ヘルプマークは、障がいや疾患によって周りの人の手助けや配慮が必要な事を伝えられるマークです。ヘルプマークをつける事でマークを目にした人が、配慮が必要な事に気づいたり、移動や手助けしてくれます。
この記事では、ヘルプマークをつける事でのメリットや入手方法、入手場所、誰でもつけられるのか、などを解説していきます。ヘルプマークの活用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
ヘルプマークとは?
ヘルプマークは、見た目や外見からはわかりづらい障がいや疾患がある方が周りに配慮が必要な事を伝えられるマークです。
もともとヘルプマークは、2011年の都議会で提案された事がきっかけで誕生しました。疾患や障がいのある人が街中や公共交通機関で配慮や助けを受けられるよう、共通のシンボルとして活用されています。東京都福祉保健局によるとヘルプマークは、2022年3月末時点で約46万5千個が配布されています。
ヘルプマークには、赤地のベースに白いプラスマークとハートマークがデザインされています。これは日本グラフィックデザイナー協会が手がけたもので、赤色と十字マークは「助けを必要としている」、ハートマークは「助ける気持ち」をそれぞれ意味しています。
ヘルプマークがもらえる人や利用できる人は?
ヘルプマークは、疾患や障がいの種類に限定される事なく、配慮が必要で希望する人であれば利用することができます。年齢等も関係ないため、もちろん子どもでもヘルプマークを利用できます。
視覚や聴覚など一見してわかりづらい身体障がいのある人や内臓や呼吸器等の疾患などがある人、発達障がいなど精神障がいがある人などが多く利用しています。そのほか、妊娠中や産後の方もヘルプマークを利用できます。
ヘルプマークはをもらうための審査や書類提出は必要なく、一般的に希望する人は配布場所で誰でも受け取りが可能です。また、本人が配布場所にいくのが難しい場合は、代理での受け取りもできます。
子どもにヘルプマークを持たせるべき?
子どもにヘルプマークを持たせているお父さん、お母さんもたくさんいます。必要な配慮や助けを子ども自身が上手に説明できない時も、ヘルプマークを持たせている事で気づいた周りの人に配慮してもらいやすくなる事があります。
また、万が一の緊急時や子どもとはぐれてしまった場合にもヘルプマークがあれば、裏面に記載している配慮して欲しい事項や連絡先等から必要な対処を受けられる可能性があります。いざという時のためや特に遠出をする時などはヘルプマークを活用してみるのもおすすめです。
ヘルプマークの入手方法
ヘルプマークを入手する方法申請して郵送してもらう方法と配布場所へ言って受け取る方法の2種類があります。いずれもヘルプマーク自体の取得に費用はかかりません。
配布場所で受け取る
1つめは自分で配布場所へ行って、ヘルプマークを受け取る方法です。ヘルプマークを利用したい時に配布場所が近くにあれば、すぐに手にいれる事ができます。配布場所は市区町村の役所や駅、病院等です。駅や病院はどの施設にもあるわけではなく、配布場所が限定されているため、近くの配布場所を調べて行きましょう。
配布場所例
- 市区町村役所
- 市区町村運営の福祉センター
- 病院
- 駅
- バス営業所
郵送してもらう
各自治体によっては、ヘルプマークを郵送してくれるケースもあります。メールや電話でヘルプマークが欲しい事を伝え、自宅に郵送してもらいます。郵送の場合、郵送料を負担しなければいけない場合があるので注意が必要です。
ヘルプマークの郵送可否や受付窓口は、市区町村によって異なるため「配布場所に行くのが大変」という人は自治体のホームページを確認してみてください。
ヘルプマークがもらえない、入手できない時の対処法
ヘルプマークは必要な人であれば誰でも受け取る事ができますが、配布場所までもらいに行けない等の理由で入手できない事もあるかもしれません。そんな時は以下の方法でヘルプマークを手にいれる事ができます。
ヘルプマークを自作する
ヘルプマークは自作する事ができます。一番簡単な方法はヘルプマークのデータをダウンロードして、透明のケースなどに入れる方法です。その他、シールにしたり、オリジナルのアイテムとして作成したりすることもできます。
ヘルプマークがダウンロードできる東京都福祉保健局のページ
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/helpmarkforcompany/download.html
ヘルプマークを自作する際には、デザインガイドラインが決まっているため注意が必要です。
ヘルプマークのデザインガイドライン一例
- マークの上に文字や絵などを記載してはいけない
- 縦横比率を変更してはいけない
- ハートやプラスマークの配置や大きさを変更してはいけない
ヘルプマークの手作りアイテムを買う
自分で作るのは大変、という人は手作りのものを売っているサイトなどでヘルプマークのアイテムを購入する事もできます。マグネットタイプやシールタイプになっているものやキーホルダーの留め具がおしゃれなものなどがたくさん販売されています。
お金はかかってしまいますが、自分の気に入ったものがつけたい場合にはヘルプマークの入ったアイテムを購入するのも1つの方法です。
ヘルプマークをつける場所
ヘルプマークは周囲の人に気づいてもらうために見えやすい場所につけて使います。公式的につける場所は決まっていないため、それぞれ好きな場所につけることができます。
バッグにつける
一番一般的なのがバッグにつける方法です。キーホルダーとしてつける方法やシールを貼り付ける方法があります。子どもにつける場合は、背が低いので他の人の目しっかりと入るようになるべく下になりすぎないようにつけるようにしましょう。
