発達障害の子どもからは友達が離れていく？主な原因や友達作りのコツ、周囲ができるサポートをご紹介

発達障害のある子どもは「周りの子と“同じ”ように行動することが難しい」と感じることで自信を失ってしまい、友達関係を築くのに苦労する場合があります。

そんな不安を抱えていらっしゃる保護者の方も多いのではないでしょうか。

子どもの将来を思うとき、友達関係は親として最も気がかりなものの一つです。わが子の孤独な姿を見るたびに胸が痛み、この先ずっと一人ぼっちになってしまうのではないかと心配になりますよね。

本記事では、発達障害の子どもから友達が離れていく原因や友達作りのコツ、親としてできる具体的なサポートなどをご紹介します。子どもの個性や特徴を活かしながら健やかな友達関係を育んでいく方法を、一緒に考えていきましょう。

発達障害の子どもから友達が離れていくのはなぜ？

発達障害のある子どもが友達関係の構築に苦労する理由には、特性が関わっている場合があります。友達関係に影響を与える可能性があるのは、主に以下のような要因です。

コミュニケーションを取るのが苦手

発達障害のある子どもは、言葉の理解や表現が難しいケースも少なくありません。例えば「今度遊ぼう」という約束を具体的な日時として捉えられなかったり、相手の表情や声のトーンから感情を読み取るのが苦手だったりします。

また、自分の気持ちを適切に伝えられず、友達との間に誤解が生じてしまう場合もあります。

不注意や多動性によるトラブル

集中力の持続が難しかったり、衝動的に行動してしまったりする特性から、友達との約束を忘れてしまったり、順番を待てずに割り込んでしまったりする…わが子を見ていて、そのように感じている方も多いのではないでしょうか。

また「興奮すると声が大きくなってしまう」「友達の物を確認せずに借りてしまったりする」との声も聞かれます。

感情のコントロールが難しい

発達障害のある子どものなかには、感情の波が大きく、急に怒ったり泣いたりしてしまう子もいます。些細なことで大きく落ち込んでしまったり、予定の変更に対して強い不安を示したりするケースも多いのが特徴です。

このような感情の起伏の激しさに、友達が戸惑いを感じる場合があります。また、パニックになった際の対処が難しく、周囲の子どもたちが距離を置いてしまうことも多いようです。

空気を読みすぎてしまう

発達障害のある子どものなかには、周囲の空気を必要以上に読もうとする傾向がある子もいます。また、友達の些細な表情の変化や言動に過剰に反応してしまい、自分を責めてしまったり不安になってしまったりする子も少なくありません。

その結果、友達との関係に過度な緊張を感じ、自然な交流が難しくなってしまう場合があります。

発達障害の子どもが友達を作るためのポイント

友達関係の改善には、子どもに合った適切なアプローチが必要といえます。個人差はありますが、具体的なポイントは以下のとおりです。

会話のキャッチボールを練習する

日常的な会話の練習を通じて、コミュニケーション能力を少しずつ育んでいきましょう。例えば「おはよう」「ありがとう」といった基本的な挨拶から始めて、徐々に「今日は何して遊ぶ？」「それ、面白そうだね」といった会話のキャッチボールができるように練習していきます。

また、相手の話を最後まで聞く練習や、質問をする練習も効果的です。具体的な場面を想定したロールプレイを行うことで、実践的なコミュニケーション力を身につけられます。

スケジュール管理やマナーを再確認する

社会的なルールやマナーについて、具体的な例を挙げながら丁寧に説明していきましょう。例えば「人の物を借りるときは必ず許可を得る」「約束の時間は守る」などの基本的なルールから「相手が話しているときは最後まで聞く」「困っている人がいたら声をかける」といったより細かいマナーまで、段階的に学んでいけるようにします。

「分からない」「助けて」を出す練習をする

困ったときやわからないときに適切に助けを求められるのは、発達障害の有無にかかわらず心強いスキルです。「わからないときは恥ずかしいことではない」「困ったときは周りの人に相談してもいい」と、繰り返し伝えていきましょう。

