トロミ剤は、嚥下の補助や注入時の逆流防止に役立ちますが、正確な量を量ったり、ムラなく混ぜたりするのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで、おすすめしたいのが「ぴったりトロミがつくカップ」です。便利な一体型商品になっていて、量る、作る、そして飲むことまでを1つのカップで行うことができます。
今回は「ぴったりトロミがつくカップ」とは何かやおすすめポイント、使用方法、そして実際に使ってみた感想をご紹介します。
ぴったりトロミがつくカップとは?
ぴったりトロミがつくカップとは、日本山村硝子株式会社が国立病院機構大阪医療センターと共同開発した水分や食事のトロミづけを行うための容器のことです。現場の医療者の声を反映して製造されています。
トロミをつけるのに必要な容器が一体化されていて、スプーンや入れ替えの容器などなしにカップを重ねてシェイクするだけで液体にトロミをつけることができます。
側部やカップの部品にはメモリや計量のための部品がついているため、中身を測ったり、毎回均一にトロミづけすることもできます。
耐熱性にも優れているため、温かい飲み物や食事もカップに注ぐことが可能です。
日本山村硝子株式会社とは
ぴったりトロミがつくカップを開発する1914年創業の日本山村硝子株式会社は、ガラスびんを中心に事業を展開している兵庫県の上場企業です。ガラスびんだけでなく、プラスチック製品やエレクトロニクス等に使用されるガラス材料など多岐にわたる分野にも進出しています。
ガラスびんにおいては国内シェアの40%を占め、トップの地位を誇っています。さらに、ペットボトルのキャップでもシェア13%を維持しています。
ぴったりトロミがつくカップの開発背景
ぴったりトロミがつくカップは、病院や介護施設内での介護の中で生まれました。トロミ食は、個々にあわせて嚥下機能や逆流防止に適した濃度に、トロミを均一に付ける必要があります。
しかし、病院や介護施設内などの多忙な業務の中では、計量や攪拌(かくはん)が不十分になり、適切なトロミになっていない場合がありました。また、使用する道具が複数あることで、トロミをつけるための準備や作業の管理が不十分になることがあり、介護者や医療者にとって安定したトロミ食を提供するのに手間がかかることも。
そんな中で飲料とトロミ剤さえあれば、トロミづけから摂取までを正確にできる一体型の容器としてぴったりトロミがつくカップが開発されました。
さまざまな人がとろみ付けをする場面では、個人の感覚に頼らずにとろみ付けができるのも嬉しいですね
ぴったりトロミがつくカップのおすすめポイント
1.オールインワンなので準備や片付けが楽
とろみ食を作るために、混ぜるためのスプーンの他、飲用カップや計量カップ等が必要です。ぴったりトロミがつくカップでは、これら全てが一体化していることで、準備や片付けの手間を減らすことができるのがポイントです。容器の移し替えも不要なので、洗い物を減らすこともできて便利です。
道具が少なく洗いやすい点と、管理がしやすいことはともかく嬉しいです!子どもがいたずらをして部品が無くなってしまう心配が少ないのも安心ポイントです。
2.ムラの無いトロミが作れる
トロミを作る際に、スプーンで混ぜるだけだとどうしてもムラができてしまうことがあります。トロミカップは蓋を閉めた状態でしっかりと振ることで、均一なトロミを作ることができます。
トロミにムラがあると、濃い部分は口に残り、弱い部分では誤嚥の危険があります。また、胃ろうの注入の場合には、シリンジが詰まってしまう危険もあります。
3.温かいまま振ることができる
市販のシェイカーに温かい水分を入れて振ってしまうと、中で膨張して蓋が外れてしまう危険があります。しかし、ぴったりトロミがつくカップでは、フタのジャバラが膨らむ設計になっているため、安全に90℃までの飲み物やミキサー食にトロミをつけることができます。
4.計量文字が見やすく正確に水分量を測ることができる
カロリーや水分量を管理している方にとって、毎回の食事や注入量を正確に把握することは重要ですよね。ぴったりトロミがつくカップは、計測メモリが見やすく設計されており、一度の食事や水分量を簡単に把握できるため非常に便利です。
印刷された文字だと使っていくうちに薄くなってしまいしますが、こちらはカップ自体のおうとつで大きくメモリと数字が見えるようになっています。
フタを外してそのまま飲用カップとして使用できる
カップには持ち手が付いているため、そのまま飲料カップとして使用することができます。注ぎなおす必要がないため、洗い物の削減ができます。
ぴったりトロミがつくカップの使用方法
手順①水分やミキサー食をカップに注ぐ
カップに必要量の水分やミキサー食を注ぎます。温度は90度までのものにしましょう。
手順②とろみ剤を量る