杖などの持ち物につける
バッグ以外にも他の持ち物にヘルプマークをつける方法もあります。なるべく常時持ち歩くものにつけるようにして、本人が邪魔にならない位置につけるのがおすすめです。
リストバンドや洋服につける
リストバンドや洋服などのファッションアイテムにヘルプマークをつけたり、プリントしている人もいます。これはおしゃれ目的ではなく、子どもがかばんについているキーホルダーやシールをとってしまう事を防ぐためです。ただし、おしゃれな柄のTシャツやファッションアイテムと間違えられてしまう可能性もあるため、洋服にヘルプマークをつける時は注意しましょう。
ヘルプマークの使い方・活用方法
ヘルプマークは外出する際に他の人から見える場所につけて使用します。また、ヘルプマークの裏面にはヘルプマークを持つ人がどんな支援が必要か、緊急の連絡先はどうしたら良いかなどが記載できるようになっています。
ヘルプマークの利用シーン
ヘルプマークは利用シーンとしては主に以下のようなシーンで役立ちます。
公共交通機関を利用する時
公共交通機関では、電車に乗る際の移動が多くあります。乗り降りで電車とホームの間に隙間があったり、駅によっては長い階段があったり、駅のホームが混んでいる事も。こういった移動の際に手助けを受けられます。また、電車の中でも席を譲ってもらいやすくなるなどがあります。
体調が悪い時
体調が悪い時も、周囲に体調が悪そうな事を気づいてもらうのは難しいかもしれませんが、ヘルプマークをつけている事で配慮してもらえる事もあります。普段はヘルプマークをつけていなくても、少し体調が悪いな、子どもの体調が悪そうだなという時にはヘルプマークを利用してみると良いかもしれません。
子どもが親と離れて出かける時
児童発達支援センターや学校の行事等で疾患や障がいのある子どもが親と離れて出かける時にもヘルプマークが役立ちます。人数の多いお出かけや行った事のない場所へ行く場合は何かあった時のためにヘルプマークがあると安心です。緊急時には裏面の情報を使って連絡を受けることもできます。また、出先で災害等の非常事態があった場合にも身元の確認や情報を使った支援が受けやすくなります。
親子ではぐれてしまった時
人が多い場所など何かの拍子に子どもと離れてしまう事があるかもしれません。万が一目の届かない場所に子どもがいってしまった時にも、見つけてもらった人に配慮やサポートをしてもらったり、親へ連絡してもらえる可能性があります。また、子どもが状況を説明するのが難しいケースでも周りの人に書いてある情報を見せて説明する事ができます。
サポートが必要な事を伝えるのが難しい時
アナウンスが聞こえづらい、読み書きが難しいなどの状況を他者に伝えるのに役立ちます。ヘルプマークの裏面情報を見せながら「筆談をして欲しい」「ゆっくり話して欲しい」等をお願いする事で相手も必要なサポートを素早く理解する事ができます。
ヘルプマーク裏側の記入方法・記入例
ヘルプマークはマークの存在に気づいてもらうだけなく、シールになっている裏面の記入も大切です。ヘルプマークを利用する上で裏面に記載しておくと良い内容も紹介します。
記入方法にきまりや制限はないため、ヘルプマークを持ち歩く人にとって必要な情報をわかりやすく記載します。裏面に記載しておくだけだと誰にでも見えてしまうのが気になる時は、いざという時にきちんと使える事を確認しつつ、貼ってはがせる目隠しシートなどで隠しておくのもひとつの方法です。
記入する内容と例
以下では記入する内容の例と実際の記入例を紹介します。必要な情報を組み合わせて記入しましょう。紹介している内容以外のことを書くことも可能です。
緊急連絡先
何かあった時の緊急連絡先を記載しておくと、疾患や障がいがある人が困った時に連絡を受ける事ができます。
記入例
ファミ ケア子(母)090-1111-1111
病院と医師名、連絡先
救急搬送が必要なシーンなどがあった場合に病院や医師名、連絡先があると対処方法の指示を仰いだり、連絡ができるためスムーズに連携ができます。
記入例
ファミケア病院 小児科ファミ先生 090-1111-1111
緊急時の対処方法
もしもの緊急時に周りの人はどうしたら良いのか焦ってしまいます。その際にやって欲しいことなどを記入します。
記入例
発作が起きた場合には、手持ちの「○○」という薬を飲ませるように補助してください。
配慮やサポートでお願いしたい事
緊急時でなくても、必要な配慮やサポートを伝えづらい時に伝えられるように記載しておくと、ヘルプマークを指さしたり、見てもらうだけで内容を伝える事ができます。
記入例
ゆっくり話して欲しいです。
筆談でお願いします。
ヘルプマークの他にもヘルプカードも!違いは?
ヘルプマーク以外にも、ヘルプカードというものがあります。ヘルプカードは、支援が必要な時や困っている時に助けを求めるために使います。「障がいや特性上コミュニケーションがうまくとれない・とりにくい」「必要な支援内容を伝えるのが難しい」というシーンで「手助けする人」とのコミュニケーションに活用することができます。
ヘルプカードのヘルプマークとの違いは、普段は見えない場所で携帯する事です。いざという時や必要な時にだけ支援や配慮を頼みたいという人はヘルプカードを利用するのも良いでしょう。
ヘルプカードも各自治体で配布していますが、ヘルプマークと配布場所が異なる場合もあるため、気をつけましょう。
ヘルプマークを有効活用しよう
いざという時に役立つヘルプマーク。最近では駅のポスターでの啓蒙なども増えており、認知度も上がってきています。お出かけ先でも安心して過ごすための1つの方法として、活用してみてはいかがでしょうか。
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