
子どもに薬を飲ませても、嫌がって口から吐いてしまう…



なかなか薬を飲んでくれなくてイライラする…
このような経験はありませんか?特に疾患・障がい児の場合は日常的に内服が必要な子どもも多く「どうやって飲ませよう…」と困ってしまいますよね。
どうにかして飲ませようとしているのに子どもが吐きだしてしまうと、時にはイライラすることも。
この記事では、現役薬剤師の筆者が、子どもが薬を飲まなかったり、内服後に吐いてしまったりする際の対処法を解説します。
子どもが薬を飲まず吐いてしまう理由
子どもが薬を嫌がったり、吐いてしまうのはよくあることです。それには以下のような理由があります。
・味やにおいに敏感
子どもは大人よりも味覚や嗅覚が敏感で、薬の味やにおいを強く感じやすいです。感覚過敏のある子どもでは、より刺激に敏感な場合もあります。
・薬を飲む理由がわからない
子ども自身が薬を飲む目的を理解できていないと、薬の必要性よりも「嫌だ」という感情が勝ってしまい、吐いてしまうことがあります。
・剤形による飲みづらさ
薬には、シロップや粉、錠剤などさまざまな剤形があります。この剤形の違いによって、子どもの飲みやすさは大きく変わります。
子どもにとって飲みにくい剤形だと、飲み込めなかったり、吐いてしまったりしやすくなるのです。



たとえば粉は苦手だけどシロップなら飲みやすいなど、子どもそれぞれで飲みやすい剤形は違います。また、錠剤は一般的に6歳頃から徐々に飲めるようになるといわれますが、実際に習得する年齢は個人差があります。
・精神的プレッシャー
子どもは、ママ・パパの「どうにかして薬を飲ませたい」「薬を飲ませられるか不安」という思いを感じとります。「嫌だけど飲まなくちゃ」というプレッシャーで無理に飲んでみたものの、その後吐いてしまうことも。
・体調不良
体調が悪いときは胃腸の動きが悪くなったり、脳にある嘔吐中枢が刺激されやすくなったりします。嘔吐中枢とは、吐き気や嘔吐をコントロールしている部分のことです。
そのため、普段よりも吐きやすい状態になります。
吐いたときはもう一度飲ませるべき?
子どもが薬を吐いてしまった時、もう一度飲ませた方がよいのかどうか判断に迷ってしまうこともありますよね。
基本的には、薬を吐いた時間が内服後30分以上経過していたかどうかで、以下のような対応に分かれます。
内服後30分以上経過している
薬を飲んで30分以上経過してから吐いた場合は、身体への薬剤吸収が始まっているため、再び内服はせず経過を見ることが多いです。
内服後30分以内
薬を飲んで30分以内に吐いた場合は、医療者に相談するのが最も確実で安全です。
その際、以下の情報を伝えられると判断に役立ちます。
- 薬を飲んでから吐くまでのおおよその時間
- 薬が吐物にそのまま混ざっているかどうか
- 飲んでいる薬の種類
薬には「病気の状態をコントロールする薬」と「今出ている症状を和らげるための薬」があり、再投与の判断は薬によって異なることがあります。
例えば、てんかんの薬は切れるとけいれん発作が起こる可能性が高まります。そのため、薬を飲み続けることが大切です。一方、整腸剤、解熱剤、痛み止めなどはそのときの症状を和らげるための薬です。
これらの薬の種類や症状の程度などから、薬を再度飲む必要があるかどうかを医療者が総合的に判断します。



再投与するか迷ったら医師や薬剤師などの医療者にぜひ相談してください。吐いたときにどう対処したらよいかを事前に確認しておくと慌てずにすむので、受診の際に聞いておくとよいですよ。
子どもに薬を飲ませる工夫
子どもに薬を飲ませる工夫としては、以下のような方法が挙げられます。
・薬を飲む理由を説明する
子どもの年齢によっては、薬を飲む理由を説明すると納得して服薬できる場合もあります。飲めたらたくさん褒めてあげるのも大切です。
・ご褒美を使う
「薬を飲んだらおやつ」などご褒美を与えるのも一つの方法です。ただし、日常的に内服が必要な場合には、いつもご褒美を使用しているとやめられなくなるおそれがあります。
ご褒美は豪華すぎるものでなく、依存しすぎないものにしておくと良いでしょう。
・服薬補助ゼリーや好物に混ぜる
市販されている服薬補助ゼリーで薬を包んであげると服薬しやすくなります。また、ジュースやアイスクリーム、プリン、ゼリー、ココアなど、子どもが好きなものに混ぜて飲ませるのもおすすめです。
ただし一部の薬は柑橘ジュース、乳酸菌飲料、スポーツドリンクなど酸性のものに混ぜると苦くなるので注意が必要です。事前に混ぜてもよいものを薬剤師に聞くと確実です。



娘は漢方薬をミロに混ぜて飲んでいます。好んで飲んでいて、「あのチョコ味の薬は〜?」と言われますよ。
・飲みやすい薬へ変更する
子どもによって飲みやすい剤形が異なります。粉で飲みづらければシロップに変更してもらうなど、剤形を変更してもらうと飲みやすくなるかもしれません。薬によっては、坐薬に変更できることもあります。
また、同じ成分で同じ剤形の薬でも、味やにおい、錠剤の大きさなどが薬によって異なることもあります。薬剤師に相談してみると別の薬を提案してもらえるかもしれません。
・食前に飲ませる
おなかがすいていて吐き戻しにくい食前に薬を飲ませるのも一つの方法です。薬は通常食後に飲むように処方されますが、実際には食前に飲んでも問題のない薬がほとんどです。
ただし一部の薬で食前に飲むと胃の不快感がでやすいものなどがあるので、あらかじめ薬剤師に確認しておきましょう。
薬を飲まない子どもにイライラ…これって親が悪い?



さまざまな工夫をしているのに薬を飲まない…
何度工夫をしても薬を吐き出されたり、拒否されたりすると、思わずイライラしてしまうこともあります。
このイライラは、子どもへの思いや「ちゃんとしなきゃ」という責任感があるからこそ生まれるもの。決して親として悪いわけではありません。
イライラしたときはいったん薬を片づけてリセットしたり、子どもから離れて気持ちを落ち着かせたりするとよいかもしれません。無理に飲ませようと頑張るより、一旦仕切り直して親の気持ちを守ることも大切です。



イライラすると自己嫌悪に陥ることもありますよね。イライラしてしまうのはすでに頑張っている証拠。誰でももちうる感情なのでご自身を責めすぎないでくださいね
イライラや負担を感じるときは、医師や薬剤師に相談するタイミングです。早めに頼ることで親子双方のストレスを減らせます。



どんな工夫をしても薬を飲めないという相談を受けることもあります。そんな時は、処方変更になることも。例えば、処方を1日2回や1回で済む薬に変える、剤形を坐薬などに変える、必要性の高くない薬は中止する、などさまざまな工夫ができます。飲めていないことを責められることはないので、正直に伝えてみてください。
薬を飲まなくて困ったら、一人で抱えずに医療者に頼ろう
子どもが薬を飲まなかったり、吐いたりすると困ってしまいますよね。
そんなときは一人で抱え込まず、医師や薬剤師などの医療者に相談してみてください。ママ・パパだけでは気づきにくい工夫や、負担を減らす方法を教えてもらえるかもしれません。また、吐いてしまった場合の対応を事前に確認しておくと、いざというときも落ち着いて対処できます。



困ったときは、ぜひ薬剤師を頼ってくださいね。













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