大切な乳幼児健診のひとつ「1歳半健診」。もしも子どもが何もできなかった場合、
他の子と比べてチェック項目に〇が少なかった我が子は大丈夫…?
もしかして疾患や障がいがあるの…?
そう不安になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、過去に娘の1歳半健診で再検査をおすすめされた経験があり心理士でもある筆者が、なぜ「何もできない」と感じてしまうのかや、不安を感じた後に作った心構えなどについてご紹介します。健診後に悩まれている方は、ゆったりと読んでみてください。
1歳半健診で何もできないとダメ?
職員の方から話しかけられてもリアクションが全くできなかった
簡単な手遊びもできず、ぐずってばかりだった
まだ歩けないし、言葉が出るのが遅いことも指摘された
1歳半健診でできないことが多いと「我が子ってダメなの…?」と不安になってしまいますよね。体の発達をはじめ、運動や言語、生活習慣、社会性などのチェックを受ける1歳半健診の工程が、まるでテストのように感じてしまう保護者もいらっしゃるかもしれません。
しかし、子どもの成長具合はそれぞれです。子どもと自分を「○○ができないから我が子はダメなんだ…」と追い詰めないようにしましょう。
子どもの成長に「正解」はありません
1歳半健診の目的と内容
そもそも1歳半健診は「子どもの発達を評価する」のが目的ではありません。子どもの健康状態と発達の確認、そして早期サポートの必要性を判断して、子どもに沿った育て方の方針を決めるための健診です。
具体的には、以下のような項目をもとに子どもの様子を診ていきます。
“(4) 項目等
ア 一般健康診査の項目は次のとおりとする。
- 身体発育状況
- 栄養状態
- 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
- 皮膚の疾病の有無
- 四肢運動障害の有無
- 精神発達の状況
- 言語障害の有無
- 予防接種の実施状況
- 育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)
- その他の疾病及び異常の有無 ”
【引用】「乳幼児に対する健康診査の実施について」の一部改正について|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1688&dataType=1&pageNo=1
▼ 1歳半健診については、こちらの記事でも紹介しています!
1歳半健診で「何もできない」と感じやすい理由
1歳半健診で「我が子は何もできない」と感じてしまう背景には、さまざまな要因があります。
他の子どもと比較してしまう
健診会場で他の子どもの様子を目にすると、つい比較してしまうもの。「あの子は上手に歩いているのに、我が子はまだよちよち」「隣の子がたくさん言葉を話しているけど、我が子は…」このような思いに駆られるのは自然なことです。
他の子どもと比較する機会のない環境で長く過ごしていた筆者も、1歳半健診で娘と周りの子との差に驚いた親の一人です
発達チェックリストの項目に当てはまらない
健診で使用されるのは、一般的な発達の目安を示すチェックリストです。「このチェックリストにどうやら我が子が当てはまらない」と感じると、心配になりますよね。
しかし、すべての子どもがこの基準に完全に当てはまるわけではありません。例えば「2語文を話す」「積み木を積む」の項目をクリアしないからといって、必ずしも問題ではないのです。
子どもの発達には個人差があり、得意不得意もさまざまといえます。チェックリストは、あくまで参考程度に捉えておくのがおすすめです。
周囲の期待に応えられないと感じてしまう
「祖父母や友人からの『もう歩いている?』『言葉は出た?』といった何気ない質問にプレッシャーを感じる…」そのような声も聞かれます。しかし、周囲の期待に応える必要はありません。
あくまでペースを尊重しながら、その子らしい成長を見守るのが重要です
育児書や情報とかけ離れていると感じる
育児書や育児情報は、多くの家庭にとって心強い味方ですよね。しかし「得た情報が自分の子どもの状況と一致せず、不安で仕方ない」とおっしゃる保護者の方も少なくないのが特徴です。
「1歳半で〇語以上話せるはず」「この時期には自分で食べられるようになる」などの記述を目にすると、焦りを感じてしまうかもしれません。ただ、これらの情報は平均的な発達の目安に過ぎないと理解しておくとよいでしょう。
自身の育児に対する不安
「自分の育て方が悪いのでは?」「自分の関わり不足なのでは?」と自責の念に駆られている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「試行錯誤しながら子どもと一緒に成長していけるのは子育ての醍醐味」「大切なのは、子どもへの愛情を持ち続けること」、そうわかっていても、いざ発達の懸念を指摘されると心配ですよね。
