医療的ケア児を保育園に入園させたいと思った時、知っておきたいのが保育園に通うメリット・デメリット。
医療的ケア児が保育園に通うには、メリットもあれば、デメリットもあるのが本当のところです。
メリット・デメリットの両方を理解した上で保育園入園を検討してみると、納得して保育園入園の準備が進められますよ。
▼入園の流れや課題についてはこちらの記事で紹介しています
医療的ケア児が保育園に通うメリット・デメリット
医療的ケア児の息子を保育園に通わせている筆者が感じたことや親御さんのコメントを元に、医療的ケア児が保育園に通うメリット・デメリットを紹介します。
医療的ケア児が保育園に通うメリット
子ども同士の関わりが生まれる
子ども同士の関わりが生まれることが保育園に通う1番のメリットではないでしょうか。
医療的ケア児が普通に過ごしていると、病気を理解してくれる大人か、児童発達支援やコミュニティで知り合う同じような境遇の子どもなどしか関わることがありません。
保育園に通えば、多くの健常のお子さんと知り合うことができ、子ども同士ならではのコミュニケーションが生まれます。
筆者の息子は保育園に入園して約4ヶ月になりますが、同じような医療的ケア児であるお兄さんお姉さんに遊んでもらったり、クラス内でお友達からおもちゃの受け渡しや、タッチをする様子が見られたりと、子ども同士のコミュニケーションが生まれています。息子もニヤニヤと嬉しそうにしているので、その様子を見ると保育園に入れてよかったなと思っています。
療育やリハビリとは違う保育をしてもらえる
工作やリトミック、お散歩など療育とは違う保育をしてもらえます。保育園で季節に合った工作を作ったり、定番の音楽を流してみんなで踊ったりする姿はとても楽しそうです。
季節ごとに完成する工作は、廊下やクラスに貼られることも多く、帰り際にそれを見るのが親にとっても楽しみの1つになっています。
子どもの声がする賑やかな環境で過ごすことができる
保育園の規模にもよりますが、保育園に通うことで、子どもの声がする賑やかな環境で過ごすことができます。
自宅で過ごしているとなかなか聞くことができない明るく賑やかな声たちは、息子にとって刺激になっていると思います。
インクルーシブな環境を経験することができる
インクルーシブな環境を経験できるのも、保育園に通うことのメリットの1つです。健常児の子どもと一緒に過ごすことで、障がいのある子どもにとって大きな刺激になります。
卒園後の就学先選びでも、健常児の子どもがいるインクルーシブな環境で過ごす方が自分の子どもには合っているのか、それとも特別支援学校のような同じ境遇の子どもたちと過ごす方が自分の子どもにとっては安心できるのか、それらの目安にもなります。
児童発達支援センターに通っていた頃とは違う反応を見せるようになりました。健常児ちゃんたちの遊びに刺激を受けてるんだろうなーと嬉しく思いますし、子どもたちの障害児に対する偏見のなさ、同じ子どもとして遊ぼうとしてくれる純真無垢さに、送り迎えのたびに心が洗われています。昔はインクルーシブに拒否反応を持っていましたが、就学の時に地域の小学校も検討したくなるくらい良さが染みました。
支援学校or支援級で悩む方多いですよね。インクルーシブの環境を1度でも知ることは、どちらを選択するにせよプラスだと思います。
親や働くことができる
子どもを保育園に預けるとその時間で親は働くことができます。
経済的な部分でも助かる上、人によっては、仕事が息抜きになる場合もあります。親が安心して、集中して働くためには、保育園の存在は必要不可欠です。
普段とは違う給食が嬉しい
多くの保育園では、給食を用意してくれます。保育園によっては、きざみ食やペースト食などの形態食に対応してくれるところもあります。様々な食の刺激を受けつつ、お昼の用意の手間を減らすことができたケースもあります。
うちの子が通っている保育園はペースト食で給食を出してくれています。家で私が作るメニューとは全然違うものが出てくるので、味の経験にも繋がっていると思います。給食費はかかりますが、それをかけても惜しくないくらいの経験ができていますし、ペースト食を作る頻度が減ったのは地味に嬉しいです。
