はじめまして。医療的ケア児を含む2児の母、あやこです。私の息子は生まれて数カ月後から6歳になる現在まで経管栄養(経鼻経管栄養から胃ろう)を利用しています。
胃ろうへ移行するまでの3年間、どうしたら抜去のリスクを最小限にできるだろう、どうしたら我が子の愛おしいモチ肌が荒れずに済むだろうと試行錯誤していました。
今回は、そんな経管栄養チューブの固定に関わる悩みも踏まえつつ、適したテープ選びやおすすめの固定方法をご紹介します。
\この記事を監修してくれた先生/
相談支援専門員・看護師 井上悠貴(いのうえゆき)先生
岡山県立倉敷中央高等学校専攻科を卒業。看護師免許を取得し、小児科病棟や保育園に勤務する。現在2児の母であるが、上の息子が3歳の時に発達障害と診断される。その中で相談支援専門員の方にお世話になり、その経験から自身も相談支援専門員の資格を取得。現在相談支援事業所うえまつで相談支援専門員として活動中。
どんな固定テープを選んだらいい?
固定用テープには色々な種類があります。素材や粘着力などそれぞれ特徴が異なり、メリット・デメリットもあります。子どもの生活に合ったテープを選ぶことがまずは最初の一歩です!
経鼻経管栄養を使用している場合、固定用テープは在宅物品の一部として病院から支給されます。支給されているテープが肌に合わない場合や、固定の力が弱くすぐに剥がれてしまう等のトラブルがある場合、まずは主治医に一度相談してみましょう。
※紹介するテープが病院指定のテープにない場合もあります。その場合は自費での購入になります。
ケース別の固定テープの選び方と対処法
在宅物品の一部として病院から支給されたものが合わない場合、以下のような対処ができます。
肌が荒れてしまう場合
肌が荒れてしまう場合は、いまよりも粘着力の弱いテープを選びましょう。比較的、粘着力が弱めなテープとしてはスキナゲートやマイクロポアなどがあります。
▼スキナゲート
▼マイクロポア
また、肌保護用のテープを貼ってから、その上から固定テープを貼る方法もあります。保護用テープはビジダーム、デュオアクティブETやニチバンのカテリープラスなどがあります。
すぐに剥がれてしまう場合
少し剥がれやすいな、と感じたり、抜管してしまうのが不安な場合は、今よりも粘着力が強いテープを選びましょう。粘着力の強いテープの例としては、シルキーポアやメッシュポア、ワーデルなどがあります。
▼シルキーポア
▼メッシュポア
▼ワーデル
固定テープを貼る時のポイント
ポイント1:貼り替えの最中にチューブが抜けないように子どもをしっかりと固定する
チューブの抜去、それは経管栄養の子を育てる親にとって大きな悩みです。チューブに手が届くようになった、抵抗するようになった等、どれも成長の証で嬉しいことではありますが、毎回のテープ貼り替え作業は緊張の瞬間です。
固定テープを貼り替える際は、子どもが動いてしまうのを誰かに抑えてもらったり、1人で交換しなければならない場合はタオルで子どもを巻いたりしてから行うのがおすすめです。
まずはしっかりと子どもを固定して素早く安全に貼り替えられるように工夫しましょう。
ポイント2:テープを貼る箇所に油分や水分が残らないようにする。
油分や水分はどうしてもテープの粘着力を弱めてしまいます。水分は拭き取り、クリームを塗った直後など油分がある場合は少し時間をあけてからテープの貼り替えをおこないましょう。
ポイント3:チューブが肌を圧迫しないよう、浮かせるようにして固定する
テープでチューブを押さえつけるように固定してしまうと肌に圧力がかかり肌トラブルの原因になります。また、チューブを横から引っ張ってしまった時に抜けにくくするためにも重要なポイントです。
経鼻チューブの固定テープの切り方
ここからは、実際の切り方と貼り方をご紹介します。
基本のカット
まずは、基本のカットをご紹介します。
まずは、テープを必要な幅にカットします。
剥がれ防止のために、角を丸くカットしておきましょう。
両端にY字の切れ込みをいれます。
切れ込みを入れておくと、チューブが動いてもテープが剝がれにくくなります。
経鼻チューブの固定テープの貼り方
