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子どもが胃ろう手術を受ける!当日の流れは?入院日数はどのくらい?【経験談を紹介】

子どもの胃ろう手術の経験談紹介記事のアイキャッチ画像
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子どもが胃ろう手術を受けることになったら、それで生活が改善するとわかっていても、やはり心配、という親御さんも多いのではないでしょうか。

まして周りに経験者がいて話を聞けたり、同じ状況の人と話して励ましあったり、ということができないと、どう不安を解消したらいいのかわからない、ということもあるかもしれません。

でも、検索してみても出てくるのは高齢者向けの処置としての情報が多く、子どもの胃ろうに関しては情報がなかなか出てきません

経験談となるとさらに難しく、ブログもなかなかヒットしないですし、周りに経験者のパパやママがいなければ、情報を得るのは大変です。

そこで今回は、実際に子どもが胃ろうの手術を受けた筆者の体験を元に、3記事に渡り、リアルな経過や感想、胃ろうのメリットデメリットや実際の生活などを書きたいと思います。

今回はその一つ目、お子さんが胃ろうの手術を受けると決定した方に向けた、実際の手術に関する記事です。

子どもが胃ろうの手術を受けることになったけど、実際手術の日ってどんな1日になるんだろう?

手術ってどれくらい時間がかかるの?

どれくらい入院するの?

といった疑問を持つ方にお届けしたいと思います。

目次

胃ろうにする経緯と踏み切る決め手

まずは、息子がなぜ胃ろうにしたのかどのタイミングで胃ろうにしたのか、ということを詳しく書いていきます。

胃ろうとは…
経管栄養の一種で、胃に穴を開け、カテーテルを通してそこから栄養を注入できるようにする医療的ケア。文脈によって意味が異なり、「手術」の意味で使う場合や、「栄養摂取方法」の意味の場合、つけているデバイス自体のことをいう場合などがあります。

参照:胃ろうについて|明石医療センター
URL:https://www.amc1.jp/center/naishikyo/detail18.shtml

胃ろう手術前の子どもの状態は?

手術前の息子の状態は、簡単にまとめるとこんな感じでした。

・年齢:1歳8ヶ月
・経鼻経管栄養(EDチューブ※使用)歴1年半
・嘔吐が非常に多い状態で、胃軸捻転、胃食道逆流の診断
・生後4ヶ月くらいまではNGチューブを併用していたが、嘔吐が多いためEDチューブのみに。
・栄養剤はエネーボを使用
・1日5回、200ccを1時間半かけて注入。(ポンプ使用)

※EDチューブとは?
鼻から腸までの管を入れて栄養を摂取する経管栄養の一種。胃まで挿入するNGチューブと異なり、X線透視下で医師が入れる必要があり事故抜去には特に注意が必要な医療的ケア。

胃ろう手術をすることになったきっかけ・原因

手術をすることになった直接のきっかけは、病気が見つかったからでした。

当時の息子は、嘔吐の回数が異常に多かったです。

通常の時で1日5〜10回、多い時で15回くらい吐く時もあり、毎日心配が絶えませんでした。

生活も大変で、胃の中に何も入れていないとはいえ、胃液を吐いてしまうので着替えや掃除にてんてこまいの日々。外出先でも「今吐いてしまったら」とヒヤヒヤして、なかなか外にも出られない状況でした。

月に一度の定期受診の際に、毎回医師には相談していましたが、「様子を見ましょう」としか言われずモヤモヤして過ごしていました。

でもある日、担当医に、「1歳になったし、そろそろもう一回検査してみる?」と言ってもらえたことで状況が変わりました。息子はGCUに入院していたことがあり、その時に一度、逆流の検査とレントゲンはしていたのですが、もう少し詳しい検査を、と、内視鏡検査をすることに。

その結果、食道裂孔ヘルニア」という病気が見つかったのです。

※食道裂孔ヘルニアとは
胸とお腹を隔てている横隔膜には、食道がぎりぎり通る隙間があります。これを「食道裂孔(れっこう)」といいます。「食道裂孔ヘルニア」とは、胃がこの裂孔から胸へ飛び出してしまった状態です。ヘルニアは胃液が逆流しやすくなり、食道炎を起こします。

