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NICUは何の略?読み方や歴史の背景を紹介

NICUはなんの略?
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「NICU」という言葉をきいたことがありますか?

NICUの名前は知っていても、正式名称を知っている方は少ないのではないでしょうか。

NICUとは、新生児を対象とした集中治療室のことです。

日本は世界でもトップクラスの「赤ちゃんが安全に生まれる国です。その背景には、NICUの全国への普及があります。

この記事ではNICUの正式名称と、NICUの歴史について紹介していきます。

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目次

NICUの正式名称と略称

NICU新生児集中治療室の略称です。エヌアイシーユーと読みます。

英語では

Neonatal新生児

Intensive集中的

Care治療

Unit病棟

という名称で、その頭文字をとってNICU(エヌアイシーユー)と呼ばれています。

NICUは普通の新生児室と違い、赤ちゃんの呼吸や心拍を監視・管理するための特別な設備が整っており、より高度な医療を受けることができます。早産や低体重、先天性の疾患などがあり、呼吸・循環の観察やサポートが必要な赤ちゃんが対象です。

小児科医と看護師が常駐しており、24時間体制で赤ちゃんの呼吸や心拍をモニタリングしながら一人ひとりに必要な医療を提供し、成長をサポートしています。

▼NICUについてはこちらの記事でも詳しく解説

NICUの歴史と背景

NICUが設置された背景には、新生児医療の発展の歴史があります。

かつて、1940年頃までは日本の乳児死亡率は100以上(出生1000人に対して)であり、10人に1人の子どもは生後1年以内に亡くなっていました。それが今では日本の乳児死亡率は1.8(出生1000人に対して)であり、世界トップレベルの低さを誇っています

乳児死亡率が下がった大きな要因として、一つは乳児の肺炎や下痢の治療が改善したこと。もう一つの要因は、今まで助けることのできなかった新生児、未熟児を救えるようになったことがあげられます。

新生児医療は、妊産婦が専門の産科と乳幼児が専門の小児科のはざまにあり、その特殊性から見過ごされてきた分野でした。世界で新生児医療が発展してきたのは、1800年代後半のこと。日本に関しては、ここ80年で急激な発展を遂げています。

1880年~1900年代初頭

世界で初めてフランスの病院に保育器が設置され、新生児医療の発展の源となりました。その後、新生児医療はヨーロッパを経てアメリカ、日本へ伝わっていきます。

1896年、東京大学病院に育嬰室(乳児保育室)が設置され、未熟児の治療が始まりました。

1901年には東京大学病院が日本で初めて保育器を設置します。

1950年代

日本国内で新生児医療が広まり始めます。

1955年には、未熟児用の経管栄養チューブが開発されました。ミルクを飲む力の弱い小さな赤ちゃんに充分な栄養を届けられるようになったことで、助かる命が増えました

1958年には未熟児療育医療制度が開始され、未熟児の治療を国が後押しするようになります。

1960年代

1960年~1970代にかけて、日本の各地に未熟児センターが開設。

1970年代

人工呼吸器の開発により、より高度な呼吸管理ができるようになりました。医療技術の進歩から、これまで助けられなかった命を助けることができるようになり、新生児医療の目標が「命を救うこと」から「後遺症なく育てること」 へとかわりました。それに伴い治療対象が拡大し、未熟児だけでなく先天性疾患を持ったハイリスク児も対象となりました。

そこで、未熟児センターはNICU(新生児集中治療室)へと名前をかえていきます

ライター Kana

1976年には鹿児島で5つ子が生まれました。未熟児だった5人全員が障がいなく成長したこのニュースによって、更に新生児医療が注目されていきます。

この頃、小児科と産科が連携した周産期母子センターが日本で初めて設置されました。

1980年代~1990年代

各地で周産期母子センターが開設され、地域で新生児医療を担う基盤ができました。

1988年には、当時世界で最も低い乳児死亡率4.8を達成します。

2000年代

地域での周産期医療体制や、搬送体制が整いました。

2020年には全国のNICU病床数は40.4床(出生1万人対)で、国が目標とする25~30床という数値を大幅に上回っています。

赤ちゃんの健やかな成長を願って

小さく生まれた赤ちゃん、疾患をもって生まれた赤ちゃんが一生懸命に生きている場所が、NICUです。日本の新生児医療はここ80年で急速に発展し、現在は世界トップレベルになりました。小児科医や看護師、助産師等のスペシャリストが24時間子どもを見守り、成長の手助けをしています。

ライター Kana

NICUは子どもが病気と闘う場で、親として時に苦しい思いもしましたが、小さな命が集まる希望にあふれた場所です。赤ちゃん一人ひとり抱える疾患も、病状も違いますが、必ずその子なりの成長を見せてくれます。今日も頑張る子どもたちが、1日も早くご家族と一緒に過ごせるように、願っています。

▼この記事は以下のサイトを参照して執筆しました。

・人口動態100年の年次推移|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/www1/toukei/10nengai_8/hyakunen.html

・我が国の近代新生児医療の来し方と将来への展望|東京女子医科大学名誉教授 仁志田博司
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspnm/58/4/58_596/_pdf/-char/j

・NEWSLETTER vol. 2 2015|国立国際医療研究センター 国際医療協力局
URL:https://kyokuhp.ncgm.go.jp/library/newsletter/2013-2015/nl2015_02.pdf

・新生児医療の変遷 と今後の展望|昭和大学医学部小児科学教室 奥山和男
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/56/5/56_5_485/_pdf/-char/ja



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この記事を書いた人

6歳長男が稀少遺伝子疾患によるてんかん性脳症、重症心身障がい児。
次男、夫と4人でまったり田舎暮らしをしています。
保健師の資格を持ち、看護師の仕事をしながら文章を学ぶかけだしライター。

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