PICUという言葉を聞いたことがありますか?2022年にPICUをテーマとしたドラマが放映され、一般の方にも広く知られるようになりました。そこで、
PICUについてもっと詳しく知りたい!
と思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、PICUの役割や対象者、設置状況について看護師資格のあるママが詳しく解説していきます。
PICUとは
PICUとは小児集中治療室のことです。重症度が高く全身管理が必要な小児を対象に、きめ細やかな観察と集中的な医療が行われる病棟です。
PICUの他にも新生児集中治療室のNICUや新生児回復室のGCUがあります。
▼PICUとNICUの違いはこちらで解説しています
PICUって何の略?
PICUの英語の名称は
Pediatric (小児)
Intensive (集中)
Care (治療)
Unit(病棟)
です。その頭文字をとってPICU(ピーアイシーユー)と呼ばれています。
PICUを利用する対象者
PICUは重症度が高く、全身状態の悪い小児が対象です。「全身状態が悪い」とは、呼吸や循環、代謝が不安定となり、生命維持が脅かされる恐れのある状態をさします。
小児とは一般的に0歳から15歳頃までです。対象年齢の上限は施設によって異なりますが、ほとんどの施設が15歳から18歳までを上限としています。小児であれば、疾患の種類は問いません。先天性の疾患の子供もいれば、火傷や事故による外傷の子どもも含まれます。
PICUなどで行われる小児集中治療の特徴
一般に、小児の身体は発育の途中であり、臓器の機能も未熟で予備力も低いという特徴があります。そのため重症化しやすく、症状が悪化するスピードが速いです。小児の疾患には先天性疾患も多く、病態も多岐にわたります。内科、外科問わず様々な専門診療科と協力しながら患者を診ていく必要があります。
また、身体的にも精神的にも発達途上にある子どもにとって、入院生活が及ぼす影響は大きなものです。医療スタッフは身体面の治療はもちろん、子どもの成長発達も考慮した関わりが求められます。患者本人だけでなく、家族を含めたケアや支援も必要です。
幅広い年齢に対応できるように薬剤量を調整したり、医療機器のサイズも取り揃えておかなくてはなりません。小児の集中治療を行うためには、高度な医療機器や特殊な設備が必要になります。
日本におけるPICUの設置状況
PICUは2020年時点では、全国に37カ所設置されています。
以下は全国のPICUの設置状況を表した地図です。
PICUの設置は首都圏や京阪神に集中しており、地方では設置件数が少ないのが現状です。
日本全体でみればPICUは増加傾向にありますが、地域格差が大きく、地方におけるPICUの整備も望まれています。
【参照】
小児集中治療室 (Pediatric Intensive Care Unit)|日本集中治療医学会
https://www.jsicm.org/provider/picu.html
PICUは小児医療の最後の砦
PICUはあらゆる年齢、あらゆる疾患の疾患の重症患者を幅広く受け入れる、まさに「最後の砦」といえる病棟です。医師や看護だけでなく、社会福祉士やセラピスト、医療機器を扱う臨床工学技師など、多数の医療スタッフが子どもたちの命と未来を守るために奮闘しています。
PICUについて多くの方に知っていただき、さらなる普及が進んでいくことを願っています。
▼こちらの記事は下記サイトを参照し作成しました
PICUよりみなさまへ|日本集中治療医学会
https://www.jsicm.org/public/picu.html
集中治療科 | 国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/ope/shuchu.html
小児診療の実際|日医総研
https://www.jmari.med.or.jp/download/syouni.pdf
厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進事業)分担研究報告書 重症患児の診療体制と診療実績に関する現状分析|研究分担者 清水 直樹 聖マリアンナ医科大学 医学部 小児科学 教授
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202222003A-buntan2_4.pdf
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