まず新築を建てる最初のステップが土地選び。
障がい児のための新築を建てる時には、一般的な新築を建てる時とは異なる土地選びのポイントがいくつかあります。
今回は障がい児のバリアフリーを扱う工務店の神崎工務店の吉村さんが教えてくださった、土地選びで注意するポイントを紹介します。
神崎工務店 吉村純一さん
1980年1月23日生まれ、福岡在住。福祉住環境コーディネーター2級、2級建築士、福祉用具専門相談員の資格を持つ。障がい児・者・高齢者の環境整備経験は2000件超。工業大学在学中に福祉住環境コーディネーター2級を取得し、大手ハウスメーカーの内定が不況で取り消された後、縁あってバリアフリー専門の工務店に”飛び込み”入社。神崎工務店で障がい児・者・高齢者の環境整備に携わり、2019年に福岡営業所をオープン。各SNSでの活動やバリアフリーオンライン相談も実施。受賞歴には、ケアリフォーム大賞やTOTOリモデルクラブ福岡店会事例発表会での優勝経験あり。
土地選びで注意するポイント
1.高低差が少ない
土地選びの1番のポイントになるのが、高低差がないことです。
高低差があると、それを埋めるのに大きな工事になってしまいます。またスロープを作る場合、高低差があると傾斜が大きいスロープになってしまいます。できるだけスロープは緩やかな傾斜にするのが一般的な考え方なので、高低差がない方が理想の家づくりに近づきます。
また、高低差を埋めるための工事は、費用も高くなってしまうので注意が必要です。
2.車が3〜4台置ける広さの土地を確保する
自家用車を含め車を3〜4台置ける駐車場を確保するのも土地選びのポイントです。
障がい児を育てていると、訪問看護師や訪問医、ヘルパー、相談支援専門員、医療機器の業者など色々な方と関わって生活していきます。その関わっている方たちが車で自宅に来てくれるときに駐車場がないと、近くの駐車場にとめてもらう必要があり困ってしまいますよね。そう考えると、自家用車を含め、3〜4台を駐車できる広さの土地が望ましくなってきます。
また福祉車両を利用することになったとき、広い駐車場があると自宅の敷地内で乗り降りをすることができます。福祉車両はスロープを出すと縦長なので、その分の広さがあると余裕をもって乗り降りができます。
なかなか広い土地を確保するのが難しい場合もあるかもしれませんが、車を置くことをイメージしておけると後々スムーズです。
3.前面道路が広く坂道がない
前面道路が広く、坂道がないことも土地選びでは重要です。
十分な広さの駐車場の広さを確保できなかった場合、福祉車両の乗り降りは道路ですることになります。もし前面道路が狭いと、他の車が来た時に、待ってもらい、急いで準備しないといけなくなってしまいます。前面道路が広ければ、他の車が前や後ろから来た時に、避けることができます。
また、坂道に対応していないリフト車があるので、前面道路が坂道ではない方が特に福祉車両の利用を想定した障がい児の家づくりには適切です。
ちょっと散歩しようとするときも、前面道路が坂道だと坂を登り降りしないといけなくなるので、前面道路の坂はできるだけない方がおすすめです。
4.ハザードマップを見て災害時に浸水しない土地を選ぶ
新築の土地選びをする時は、ハザードマップを確認しましょう。
災害時に浸水しないような土地を選ぶのがベストですが、高さはあっても高低差がない土地を選ぶのがポイントです。前述したように、高低差ができてしまうと、差を埋めるのに大きな工事になってしまい、傾斜が急になってしまったり、費用が高くなってしまったりします。
ハザードマップを見ながら災害時に浸水しないような土地を選びつつ、高低差のない土地を選びましょう。
失敗しない土地を選んで理想の新築を建てよう
新築を建てる時にまずはじめにするのが土地選びです。
高低差がないことがまずは基本中の基本。高低差があると大工事になってしまい、費用も高くなってしまいます。
また、各関係者が車を停められるように広い駐車場を確保するのもポイントです。広い駐車場だと、福祉車両を使う際にも余裕を持って乗り降りすることができます。
そして、前面道路はできるだけ広く、坂道がない方が生活上便利です。福祉車両を利用するとき、他の車が前や後ろからきたときでも慌てずに済みます。また道が平らだと、どのリフト車にも対応でき、お散歩もしやすいです。
さらに大切なのが、災害時に浸水しないような土地を選ぶこと。ハザードマップを見ながら土地を選ぶようにしましょう。
すべてのポイントを網羅することは、もしかしたら難しいかもしれません。工務店やハウスメーカーと相談しながら、子どもが住みやすく生活しやすい家づくりをしてくださいね。
コメント