貼り方は何種類かありますが、ご家庭に合った方法が一番です。試してみてあまりよくないなと感じるやり方もあるかもしれませんが、色々試した結果、今よりも少しでも抜けにくい方法が見つかると嬉しいですよね。抜去は怖いですが、日々のトライアンドエラーで安定した固定方法を見つけ出しましょう。
貼り方1:1枚で固定する一番シンプルな方法
生まれたばかりの乳児におすすめな簡単でシンプルな方法です。メリットは少ない面積で固定できるため肌の負担を抑えることが出来ること、デメリットは一枚で固定する分抜けたり剥がれたりしやすいことです。
手順
貼り方2:テープ固定に加え、細長く切ったテープを併用する方法
抜けてしまう心配があったり、スペースができてしまう場合は細長く切ったテープを併用する貼り方もあります。特に鼻周りにスペースができやすい場合におすすめです。
手順
貼り方3:我が家が辿り着いた最適な貼り方
息子はかつて、チューブで遊ぶ、引っ張る、ハイハイで管を踏むという、それはそれはアクティブで親としてはヒヤヒヤしてしまう経鼻経管栄養ユーザーでした。(現在は胃ろうに切り替わりました)
また抜けた!次こそともかく抜けないように…!と何度も家族で試行錯誤を繰り返した結果、行き着いた貼り方がこれでした。
引っ張り等の横からの圧力に強い貼り方なので、息子のようにチューブに手が届くお子さんや動き回るお子さんにおすすめです。
手順
ボトルでの注入中も、管の重みがあってもビクともしません。
※粘着力が弱まっている場合は抜けちゃうこともあります。要注意です。
肌荒れ対策のワンポイント
せっかくのモチ肌が荒れてしまうと悲しい気持ちになってしまいますよね。そんな時に我が家でもやっていた剥がす時の工夫もご紹介します。
お風呂で塗らしてゆっくりと剥がす
我が家の息子は無理にテープを剥がそうとしたときに一番肌荒れしてしまいました。
無理に剥がさず、お風呂で濡らしてゆっくりと剥がすことで、お肌への負担を和らげましょう。
お風呂以外の場所で行う場合は、コットンに水を含ませて、テープの上からパックするのもおすすめです。
オイルやクリームをつけてゆっくりと剥がす
保湿剤などをテープの上から優しく塗って剥がす方法もあります。水よりもスムーズに剥がすことが出来ます。
ただ、この方法は油分が肌に残るので、すぐに同じ場所に張り直す場合は不向きです。
リムーバーを使って剥がす
固定用テープや保護テープを剥がす際に簡単に剥がれやすくするためのリムーバーもあります。
固定テープの交換頻度は?
我が家ではお風呂の時に定期的に交換していたので、だいたい1日に1回の頻度で固定テープを交換していました。交換時は、お風呂上がりに粘着力の弱まったテープをゆっくりと剥がし、反対の頬を使って固定。なるべく1箇所に負担が集中しないようにします。
ただしそれは平和に1日が終わればの話。実際は遊んでいるうちに剥がれてきてしまったり、よだれやミルクでふやけてきたりするので、その度に張り替えていました。平均すると1日1〜3回程度の交換でした。肌負担を考えると、なるべく交換の頻度は減らしたいところですよね。
ちなみに、張り替えが続いて両頬荒れてしまったもう貼る場所がない!という事態になることも。そんな時は奥の手でおでこに一時的に固定したこともあります。
この貼り方の場合、鼻筋の部分にどうしても隙間ができやすいので指などを引っ掛けて抜去する危険も高まります。あくまでお肌を落ち着かせる為の一時的なものとしてお試し下さい。
小児病棟では、チューブを固定するシールの交換時、頬だけでなく鼻の入口も位置を変えていました。同じ場所がチューブで圧迫されると潰瘍が出来てしまうためです。
固定テープの貼り方はさまざま。子どもに合う方法を探してみましょう。
今回は、医療者から教わった基本的なものに加え、我が家の試行錯誤の末のオリジナルの固定方法をご紹介しました。経管栄養チューブの固定方法はテープ選びから始まり、カットの仕方も貼り方も色々、さらには子どもの成長と共に固定方法も変わるなんて…一見単純そうでとっても難しいですよね。
ポイントをおさえて、少しでも抜けない、荒れない、安定したケアのヒントになれば嬉しいです。
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