
子どもが園の集団生活に馴染めていないように感じる
園で子どもが過ごしやすくなるようなサポートが欲しい
そうしたときに活用できる制度の一つが「保育所等訪問支援」です。
保育所等訪問支援という制度の名前は聞いたことがあっても「どこにどうやって申し込めばいいの?」「園に外部の専門職員を呼ぶことで、先生との関係性に影響はない?」と、疑問や不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、保育所等訪問支援の制度の対象者やサービス内容、料金、利用の流れといった基本的な仕組みを解説します。さらに、保育士である筆者が、保育所等訪問支援のメリットデメリットやサービスをスムーズに利用するためのコツをお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
保育所等訪問支援とは
保育所等訪問支援は、障がいや発達に特性のある子どもが集団生活の中で安心して過ごせるよう、専門の支援員が保育園や幼稚園などを訪問して、必要な支援や環境調整などを行う制度です。
対象となる施設は、保育園や幼稚園のほか、小学校、特別支援学校、学童保育など、18歳までの子どもが日常的に過ごす場所が含まれます。
保育所等訪問支援の対象者
保育所等訪問支援は障がいや発達特性があり、集団生活の中で専門的な支援が必要な方が対象です。障害者手帳の有無に関わらず、市区町村から支援の対象と認められ「通所受給者証」が発行された場合に利用することができます。
たとえば
- 活動の切り替えが難しい
- 友達との関わり方に戸惑うことがある
- 指示が伝わりにくい場面がある
など、園や学校での生活に困りごとが見られる場合に利用を検討します。
保育所等訪問支援のサービス内容
保育所等訪問支援では支援員が園や学校を訪問し、子どもがどのように活動に参加しているか、周囲の友達や先生とどのように関わっているかを観察します。そのうえで、必要に応じて子どもと一緒に活動に参加しながら、子どもの障がいや特性に合わせた声かけや環境調整を行います。
▼支援の例
- 次の活動内容を短い言葉で伝え、見通しを持てるようにする
- 集団指示をわかりやすく個別に言い直して伝える
- 座席や環境を調整し、感覚的な負担を軽減する
また、子ども本人への直接的な支援だけでなく、先生への助言や提案といった間接的な支援も行います。助言や提案を通して、先生と協力しながら子どもへの関わり方を一緒に考えていくことも支援の一つです。
さらに、訪問で見えた子どもの様子や支援内容を保護者に共有し、困りごとや不安にも寄り添いながら、家庭と園の橋渡しも行います。
訪問の頻度は2週間に1回(月2回)程度が一般的な目安となっていますが、、子どもの状況や支援の必要性などにより個別に検討します。
支援員の資格と専門性
訪問支援員は、保育士や児童指導員など子どもの発達や支援に関わる資格を持ち、現場での実務経験を積んだ専門職が担当します。また、必要に応じて以下の専門職が訪問することもあります。
- 姿勢の保ち方や手先の使い方が気になる場合:理学療法士(PT)・作業療法士(OT)
- 言葉の出方や伝え方が気になる場合:言語聴覚士(ST)
- 気持ちの整理や感情のコントロールが難しい場合:公認心理士・臨床心理士
保育所等訪問支援の料金
保育所等訪問支援の利用料金は、原則サービス利用料の1割が自己負担となります。さらに、自己負担額にはひと月の上限額が設定されており、一定の金額までの自己負担金で利用できる仕組みになっています。
ひと月の上限額は世帯年収によって以下のように異なります。
| 非課税世帯 | 0円(自己負担なし) |
| 市町村民税課税世帯(※所得割28万円未満) | 月額4,600円 |
| それ以外 | 月額37,200円 |
※世帯収入がおおむね890万円以下
なお、満3歳になったあとの4月から小学校入学までの3年間は、幼児教育無償化の制度対象となるため、基本的に利用者の負担はありません。
保育所等訪問支援のメリット・デメリット