引用元:もっとよく知る!病気ガイド「食道裂孔ヘルニア」|兵庫医科大学病院
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/134

胃ろう手術の実際の流れや手順を紹介

食道裂孔ヘルニアは手術をしないと治らない病気だと言われたので、手術をすることに迷う余地はなかったです。すぐに日程を決めて、診断からひと月後には手術を行うことになりました

ライター小澤

ただもちろん不安はとてもありました。そのあたりは次回の記事で具体的にお伝えしていきます。

息子が受けた手術

息子の場合、胃ろう手術だけではなく、食道裂孔ヘルニアの処置と、胃ろう造設、二つの手術を同時に行いました。

そのため、胃ろう手術のみの場合とは異なるところが多いと思いますが、参考までに簡単にまとめておきます。

  • 行った手術:逆流防止手術(ニッセン法)&胃ろう造設
  • 方法:腹腔鏡下手術
  • 説明されたリスク:周囲組織や臓器の損傷、食道・胃の通過障害、胃ろう部のトラブル(漏れ、皮膚の炎症・ただれなど)
ライター小澤

「ニッセン法」とは簡単に言うと「胃の入り口を縛って逆流しないようにする手術」だそうです。そのため、嘔吐することはなくなるけれど、「げっぷができなくなるため炭酸飲料は飲めないよ」とも医師に言われました。

逆流防止術についての説明資料
説明時の資料

手術当日のこと

入院は手術の前日に行い、その日の夜から絶食となりました。

ライター小澤

息子はEDチューブで栄養を流していたので、その栄養を止める、ということだけで、それによる特に影響(空腹でグズるなど)はなかったように思います。

そして迎えた手術当日。緊張と、この手術が終われば嘔吐がなくなる!という期待感と、不安とがごちゃ混ぜになったような気分でした。

夫と二人で息子を手術室に見送った後、私たちは「家族待機室」へ。何かあったらすぐに来れるよう、手術中に誰かしら必ずいてほしい、と言われました。家族待機室は簡易的なもので、椅子とテーブルがあるだけのところだったので、ずっと居るのは大変で、交代で抜けて休憩を取ったり昼食を取ったりして過ごしました。

そうして待つこと5時間

とてつもなく長く感じた5時間でしたが、「無事に終わりました」という先生の一言で、全て吹き飛びました。麻酔が効いて眠っている息子の顔を見て、心から安堵したことを覚えています。

術後24時間はICUで管理されることになっていたため、手術室から一緒にICUに移動。その途中で医師から手術の経過について説明を受けました。

ICUは親の付き添いができず、滞在できるのも10分、と制限があったので、着いたと思ったらすぐに退室しなくてはなりません。もう少しそばにいてあげたい気持ちを堪えて、先生と看護師さんたちに深々と頭を下げ、私たちは帰宅しました。

ライター小澤

当時自宅から病院は車で15分ほどだったので帰宅許可が出ましたが、あまりに遠方の場合には近隣の宿泊施設を利用するよう要請がある場合もあるそうです。

術後の経過は、あまりよくなかった。

翌日。ICUでの24時間管理が終わり、一般病棟に移れますと連絡を受け、病院に向かいました。

ここからは付き添い入院となりますが、通常一週間〜10日程度で退院できると聞いていたので、そこまで心配はしていませんでした。

ところが、結果的に入院期間は一ヶ月以上に。先生も私たちも予想外の事態になっていくのです。

胃ろう手術後、麻酔から目が覚め、容態が落ち着いていれば、注入を開始することができるそうです。ソリタ水などの水分や薄めた栄養剤を少量から始め、消化をみながら徐々に量を増やしたり濃度を上げていく。息子もそうする予定でした。

