子どもの入学に向けて、学用品の準備真っ只中!とはいえ、

発達障害児の入学準備、何か特別なことは必要?



ひと通り学用品は揃えたものの、特性があるので学校生活をスムーズに送れるか心配
そう考えているご家族は多いのではないでしょうか。
この記事では、筆者が自閉スペクトラム症の娘と一緒に進めた入学準備や練習などをご紹介します。子ども一人ひとりの発達のペースで進められる準備ばかりですので、気になるものがあればぜひ取り入れてみてください。
【子どもの情報】
- 年齢:9歳(2024年1月現在)
- 診断名:自閉スペクトラム症(知的発達の遅れなし/興味やこだわりが強い/感覚過敏/強迫症、不安症あり)
- 診断時期:4歳4ヵ月
学校生活のサポートのための入学準備
まずは学校生活を送る上でもしもの時のためなどにもしておくと良い準備について紹介します。
小学校の相談窓口と繋がる
子どもにとって小学校は、ほぼ初めて足を踏み入れる社会の場所です。子どもの特性を学校にいる支援者へ事前にお知らせすることは、スムーズな支援に繋がります。
そのため、学校の窓口ともいえる先生などにご挨拶へ行き、過去のトラブルや解決しやすい方法、行動の予想などを事前にお知らせして相談しやすい環境を作ってみました。
▼相談窓口を主に担う先生
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 養護室や保健室の先生



学校のことや支援の道筋をよく知る先生とお話できると心強い…!
サポートブックの作成
サポートブックとは、子どもの心身の特徴や特性、日常生活の様子、コミュニケーションの対応などをまとめたもの。入園や入学、就職など、子どもの人生のライフステージに合わせて、保育園や学校の先生など支援者との情報共有に役立てられるのが魅力です。
支援者の立場では、サポートブックを入学前に共有してもらうことで、その子の本来の姿をイメージしやすくなります。そのため、適切な支援へのステップが掴みやすくなるのもメリットです。A4サイズでファイリングすれば、他のファイルとまとめて保管しやすくなります。
なお、サポートブックは、子どもの得意なことや支援を要すること、持病、投薬の情報などが記載された非常に大切な個人情報です。もしも子ども本人に持たせる場合は「先生以外の人には渡さないこと」と約束をしましょう。



当時の娘は約束を守れるか分からない様子だったため、筆者が先生に直接お渡ししました!
▼サポートブックの記事はこちらからご覧ください


学校生活のための入学準備
次に学校生活を実際にスムーズに送るための準備もご紹介します。
集団登校の道のりを事前にリハーサル
筆者が懸念していたものの一つが、「集団登校」。通学路が指定されているものの、決して近いとは言えない距離でした。
そのため、交通量の多い場所や信号のない横断歩道など「危険そうな場所」を把握するためにも、入学前に往路・復路を娘と一緒に歩いてみることに。
また、娘は疲れが出始めると癇癪や不安感へ繋がりやすい傾向にあるため「どれくらいの距離を歩くと疲れるか」も同時にチェックしました。
▼確認したポイント
- 車の交通量が多い場所
- 横断歩道の場所や信号の有無
- 人通りの多い場所、少ない場所
- 街灯が十分にあるか
- 娘の歩くスピード
- 疲れが見え始める距離



通学路を歩く練習の最中、急に「トイレへ行きたい…」と訴えた娘。通り道にあるお店でお願いし、トイレをお借りしました。このように「助けが欲しい場合は我慢せず求めていい」「その際、どの場所を頼ったらいいか」を認識するための練習にもなったように思います。
ランドセルを背負う練習
娘が少し努力を要したのが、ランドセルを背負う動作です。娘の場合、単純に「ランドセルが重くて背負えない」のではなく「ランドセル本体と肩紐が作る空間の中にどう身体を入れ込めばよいか分からない」様子。口頭で説明すると混乱してしまうため、お出かけの際にリュックを使って、遊び感覚で何度も背負う練習をしました。
また、指先での細かな動きが得意ではない娘は、ランドセルのかぶせ(フタ)の開け閉めも練習が必要でした。「穴とロックの位置を合わせる」「ロックをつまんで回転させる」「かぶせを大きく持ち上げる」と、開け閉めの手順を細かく区切ってゆっくりと行うのがおすすめです。
さらに感覚過敏対策として、かぶせを開け閉めしたりに慣れてきた段階で「実際に背負って歩く」の練習も取り入れました。入学後とできるだけ近い感覚を味わえるよう、我が家は本を入れて少しずつ負荷を増やしてみましたが、徐々に体幹がしっかりしていった印象です。



