回あります。毎年4月、8月、11月です。それぞれ前月分までがまとめて支給されるようになっています。
特別児童扶養手当の手続きの手順
特別児童扶養手当の手続きに必要なものや手順を紹介します。
特別児童扶養手当の申請に必要なもの
特別児童扶養手当の申請に必要なものは、以下の通りです。市区町村によって必要なものが変わってくる可能性があるため、事前に確認しておくと安心です。
【特別児童手当の申請に必要なもの】
- 請求者と対象となる障がい児の戸籍謄本または抄本(交付日から1ヶ月以内のもの)
- 対象となる障がい児の障がいについての医師の診断書等
- 銀行の口座番号と口座名義が確認できるもの
- その他、市区町村によって定められた申請書類
医師の診断書等は身体障害者手帳や療育手帳を取得している場合、省略できる可能性もあります。市区町村の担当支援窓口で手帳が証明になるか聞いてみましょう。
特別児童扶養手当の手続きの手順
手続きは窓口で申請書を提出するだけです。
手順1.手続きに必要な書類等を準備する
まずは、上述した特別児童扶養手当の申請に必要な書類を用意します。
手順2.住んでいる市区町村の担当窓口にて手続きをする
住んでいる市区町村の担当課窓口にて手続きをします。
手順3.認定請求をした日の属する月の翌月から特別児童扶養手当が支給される
特別児童扶養手当は基本的に、認定請求をした日の属する月の翌月から支給されます。
特別児童扶養手当は更新が必要なの?
特別児童扶養手当を受給している人は、毎年8月〜9月に「所得状況届」を提出し、更新手続きをする必要があります。
この「所得状況届」によって、最新の所得の状況を確認し、引き続き特別児童扶養手当を受給できるかどうかを審査するようになっています。
基本的に、市区町村から必要書類が郵送で届くので、届いた書類で手続きを行いましょう。
特別児童扶養手当の手続きを行って、特別児童扶養手当を支給してもらおう
20歳未満の精神または身体に障がいがある子どもやその家族に支給される特別児童扶養手当。
障がいの程度に応じた等級によって、支給月額は変わってきます。また所得制限によって、支給されるかされないかも変わってきます。
支給される時期は、年3回。4月、8月、11月と決まっており、数ヶ月分をまとめて受給できるようになっています。
必要な書類を持って、市区町村の担当窓口で申請することで手続きできます。特別児童扶養手当には毎年更新が必要であり、「所得状況届」を提出し引き続き特別児童扶養手当を受給できるかどうかを審査してもらいましょう。
少し面倒に思える手続きかもしれませんが、一度手続きしてしまえば、更新手続きは届いた書類を書いて提出するだけ。それだけで数万円の特別児童扶養手当が受給できるので、対象の方は市区町村に手続きをしにいってみてくださいね。
▼その他の経済的な支援はこちらにまとめています
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