障がいのある子どもの送迎や外出には、家族の付き添いが必要になる場面が多くありますよね。中には、
障がいのある子の送迎や外出を誰かに依頼したい



仕事があって親が毎日送迎するのは難しい
とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで利用できる福祉制度として、移動支援があります。移動支援を利用すれば、障がいのある子どもが安心して外出できるようにガイドヘルパーが付き添い、移動のサポートをしてもらえます。
この記事では、実際に子どもが移動支援を利用している筆者が、移動支援の基本的な仕組みや利用方法などをご紹介します。
お子さんの外出に困りごとがある方はぜひ参考にしてみてください。
移動支援とは?
移動支援とは、障がいがあって一人での移動が難しい人の外出をサポートする福祉サービスです。
図書館や公園へのお出かけ、習い事の送迎など、日常生活に必要となる外出の場面で利用することができます。
外出に付き添うのは、基本的にはガイドヘルパー(移動支援従事者)です。ガイドヘルパーは障がいの理解や移動介助の方法などに関する自治体が定めた研修を受けており、利用者が安心安全に外出できるよう支援します。
移動支援は「障害者総合支援法」に基づく地域生活支援事業の一つで、自治体が地域の実情に合わせて制度を運用しています。そのため、対象者やサービス内容、利用可能時間利用料金などの細かなルールは自治体によって異なります。
自治体による差が大きいので、詳しくは障がい福祉課の窓口に確認してみてね!
移動支援の対象者
移動支援は基本的に「小学生以上で一人での移動が困難な方」が対象です。
詳しい条件は自治体により異なりますが、身体障害、知的障害、精神障害などの障害種別や障害者手帳の有無で基準を設けている場合が多いです。
また、対象年齢や利用条件も自治体により異なります。たとえば未就学児も対象に含まれる自治体、小学生と中学生は保護者の就労・疾病を条件とする自治体などさまざまです。



移動支援が利用できない場合、ボランティアによる外出の付き添いを利用できるケースもあります。筆者の自治体も未就学児は移動支援の対象外なので、未就学児のときは週1回の訪問リハビリの日に、保育園から自宅への送迎をボランティアの方にお願いしていました。
移動支援はどんな時に使える?
厚生労働省によると、移動支援事業の目的・内容は“屋外での移動が困難な障害児・者に対し、社会生活上必要不可欠な外出や余暇活動等の社会参加のための外出の支援を行うことにより、地域における自立生活・社会参加を促進”と定義されています。
引用:移動支援事業について|厚生労働省
具体的に、移動支援が利用できる外出の例としては以下のようなものがあげられます。
- 習い事への移動
- 公園への移動、遊び
- 図書館・児童館などへの訪問
- 動物園・水族館・イベントなどレジャー同行
- ショッピングモールへのお出かけや買い物
一方、通学や通所は対象外の自治体が多く、「通学・通所支援」という別の制度を設けていることもあります。
ただし、やむを得ない事情により例外的に移動支援を利用できる場合もあります、困った時は自治体窓口に確認してみましょう。



筆者の娘は現在週に1回、放課後等デイサービスを利用していない日に、放課後の活動サポートのために移動支援を利用しています。支援学校からの帰りにヘルパーさんがスクールバスの停留所まで迎えに行き、公園に立ち寄って散歩しながら家まで帰ります。娘は散歩が大好きなので、いつもご機嫌で帰ってきます。
移動支援のサービス内容
移動支援では、利用者がスムーズに外出できるように以下のようなサポートをしてもらうことができます。
- 歩行や車椅子操作の介助
- 券売機での切符購入など交通機関の利用支援
- 外出先で必要なコミュニケーション支援 など
外出中に必要な食事介助やおむつ交換などの排泄の介助は依頼可能な場合もありますが、事業所や担当者によってできる範囲が異なるので事前に相談が必要です。また、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアに関しても、自治体や事業所によって対応できる範囲が異なります。
そのため、利用前に「どのような介助が必要か」「どこまで対応可能か」を具体的に伝え、事前に確認しておくことが大切です。



