グレーゾーンの子どもを育てる方の中には「療育を受けたい」と思いながらも

うちの子は対象じゃないのかも…



グレーゾーンでも通所受給者証はもらえるの?
と不安に思い、なかなか動き出せない方もいるかもしれません。
実は、診断が出ていない「グレーゾーン」の子どもでも、通所受給者証を取得して支援を受けられるケースがあります。
この記事では、通所受給者証の基本的な仕組みから、グレーゾーンでも取得できるのか、申請方法や相談先までわかりやすく解説します。
発達障害のグレーゾーンとは
発達障害のグレーゾーンとは「発達障害の特性が見られているものの診断基準は満たしておらず、正式に診断はされていない状態」のことです。
診断基準を満たしていない=困りごとがないというわけではありません。診断はついていなくても、日常生活の中で支援が必要な子どもは多くいます。
▼発達障害やグレーゾーンについて詳しくはこちら


通所受給者証とは
通所受給者証とは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援を利用するために、市区町村が発行する証明書のことです。
通所受給者証を利用すると、公費による補助を受けながら、一部の自己負担で障害児通所支援サービスを利用することができます。
▼通所受給者証についてもっと詳しく知りたい方はこちら


通所受給者証を取得するメリット
通所受給者証を取得する最大のメリットは、 子どもの発達段階に合わせた専門的な「療育」が受けられることです。
療育を受けることで次のような効果が得られます。
- 子どもの得意・不得意を整理して理解できる
- 家庭での声かけや接し方のヒントが増える
- 園や学校との連携がしやすくなる
- 子どもが「できた」という成功体験を積み、自信につながる
療育は特別な場所ではなく「子どもの発達や成長を支えるための専門的な支援」です。
早めに関わることで、子どもだけでなく保護者の気持ちに余裕ができることもあります。
▼療育の内容や通う方法について詳しく知りたい方はこちら


グレーゾーンでも通所受給者証を取得できる?
「発達に心配があるけれど診断はついていない」「発達相談では『様子を見ましょう』と言われた」といった、いわゆるグレーゾーンの子どもでも通所受給者証を取得できる場合があります。
通所受給者証の発行の際に考慮されるのは診断名の有無ではなく「支援が必要かどうか」ということです。たとえ発達検査の結果が基準に達していなくても、発達の遅れや集団生活での困りごとがあり、療育などの支援が必要と認められれば対象となることがあります。
ただし、交付基準は全国一律ではなく自治体によって異なるため注意が必要です。
たとえば「保育園や幼稚園での集団行動が難しい」「指示の理解に時間がかかる」といった具体的な困りごとが確認できれば、通所受給者証が交付される自治来もある一方、医師の診断書を必須とする自治体もあります。
「うちは難しいかも」と諦めるのではなく、まずは自治体の相談窓口や児童発達支援センターなどに相談して、地域の基準や必要書類を確認してみると良いでしょう。
通所受給者証を取得したいと思ったら
グレーソーンで「支援を受けたい」と感じたら、まずは今の子どもの様子で通所受給者証を取得できそうか、相談することから始めてみましょう。
活用できる相談窓口
グレーソーンの子どもに関する悩みは、以下の窓口で相談することができます。
専門的なことがわからなくても、まずは今の悩みや気になる点を話すところから始めれば大丈夫です。そこから必要な支援や手続きを一緒に考えてもらえます。
- 市区町村の障がい福祉課や子育て支援課
市区町村の福祉課や子育て支援課では、通所受給者証の申請や療育サービスの案内を担当している窓口です。申請から支援の流れを丁寧に説明してもらえます。
- 児童発達支援センターや発達支援センター
児童発達支援センターや発達支援センターでは、専門スタッフに発達に関する相談ができます。子どもの行動や発達の様子を見ながら、どのような支援が適しているか一緒に考えてもらえるでしょう。
- 担任の先生や保健センターの保健師
園や学校での様子が気になる場合、担任の先生や保健センターの保健師に話してみるのもおすすめです。家庭だけでなく園や学校での姿も伝えることで、より具体的な支援の提案につながります。



