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移行期医療とは?定義や親が準備すべきポイントについて解説【専門家監修】

移行期医療とは?定義や親が準備すべきポイントについて解説【専門家監修】
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慢性疾患がある子どもが中学生に。小児科はいつまで受診できる?

今は親が管理している子どもの服薬、大人になったらどうすればいい?

疾患や障がいのある子どもを育てている親御さんは、子どもの将来のことを考えたときに一度はそんな風に考えたことがあるのではないでしょうか。

今回はそうした疑問に答えるべく、子どもから大人へ成長する上での医療の橋渡しとなる役割を果たす「移行期医療」について、専門家の監修を交えてご紹介します。

この記事を監修してくれた先生

医師 おkら先生

おkら先生のプロフィールイラスト

呼吸器専門医、がん薬物療法専門医、総合内科専門医。嚥下機能評価研修会修了、医療型児童発達支援/放課後等デイサービスの嘱託医。仕事大好き、2児の母。長男がダウン症、気管切開をしている医療的ケア児。障害児を育てる環境が優しくなって欲しい。その為に自分に何か出来る事はないかと日々考えています。
X:@oke_et_al,ブログ:じょいく児。

目次

移行期医療とは?

移行期医療とは、小児期に慢性疾患にかかった子ども本人が、大人になっても適切な医療が切れ目なく提供されるようにするために、小児科から適切な成人科へ移行することです。単なる転科ではなく、医療分野や患者との関わり方が異なる小児科と成人科をシームレスにつなぐ架け橋となることが移行期医療の役割です。

医師 おkら先生

移行期医療の目的は「切れ目のない医療の提供」のため、患者さんそれぞれの病状やお住まいの地域のマンパワーの状況により、必ずしも成人科に完全に移行しきってしまうのではなく、小児科を受診しつつ成人科も受診するパターン等もあります。

小児科では成人期に多い生活習慣病やがんなどを診療したり、入院が必要な際の病床の対応が難しいケースがあるため、成人期特有の合併症や併発する疾患を適切に治療するためにも、子どもの成長に応じて、かかりつけを小児科から成人科へ適切に移行することは重要になってきます。

医師 おkら先生

いままで皆さんがどのような医療を受けてきたかを成人科の病院へ伝えることは、患者さん本人が適切な医療を受ける為にとても重要です。

移行期医療、親が準備するべきこと3つ

移行期医療の定義について理解できたところで、親としては子どもの自立に際し医療を成人科に移行するにあたって、どのような準備をすればいいのでしょうか。この記事では、親御さん目線での準備について3つのポイントにまとめました。

医師 おkら先生

もちろん通いなれた小児科を卒業することは不安も大きいと思います。しかし移行期にあたっても、あらかじめ関係者が集まって相談をしたり、移行初期は小児科にも受診を継続したりすることもあり、ご本人とご家族の意向を反映しながら移行していきますので安心してくださいね。

1:子どもの障がい・疾患について話す

まずは改めて子どもの障がいや疾患について、きちんと伝えておくことが第一歩です。子どもが自分の状況を一人で正確に医療者に話せるようになることを見据え、以下のポイントに沿って情報を共有しておきましょう。

伝えるポイント

✔病名
✔発症年齢や手術歴
✔現在受けている治療
✔薬の名称
✔薬の効果および副作用
✔受診の間隔や受診が必要な症状

東京都立小児総合医療センターのHPでは、患者本人用および保護者用にチェックリストが掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

東京都立小児総合医療センター
https://www.tmhp.jp/shouni/outpatient/transit-care.html

2:子どもだけでの医療受診や服薬の練習

子どもが自身の障がいや疾患について自分でも正確に理解することができたら、可能な場合はできるところから子どもだけでの医療受診や服薬の練習などを始めてみましょう。

医療受診といってもいきなり一人で病院に行くのではなく、親は待合室で待機し、子どもが一人で診察室に入る(もしくは一緒に入って、親が途中で退出する)形からスモールステップで始めてみるのが良いでしょう。

特に思春期を迎えた子どもにとっては、親には伝えづらい第二次性徴にまつわる悩みごとや、障がいや疾患に対する自身の考えや気持ちを直接医療者に伝えることができる機会にもなります。

服薬についても、改めて薬が必要な理由を親御さんや医療者から伝えておくと、自分自身できちんと管理する必要性に子ども自身が気付けるでしょう。

また、自身での移動が難しい場合にはヘルパーや移動支援の方と一緒に医療機関を受診する練習なども良いでしょう。

3:移行期医療支援センターに相談する

疾患や障がいについての適切な情報共有と、子どもだけでの医療受診や服薬の練習ができたら、いよいよ成人科への移行を考えることになります。その際にお住まいの地域に移行期医療支援センターがあれば、連携が取れるとより安心です。

移行期医療支援センターとは、患者(保護者)・小児科・成人科の三者と連携を取り、情報収集や調整を行い適切な移行期医療を実現するための医療機関です。具体的には小児医療機関や保護者からの相談対応や小児科と成人科の連携の支援、医療関係者に対する研修会の開催などを行っています。

ただし、移行期医療支援センターは2023年12月現在全国9か所(※1)にしかありません。(北海道、長野県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、大阪府、兵庫県)

2018年12月の成育基本法制定により「小児期から成人期にかけて必要な医療を切れ目なく行うことができる移行期医療の支援」が明記され、各都道府県に1つ以上の移行期医療支援センターを設置することが目標(※2)と定められているため、今後の整備に期待したいです。

出典:
※1 移行期医療支援センターマップ
https://transition-support.jp/map

※2 北海道大学病院「小児成人移行期医療支援センター」
https://www.huhp.hokudai.ac.jp/center_section/ikouki-center/

2024年2月、移行期医療の疾患別ガイドが公開

小児の代表的な疾患について、成人移行のための疾患別ガイドが日本小児科学会により作成され、2024年2月1日に公開されました。

公益社団法人 日本小児科学会「移行期医療における疾患別ガイド」
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=153

小児科以外の医師、自治体、患者本人など、小児疾患の専門家ではない方にも理解できるよう疾患ごとに、どのような事に気を付けて診療にあたるのかについてまとめられています。

今後も体制の整備が進められていく移行期医療

障がい児や疾患児を育てる親が、子どもの自立を考える上で必要不可欠な移行期医療。しかし、前述したとおり移行期医療支援センターはまだ全国9か所にしかないなど、移行期医療の実施はまだ不十分で、現在進行形で体制の整備が自治体・医療機関で進められています。

移行期医療の体制が、今後さらに充実していくことを期待したいですね。

▼こちらの記事は下記サイトを参照した上で執筆しました。

・千葉県
「千葉県移行期医療支援センターについて」

・大阪府移行期医療支援センター
https://ikoukishien.com/about

・東京都立小児総合医療センター
https://www.tmhp.jp/shouni/outpatient/transit-care.html


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この記事を書いた人

Webライター。小学生の長女は生後まもなく細菌性髄膜炎となり、現在もてんかんの服薬を続けています。夫と身体は小さいものの運動神経抜群の長女と9歳差の次女と2020年よりシンガポールで生活中。

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