ランドセルではなく、リュックを使っての登校を許可している学校もあります。「我が子はランドセルを背負うのがどうしても難しそう…」。そんな場合は、無理して練習を続けずに学校へ相談してみましょう。
朝の支度に慣れられるように工夫
自閉スペクトラム症の娘は、一貫性のあるルーティンと予測可能な環境を普段から好みます。
入学にともない、朝の支度の工程もがらりと変わるものです。そのため、 朝起きたらどんな順番で何をするのかを、絵カードやホワイトボードに書いて見える化。学校の持ち物の「住所」を決めて、一覧表でチェックしながら自分で準備する練習を取り入れました。
できれば、家庭での流れだけではなく「教室に着いたらランドセルを机に置く」「ランドセルを開ける」「勉強道具を出して机に入れる」「ランドセルをロッカーにしまう」など、教室に到着してからの流れも確認しておけると安心です。



朝に癇癪が起きないようにするためのちょっとした工夫は、子どものストレス軽減、そしてご家族の負担軽減にも繋がります。
「机へ向かう」への抵抗を軽減する工夫
発達障害の子どもで全身の筋肉の発達が遅れている場合、体を支えるための体幹機能も弱いケースがあります。娘の場合、自分の好きなこと以外では集中力を保ちにくく、身体を安定させたまま長時間椅子に座っているのが困難です。
小学校の授業では、40〜50分間ほど椅子に座って勉強する「座学」が中心。そのため、机に向かって一定時間座る練習も事前に取り入れました。
最初は3~5分程度の短い時間からスタートし、徐々に時間を延ばしていきながら座る習慣を作るとスムーズです。



集中力の有無に限らず「つるつるした椅子の座面が不快」など、感覚過敏からくる原因も考えられます。その場合は、ざらざらの滑り止めシートを座面に敷いたりカバーなどをかけたりなど、感覚を和らげてあげる工夫がおすすめです。
学用品を使う練習
筆記用具や食器類、上履きなどを早めに購入して使い方に慣れておくと、学校でスムーズに使用しやすくなります。
▼確認したポイント
- 鉛筆や色鉛筆はどんな形状が持ちやすいか
- 筆箱はどんな形状が開けやすいか
- 道具は子どもの手のサイズに合っているか
- 鉛筆削りは手動か電動のどちらが使いやすそうか
- 歯ブラシとコップは握りやすいか
- 上履きや外履きはどのように脱ぎ履きするか など
筆者の娘は「書いたものを消す」作業にストレスを感じやすく、癇癪が起きやすい傾向にあります。
たとえば漢字の「持つ」を「待つ」と書き間違えた場合、親としては “一旦全部消した方が綺麗に書き直せるのでは” と思いませんか?ところが “右側は正解だから” という気持ちが強い娘は、何が何でも「部首のみ」を消したいのです。
このように、小学校の学習では「この一部分だけ消したい」「ノートの1マスだけ消したい」などの細かな作業が増えてきます。そのため、できるだけ軽い力で文字が消せる消しゴムを準備しました。







手の大きさに合っているか・使いやすそうかはもちろん大切ですが「子どもが気に入っているか」にも重きを置きたいところ。楽しく学習できるのが一番です。
▼発達ゆっくりさん向け学用品の選び方やおすすめアイテムについては、こちらの記事をご覧ください


入学準備で特に大変だったこと
小学校入学は、子どもにとって非常に大きなライフステージ。同時に、親にとっても大きな節目です。
いまこの記事を読みながら「我が子は学校生活に馴染めるだろうか」「人間関係はうまくいくだろうか」と不安な気持ちを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。筆者も同じでした。
入学に向けて学校側とコミュニケーションを取り、我が子の特性に合わせて流れを掴めるようにする。その要所要所で、確かに苦労はあります。ただ、娘の入学準備を進めるなかで筆者が特に大変だったのが、まさしく「入学が近付くにつれて大きくなる我が子への不安と、自分自身も闘うこと」でした。
この問題の解決方法は、とにかく「人を頼る」です。漠然とした不安や悩みは、一人で抱えるにつれて不思議とぶくぶく膨らんでいきます。持ち切れなくなってしまう前に学校や専門機関などにどんどん相談し、少し分けさせてもらっていいのです。
まずは親自身がどっしり構えて新しい環境を楽しむ準備を
「我が子のことなのだから、親の自分がなんとかしないと」。そう思い込みすぎなくていいんだと筆者が本格的に思えたのは、入学に向けて娘のサポートブックを作成しながらでした。
「小学校って楽しそう!」と子どもに意識付けするには、まずは親自身がドーンと構えて新しい環境を楽しむことです。情報共有をするなど学校と連携を取りながら、ご家庭のペースで準備を進めてみてくださいね。
「入学後も疑問をサクッと相談できたり、発達障害児についての情報を覗けたりする場所が欲しい」
そんな方は、ぜひゆったりとファミケアにお立ち寄りください。



まってるよ~!
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