発達障害のある我が子とおうちでどう過ごしたらいい?
発達障害児の親はどう子どもと過ごしているの?
発達障害のある子どもとの暮らしのなかで、このように考えた経験はありませんか?特に、デイサービスのない日などおうちで過ごす時間がたっぷりある日には、どうしたら楽しめるのか悩みどころですよね。
この記事では、発達障害のある子どもと自宅でゆっくり楽しめる過ごし方や親のストレスを軽減するためのテクニックについてご紹介します。
発達障害のある子とどう過ごす?
自分の好きなように自由に過ごしていいよ
発達障害の子どもにとって、この「なんでも自由にしていいよ」という言葉は、実は戸惑うきっかけとなり得る場合があります。「自由に」だけでは何をするべきか適切な判断ができなかったり、終わりが見えないことでどう行動したらよいかわからなかったりするためです。
発達障害のある子どもに自由な時間を好きになってもらうためには「あなたの好きなことなら何でもいいよ」ではなく「この中だったら何がしたい?」と選択肢を与えたり「〇時まで遊べるけどどんなことがしたい?」と時間を区切ったりするなど、見通しが立てやすくなるような工夫をしてみましょう。
また、感覚過敏がある場合には、不快な刺激から離れられるような対策を取り入れるのもポイントです。
発達障害のある子どもが心地よく過ごせるためのコツ
発達障害のある子どもとおうちで過ごすとき、取り入れると便利なことってあるの?
そんな方のために、発達障害のある子どもとおうちで快適に過ごすためのコツをご紹介します。
視覚的スケジュールの活用
ホワイトボードや紙に絵や写真を使ってスケジュールを作成
発達障害のある子どもは、目で見えない情報を理解しにくかったり、見通しが立たないことに不安が強くなったりする傾向を持つ場合があります。そのため「遊ぶ時間」と「それ以外の時間」を可視化する意味でも、ホワイトボードや紙などに絵を描いたり写真を貼ったりしながら、スケジュールを作成するのがおすすめです。
終了した活動や遊びにはチェックを入れる
スケジュールを作成したら、終了した活動や遊びにはチェックマークを入れていきましょう。「完了した」のが視覚でわかると、達成感にも繋がりやすくなります。
変更がある場合は事前に伝え、スケジュールを修正する
急な予定変更があると戸惑ってしまいやすいのも、発達障害のある子どもの特性といえます。そのため、もしもスケジュールに変更がある場合は、できるだけ事前に伝えるのがポイントです。
学習時間は「構造化」
短い時間で区切った学習セッション
発達障害のある子どもは、長時間の集中が難しい場合があります。そのため、例えば15分学習と5分の休憩を交互に設けるなど、子どもの集中力に合わせて学習時間を短く区切るのがおすすめです。
タイマーを使って時間を可視化すると、子どもも時間の感覚をつかみやすくなります
視覚的な教材の活用
文字や絵、図表、写真などを使った視覚的な教材を積極的に活用するのも一つです。また、学習の手順を示したチェックリストを作成すると、子どもが自主的に学習を進めやすくなります。
得意な分野から始め、徐々に苦手な分野へ
学習を始める際は子どもの得意な分野や興味のある題材から始めると、前向きな姿勢や自信を育みやすくなります。徐々に苦手な分野にも取り組むことで、学習全体への抵抗感を軽減できるのも特徴です。
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感覚刺激を調整する環境作り
照明の調整
明るすぎる光や蛍光灯のちらつきは、発達障害の子どもにとって不快感や集中力の低下を引き起こす原因となる場合があります。部屋の照明は自然光を取り入れつつ、必要に応じてカーテンやブラインドで光量を調整するとよいでしょう。
LEDライトや間接照明を使用して、柔らかな光環境を作ってみるのもおすすめです。
視覚的な感覚過敏のある自閉スペクトラム症の娘と暮らす筆者は、ブルーライトカット機能付きの照明を取り入れて、睡眠リズムができるだけ崩れないよう調整しています
静かな空間の確保
家族が多い場合や外部の騒音が気になる場合は、お部屋の一角に静かな空間を作ってみましょう。小さなテントや段ボールで作った小屋、クローゼットの中など、子どもが静かにリラックスできる場所であればどのような形でも構いません。
また、必要に応じてイヤーマフや耳栓、ノイズキャンセリングイヤホンを用意するのも効果的です。
好みの香りや音楽の使用
アロマディフューザーやファブリックミストなどでお部屋全体に子どもの好みの香りを広げるのも、発達障害のある子どもがおうちで快適に過ごしやすくなるコツです。落ち着いた曲調の音楽を静かに流せば、空間のBGMとして活用できます。
ただし「無香料じゃないと気持ち悪くなる」「音が聴こえるとリラックスできない」という子どももいます。香りや音楽の好みは個人差が大きいため、子どもの反応を見ながら調整しましょう。
発達障害のある子どもとおうちで楽しめる過ごし方
快適に過ごしやすくなるポイントはわかったけど、肝心の「楽しめる過ごし方」を知りたい!
