筆者の息子は生まれつき耳が不自由な難聴児で、補聴器を装着して生活しています。筆者は仕事をしているため、息子は平日の日中は保育園に通っているのですが、保育園でも補聴器を装着して過ごしています。
この記事では難聴児である息子がどのように保育園生活を過ごしているのか、また保育園にお願いしていることや、他の子どもたちに補聴器について尋ねられた時の答え方などをご紹介します。
息子について
- 2019年生まれ(執筆している現在は年少)
- 中等度の先天性感音性難聴
- 発達遅滞(4歳直前に独歩を獲得)
- 難聴、発達遅滞共に原因不明
補聴器を装着して保育園へ通うことができる?
保育園に補聴器を装着して通うことができるかどうかは、最終的に保育園が判断します。
保育園で受け入れが可能であれば、補聴器をして保育園へ通うことができます。
保育園によっては、受け入れを拒否されてしまうケースもあるかもしれません。保育園によって園の人員や状況はさまざまなため補聴器を適切に扱えないという判断があってこその拒否されてしまう場合もあります。
保育園探しは大変ですが、安心して保育園に通うためにも、無理に押し通そうしないことも大切です。
筆者の息子の保育園も、補聴器を装着した子どもの受け入れは初めてでした。しかし「少しずつ補聴器の扱いを覚えていくようにします」と快く受け入れてくれました。
前例がなくても前向きに受け入れてくれる保育園なら、保護者も安心して通わせることができます。
補聴器をつけて保育園へ行きたい時の依頼手順
「補聴器を装着して登園するとは聞いていない」
「そんな高価なものを持ってこられるのは困る」
などのトラブルを避けるため、補聴器を装着して保育園に行きたい場合は、入園前に保育園に装着しての登園を許可してもらう必要があります。
ここでは許可を得るための依頼の手順をご紹介します。
1.役所に保育園入園希望を伝える際に補聴器の装着が必要な事を伝える
障がい児が保育園への入園を希望する時は、入園希望の書類を提出する前に、市区町村の役所(保育課など)に入園希望を相談する必要があります。その際に、子どもが保育生活の中で補聴器を装着しなければならないことを伝えましょう。
筆者が役所に相談した時に伝えたのは「補聴器が必要です」程度でした。役所からは「詳しい内容は保育園に直接お伝えください」と言われ、その後の保育園とのやり取りに役所が介入することもありませんでした。
2.保育園の園長と担任に補聴器について説明する
役所から保育園に「障がい児の入園希望が入りました」という連絡が入ると、次は保育園とのやり取りが始まります。
筆者は保育園を訪問し、園長と代表の保育士と3人で面接をしました。
この時に、「どうして補聴器が必要なのか」「補聴器を装着してる時の接し方」などを詳しく説明します。
補聴器の必要性を説明する時、筆者はよく眼鏡を例に挙げます。「視力の弱い人が眼鏡をかけるように、聴力の弱い人は補聴器が必要なのです」と伝えると、すんなり理解してくれるケースが多いです。
また、補聴器はとても高価な物なので、場合によっては「保育園は紛失や故障などの責任は負いかねます」などの覚え書きを書く必要があるケースもあるようです。
そして面談から数日後、保育園から受け入れの可否が伝えられます。許可が下りれば、健常児と同じ入園手続きが始まります。
補聴器の扱いについて保育園にお願いしていること
補聴器を装着した息子が保育園に通うにあたり、園長先生や担任含め、保育園に補聴器の扱いについてお願いしていることがあります。
1.補聴器の装着方法を覚えてもらう
筆者の息子の補聴器は、装着の際にちょっとしたコツがいります。どのように耳にはめるのかレクチャーし、装着方法を覚えてもらいました。
入園したての頃は「もし装着できなければ装着しなくても大丈夫です」と保育士に伝えていました。保育園の先生方には最初から完璧を求めず、少しずつ補聴器の扱いに慣れてもらえれば良いと考えていました。
2.水遊びの時やお昼寝の時は補聴器を外し、ケースに保管すること
補聴器は水に弱いので、夏に水遊びをする際は必ず外すようにお願いしていました。
また、就寝時に装着したままだと寝づらかったり、ハウリング(キーンと高音が鳴る)が起きるため、お昼寝の時も外すようお願いしていました。
そして大事なのは、補聴器を外した時に必ずケースに保管してもらうことです。補聴器は小さいので、おもちゃに紛れ込んだり紛失しないように気を付けてもらっています。
3.補聴器を嫌がって外したら無理に再装着しないこと
筆者の息子は補聴器の装着を嫌がったり、違和感を訴えて補聴器を外すことがあります。そんな時は「無理に再装着はしないように」と保育園にお願いしています。
嫌がっている時に無理に装着させようとすると、補聴器の装着自体を拒否するようになる事があるからです。
また、拒否している理由として、耳垢がたまっていたり、中耳炎を起こしている場合もあります。保育園で様子を観察してもらい、降園時に状況を説明してもらいます。
筆者の息子の場合、執拗に耳を触っていたり、鼻水が出ている時は、中耳炎を起こしていることがあります。保育園の様子を聞いて少しでも疑問に思った時は、耳鼻科で診てもらうようにしています。
補聴器を装着して過ごす保育園の1日
補聴器を装着している筆者の息子が実際にどのように過ごしているかをご紹介します。
登園時:補聴器を装着して登園、装着を嫌がる時は補聴器を持参して登園
朝、着替えを終えたら補聴器を装着します。しかし嫌がる日も多々…。そんな時は補聴器をケースに入れて登園し、教室に入る直前に装着します。
筆者の息子は保育園に到着してからの方がすんなり装着してくれる場合が多いのです。なぜなのでしょうか…
お昼寝の時:登園バッグの中にあるケースに補聴器をしまう
給食が終わるとお昼寝の時間。登園バッグの中にいつも入れているケースに補聴器をしまってお昼寝をします。
これまでは保育士が全て対応していましたが、最近では息子自ら補聴器を外してケースにしまうそうです。「自分の事は自分でやる」が少しずつ身についていて嬉しいです。
お昼寝から起きたら:保育士に補聴器を装着してもらう
お昼寝が終わると再び補聴器を装着します。筆者の息子は補聴器を外すことはできますが、装着はできないため、保育士に装着してもらいます。
降園時:補聴器を装着しているか確認して帰宅、装着してない時はケースを確認
降園時は補聴器が装着されているか、耳元をチェックしてから帰宅します。もし装着されてない時は登園バッグ内のケースにしまわれていることを確認します。
現在はお昼寝の時間以外は装着し続けられるようになりましたが、入園したての頃は外すことが多かったようです。
そこで降園時に「今日はどれくらい装着してましたか?」と尋ね、装着時間を確認するようにしていました。そして、少しでも多くの時間を装着できるようになっていた時は「がんばったね!」とたくさん褒めるようにしていました。
補聴器は貴重品だけど必需品。装着しながら保育園で過ごすには保育園との信頼関係が大事!
補聴器はとても小さく失くしやすい上に数十万円と高価な貴重品です。しかし難聴児にとっては日常生活においてなくてはならない必需品です。
保育園には補聴器を扱うにあたってのお願いを守って頂きたいですが、補聴器や難聴児自身を預かってもらっていることに対して、感謝の気持ちを忘れないことも大切です。
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