
前の日に準備したはずなのに、また忘れ物…



何度声をかけても改善せず、毎朝イライラしてしまう自分がつらい
発達障害のある子どもの忘れ物に悩む保護者は少なくありません。発達障害の子どもが忘れ物が多いのは、本人の性格ややる気の問題ではなく、子ども自身ではコントロールしにくい特性が関係しています。
この記事では、発達障害のある子どもに忘れ物が起きやすい理由と、今日から家庭でできる対策、そして親が意識したい関わり方について解説します。
筆者自身も発達障害児を育てており、忘れ物に悩まされています。実際に効果のあった家庭で行っている工夫やアイテムを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
発達障害のある子どもはなぜ忘れ物が多い?
発達障害のある子どもの中には、情報を整理したり行動を切り替えたりすることが苦手な場合があり、その特性が忘れ物につながることがあります。
たとえ必要な持ち物の理解ができていても、準備や確認の段階でつまずきやすく「分かっているのにできない」とみられ、本人が責められてしまうことも。
そこで、まずは発達障害の子どもに忘れ物が起きやすくなる理由について、整理してみましょう。
情報を整理して覚えておくことが難しい
発達障害のある子どもは、必要な持ち物や準備の手順を頭の中で整理し、まとめて覚えておくことが苦手な場合があります。
学校に行くまでの準備には複数の情報が同時に関わるため、すべてを整理しきれなくなった結果、一部だけが抜け落ちてしまうのです。
大人から見ると「なぜこれだけ忘れるのか」と感じる場面でも、本人の中では問題なく準備をしているつもりでいる、ということも少なくありません。
注意がそれやすく、途中で別のことに意識が向く
発達障害のある子どもの中には、周囲の音や出来事などの刺激に反応しやすい特性を持つ子どももいます。
そのため、準備をしていても途中で別のことに注意が向いてしまうのです。一度意識がそれると再び元の行動に戻りにくく、準備途中で必要な物がそろわないまま「終えたつもり」になってしまうことがあります。
本人に悪気はなく、集中が途切れたことで作業の流れが断たれている状態です。
家庭でできる忘れ物対策
忘れ物をしないように毎日声かけをしているのに、それでも忘れ物をしている…
そんなご家庭もあるのではないでしょうか。発達障害のある子どもの忘れ物への対応は、声をかけ続けるだけでは改善につながりにくい場合があります。努力や意識だけでなく、環境や仕組みで支えてあげましょう。
ここでは、家庭で取り入れやすい方法を整理して紹介します。
大人がサポートしながら準備する
最初から自立を求めすぎず、大人がサポートすることが大切です。「自分でやらせなければ」と思うほど、うまくいかないときに親子ともに気持ちの負担が大きくなります。
最初は準備中に一緒に確認し、慣れてきたら最後のチェックだけを行うなど、関わり方を少しずつ変えていくのがポイントです。子どもが用意した持ち物を一緒に見直したり、「今日は何が必要だったかな」と声をかけながら確認したりするなど、大人が最終確認をする役割を担いましょう。
「全部自分でできるようになること」よりも、「忘れにくい形で準備を終えられること」を大切に考えると親子共に楽になります。
筆者は以下のような声かけをしています
・明日の時間割はどこを見たら分かりそう?
・ここまでは準備ができたね。ほかに必要なものがないか一緒に連絡帳を見てみよう。



「あれってどうだったっけ?」「これで全部かな?」と、最後は自分で思い出せるような関わりを心がけています。
子どもに合ったタイミングで準備する
忘れ物対策として前日の準備が勧められることは多いですが、これがすべての子どもに合うとは限りません。
「いつ準備するか」を固定せず、子どもの生活リズムや状態に合わせて柔軟に考えることで、うまくいく場合もあります。
たとえば、朝のほうが落ち着いて確認できる、家を出る直前のほうが集中しやすいなど、失敗しにくいタイミングを基準にすると取り組みやすくなります。



一般的な方法であってもうまくいかない場合にはこだわらず、子どもに合う流れやタイミングを探すことが、結果的に忘れ物を減らす近道になる場合もあります。
見て分かる仕組みを整える
頭の中で情報を整理することが負担になりやすい子どもには、「見て分かる」状態を作ることが大切です。
たとえば、教科ごとにノートの色を分けたり、背表紙にラベルを貼ったりすると、何を持っていくかを視覚的に確認しやすくなります。入れる場所が決まっているファイルや袋を使うことで、「どこに何を入れるか」を考える負担も減らせます。
こうした工夫の目的は、子ども自身が「まだそろっていない」「ここが抜けている」と、自分の準備の状態に気づけるようにすることです。
準備の進み具合を目で確認できるようになることで、何が足りないのかをその場で把握しやすくなり、結果として忘れ物が減っていくことにつながります。