面談を受ける際は、家庭や園での様子を簡単にメモしておくと、支援の必要性を伝えやすくなります。
通所受給者証の申請方法
通所受給者証の申請の流れや必要書類は自治体によって異なります。ここでは一例を紹介しますので、参考程度にご覧ください。
- 市区町村の窓口で必要書類を確認する
- 医師の意見書や発達検査の結果を提出する(自治体によっては不要)
- 面談や家庭訪問などによる聞き取りを受ける
- 審査結果の通知を受け取る
- 通所受給者証が交付される
申請から交付までには、数週間~1か月ほどかかるのが一般的です。余裕をもって進めましょう。
相談するときのポイント
グレーゾーンの場合、診断書がないからこそ「日常生活での困りごとやどんなサポートが必要か」を、自治体で申請する際や面談時に具体的に伝えることが大切です。このとき重要なのは、日々の具体的なエピソードを記録しておくことです。
たとえば「集団遊びで泣いてしまうことが多い」「指示の理解や気持ちの切り替えに時間がかかる」といった、実際の場面を簡単にメモしておくと、面談時に状況を具体的に説明しやすくなります。家庭や園での様子を先生と共有しておくのも有効です。
また、地域によっては、受給者証を発行するかどうかの判断に専門家の意見書を参考にする場合もあります。



筆者の娘は保育士の方に書いていただいたことがあります。日頃から園と家庭で子どもの様子を共有しておくと、いざ申請するときにスムーズになります。
子どもが保育園や幼稚園、小学校などに通っている家庭の場合、特別支援教育コーディネーターに同行してもらうのも1つの方法です。
特別支援教育コーディネーターとは、発達や育ちに不安のある子どもや家庭を支援する専門職で、福祉・教育・医療などの関係機関との橋渡し役を担う人です。保育施設や教育施設、市区町村の子育て支援課や発達支援センターなどで相談できます。
発達検査や医療機関の受診、就学相談などに同行してくれる場合もあるため、わからない点は遠慮せず質問してみましょう。小さな相談が、大きな安心につながるはずです。
▼特別支援教育コーディネーターが行う支援についてくわしくはこちら


通所受給者証の申請でよくあるQ&A
通所受給者証を申請する際には、不安や疑問を抱くこともありますよね。ここでは、申請を検討している方がよく気にするポイントをQ&A形式でまとめました。
事前に知っておくことで、安心して次のステップに進みやすくなります。
診断がなくても申請してもいい?
はい。診断がなくても申請は可能です。
通所受給者証の交付の際に考慮されるのは、診断名の有無ではなく日常生活の中で支援が必要かどうかという点です。医師の診断がなくても支援の必要性が認められれば、通所受給者証が交付されるケースもあります。
迷ったときは、まず自治体の窓口や発達支援センターに相談してみましょう。早めに話をしておくことで、今後の選択肢が広がります。
相談先はどこ?何から始めればいい?
最初の一歩は、お住まいの自治体の障がい福祉課や子育て支援課です。担当者が、地域の療育施設や相談支援事業所などを案内してくれます。
また「子どもの発達が気になるけれど、今の段階で相談してもいいのかな?」「どこに相談すればいい?」というときは、児童発達支援センターや保健センターでも気軽に話を聞いてもらえます。
「グレーゾーンだけど支援を受けたい」と伝えることで、具体的な流れを教えてもらえるでしょう。
支援を受けることにためらいがある
「支援を受けることで特別扱いされるのでは?」「自分の親としての関わり方の問題かも」などの思いから、支援を受けることにためらいがある方もいます。
支援を受けることは特別扱いではなく、子どもの成長を支えるための手段の一つです。
家庭だけで抱えきれないときに助けを求めることは、親としての愛情や責任感があるからこそ。
頼ること=弱さではなく、子どものための環境を整える行動を捉えてみるといいかもしれません。
診断がなくても支援につながる道はある
通所受給者証は発達支援につながる大切な第一歩です。グレーゾーンの子どもでも申請の内容や相談の仕方によっては、通所受給者証を取得できる可能性があります。
早めに相談しておくことで、子どもの成長に合わせた支援を受けやすくなり、家庭での関わり方にもゆとりが生まれるでしょう。
「診断がないから無理かも」「本当に支援が必要なのかな」とためらうよりも、まずは一度、自治体や専門機関の窓口に声をかけてみることをおすすめします。












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