嚥下障害のある人や胃ろう注入をしている人のために、ミキサーで液状に加工した食事のことをミキサー食といいます。
ミキサー食に興味はあるけど、どう作ったらいいの?
と感じている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、子どもに毎日ミキサー食を作っているママが、ミキサー食の作り方やメリット・デメリット、注意点について解説していきます。
ミキサー食とは?
ミキサー食とは、通常の食事をミキサーにかけてなめらかにした食事の総称です。基本的にスープやポタージュ状にした食事を指します。
水分を減らしたより粘度の高いものをペースト食、なめらかにした食べ物をゼラチンやゲル化剤などを使って固めたものをムース食、更にゼリー状に固めたものをゼリー食といいます。
ミキサー食を活用する人は?
ミキサー食を活用する人は、嚥下機能が低い人や胃ろうから注入を行っている人など、口から通常の食事を摂ることが難しい人です。
噛む力や飲み込む力が低いと、固形物を食べることが難しい場合があります。そういった方にも食べやすい食形態で、味のバリエーションをつけたり栄養バランスをとりやすくしたりするためにミキサー食が活用されます。
嚥下の状態によっては、ペースト食や、べたつきの少ないゼリー食が適している場合もあります。
なめらかに撹拌したミキサー食は、胃ろうから注入することも可能です。経腸栄養剤ではなくミキサー食を注入することで、栄養剤では補いきれない栄養素も摂取することができます。
筆者の息子の場合はまず口から食べ、食べれなかった分を胃ろうから注入しています。一人ひとり嚥下の状態は異なりますので、どの形態の食事が適しているのかは、言語聴覚士や看護師、医師に相談してみましょう!
▼経管栄養や胃ろうについて知りたい方はこちら!
ミキサー食のメリット・デメリット
ミキサー食にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。簡単に紹介します。
メリット
- 嚥下機能が低い子どもでも、食事を楽しめる
- 経腸栄養剤だけでは不足しがちな栄養素をとることができる
- カロリーのコントロールがしやすい
- みんなで同じ食事を食べることができる
家族みんなで同じ食事を味わう…当たり前のことのようですが、「みんな一緒」ということは、本人だけでなく家族にとっても満足感が大きいものです。
デメリット
- ドロドロした見た目で何を食べているのか分かりにくく、食欲が湧きにくい
- 手間がかかり、調理が負担になる
- 水分を付加するため、カロリーが低くなりやすい
- 外出先での食事に困る
水分の量を調整したり、メニューを工夫することでカロリーの低下は補うことができます。また、調理や盛り付けのひと工夫でよりおいしそうな見た目に仕上げることもできます!
ミキサー食の基本の作り方
ここからは基本的なミキサー食の作り方を解説します。
必要なもの
- ミキサーまたはハンドブレンダー
- ミキサーにかける食事
- お湯、出汁などの水分
- 器
作り方
スムーズにミキサーにかけられる水分量の目安は食事の2倍量です。つまり、100gの食材に200gの水分を加えてミキサーします。加水量は1食のカロリーや使用する食材、作りたい固さによって調節が必要です。
おいしくつくるポイント
ミキサー食をおいしくつくるポイントは、加水によって変化する味の調整をすることです。
ミキサー食はミキサーでしっかり攪拌できるようにするため、加水(水を加えること)が必要不可欠です。その分味が薄まってしまうので、必要に応じて調味料をプラスするとおいしくできます。
お湯ではなく野菜スープや出汁で加水する、煮物であれば煮汁を多く入れるとよりおいしく仕上がりますよ!
また、見た目に気を使うこともポイントの一つです。すべて一緒にミキサーにかけてしまうと、色合いの変化がなく、食欲が湧きづらいです。可能であれば色の濃い食材と薄い食材を分けてミキサーにかけ、彩りをよくする、カラフルな器に盛るなどの工夫をすると、おいしそうな見た目になります。
調味料を仕上げにかけたり、スープにパセリを散らす、コショウを一振り…といったひと手間でも見栄えが良くなります!
ミキサーはどんなものがおススメ
ミキサー食作りに欠かせないミキサーの選び方も簡単にご紹介します。
ミキサー食に使うミキサーの種類は大きく分けて、卓上ミキサーとハンドブレンダーの2種類です。
卓上ミキサーはパワーが強く、簡単に食材を撹拌することができます。一方、十分な水分量がないとミキサーが回らず、固形の残った食事になってしまいます。また、ミキサーに対して食材が多すぎたり少なすぎたりすると均一にミキサーが回らず、やはり固形の残った食事になりがちです。うまくペースト状にするには、ややコツがいると言えます。
ハンドブレンダーはミキサーよりもパワーは劣りますが、自分で上下左右に動かして撹拌できるため、固形が残りにくいです。時間はかかりますが、加水が少なめでもペースト状にすることができます。
筆者はミキサーとハンドブレンダーの両方を持っています。個人的にはハンドブレンダーの方が使いやすく、お手入れもしやすいです。
ミキサー食の注意点
ミキサー食の注意点は、同じ量の食事でも通常の食事と比較すると、栄養価の低い食事になってしまうということです。前述のように、食材をミキサーにかけるには加水が必要です。しかし水を加えるとかさが増し、量の割に栄養やカロリーが少ない食事になってしまいます。
特に1日の必要カロリーが多い方の場合は、加水量を少なめにするなど、1食の栄養価をあげる工夫が必要です。
また、食材選びにも注意が必要です。繊維質の多い食材(ごぼうなど)や弾力のある食材(イカ、こんにゃくなど)はうまく攪拌できず、固形のまま残りがちです。なるべくミキサーにかけやすい、やわらかい食材を選ぶと調理しやすくなります。
一人ひとり必要なカロリーや栄養量は異なりますので、まずは栄養士さんに相談してみることをおススメします!筆者は息子のミキサー食を始めた際に栄養指導を受けて、必要なカロリーや水分量についてアドバイスをいただきとても参考になりました。栄養指導を受けたい場合は、受診の際に主治医や看護師に相談してみてください!
無理のない範囲でミキサー食を取り入れてみよう!
ミキサー食は、普段の食事をミキサーにかけてなめらかにした食事のことです。嚥下機能の低下した方にとって飲み込みやすい形態で、胃ろうから注入することもできます。
食材の量や水分の調整など、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れると簡単に作ることができます。
とはいえ、365日毎食ミキサー食を作るのは大変です。生活スタイルに応じて栄養剤を併用したり、時には市販の介護用ペースト食を利用する、まとめて作って冷凍しておくなど、続けられる方法で取り入れていけば十分ではないでしょうか。
筆者は、朝は時間の余裕がないので栄養剤を使用しています。毎日のミキサー食作りは手間がかかって大変だなぁ…と感じるときもありますが、我が子にご飯を作ってあげられることは筆者にとって大きな喜びで、日々の育児のモチベーションにもなっています!
一番大切なことは、子どもだけでなく、ママもパパもみんなで食事を楽しむこと!生活の中に無理なくミキサー食を取り入れて、食卓に家族の笑顔が増えたら嬉しいです。
▼ミキサー食を冷凍する場合にはこちらの記事を参考にしてみてください!
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