しかし、成長の度合いに正解がないのと同様に、子どもとの関わり合いにも正解・不正解はありません
子どもの発達は一直線ではない
「1歳半」は、子どもの成長で非常に個人差の大きい時期です。言葉の発達、歩行の安定性、指先の器用さなど、さまざまな面で子どもによって大きな差が出ます。これは決して異常なことではなく、非常に自然なことです。
また、1歳半健診のチェック項目にない分野で、興味・関心を持つ場合ももちろんあります。子どもの個性やその子なりの成長を見守っていけるのが理想です。
筆者の娘の場合、言葉の発達は遅いと指摘を受けた一方で、絵を描くことや音楽に対する興味は早くから持っていました
1歳半健診で何もできないと不安を感じた後に保護者ができること
では、1歳半健診で不安な気持ちを感じた後、保護者ができる具体的な行動や心構えはどんなものなのか。以下にいくつかご紹介していきます。
焦って自分や子どもを責めない
「もっと早くから〇〇するべきだった」「自分の育て方が悪いのかも」など不安や焦りを感じたら、まずはその気持ちを素直に受け入れましょう。焦って自分を責めたくなる感情は、子どもと十分に向き合っているからこそ生まれる感情です。
しかし、完璧な親はいません。「子どもの成長には個人差がある」「いまこの瞬間も子どもは成長している」と考えていけるといいでしょう。
子どもの良いところに目を向ける
「できないこと」に目を向けるのではなく「できること」や「好きなこと」に注目しましょう。例えば、言葉が少なくても、表情豊かに感情を表現できたり体を動かすのが好きだったりする子もいます。活発でなくても、一人で静かに遊ぶのが好きな子どももいます。
また、小さな進歩や努力を見逃さず、たくさん褒めてあげるのもポイントです。「上手に靴が履けたね」「おもちゃを片付けてくれてありがとう」など、具体的に褒めることで、子どもの自己肯定感が育ちやすくなります。
子どもとの時間を大切にする
子どもとゆったり過ごす時間は、発達を促す効果的な方法の一つです。一緒に遊んだり絵本を読んだりお散歩に行ったりするなかで、子どもの興味や反応を観察できます。
例えば、公園で遊ぶ際には、滑り台や砂場など子どもが好きな遊具を使いながら「高い」「すべる」などの言葉を使って説明を加えてみるのもおすすめです。
親子で楽しみながら、言葉や社会性を自然に学べる環境を少しずつ作っていけます
専門家に相談する
不安が大きい場合は、遠慮なく専門家に相談しましょう。例えば、言葉の遅れが気になる場合は、言語聴覚士に相談することで家庭でできる言葉かけの工夫や遊び方を教えてもらえます。
他にも、小児科医・保健師・心理士など、さまざまな専門家が子どもの発達をサポートしてくれます。子どもの発達状況や親としての不安な気持ちを専門家へ相談するのは、決して恥ずかしいことではありません
▼言語聴覚士の支援を受ける方法や探し方はこちらの記事で紹介しています。
定期的に成長を記録する
日々の子どもの成長を、写真や動画、日記などで記録するのもおすすめです。新しい言葉を覚えた日、初めて一人で靴を履いた日、好きな食べ物が増えた日など、たとえ小さな記録でも、子どもの成長を客観的に把握するのに役立ちます。
また、たまに振り返ってみると見逃していた成長に気づくことがあり、親子ともに大きな励みになるのが魅力です。さらに、次の健診や専門家との相談の際に子どもの発達状況を説明するうえでも、日々の記録は貴重な資料になります。
他の保護者と交流する
同じように1歳半健診の結果で悩んでいる保護者と、育児サークルや地域の子育て支援センターなどを利用して交流してみるのも一つです。
うちの子も同じだったよ!
こんな遊びが効果的だった!
など、実体験に基づいたアドバイスを得られることがあります。また「自分だけが悩んでいるわけではない」と知ることができ、心理的な負担が軽減されやすいのもメリットです。
大切なのは「子どもに合わせた関わり方」
1歳半健診は、子どもの発達を同年齢の子どもと比べるためのものではありません。子ども一人ひとりの発達や疾病の有無を確認し、どのような支援が必要かを一緒に考えていくための健診です。
チェック項目に当てはまらなかったとしても、自分や子どもを責める必要はありません。子どもの発達の不安や困りごとを、専門家へ相談できる機会ともいえます。「成長の参考にしてみよう」という気持ちで、ゆったりと受診してみてください。
「1歳児健診、こんなことが不安でした」「心配な気持ち、こう乗り切りました!」などの声は、ファミケアのSNSやアプリでもぜひ聞かせてね
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