ここからは、発達障害のある子どもとおうちで楽しめる過ごし方をいくつかご紹介します。
感覚遊び
スライムやキネティックサンド(粘り気のある砂)などの「触覚遊び」や、トランポリンやブランコなどの「前庭感覚」を刺激する遊びなど、子どもの発達を刺激する遊びを用いるとよいでしょう。
感覚遊びは、療育の現場でも積極的に取り入れられています。
▼ 感覚遊びについてはこちらの記事でも紹介しています!
運動・体を動かす
発達障害のある子どものなかには、発達性協調運動障害を併せ持っているケースも多いです。そのため、気軽に楽しめる運動遊びもしてみるとよいでしょう。
音楽に合わせて手を叩いたり、音楽に合わせてジャンプしたりなどでも楽しめます
創造的活動
お絵かきや粘土遊び、クラフト作りなど、手先を使った活動もおすすめです。また、楽器を演奏したり歌を歌ったりなどの活動は、音楽療法としても用いられています。
おうちでできる!簡単ソーシャルスキルトレーニング
ソーシャルスキルトレーニングとは、円滑な人間関係を築くスキルを習得するためのトレーニングです。主に療育現場で取り入れられていますが、おうちでも以下のような遊びを通じてトレーニングに繋げられます。
おうちでできる遊び | 期待できる効果 |
トランプやボードゲーム遊び | ルールの理解、コミュニケーションスキルの向上 |
伝言ゲーム | 注意深く聞く練習、明確に伝える練習、非言語コミュニケーション能力UP |
顔・指遊び(にらめっこ・いっせいので) | アイコンタクトの練習、表情の読み取りや表現・タイミングの合わせ方のトレーニング |
クイズやなぞなぞ | 問題解決のスキル向上、ヒントの出し方や受け取り方、失敗時の対処法の学習 |
ただし、発達障害のある子どもは感情のコントロールが難しい場合があります。「勝ち負けにこだわりすぎてつらそう」「負けた際に家族へ激しく八つ当たりしてくる」など継続が難しい場合には無理して取り入れず、通っている療育施設などで相談しながら進めていきましょう。
▼こちらの記事では療育になる遊びのアイデアを紹介しています
特別な興味・関心を活かした活動
子どもの好きなテーマについての調べ学習やコレクション整理などで興味や関心を深掘りできるのも、ゆっくり過ごせるおうち時間ならでは。読書やパズル、ブロックなど、子どもの趣味をあえて親子で楽しんでみるのもおすすめです。
また、好きなテーマで話してもらう時間を作れば上記で紹介したソーシャルスキルトレーニングにもなります。質問や応答の練習になるほか、会話の継続スキル向上も期待できます。
家事や日常生活スキルの練習
お手伝いも兼ねて、家事を任せてみるのも一つ。簡単な調理やお片付け、洗濯物たたみ、植物のお世話などを取り入れれば、日常生活を送るうえでのスキル習得にも繋がります。
発達障害の子どもと過ごす保護者のストレスケアも忘れずに
発達障害の子どもとおうち時間を過ごすときは、保護者のストレスケアも大切です。
障がいの有無に関係なく、子育ては大変です。しかし障がい児の場合、特別な支援や介助に加え、日常生活の動作や学習面でのケアや配慮が必要になります。
そのような中で保護者は「おうちで子どもが楽しく過ごせるにはどうしたらいいか」に注力してしまいがちですが、自分自身のストレスをケアすることも忘れないようにしましょう。
通所支援がお休みの日はまったり自宅で過ごすのもヨシ
児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援がお休みの日、我が子とどのように過ごしたらいいか悩んでいる保護者の方は少なくありません。しかし、生活の延長線上にちょっとした工夫を取り入れれば、親子ともにストレスを軽減しながら過ごしやすくなります。
▼筆者が実際に自閉スペクトラム症の娘とおうちで過ごしたときの経験談をこちらの記事で紹介しています!
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