筆者の娘の場合、てんかん発作への対応について事前に相談しました。移動支援中に発作が起こった場合は保護者に連絡がきて、迎えに行くかすぐに帰宅するか相談する対応になっています。
なお、医療的ケア児など通常のガイドヘルパーでは対応が難しいケースに対応できるよう「医療的ケア児移動支援」や「看護師同行の通学支援」の制度を設けている自治体もあります。
移動支援の利用料金
移動支援の利用料金は原則1割負担です。ただし、移動支援は地域支援事業であるため、サービスの単価や算定方法などの料金体系は、全国一律ではなく自治体ごとに異なります。
さらに、月ごとの自己負担には上限があり、利用回数が増えても、自己負担は上限額までに抑えられます。
上限額は自治体によって異なりますが、多くの自治体では以下のように年収に応じた区分が設けられています。
| 生活保護、非課税世帯 | 0円 |
| 市民税所得割額が28万円未満※(18歳未満の場合) | 4,600円 |
| その他 | 37,200円 |
※年収おおむね890万以下
また、移動支援以外の障がい福祉サービスを利用している場合には、負担額が上限を超えないように調整されたり、上限を超えて支払った額が還付される場合があります。
詳しくはお住いの自治体窓口で確認してみてね!
その他、ヘルパーが同行する際の交通費や施設の入場料などは利用者の自己負担です。ただし、公共交通機関の運賃や施設利用費は介助者にも障害者割引が適用されることも多く、通常より費用を抑えて外出が可能です。
外出中のヘルパーの飲食代は原則ヘルパー自身が負担しますので、利用者の負担はありません。
利用までの流れ
移動支援を利用するためには、受給者証が必要です。以下に利用までの大まかな流れを紹介します。支給決定には時間がかかることが多いので、利用したいと思ったら早めに申請しましょう。
移動支援を利用したいと思ったら、まずは市区町村の福祉担当窓口で利用可能か確認しましょう。自分や子どもの状況、外出の目的、必要な支援内容について相談します。
移動支援が利用できることが確認できたら、必要書類を準備して申請を行います。申請書のほか、障害者手帳のコピーや医師の診断書、保護者の就労証明書などが必要な場合もあります。
移動支援のサービスを提供する事業所を探し、利用したい事業所に連絡をして、利用可能か確認します。
以下の方法で事業所を探せます。
- 役所の発行する事業所一覧から探す
- 相談支援専門員に相談する
- 利用している福祉サービス支援者に聞いてみる
- 「〇〇市 移動支援 事業所」でネット検索してみる
申請が通ると、サービスの利用に必要な受給者証が発行されます。
希望の事業所と面談をして契約後、移動支援の利用が開始できます。



筆者が自治体の窓口に相談に行った際には「まずは事業所を見つけてから申請をしてください」と言われました。利用の流れも自治体によって違うので、まずは役所の窓口に相談するのが一番スムーズです。
移動支援を上手に使って安心して外出を
移動支援は障がい児の外出をサポートする福祉サービスです。支援範囲や利用条件、利用料金など実際の運用は自治体ごとに異なるため、住んでいる地域の状況を確認することが必要です。利用したいと思ったら、まず市区町村の窓口で相談してみましょう。
移動支援は子どもの社会参加を広げることはもちろん、日々の生活を支える仕組みです。子どもとの外出が大変、と家族だけで抱えなくても大丈夫。必要なときは支援に頼ってみてください。
参考:
大阪市|大阪市における移動支援事業の概要
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000049340.html?utm
広島市公式ウェブサイト|移動支援事業
https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/fukushi-kaigo/1014921/1006076/1006087/1029772/1022183.html
千代田区ホームページ |移動支援事業
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kenko/shogaisha/techo/zaitaku-nichijo-shien/shienjigyo.html













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