皆さんが、自分の子どもに障がいがあると知ったのはいつでしょうか?出産前、出産直後、育児をしていてまもなく…タイミングはそれぞれですよね。
筆者の娘は、4歳の頃に自閉スペクトラム症との診断を受けました。「障がいのある子ども」を授かった事実をすぐにまるごと受け入れられたかといえば、そうではありません。
障がい児を育てるのに疲れてしまった
障がい児を育てるために、どう気持ちを保てばいい?
そんな思いでこの記事を見つけてくださった方に向けて、今回は障がい児を育てられないと感じた人がどうしたら良いのか、具体的な支援サービスやコミュニティの活用法なども含めてご紹介します。
必要なのは「障がい児育児を一人で乗り切れる精神」ではなく「一人きりで抱え込まなくていいと知ること」、そして「自分に適した制度や周囲の人を頼ること」です。5分だけ手を止めて、ゆったりと読んでみてください。
親が「育てられない」と感じることはダメなことなのか
障がいのある我が子を育てられないと感じてしまうなんて、自分は親失格ではないか
断言しますが、違います。
障がい児との暮らしは、日々の世話に加え、療育や手続きなどの肉体的・精神的・経済的な負担が重なります。周りから十分な理解や支援が得られない場面も多く、一人で全てを抱え込まざるを得ない状況だった方、またはこの記事を読んでいるいまもそんな状況で頑張っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのなかで「もうこれ以上続けられない」と思うのは、自然な気持ちです。そう感じたからといって、親は決して悪くありません。むしろ我が子と真剣に向き合っているからこその気持ちだと、まずは自分を肯定してください。
大切なのは、自分の限界を知ったうえで、周囲に助けを求めること。自身を責めたり我慢を強いたりするのではなく、適切な支援を得ながら、子育ての喜びを見出せる環境をつくることです。
一人で抱え込まず、周りの人や専門家、行政などにどんどん力を借りましょう。「助けてほしい」と声を上げることは、恥ずかしいことでも悪いことでもなく、立派な育児です。ゆっくりとペースを守りながら、親子で歩んでいけばよいのです。
親が障がい児を育てられないと感じやすいタイミング
では、障がい児を育てるなかで、どんな時に育てられないと感じてしまうのか。子どもに障がいがあり「もう育てられない…」と悩みやすいタイミングをピックアップしてみます。
日常生活での子育ての大変さを感じたとき
大前提として、障がいがあってもそうでなくても育児は大変です。食事、睡眠、しつけなど、日々のお世話は欠かせません。しかし障がい児の場合、特別な支援や介助が必要なうえ、日常生活の動作や学習面でケアや配慮が必要になります。
また、医療機関への通院や療育、制度上の手続きなどの負担も大きくなりがちです。障がいへの理解が足りない社会環境で、偏見やいじめにも直面する可能性があります。
障がい児育児には、精神的・肉体的・経済的な負担が特別に伴うケースが多いのも事実です。
将来への不安を感じたとき
さまざまな要因が重なって「将来の不安」も生じる、そんな方も多いのではないでしょうか。例えば、障がいの重度化や合併症への不安が挙げられますよね。健康状態の変化に伴い、介護の必要度が高まる可能性があるためです。
また、子どもが成人した後の自立をどう支援するかも注力が必要といえます。就労や住居の確保、経済的自立など「どう生活していく?」への不安です。
孤独感や焦りを感じたとき
周囲からの手助けを得にくい環境下では肉体的・精神的負担が大きく「一人で全てを抱え込んでいる」との孤独感が生まれやすくなります。目に見える成長が少ないなど、発達の遅れから焦りを覚える場合もあり「この子には可能性があるのか」と不安になりがちです。
成長を心待ちにするあまり、ときに “娘へ過度な負担をかけてしまっているのでは” と感じてしまうこともありました。
育てられないと感じたらどうしたら良いのか
育てられない。助けてほしい。
障がい児との暮らしに限界を感じたら、どうしたら良いのか、一歩を踏み出すステップをご紹介します。
1.まずは頑張ってきた自分を受け止める
「育てられない」と感じても、自分を責める必要はありません。その気持ちを素直に受け入れましょう。障がい児を育てている家族は何かと頑張りがちになりやすいです。自分のことを後回しにしてギリギリになるくらい向き合ってきた、そんな自分の頑張りを認めることからスタートです。
2. 助けを求める
自分の気持ちを受け止めつつも、一人で抱え込まずに周りの人々に助けを求めてみましょう。自分の子どもだからといって、一人で育てなければならないのではありません。家族や親戚、友人、専門家など、頼れる人を一人でも増やし、現状を伝えて協力してもらうことで、肉体的・精神的負担が和らぐはずです。
周りの人には話しにくいという人にはコミュニティの活用もおすすめです。
3.サービスを活用して負担を軽減する
日常的な負担を減らすために、サービスを利用するのもひとつ。ヘルパーの派遣や障がい児の一時預かりなど、行政の制度も活用して、まずはあなた自身の休息も忘れないようにしましょう。
▼利用できるサービスについて紹介した記事はこちら
育てられない!限界!と感じた時はみんなどうしてる?
「自分の限界を知った」――。そんな、障がい児と暮らすご家族にも実際どうしたか、お話を伺いました。
- レスパイトケアを使ってリフレッシュ。自分の息抜きのために子どもを預けることに最初は罪悪感を持っていたものの、あるとき担当医から「親が健やかでいると子どもも幸せなんだよ」と言われ、気持ちがスッと軽くなった
- 夫や家族と役割分担を見直し、自分のリフレッシュできる時間を1日に10分でもいいから作った。一人で散歩をするだけでも心が晴れやかになる
- ソーシャルワーカーに正直に相談。自分の子どもを育てられないなんて恥ずかしいと思っていたが、悩みが尽きず寝不足になってしまっていることなどを話すとすぐにいろいろな人に繋いでくれた。もっと早く相談すればよかった
- 自分の悩みをインターネットで検索して、境遇の似ている方を探した。同じ悩みを持つ人がこんなにいるんだと驚いたのと同時に、頑張っているのは自分だけじゃないんだと安心して涙が出た
- 障がい児のイベントに参加。子どもが癇癪を起こさないように気を張ることに変わりはないけれど、周りも同じだから保護者同士がそれぞれ「絆のようなもの」を感じている気がして安心できた。我が子とは別の障がいを持つ子どもと暮らす家族とも交流でき、視野がぐんと広がった
正解はありませんが、家族にとって気持ちが安らぐものが見つかれば嬉しいです。
「悩んではいけない」ではなく「悩みの共有」を
「子育てに悩みは尽きない」。よく耳にする言葉かもしれませんが、過ごしている環境や我慢できる範囲は人それぞれ異なります。周りは我慢できることでも、あなたは限界だと感じるかもしれません。しかし、自分を責める必要は全くないのです。
繰り返しになりますが、「助けてほしい」と声を上げることは、立派な育児です。サービスや制度をどのように利用したらいいか分からない方は、地域の療育センターや保健所、保健センター、精神保健福祉センターなどでも相談してみてくださいね。
もちろん、ファミケアのSNSやアプリでもあなたの声を待ってるよ
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