制度について大体わかったけど、利用しようか迷う…
そんな方に向けて、ここでは、保育所等訪問支援のメリットとデメリットの両面を整理します。
メリット
保育所等訪問支援は、園と保護者双方にとって以下のようなメリットがあります。
- 子どもの行動の背景や特性について理解が深まる
- 日常の保育や授業の中で実践できる支援方法を学べる
- 支援の方向性を園と保護者で共有しやすくなる



子どもの特性や日常の様子を私から園にうまく伝えるのが難しいと感じていましたが、支援員さんが整理して園に伝えてくれたので助かりました。園と家庭での対応が違うと子どもが混乱してしまうため、関わり方の方向性を共有できたこともよかったです。
デメリット
一方で、以下のデメリットも考えられます。
- 事前の説明や顔合わせ、日程調整など準備に時間がかかる
- 支援内容の共有が不十分だと、提案された関わり方が現場で実践されにくい
園や学校、訪問支援員、保護者の三者で、丁寧にコミュニケーションを取ることが大切です。
保育所等訪問支援の利用の流れ
保育所等訪問支援を利用する場合、通所受給者証が必要です。以下に、利用の流れを詳しく解説します。



すでに児童発達支援や放課後等デイサービスを利用していて通所受給者証を持っている場合は、保育所等訪問支援の追加申請のみが必要です。
市区町村の障害福祉課窓口へ相談し、通所受給者証を申請する。
申請には医師の診断書や意見書、発達検査の結果などの提出を求められることがあります。診断がない場合でも子どもの様子を聞き取りながら手続きが進むケースもありますが、自治体によって対応が異なるので確認しておくと安心です。
事業所の情報は自治体の窓口や相談支援事業所などから得られます。「保育所等訪問支援+自治体名」でネット検索すると情報を得られることもあります。
通っている園や学校に保育所等訪問支援を利用したい意向を伝えます。
通所受給者証が届き、利用ができることが決まったら事業所と契約します。
保育所訪問支援事業所と訪問先で日程を調整します。
▼通所受給者証の申請方法については詳しくはこちらの記事で解説しています


【園に嫌がられる?と不安な方へ】保育所等訪問支援をスムーズに利用するための伝え方
日頃から子どもを見てくださっている先生との関係は大切にしたいもの。保育所等訪問支援を利用したいけれど



園や学校に負担をかけてしまわないかな。外部の職員の訪問を嫌がられないかな
と不安に感じる保護者も少なくありません。
ここでは、保育所等訪問支援の利用を園や学校に希望する際の伝え方のコツを3つお伝えします。
園の意向を聞く
最初から導入を前提に話を進めるのではなく、まずは一度園の考えを聞いてから、導入の話を進めるのがおすすめです。「家庭でも対応に迷うことがあり、専門家に相談している」という経緯を添えて園の意向を聞いてみるといいでしょう。
訪問支援員は「先生の味方」であることを伝える
園や学校が支援員の訪問に対して抵抗がある場合は「支援員は先生を評価する立場ではなく、困りごとを解決する方法を一緒に考えるパートナー」であることを説明してみるといいかもしれません。
担任の先生の負担を減らしながら、子どもが過ごしやすくなる環境を整えたいという気持ちを伝えてみましょう。
訪問支援員と事前に打ち合わせる
園との関係が気になる場合は、訪問支援員に「園の方針を尊重してよい関係を維持しながら、先生と協力して進めたい」と事前に伝えておくと安心です。また、園の負担にならないような支援の進め方について認識を共有しておくと、園とのやり取りも円滑になります。
園や学校と協力して子どもに最適な環境を
保育所等訪問支援は園や学校、訪問支援員と情報を共有しながら、子どもが集団生活の中で安心して過ごせるように支援する制度です。
保護者・先生・訪問支援員の三者が協力することで、子どもがより過ごしやすい環境をつくっていくことができます。
「園での様子が気になっている」「専門家の助けが欲しい」そのようなときは、家庭だけで抱え込まずに、制度の利用を検討してみてください。
【参照】
保育所等訪問支援ガイドライン(令和6年7月)(詳細版①)|こども家庭庁
保育所等訪問支援ガイドライン (令和6年7月)|こども家庭庁














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