市販のグッズを活用するのも一つの方法です。チェックリストやメモなどは、親が声をかけ続けなくても、確認のきっかけを作ってくれます。
忘れ物対策におすすめのグッズ
ここでは、おすすめの忘れ物対策グッズを紹介します。
子供用 持ち物チェッカー/スケーター(Skater)
持ち物がそろっているか1つずつ確認できる、コンパクトなチェッカーです。ドラえもんの他にもかわいいキャラクターのデザインの商品があります。
METETE こどもの準備ボード/クツワ
準備ができたら裏返す、マグネットタイプの準備ボードです。何が必要で何がまだ準備できていないか、一目でわかります。
メモポケット ランドセル用/ソニック
ランドセルに取り付けられるメモポケットです。口頭だけでの伝達では覚えておくのが難しくても、このメモポケットを使えば、ランドセルを開くたびにメモが見えて思い出すことができます。
ランドセルぴったり連絡袋 取っ手付/クツワ
ランドセルにぴったりなサイズの、仕切り付きファイルです。煩雑になりがちなプリントを分けて入れられます。取っ手がついていて取り出しやすいのもポイントです。
ペンケース ピッタントン/クツワ
スケルトンタイプの筆箱で、ふたを開けなくても中身がみえるので、鉛筆を削ってあるかや必要な文房具が入っているなど、簡単に確認できます。
忘れ物が多い子どもに親が意識したい関わり方
忘れ物を減らせるように環境や仕組みを整えても、すぐに改善するとは限りません。対策してもうまくいかないと、子どもの意欲が下がってしまったり、親が疲れてしまうこともあります。
そこで、忘れ物対策をするうえでは以下のような関わり方や考え方を意識すると、前向きに考えらやすくようになります。
結果だけでなく、過程に目を向ける
忘れ物への対応で大切なのは、「忘れ物の有無」だけで子どもを評価しないことです。結果だけを見てしまうと、子どもには「できなかった」という印象だけが残りやすくなります。
忘れ物が続いてしまったとしても、準備を始めようとした、時間割を確認しようとした、前回より忘れ物が減ったなど、何らかの変化が見られることがあります。こうした「やろうとした点」に目を向けましょう。



忘れ物をした=ダメではなく、少しでも行動した場面があれば認めてあげると、子どもの意欲もわきます
できなかった理由を一緒に整理する
忘れ物があったときは、結果を責める前に「なぜそうなったのか」を一緒に整理することが大切です。叱る前にその日の準備の流れを振り返り、どこでつまずいたのかを確認します。
たとえば、準備を始めた時間が遅かったのか、途中で別のことに意識が向いたのか、前日に用意した物を朝に確認できなかったのか、など。原因を言葉にすることで、「次はどうするか」を考えやすくなります。
子どもと話したり行動を観察したりしながら、どのタイミングでつまずいているのかを考えてみましょう。
できた経験を積み重ねる関わりを意識する
「できた!」という経験を積み重ねていくことも重要です。子どもの変化に目を向け、小さな成功でも「どうやってできたのか」を一緒に確認することで、次につながりやすくなります。
「この順番だと準備しやすかったね」「今日はここまでは自分でできたね」といった振り返りを重ねることで、子どもは「自分にもできる」と感じやすくなります。



「できた!」という経験の積み重ねが自信につながっていきます。
学校と連携して進める忘れ物への対策
家庭で工夫を重ねても、忘れ物が減らないということもあるでしょう。発達障害のある子どもの忘れ物は、家庭だけではなく学校との連携も大切です。
ここでは、家庭だけで抱え込まないための考え方と、家庭と学校の対応をそろえる際に意識したいポイントを整理します。
学校と情報共有する
家庭でできる工夫を続けても忘れ物が減らない場合は、学校に相談してみることも一つの選択肢です。
家庭での状況を詳しく共有することで、必要なタイミングで全体として確認の時間を設けたり、個別に声をかけてもらえたりなどの配慮をうけられる場合があります。
相談する際は、忘れ物が置きやすい強化やタイミングなど、具体的な場面を伝えるようにしましょう。あわせて、家庭で行っている工夫や、家庭では対応しきれないと感じている点を共有すると、状況が伝わりやすくなるのでおすすめです。



「家ではこのような様子ですが、学校ではどうですか?」「何か家庭でできる対策や関わりはありますか?」のような伝え方をすると、柔らかく伝えられます。
家庭と学校の対応をそろえる
忘れ物への対応は、家庭と学校で対応の方向性をそろえることも大切です。家庭と学校でのやり方が大きく異なると、子どもが混乱しやすくなってしまいます。
たとえば、家庭では保護者と一緒に必要な学用品のチェックをしているのに、学校では本人任せになっている場合、「どこまで自分でやればよいのか」が分からなくなり、準備が定着しにくくなることがあります。
たとえば、筆者は以下のように学校と連携して忘れ物対策をしています。
- 連絡帳の確認:学校では下校前に先生と内容を確認し、家庭では前日の夜に保護者と確認する
- 提出物:家庭でチェックしている項目(宿題・プリントなど)に沿って、学校でも声かけしてもらう
- 提出物を管理するタイミングをそろえる:「朝提出する」「帰りにまとめる」など
家庭と学校での一貫した関わりの中で「どうすれば子ども準備しやすいか」を一緒に考えていけるといいですね。
忘れ物の理由を知ってできる対策から始めよう
発達障害のある子どもが忘れ物をする理由には、特性が影響しています。忘れ物を減らすためには、叱るのではなく、環境や仕組みを整えたりするほうが効果的です。
すべてを完璧に、一人でできるようになることを目標にする必要はありません。「必要であれば、大人が手を貸してよい」と考えることも、忘れ物への対応を続けていくうえでは大切です。
また、家庭だけで抱え込まず、学校とも情報を共有しながら対応をそろえることで、子どもが混乱しにくい環境を作れます。できることから少しずつ試し、子どもに合う形を見つけていきましょう。

















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