ただ、その時の息子は、なぜか胃液の量が異常に多かったのです。腸に流れていかず、胃に常に溜まってしまっている状態。

栄養剤を試しに少し入れてみても、何時間経っても消化されずに残ってしまっていて、これでは胃ろうからの注入で栄養を取れない、と医師に言われてしまいました。

ライター小澤

先生からは、ずっとEDチューブで栄養を取って胃を使わなかったせいで、胃の機能が低下しているのではないか、という説明を受けました。

術後の経過説明資料
当時の術後経過説明資料

胃の動きが戻ってくることを期待しながら、胃ろうから胃液を排出してお腹の張りを和らげ、栄養は再度EDチューブで行うことに。

さらに誤算がもう一つありました。嘔吐が全くおさまらなかったのです。

正確に言うと、吐物が口から出てくることはありません。胃を縛る手術(ニッセン)のおかげで、嘔吐ということ自体が難しい体の構造になっていたからです。

それでも「吐き気」はあるようで、「オエー」というえずきが止まらず、たまに痰のようなものや口に溜まった唾液を吐きました。

ライター小澤

せっかく胃ろうの手術を受けたのに、これからどうなってしまうんだろう、と絶望……

しかし転機は突然訪れます手術から二週間ほど経った後、「少しずつだけど胃液が減少していっている」と先生から話がありました。

そこから状況は劇的に改善。胃液を排出しなくてもお腹が張ることがなくなり、注入が開始でき、EDチューブがいらなくなるくらいになり、胃ろうから全栄養を摂ることが可能になりました。

そして手術から約40日後、ようやく退院できることに!

ライター小澤

術後、絶望を感じていただけに、この時は本当に嬉しかったです。

ただ、それでも「吐き気」だけはその後も長い間続きました。

ようやくなくなったのは手術から2年後、3歳の頃です。

ライター小澤

胃ろうとニッセンの手術をしても吐き気だけ続く、というのはSNSでもよく見かけます。物理的に吐けなくする、ということと、吐き気がなくなる(吐こうとしなくなる)というのはもしかしたら別物なのかもしれません。

さいごに

息子の場合は、予期せず術後経過が悪く、長期入院となってしまいましたが、SNSはじめ周りからはそのようなことはあまり聞きません。おそらくレアケースなんだろうと思います。

記事にすることで逆に不安を感じられてしまう方もいるんじゃないか、と少し迷いましたが、もしかしたらレアケースゆえに、この情報を欲している方もいるかもしれないと思い、包み隠さず書くことにしました。

私と息子が経験した胃ろう手術やその後についての記事はこの記事を含め4部構成になっています。

①子どもが胃ろうの手術を受けると決定した方に向けた、実際の手術に関する記事(今回の記事)

②子どもが胃ろうの手術を受けるかもしれない、もしくは検討している方に向けた、筆者がどう不安を解消したか、どう考えたかなどを綴る記事
▶︎子どもの胃ろう手術、その不安とどう向き合う?どう解消する?【経験談】

③子どもが胃ろうについてメリットデメリットを伝える記事
▶︎子どもの胃ろう手術のメリット・デメリット、胃ろうにしてよかった?【経験談をご紹介】

④子どもが胃ろうにした後どんな生活になるのかを書いた記事
▶︎子どもの胃ろう手術後の生活は?自宅での看護やケア、4年経って感じることもお伝えします。

ご関心に合う記事があれば嬉しいです。また、「こんなことも知りたい」というご要望がありましたらぜひお寄せください!


ファミケアの掲載記事およびコラムに関しては、当事者および専門家によって作成しておりますが、全ての方に当てはまる情報ではございません。投稿された情報の利用により生じた損害について、ファミケア運営元では責任を負いかねますので、あくまでもご家庭での判断のもと参考情報としてご利用ください。また、特定の施設や商品、サービスの利用を推奨するものではありません。

子どもの胃ろう手術の経験談紹介記事のアイキャッチ画像

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この記事を書いた人

書くことが好きすぎるフリーランスライター。5歳の息子が遺伝子疾患を持つ医療的ケア児です。子どもを育てる過程で知った社会の生きづらさや情報格差に衝撃を受け、障がい児を育てるための情報がもっと手に入りやすくなるよう発信しています

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