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【小児向け】気管切開しても口から食事ができる?安全に食事をするためのポイントについても解説

【小児向け】気管切開しても口から食事ができる?安全に食事をするためのポイントについても解説
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子どもが気管切開をしたのだけど、口から食事ができる日は来るの…?

子どもが気管切開をすると、日常生活に関するさまざまな不安を感じますよね。食事についてもその一つ。

食べさせたいけど、無理をして誤嚥させてしまうのが怖い

と揺れる気持ちをもつパパ・ママもいるのではないでしょうか。


そこでこの記事では、看護師である筆者が「気管切開をしても食事ができるのか」について解説します。気管切開の基礎知識から、誤嚥のリスクや食事の進め方、そして安全に食べさせるためのポイントまで分かりやすくまとめました。

「気管切開=食べられない」ではないということを知ることで、少しでも不安が軽くなるきっかけになれば幸いです。

この記事を監修してくれた先生

医師 おkら先生

おkら先生のプロフィールイラスト

呼吸器専門医、がん薬物療法専門医、総合内科専門医。嚥下機能評価研修会修了、医療型児童発達支援/放課後等デイサービスの嘱託医。仕事大好き、2児の母。長男がダウン症、気管切開をしている医療的ケア児。障害児を育てる環境が優しくなって欲しい。その為に自分に何か出来る事はないかと日々考えています。
X:@oke_et_al,ブログ:じょいく児。

目次

気管切開とはどんな状態?

気管切開とは、首から気管に小さな穴(気切孔)を開けて、空気の通り道を確保する手術です。呼吸の補助と痰を出しやすくすることを主な目的としておこなわれます。

気管切開後には空気の通り道を確保するために、気切孔に「カニューレ」と呼ばれる管の挿入が必要です。また、人工呼吸器を使用することもあります。

▼気管切開についてはこちらの記事で更に詳しく解説しています

気管切開をしても口から食事はできる

気管切開をしても口から食事ができる可能性はあります

以下の図は、気管切開時の首の断面を表したものです。

気管切開時の首の断面図。気管・気切孔・声帯・食道の位置関係を示している図

この図からわかる通り、人の身体は気管(空気の通り道)の後ろ側に食道(食事の通り道)が位置しています

気管切開では身体の前側にある“気管”に空気の通り道となる気切孔をあけます。この時、処置が加わるのは気管だけで食道はそのまま保たれます。

このため、気管切開後でも口から食事を摂ることは身体の機能的には可能といえます。

ライターもっちー

実際に筆者の友人のお子さんで、出生後すぐに気管切開をした子がいますが、現在は口から食事をしています。医師に相談の上訪問STにもサポートしてもらい、始めはペースト食からスタートして、少しずつ根気強く食べる練習を重ねたと教えてくれました。

ただし、口から食事ができるためには嚥下機能が必要です。

嚥下機能とは、以下のような、食べ物や飲み物を口から喉、食道を通って胃まで安全に運ぶための体の動き全体のことです。

①食べ物を認識し口に運ぶ

②口の中でで咀嚼し、食物をまとめる

③まとまった食べ物を喉へ送り込む

④飲み込む瞬間に気管に流れ込まないよう、気管の入り口を閉じる

⑤食道を通って、胃へ運ばれる

口から食事をするためには、これらがスムーズに行われることが大切です。そのため、医師とよく相談して判断することになります。

口から食事ができるかはどう判断する?

口から食事ができるかどうかは、気管切開術後の状態を主治医や言語聴覚士にみてもらいながら判断します。具体的な流れは子どもの状態によって変わりますが、以下のステップで進めることが多いです。

気管切開後に口から食事ができるまでの流れ

STEP
医師に相談

気管切開後の経口摂取については、まずは子どもの今の状態を把握して医師や看護師、言語聴覚士などと相談することから始めます

言語聴覚士は飲み込みなど嚥下のリハビリを行う専門職です。子どもの状態に応じて、食べる姿勢や食事の形態を検討してくれます。

▼言語聴覚士についてはこちらの記事で詳しく解説しています

STEP
嚥下の評価

食事を開始する前には嚥下機能を確認する検査を行います。VF(嚥下造影検査)やVE(嚥下内視鏡検査)という検査です。

レントゲン造影や鼻から挿入するカメラ(鼻腔ファイバースコープ)を用いながら、実際に食べ物を飲み込んでみて、嚥下の状態を確認します。この評価は必須ではなく、状態に合わせて行います。

STEP
試験的に食事を食べてみる

検査の結果で食事の練習を開始しても良いと医師が判断すれば、少量ずつから食事を開始します。看護師や言語聴覚士が様子を観察しながら、少しずつ食事を進めていきます。

ライターもっちー

1人でやるのではなくプロと二人三脚でゆっくり進めるので心配はいりません。

食事を始める際に知っておきたいポイント

食事をするときに大切なのが「誤嚥(ごえん)のリスクをしっかり評価する」ということです。

誤嚥とは、本来であれば食道を通って胃に入るはずの食べ物や飲み物が、誤って気管に入ってしまうことです。

誤嚥は飲み込みの力が弱くなることや咀嚼が十分でないこと、食べ物をうまく口の中でまとめられないことなどによって起こります。肺炎を引き起こすこともあるため、食事を始める際に最も注意したいポイントです。

