子どもに医療的ケアが必要だけど、保育園に入れる?
育児休業中なのに復帰できるか不安…
今育児休業を取得している医療的ケア児のママ・パパの中には、さまざまな理由から育児休業から復帰できるかどうか不安に思う方もいるのではないでしょうか。実際に「医療的ケア児を保育園に預けるのが難しい」と言われて職場復帰の目処が立っていない方もいるかもしれません。
今回の記事は、そんなママ・パパを応援する気持ちで、医療的ケア児のママ・パパが育児休業から復帰する流れや保育園を探す際のポイント、預け先がないと言われた時にできることについてお伝えしたいと思います。
医療的ケア児の親が育児休業から復帰するのは難しい?
医療的ケア児の親が育児休業から復帰することがまだ難しい地域もあることは残念ながら事実です。理由としてよくあるのは「預け先がない」ということ。仕事に復帰するためには医療的ケア児を預かれる保育園が住んでいる地域にあることが必要ですが、「看護師がいない」「看護師はいるが医療的ケアができない」など、受け入れ体制が整わないために預かりを断られるケースがあります。
また、自治体によっては子どもの状態を見て「集団生活が難しい」と判断する場合もあり、医療的ケアだけでなく障がいの程度や発達の進み具合で保育園に通うことが困難になるケースもあります。
しかし、2021年に施行された医療的ケア児支援法の影響もあり、少しずつではありますが医療的ケア児が保育園に入園できる事例も増えてきています。
まずは自治体の窓口や担当の保健師などに相談し、ご自身のお住まいの自治体の保育園では医療的ケア児の保育園受け入れ状況がどうなっているのかを確認することが大切です。
▼医療的ケア児支援法について詳しくはこちら
医療的ケア児の親が育児休業から復帰するまでの流れ
地域に受け入れ可能な保育園がある場合、医療的ケア児の親が育児休業から復帰するまでの流れは、基本的には健常児の場合の流れと変わりません。自治体の保育担当窓口に相談し、保育園入園の申し込みをして結果を待つことになります。
ただし、入園前に医療的ケアの引き継ぎや日中の過ごし方・配慮が必要なことについての共有など、話し合いの機会が何度か必要な可能性が高いのであらかじめスケジュールを確認しておけると安心です。
▼実際に医療的ケア児が保育園に入園した体験談を読むとより理解しやすいです。
医療的ケア児の親が育児休業から復帰するためのポイント
仕事に復帰するまでの流れは変わりませんが、保育園探しの際に注意してほしいポイントが一つあります。それは、できる限り早めに自治体に相談するということです。
認可保育園への入園を希望する場合、入園希望時期(育児休業からの復帰時期)の申し込み締め切り日が定められており、そこまでに申請手続きをすることが必要です。(自治体によっては独自のルールの場合もあります)
医療的ケア児の場合、一般的な申し込みの流れを想定して相談を始めるのでは遅い場合があります。
医療的ケア児を保育園が受け入れるためには、加配の保育士や看護師の配置、園内での過ごし方の調整などが必要です。そのため、予算をとるなど自治体側で受け入れ体制を整える必要があり、規定の申込から入園までの期間よりも時間がかかる可能性があります。
受け入れ体制を整えるには、数ヶ月〜場合によっては年単位で時間がかかることもあります。そのため、育児休業からの復帰時期が先であったり、保育園に行くが悩んでいても、なるべく早い段階で自治体へ相談をしておくことがポイントです。
生まれてすぐに相談に行ったとしても早すぎるということはありません。産後のママの体調や生活が落ち着くことを優先にしつつ、行ける段階になったらなるべく早く相談に行きましょう。新生児訪問で自宅に来た保健師に相談するのも一つの方法です。
預け先が見つからず職場復帰が難しい場合はどうしたらいい?
