人工肛門・膀胱(ストーマ)から出る排せつ物をためておくストーマ装具。オストメイトにとって、ストーマ装具のケアは快適な生活を送るうえでとても大切です。
特に気になるポイントが臭い。しっかり装着したとしても「装具から周りに臭いがもれていないだろうか…」と、心配を抱えるオストメイトは多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、元オストメイトの娘がいる筆者が、ストーマ装具からの臭い防止に効果的な方法を紹介します。
ストーマ装具から臭いはもれる?
昨今のストーマ装具は密閉性が高く防臭機能も優れているため、正しく装着ができていれば臭いが外にもれることはほぼありません。なかには消臭フィルターがついていて、臭いをコントロールする機能に優れたものも販売されています。
オストメイトの娘のストーマケアを筆者がしていた際に臭いを感じたのは、排せつ物処理のため装具の口を開けたときぐらいでした。
ただし、排せつ物そのものがもれてしまうことで臭いが発生することは起こりえます。
オストメイトが気になる臭いを防ぐ方法3つ
排せつ物と、臭いのもれ対策に重要なポイントをまとめました。
ストーマ装具の装着方法を工夫する
前述のとおり、ストーマ装具からの臭いもれを防ぐには、まず排せつ物がもれないようにすることが大切です。以下のポイントをおさえてストーマ装具をぴたりと肌に密着させるように装着するよう心がけましょう。
排せつ物の取り出し口を清潔に保つ
排せつ物を取り出す排出口を清潔に保つことが、臭い対策には大切です。特に、排せつ物を出した後、排出口に便がついたままにならないよう、しっかりとふき取りましょう。
交換頻度を守る
ストーマ装具は使い捨てです。長期間装着しておくことで装具が傷み、排せつ物や臭いもれの原因となるため、各メーカーの取り扱い説明書、また医師の指導に基づき適切な期間内の使用に留めましょう。
ガス抜きを行う
ストーマから出るガスによって装具内に空気がたまることがあります。空気がたまると装具が風船のように膨らんでしまいはがれの原因になるため、定期的にガス抜きをし、装具が膨張しないようにしましょう。
排せつ物が固まりやすくなるグッズを使う
便がゆるくなるとストーマからのもれが起きやすくなります。その対策として、便が固まりやすくするグッズを使うのも一つの方法です。
筆者は、娘が水様便の時などに便が固まりやすくなるグッズを使っていました。ストーマの袋に入れるだけで排せつ物がゲル状になり、もれる頻度が軽減できました。
▼便が固まりやすくなるグッズ(シェルターゲル)はこちら
▼ストーマ装具がはがれる時の対処法はこちらの記事にまとめています。ぜひ参考にしてください。
防臭グッズを使う
ストーマ装具を正しく装着することとあわせ、臭い対策に有効なのが消臭・防臭グッズです。主な消臭グッズとして以下のようなものがあります。
消臭潤滑剤
装具内に直接入れて使います。排せつ物となじませることで、排せつ物のすべりがよくなり、装具から取り出しやすくする効果も期待できます。
消臭スプレー
装具内に直接入れたり、空間に噴霧することで臭いをおさえることができます。
パウチカバー、腹帯
ストーマ装具の上に巻き、衣服との摩擦を防ぐ目的を持つカバーや腹帯。最近は商品そのものに消臭効果があるものも販売されていて、装具の保護と消臭を同時に行えます。
食べるものを選ぶ
食べるものによっても、排せつ物やガスの臭いは変わります。臭いの原因となる食べ物を控える、臭いをおさえる働きのある食材を選ぶなど食べ物を調整することで、臭いのコントロールができる可能性があります。
ここからは具体的にどんな食材を選ぶと臭い対策になるのかについて、主に腸管から便を排せつするために作られる消化器系ストーマと、尿を排せつするための尿路系ストーマにわけてみていきましょう。
消化器系ストーマの臭い対策で注意したい食材
消化器系ストーマの場合に注意したいのは、ガスを発生させやすい食材や臭いを発生させやすい食材です。
ガスを発生させやすい食材としては、例えば食物繊維が多いものがあります。食物繊維は腸内環境を整える反面、多く摂りすぎることでガスの原因となります。イモ類、豆類、かぼちゃ・栗・バナナなど食物繊維豊富な食材を摂る際は、その量に注意するとよいでしょう。
食事の際、食べ物や飲み物と一緒に飲み込んでしまう空気も、ガスの原因のひとつと言われています。できるだけよく噛み、ゆっくり食事をすることを心がけるといいですね。
また、にんにく、ニラ、玉ねぎ、卵、肉など動物性たんぱく質は臭いを発生させやすいため注意が必要です。
消化器系ストーマの臭い対策に効果が期待できる食材
ヨーグルトや味噌などの発酵食品、レモンなどはガスや臭いをおさえる働きがあります。
尿路系ストーマの臭い対策で注意したい食材
にんにく、たまねぎ、チーズなどの食材は尿臭を強くするため外出前や臭いが気になる時には摂取量に気をつけましょう。
尿路系ストーマの臭い対策に効果が期待できる食材
ビタミンCを多く含む飲み物や果物は、尿を酸性に変え、尿路感染や結石を予防するだけでなく、尿臭を軽減するといわれています。
身体の状態を観察して自分に合ったケアを見つけよう
ストーマの臭い対策でもっとも重要なのはストーマ装具を正しく装着することです。ただし、その日の排せつ物の状態や造設したストーマの種類によっても、臭いケアで注意すべき点、有効な方法は異なります。
そのため、日ごろから排せつ物含め、自分の身体の様子やどんな時に臭いが気になるのかなどを丁寧に観察することで適切な臭いケアができる可能性があります。
また、緊急時や外出時、どうしても臭いが気になる時には防臭・消臭グッズを使用することも選択肢の一つです。
個人差が大きく、これ、という正解のないストーマケアですが、自分の身体と対話しながら、自分にとって最適なケアを見つけていけるといいですね。
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