誤嚥のしやすさには主に以下のような点が影響します。

  • かかえている病気と発達の程度
  • 気管切開前後の嚥下の状態
  • 痰や唾液など分泌物の量
  • カニューレの種類や人工呼吸器の使用の有無

さらに、食事の際の呼吸や全身の状態、覚醒の程度も影響します。

気管切開後は手術前の身体の状態とは大きく異なります。さらに、同じ「気管切開」でも術後の状態は本当に人それぞれです。

飲み込みの練習はその時の子どもの状態をよく観察し、医師や言語聴覚士(ST)などの専門家と連携しながら、サポートすることがとても大切です。手術直後は飲み込みが難しくても、練習していけばだんだんとスムーズになることもあります。まずは主治医に子どもの状態について尋ねてみると良いでしょう。

気管切開後に安全に食事をするためのポイント

気管切開の後は飲み込みがしにくそう

本当に誤嚥の心配はない?

このように心配に思う気持ちは当然です。そこで、気管切開後にも安全に食事をするためのポイントを紹介します。

気管切開でも安全に食事をするためのポイントは、①姿勢づくり ②食形態の調整 ③観察とケアです。

1.姿勢づくり

食事の姿勢の基本は「やや前かがみ+軽く顎を引いた姿勢」です。姿勢が安定していると、飲み込みも安定します。

ライターもっちー

どんな姿勢が適しているか、最初は言語聴覚士や理学療法士などの専門家に相談できると安心です。また、座位保持椅子を使うと自宅でも安定した姿勢がとりやすくなります。

▼座位保持椅子についてくわしくはこちら

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2.食形態の調整

最初はゼリーやプリンなど、適度な柔らかさでまとまりやすく、滑りのよいものから始めることが多いです。スプーン1さじ程度から始め、飲み込んだのを確認して次の1口へ進めます。

食事のペースは子どもそれぞれで違います。「飲み込んだの?」「次のひとさじに進んで大丈夫?」など、はじめは戸惑うこともあるかもしれません。困った時には無理せず、医師や言語聴覚士に相談しながら進めていきましょう。

3.観察とケア

安全な食事のためには食事前後の吸引や観察も大切です。

特にゴロゴロと痰の絡んだ音や顔色の悪さ、呼吸数の増加は誤嚥の可能性があるので注意が必要です。無理せず食事は中止して吸引しましょう。

ライターもっちー

「できるだけたくさん食べてほしい」という思いから、つい頑張って食べさせたくなる時もあるかもしれませんが、安全第一で焦らずに進めることが大事です。

そして、なにより大切なのは「親子で楽しみながら食事をする」こと。子どもの好きなものを食べさせてあげたり、とろみや温度なども子どもの好みに調整したりしながら進めていけると良いですね。

食事の練習をするなかで、パパやママも不安や心配に思う場面も多くあるかもしれません。そんなときも一人で抱え込まなくて大丈夫。医師や看護師、言語聴覚士などの医療スタッフに相談しながら、子どもが安全に食べられる方法で進めていきましょう。

気管切開後の食事に関する相談先

気管切開後の食事に関する相談先としては、小児科の他、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科が中心です。まずは主治医に相談してみるのが一番スムーズです。

在宅では訪問看護のスタッフや言語聴覚士、療育センターのスタッフなどに相談することができます。

ライターもっちー

自分一人で悩まなくて大丈夫です。周りと相談しながら一歩一歩進めていきましょう。

【体験談】気管切開術後に食事を食べられるようになるまで

最後に、この記事の監修者であり、気管切開をしている子どもを育てているおkら先生の体験談をご紹介します。

息子は現在7歳で、1歳の時に気管切開をしました。もともと口からミルクを飲んだり、離乳食を食べたりしていましたが、気管切開後は経鼻チューブで栄養を取る生活になりました。

その後も長い間ペースト食が中心で、姿勢を工夫したり、食事の形態を工夫したり、足りない栄養分は補助食で補ったりとさまざまな工夫をしてきました。

最近では周りの子どもたちと同じように、学校の給食を形態の調整をすることなく口から食べれるようになりました。全部口からベーっと吐き出していた魚も今ではパクパク食べています。現在でも、痰が多くて一口も食べれなかったり、体調不良の時は補助食で対応したりと調整しています。

医師 おkら先生

最初からパクパク食べられる子はいないと思うので焦らずゆっくり周囲と相談しつつ経口摂取に取り組んでください。

気管切開しても安心して食事を楽しもう

「気管切開=口から食べられない」ではありません。準備と見守りを整えれば食事ができる可能性はあります。一緒に同じものを味わえるのは、家族にとってうれしいですよね。

安全に食べられるようになるためには、専門家の力を借りながらゆっくり進めることが大切です。子どもによっては長い時間をかけて進めていくこともあります。1人で抱えず、医師や言語聴覚士に相談しながら、少しずつトレーニングして、その子にとってよりよい食事の形を探していきましょう。


ファミケアの掲載記事およびコラムに関しては、当事者および専門家によって作成しておりますが、全ての方に当てはまる情報ではございません。投稿された情報の利用により生じた損害について、ファミケア運営元では責任を負いかねますので、あくまでもご家庭での判断のもと参考情報としてご利用ください。また、特定の施設や商品、サービスの利用を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

Webライター/ときどき看護師。
2022年生まれの息子は、脳性麻痺と視力障がいのある重症心身障がい児です。
障がいの有無にかかわらず「育児って楽しい」と思える視点を大切に、当事者目線の記事を書いています。

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