早めに自治体に相談しても、医療的ケア児を預かれる保育園がないと言われて職場復帰の目処が立たない、という方もいるかもしれません。その場合にもまだできることはあります。
訪問保育など障がい児向け保育サービスがあるかどうか確認する
地域によっては通園が難しい子どものための訪問保育という制度があるところもあります。お住まいの自治体で訪問保育の制度があれば、それを使って仕事に復帰することができる可能性があります。
親子分離で通える児童発達支援を検討する
保育園や保育事業を利用できない場合、児童発達支援施設に預けて仕事をしている方もいます。子どもを預かる時間は保育園よりも短いところが多いですが、勤務体系や勤務時間によっては預けている間に働ける可能性はあります。
ただし、本来児童発達支援施設は就労支援のための施設ではありません。就労目的と判断されると利用できない可能性もあるため、注意が必要です。
▼児童発達支援についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
医療的ケア児コーディネーターや相談支援専門員に相談する
関わっている支援者の中に医療的ケア児コーディネーターや相談支援専門員がいれば、相談してみるのも一つの方法です。担当者次第ではありますが、医療的ケア児を受け入れしている保育園や施設を知っていたり、受け入れてくれるよう働きかけてくれたりする場合もあります。
医療的ケア児支援センターに相談する
各都道府県に設置されている「医療的ケア児支援センター」に相談してみるのも有効です。医療的ケア児の相談についてはプロですから、自治体の窓口よりも詳しい情報を持っている可能性もあります。受け入れできる施設がないかどうか、働く方法がないかどうか相談してみましょう。
自治体と話し合う
受け入れられる保育園がどうしても見つからない時は、改めて自治体と話し合うこともやってみる価値はあります。一度は保育園への入園が難しいと断られても、自治体との話し合いを重ねて入園が叶ったケースも中にはあります。
筆者の友人のママは、必要な配慮や医療的ケアについてなど子どもについての情報を資料にまとめ、それをもとに自治体の職員と話し合いの結果受け入れ可能な保育園が見つかったと言っていました。労力が必要な方法なので万人におすすめはできませんが、実際の成功事例としてお伝えします。
自治体の議員に相談してみる
上記の方法でやってみた上で、それでも保育園が見つからない、という場合、お住まいの地域の議員(市議会議員・町議会議員・区議会議員)に相談してみることも手段としてはあります。
「議員に相談する」というのは多くの方にとってなかなかハードルが高いですよね。でも、議員は市民の生活の困りごとをキャッチして反映していくことが仕事。それをきっかけに役所が対応してくれる可能性もあります。医療的ケア児の問題というのはなかなか知られていないので、市として課題とすら認識していないこともあるのです。
直面している問題に対して「困っている」と声を上げることで、改善に向けて動いてくれたり、長期的には新しいサービスを検討してくれたりする可能性もあります。
今ご紹介した方法の中には、実行するのに勇気や労力が必要なものもあります。この記事にたどり着いたあなたは、今でももう十分頑張っているはず。無理にすべてをやらなきゃと思わなくても大丈夫です。もし今どうしても育児休業から復帰しなければいけない、という時には上記手段を取ることも考えてみてください。もちろん、育児休業を延長する、介護休暇をとるなど、作戦を練る時間をとるのもありです。
流れやポイントを押さえて育児休業からの復帰を目指そう
医療的ケア児の親が育児休業から復帰するためには、まだ環境が整い切っていないことが現実です。その中でも仕事に復帰している方も確実にいますので、まずはお住まいの地域での医療的ケア児支援の状況はどうなのか、という情報収集から始めることが第一歩です。
育児休業から復帰するにあたって、預け先を探すための相談にはなるべく早めに行くことがとても大事なポイントとなります。まずは自治体の窓口や担当保健師に相談してみてください。医療的ケア児支援センターも相談に乗ってくれるはずです。
うまくいかないときは今回お伝えした方法も視野に入れてみてください。心細い時にはファミケアアプリでも同じような方に出会うことができます。
あなたの職場復帰をファミケアは全力で応援しているよ!!
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