医療的ケア児が保育園に通うデメリット
感染症にかかる可能性が上がる
大きなデメリットが、感染症にかかる可能性が家にいる時よりも上がることです。
集団なので1人感染症にかかると一気に広がる場合があります。
筆者の場合は、保育園の入り口に貼ってある感染状況を通園するたびにチェックをし、クラス内にウイルス性の感染症が出た場合には、連絡をもらうようにしています。今のところ経験はありませんが、感染者が多い場合には、大事をとって息子も保育園を休ませるつもりです。
障がいや疾患のない子どもとの発達の差をダイレクトに感じる
一般的な保育園に入園させる場合、健常児の子どもがほとんどなため、健常児の子どもとの発達や見た目の差をダイレクトに感じることがあります。
医療的ケアの程度にもよるとは思いますが、できること、できないことの差や、身体の発達具合の差が見た目でわかってしまうのが辛いところかもしれません。
筆者は、障がいや疾患のない子どもと比べることはやめ、息子が楽しく園生活を送れるようにはどうしたらいいかに注視するようにしています。
保育園の入園までが大変
医療的ケア児の保育園入園は、まだまだ険しい道のりでもあります。自治体との調整が必要だったり、保育園や市区町村によっては、年齢制限・時間制限・入園時期が決まっている場合があったりします。
筆者が住む市では、ガイドラインで年齢が満1歳以上、預かり時間が9:00〜17:00と決まっています。延長保育はできません。
私が住んでいる自治体では、4月1日の時点で3歳の誕生日を迎えていること、そして入園時期は4月を基本としているという要件でした。1歳や2歳での入園はできず、4月以外の途中入園もできません。
また、厚生労働省のアンケートによると、ガイドラインを作っている市町村区は全体の約30%となっているため、ほとんどの市町村区ではルールを設けていないかもしれません。
制限があるのか、入園時期が決まっているのか等、最初に自治体や保育園に確認する必要があるため、入園を考えている時は早めから動き出しましょう。
医療的ケア児ことをわかってくれるまで時間がかかる場合もある
医療的ケア児を受け入れるのが初めての保育園の場合、医療的ケア児のことを理解するまで時間がかかる場合があります。
例えば、こもり熱で少し高めの熱が出た時にすぐにお迎えに来るよう連絡が来たり、ねむそう、というだけの理由で帰されてしまったりとなど、医療的ケア児ならではの状況に、保育園側も困ってしまい「帰る」という選択をすることがあります。
医ケア児受け入れが初めての保育園だったので、疾患児の実情を知ってもらうのに時間がかかりました。 ちょっとした変化(眠そう、など)で帰されたり、こもり熱が伝わらなくて預かってもらえなかったり…医ケア児に対する怖さみたいなのが払拭され、安定して通園するまで半年以上かかりました。
すでに医療的ケア児を受け入れたことのある保育園や、系列園が受け入れていると医療的ケア児に対して理解があるかもしれませんが、受け入れが初めての保育園だと、保育園側もわからないことが多いのかもしれません。
保育園に通うにはメリットもデメリットもある
保育園に通うには、メリットもデメリットもあります。
集団の中で、特に健常児の子どもと一緒に過ごすことができるのは、大きな刺激になっていると思います。インクルーシブならではの嬉しいポイントです。
またそれが就学先の判断軸になることも大きなメリットではないでしょうか。
しかし、感染症にかかったり、健常児の子どもを自分の子どもの発達を比べてしまったりする場合もあるのがデメリット。また年齢や時間、入園時期に制限があったり、医療的ケア児への理解が進んでいない保育園があるのも、保育園に通うマイナスポイントかもしれません。
これらの保育園に通うメリット・デメリットを踏まえて、保育園に通わせるか通わせないか検討してみてくださいね。
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