フタのジャバラ部分を折りたたんだ状態にし、透明なフタの計量部を上にしてトロミ剤を量ります。計量は3つの空間に分かれていて、それぞれが2.5ml、5ml、10mlです。3つの計測箇所を組み合わせて7段階の計測を行うことができます。
手順④フタを閉める
とろみ剤を入れた後は、とろみ剤をこぼさないようにフタを重ね、カップにフタを押し込みます。押し込んだ後にフタを回転させてロックをしましょう。
手順⑤容器を振る
3~5秒間しっかりと容器を縦に振ります。内容物の温度によってジャバラ部分が膨らんでいきます。冷たい物を振るときは、ジャバラは膨らまずそのままの状態です。
手順⑥摂取または注入する
フタを逆回転させてロックを外し、持ち上げるようにしてフタを開けます。この時にゴム製のジャバラ部分に指をひっかけるのではなく、下のプラスチックのフタごと取り外すようにしましょう。フタを空けたらそのまま飲んだり注入することができます。
▼ぴったりトロミがつくカップの使い方動画もあります
ぴったりトロミがつくカップの購入方法
ぴったりトロミがつくカップはファミケアのストアで購入することができます。価格は送料込みで3000円です。
ぴったりトロミがつくカップを実際に使ってみての感想
筆者が実際に商品を使ってみての感想をご紹介します。
両手で持ってしっかり振っても漏れてこない
ありあわせの容器に蓋をして振った時、漏れてしまわないかが心配でなかなか強く振れないのですが、こちらのカップなら大丈夫という安心感があります。振るときも片手ではなく両手で包み込むように持つと安定して強く振ることができます。
パッキン部分やロックがしっかりしており、さらに温かい水分を振ってもジャバラ部分が膨張してスペースを作ってくれるのでしっかりと均一なトロミ食を作ることができます。
倒れにくく安定していてシリンジで吸いやすい
筆者はシリンジを容器に入れる時にひっくり返してしまうことがたまにあるのですが、こちらのカップは底の部分が広く設計され安定しており、安心して使うことができます。
注入の合間にシリンジを写真のように立てかけて置いておく時間があるので、容器の安定性は重要です。個人的にこれはかなり嬉しいポイント。トロミを卒業してからも、注入用のカップとして是非活用したいです!
フタの口部分にトロミ食が付きにくい
一般のシェイカーを使うと、ふたを開けた時にフチの溝にベッタリとミキサー食が付いてしまったり、開けるときに垂れてしまう難点がありますが、トロミカップの場合は開けた時に綺麗な状態でした。
実験にトロミを最大限にして粘度の高いトロミ食にした場合でも、写真のようにフタの縁がスッキリとしていました。すごいです!
ミキサー食の場合は別容器で作って移し替えが必要
ミキサー食の場合は、容器の容量的に直接カップにブレンダーを入れてミキサーするのはおすすめしません。そのため別容器でミキサー食を作り、トロミがつくカップへ移してトロミ食を作る必要があります。
ただし、トロミカップを使用することでかき混ぜるためのスプーンを使う必要が無くなり、洗い物を減らしつつ、正確なトロミ食を作ることができることはメリットと言えます。
取っ手が子どもにも持ちやすい
カップの容量は約300ccで、取っ手の部分は子どもでも握りやすい形になっています。そのため子どもも安心して使うことができます。ロックの部分のでっぱりは、持ち手部分上部と対角線上にあるため、飲むときの口に当たらない工夫がされているのも嬉しいポイントです。
一般的な食洗機ならOK
洗浄の手間を考えると、食洗器の使用が可能かどうかは重要なポイントです。こちらの商品の耐熱温度は100℃までです。一般的な食洗器は60~80度で洗浄やすすぎがされるため、食洗機の使用は可能となります。
ただし、食洗機の種類によってはそれ以上の高温になる場合があるため、自己判断で使うようにしてください。また、パッキンやジャバラ部分はシリコン製のため、劣化防止のためにも手洗いをおすすめします。
負担を減らすだけでなく、味方がいると感じさせてくれる
量る、作る、飲む(注入する)が一つの容器で完結できる「ぴったりトロミがつくカップ」は、現場の医療者や介護者の声から作られた便利な商品です。
実際に使ってみて、これまでありあわせの道具でトロミを作っていたことによる不便さや手間を改めて実感しました。「トロミ食を作るための専用の容器」の存在は、介護者の負担を減らすだけでなく、日々の小さな手間や困りごとにスポットを当ててくれたという気持ちになります。
日々のちょっとした手間も毎日続けば大きな負担になります。「ぴったりトロミがつくカップ」は、それを分かってくれている、助けようとしてくれる人たちがいると感じさせてくれる商品です。介護をする立場の人達の声が反映されたこちらの商品が、よりたくさんの人に使ってもらえるといいと筆者は思います。
※本記事は日本山村硝子株式会社のSponerdにて提供しています
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