最初は保護者や先生に対して練習し、徐々に友達にも伝えられるようにしていきます

今日からコツコツ！発達障害の子どもが友達を作るために親ができる6つのサポート

そう考えている方に向けて、子どもの社会性を育むために親ができるサポートを6つ挙げていきます。

サポート1. 特性を親子で理解する

発達障害の子どもが友達を作るためには、まず親子でその子の特性を理解する姿勢が大切です。「何が得意で何が苦手か」「どのような伝え方が効果的なのか」を把握できると、“友達作りに活かせるポイント”や“無理をして練習しても改善が難しいこと”が明確になります。

この理解が、子どもの自信を育て、適切な支援を行う基盤になると言っても過言ではありません。

サポート2. 子どもが安心できる居場所を作る

学校や友達関係でストレスを感じた際、家で十分に気持ちを受け止めてもらえると、子どもは心の安定を取り戻しやすくなります。「学校や友達のことで困ったらおうちでゆっくり吐き出せばいいよ」と声をかけるなど、子どもに「家庭は安全な避難所」と認識させてあげましょう。

また、習い事や地域のサークルなど趣味や特技を活かせる場所を見つけると、新しい友達関係を築くきっかけになる場合もあります。

サポート3. 自己肯定感を育てる

子どもの自己肯定感を育むことは、健全な友達関係を築くうえで重要な土台になります。そのため「できないこと」ではなく「できること」に注目し、小さな成功や進歩を具体的に褒めていきましょう。

例えば「友達に優しく声をかけられたね」「順番を守って遊べたね」といった良い行動ができた場面を見逃さず、具体的な言葉にして伝えるのが大切です。また、子どもの興味や得意分野を活かせる機会を作って、自信を持てる場面を増やしていくのも有効です。

サポート4. アドバイスは具体的に伝える

発達障害の子どもは、抽象的な表現よりも具体的な指示の方が理解しやすい傾向があります。そのため、アドバイスはできるだけ具体的に伝えることが効果的です。

例えば「友達に挨拶をしよう」というよりも「朝会ったら『おはよう』と言おう」といった具体的な行動を示すなどです。他にも「友達が転んで泣いているときは、『大丈夫？痛くない？』と声をかけてあげよう」「遊びに誘うときは『〇〇時から△△で遊ばない？』と、時間と場所を具体的に伝えよう」とわかりやすいパターンを用意してあげると、子どもは行動に移しやすくなります。

サポート5. 必要に応じて学校や専門機関と連携する

わが子から友達が離れていく様子を見るのは、とてもつらいものですよね。

子どもが大切だからこそ、そんなときもあるのは自然なことです。

そのため「子どもからしっかり話を聞いて、家庭でなんとか解決しなくては」と背負いすぎず、担任の先生や特別支援教育コーディネーターと定期的に情報交換をしながら、学校での様子や友達関係について把握できる環境をゆっくり整えてみましょう。

必要に応じて、クラスメイトへの理解促進や支援体制の整備について相談するのも一つです。

▼友達作りに悩んでいるわが子への声かけや自己肯定感を育てるための方法を学ぶには「ペアトレーニング」もおすすめです！

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「友達ができない＝悪いこと」ではない

大前提として「友達ができない＝悪いこと」ではありません。

発達障害の特性や周囲の環境が影響して、友達作りが難しい場合もあります。しかし、発達障害の有無に関係なく、賑やかに遊ぶのが好きな子もいれば、一人で静かに過ごすのが好きな子もいます。

そのため、無理に友達を作らせようとせず、子どものペースを尊重しましょう。

「枠」に当てはめない！子どもが心地よいと感じる友達関係を目指そう

友達関係の構築に時間がかかっても、焦る必要はありません。「発達障害だから」「わが子はこんな特性があるから」と枠に当てはめず、子どものペースでまずは自己肯定感を育ててあげましょう。

大切なのは、わが子なりの友達との関わり方を、一緒に見つけていくことです。困ったときは、専門家や支援機関に相談することもためらわないでくださいね。