障がい児を育てる家庭に対し、行政はいくつかの手当を支給しています。そのひとつが障害児福祉手当です。
障害児福祉手当って何?特別児童扶養手当との違いは?
障害児福祉手当を受け取るにはどうしたらいい?
このような疑問をお持ちの方へ向けて、この記事では障害児福祉手当の概要や支給対象、申請方法についてなど詳しく解説します。
障害児福祉手当とは
障害児福祉手当とは、精神または身体に重度の障害がある20歳未満の子どもに支給される手当です。
障害児福祉手当は1964年(昭和39年)に制定された「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」に規定されています。
障害児福祉手当の支給対象
障害児福祉手当の支給対象は、精神または身体に重度の障がいを持ち、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の子どもです。
そのため、子ども名義の通帳に振り込まれることになります。
支給対象条件
障害児福祉手当の支給対象条件は自治体によって異なります。
障がいのある部位や程度を細かく指定しているところもあれば、「身体障害者手帳1・2級相当」など障害者手帳の等級を基準にしているところもあります。
支給対象条件の内容や、受給資格が認定されるかどうかも、自治体によって異なります。詳細はお住まいの自治体の担当窓口へ確認してみましょう。
支給対象外となるケース
以下の場合には、障害児福祉手当の支給対象外となるので注意しましょう。
- 障がいの程度が基準に該当しなくなった場合
- 施設に入所した場合、 および3カ月以上継続して入院している場合
- 障がいを理由とする公的年金を受給した場合
- 20歳になった場合
障害児福祉手当の所得制限
障害児福祉手当には所得制限が設けられています。受給資格者本人、もしくはその配偶者または扶養義務者の前年の所得(※)が一定の額以上だと手当は支給されません。
扶養親族の数 | 受給資格者 | 配偶者及び扶養義務者 |
0 | 3,604,000 | 6,287,000 |
1 | 3,984,000 | 6,536,000 |
2 | 4,364,000 | 6,749,000 |
3 | 4,744,000 | 6,962,000 |
4 | 5,124,000 | 7,175,000 |
5 | 5,504,000 | 7,388,000 |
※所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
障害児福祉手当の支給月額と支給時期
障害児福祉手当の支給金額は、令和6年4月現在15,690円となっています。
障害児福祉手当の支給時期は、原則として毎年2月、5月、8月、11月です。それぞれ3ヶ月分までがまとめて支給されます。
障害児福祉手当と特別児童扶養手当の違い
同じく障がい児のいる家庭が受け取れる手当として特別児童扶養手当がありますが、障害児福祉手当との違いは何でしょうか。
大きな違いを以下の表にまとめました。
障害児福祉手当 | 特別児童扶養手当 | |
支給の対象者 | 障がいを持つ子ども本人 | 障がいを持つ子どもを扶養する者(保護者) |
支給金額 | 15,690円 | 1級(重度障害児):55,350円2級(中度障害児):36,860円 |
所得制限(扶養親族1人の場合) | 受給資格者本人(子ども)の所得:3,984,000円受給資格者本人(子ども)の配偶者及び扶養義務者の所得:6,536,000円 | 受給資格者本人(保護者)の所得:4,976,000円受給資格者本人(保護者)の配偶者及び扶養義務者の所得:6,536,000円 |
支給対象の要件(一例) | ・身体障害者手帳1級、および2級の一部・療育手帳等級A・これらと同等の疾病・精神障害 | ・身体障害者手帳1、2級相当の障害が重複している・療育手帳判定Aで、その他の障害・疾患が重複している・これらと同等の疾患・精神障害 |
障害児福祉手当と特別児童扶養手当では受給資格者と所得制限の基準が異なります。そのため所得制限が理由で特別児童扶養手当を受給出来なくても、障害児福祉手当ならば受給できるという場合があります。
具体的に実際のケースで解説します。
【3人家族で子どもに障がいがあるケース】
家族構成:父、母、子
扶養関係:父親が子どもを扶養
所得:父親の所得5,000,000円、母親の所得2,000,000円
こちらのケースでは、特別児童扶養手当については、受給資格者である父親の所得が所得制限を超えているので対象外です。
一方、障害児福祉手当は受給対象となります。受給資格者である子ども本人に所得がなく、受給資格者の扶養義務者である父親の所得が制限を超えていないためです。
このように、それぞれ支給要件が異なりますので、一方の制度が対象外であるからといって、もう一方の制度が対象外とは限りません。わからないことや心配な点がある場合は、市区町村の担当支援窓口へ相談してみましょう。
▼特別児童扶養手当の詳しい内容は以下の記事で解説しています
障害児福祉手当の申請方法
ここからは、障害児福祉手当の申請に必要なものや、申請方法などを紹介します。
障害児福祉手当の申請に必要なもの
障害児福祉手当を申請する際には以下のようなものが必要となります。
- 認定請求書
- 診断書
- 所得状況届
- 支払金口座振替依頼書
- 住民票/戸籍謄本
- 障害関連の手帳の写し など
自治体によって必要書類は異なります。筆者の住む自治体では、マイナンバーカード・所得状況が確認できるもの・診断書・本人の普通預金通帳の写しの4点で済みました。障害者手帳があれば、診断書は省略できることもあります。必ず申請する前にお住まいの自治体に確認しましょう。
障害児福祉手当の申請の流れ
障害児福祉手当の申請の流れは以下のとおりです。
申請に必要な書類等を用意します。
住んでいる市区町村の担当課窓口で手続きをします。
受給資格が認定されると受給者証が届き、申請した月の翌月から手当が支給されます。自治体や状況により異なりますが、申請から1ヶ月前後で認定の可否が分かるケースが多いようです。
障害児福祉手当を受け取っていない人は、申請してみよう
障害児福祉手当は、障がいを持つ子ども本人の「福祉の向上」を図ることを目的とした国の制度です。
特別児童扶養手当や児童手当などと混同してしまったり、支給要件や所得制限などが異なっていたりと、少々ややこしく感じてしまうかもしれませんが、障害児福祉手当を受給することは障がいのある子ども自身の大切な権利です。
一度申請してしまえば更新の手続きは自治体からの案内に従って必要書類(診断書や所得状況届など)を提出するだけなので、障害児福祉手当の申請をまだしていないという人は是非この機会に手続きしてみてくださいね。
▼障がい児育児で利用できる経済的支援についてはこちらの記事で紹介しています
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