子どもが発達障がいと診断されている、または発達障がいかもしれないと考えているご家族で「遊び方」に悩んだ経験のある方はいらっしゃいませんか?発達障がいのひとつ、自閉スペクトラム症と診断されている8歳の娘と暮らす筆者も、その一人です。
この記事では、自閉スペクトラム症の娘がはじめて遊んだおもちゃや遊び方、そして8歳になったいま気に入っているおもちゃをご紹介します。
おもちゃを正しい遊び方で遊ばないことにモヤモヤしてしまう
特性のある我が子にとってどんなおもちゃが楽しめるのか分からない
そんな方は、こんなパターンもあるのか…!とぜひ参考にしてみてください!
子どもの情報
・年齢:8歳
・診断名:自閉スペクトラム症(知的発達の遅れなし/興味やこだわりが強い/感覚過敏/強迫・不安症あり)
・診断時期:4歳4ヵ月
はじめて遊んだおもちゃは袋やスリッパなど身近な「日用品」
自閉スペクトラム症の特徴には、「特徴的な行動や動作」「活動や興味の範囲が狭い」などが挙げられます。
参考:一般社団法人 日本自閉症協会:自閉スペクトラム症の特徴
https://www.autism.or.jp/about-autism/
4歳で自閉スペクトラム症と判明した娘は、診断を受ける前から「折り畳んであるスーパーの袋やスリッパを一列に並べる」「紙をひたすら丸めて綺麗に並べる」などの遊びが大好きでした。
娘の遊び方に悩んでいた筆者は、“おもちゃ本来の使い方ではない遊び方”で娘が楽しそうにしているのを見るうちに「こだわりすぎてしまっているのは実は自分のほうではないか」と気付いていきました。
【娘がしていた“並べる”遊び】
- ブロックでおうちを作るより「大きい→小さい」「小さい→大きい」に並べる
- 積み木を積まずにぴっちりと一列に並べる
- ミニカーを動かして遊ぶのではなく一列に並べる
※「ものを並べて遊ぶのが好き=自閉スペクトラム症」とは限りません
おもちゃらしいおもちゃよりも、スーパーの袋やスリッパ、紙など身近な日用品を並べて遊ぶのが好きだった娘。そのなかでも特に興味を示した“おもちゃ”が「IKEAのプラカップ」です。
ピンク、イエロー、オレンジ、グリーン、ライトブルー、ブルーと、全6種類の鮮やかなビビッドカラーが印象的。娘はこのプラカップで、飲み物を求めるでもおままごとをするでもなく、綺麗に一列に並べる作業を繰り返していました。
積み木やスリッパなどと違ったのは、並べるだけではなく「重ねて」遊んでいたことです。カポカポと重ねてから元に戻して一列に並べる作業を、飽きることなく行ったり来たり。
プラスチック製のため、割れてしまう心配をせずに見守れました。
なお、今回ご紹介したプラカップは、娘の食事用にとIKEA店頭で購入したものでした。
IKEAのプラカップ商品URL
https://www.ikea.com/jp/ja/p/kalas-mug-mixed-colours-40378670/
※調べたところ写真と同じ製品は廃盤になっていたため、URLは現在販売されているくすみカラーの製品です。
変更や修正が苦手な娘のお気に入りおもちゃは「デジタルメモパッド」
小学生になった娘は、成長に伴って遊びの種類も少しずつ変化。現在は「字を書くこと」に強い興味を示しています。
字を書くと一口で言ってもさまざまですが、娘の場合は、学校のプリントやチラシに書かれた文章をひたすらノートなどに書き写していくというもの。強い興味を持ったものへ過集中になりやすく、2時間以上ひたすら机に向かう日もあります。
ところが、変更や修正など一旦決めた物事を途中で変えるのが苦手なため、書き損じてしまった場合には泣いて大騒ぎ。「文字を消す→書き直す」という工程を極端に嫌い、癇癪に繋がってしまっています。
「集中して字を書くのが好き、でも書き損じや書き間違えた文字を消す作業が極端に嫌い」。そんな娘が現在とても気に入っているのが「デジタルメモパッド」です。
【入っているもの】
- デジタルメモパッド本体
- 取扱説明書兼保証書(保証は購入から3ヶ月)
- スタイラスペン
- ボタン電池(CR2025)
- ボタン電池トレイ
遊び方は付属のペンで軽くなぞるだけ
使い方は、通常のデジタルメモパッドと同様、付属のスタイラスペンでディスプレイ上に線を描画するだけ。軽くなぞるだけで、くっきりとした線が書けます。ボタン電池はもともと本体に装着されているため、購入してからすぐに使えて便利でした。
デジタルメモパッドのお気に入りポイントは3つ
娘の遊びにデジタルメモパッドを導入して見つけたお気に入りポイントは、以下の3つです。
1.ボタン一つで文字を消去できるためストレスが軽減できる
娘にとって一番の魅力だと感じたのは、なんといっても「消去ボタン」。本体正面の下部のボタンを押すと、書いた内容を一気にリセットできます。
少しずつ消去する機能はないため、「この一部分だけ消したい…」ということはできません。
しかし、娘は「書き損じる→もう一度最初からやり直したくなる→消しゴムで消すのが嫌→癇癪」の流れになることが多かったため、一気に削除できるのは魅力的でぴったりといえます。
2.消去ロックスイッチが備わっている
内容を一気にリセット可能な「消去ボタン」がある一方で、書いた内容をばっちり残せる「消去ロックスイッチ」も備わっています。
「消去ロックスイッチ」をロック側にスライドしておけば、消去ボタンを押しても内容が消えない仕様です。
「消すときは一気に消したい、でも残しておきたいものは何が何でも絶対に消したくない」。そんなふうに些細な変更やミスがストレスになってしまう娘にとって、この機能もお気に入りです。
3.軽量かつ極薄で収納に困らない&持ち運びしやすい
機能面以外のお気に入りポイントは、本体が非常に薄くて軽いこと。重さ133g・厚さ5mmのため、収納ボックスに立てて入れても全くかさばりません。
「あると落ち着くから」という理由で、これまでは旅行やお出かけにもノートとペンを持参していた娘。リュックに何冊も何冊も詰めては「重い…」と嘆いていました。
しかし、いまではこのデジタルメモパッド一つをさっと忍ばせてもリュックの中はまだ余裕があります。
おもちゃはどこでどうやって見つけたの?
すみっコぐらしのデジタルメモパッドを見つけた場所は、Amazonです。なお、キデイランドなどのトイショップでも販売されています。
実はデジタルメモパッドは、最初から探していたわけではありません。字を書くのが好きなのに癇癪を起こしてしまっていた娘のためにもともと探していたのは、ホワイトボードです。
その途中、たまたまこのデジタルメモパッドが目に留まり、デザイン面も機能面も娘の好みそうだったため、購入を決めました。
「正しい使い方」で遊ぼうとしなくてもいい
プラカップをはじめ、袋やスリッパ、車のおもちゃなどを、本来の使い方ではなくただひたすら並べる…一見、無意味に見えがちな遊び方ですが、丁寧に同じ配置を繰り返す行動は、娘にとってはどこか規則的で意味があったように感じます。
コレと決めれば何でもおもちゃにできてしまうのが、子どものおもしろいところです。そのやわらかな感性に光る世界観を尊重すること。それは娘だけではなく、筆者にとっても心地よい生活に繋げていく手段でした。
「おもちゃ『本来の』『正しい』使い方にこだわらなくていい」。この記事から、そんなふうに心がふっと軽くなる方がいてくれると嬉しく思います。
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