こんにちは、ヨーゼフです。この連載「ヨーゼフの海外障がい児子育て奮闘記」では、私が海外で障がいのある子どもを育てた経験から日本と海外の環境の違いや実際に体験してみて感じたこと、おどろいたことなどをご紹介しています。
日本と違う発見やさまざまなカタチの子育てをみなさんにお届けできたら嬉しいです。
今回は「アメリカの小児リハビリ事情について#3」。リハビリ事情シリーズ第3回となる今回は、「アメリカの小児リハビリにおけるPT」をテーマにご紹介します。
前回の記事:ヨーゼフの海外障がい児子育て奮闘記#3「STで断られる!?息子に訪れた言語の壁
アメリカのPTについて
アメリカにも様々なセラピストがいますが、今回は中でも一番お世話になったPTについてご紹介したいと思います。
PTとは…
PTは理学療法士のことで、Physical Therapistの略です。
障がい児・者や高齢者、スポーツ選手などで身体を動かすのが困難な方に、座る・立つ・歩くなどの日常生活における基本的な動作を習得できるようにサポートするのがPTの主な仕事です。
また、車椅子や補装具・インソールなど、日常生活に必要な機具や道具などの相談に乗るのもPTの大切な仕事のひとつです。
アメリカでPTになるには博士課程を卒業しなければならない
アメリカでPTになるためには、高校を卒業後、大学を卒業し、更に博士課程を卒業し、試験に合格してやっとPTになることができます。
長い道のりです。
「絶対にPTになる!」という強い意志を持った人でないとなれません。
アメリカのPTは医師と同レベルの権利を持っている
アメリカのPTは日本のPTにはできないことができます。それは「診断を下す」という行為です。
日本のPTは評価することはできますが、診断することはできません。日本でリハビリを受ける時は、医師の診断が必要です。それに対し、アメリカのPTは診断する権利を持っています。
日本ではリハビリを開始するまでに医師の診察が必ず入るため、そこで時間を要してしまいがちです。しかしアメリカはPTが直接診断することができるため、リハビリ開始がとてもスムーズです。
支援が必要な子どもがいる親としては、「一刻も早くこの子に何かしてあげたい」と思ったりもするので、スムーズにリハビリが始められるのはとってもありがたいです!
それぞれの役割が分担されていることは悪いことではありませんが、リハビリを開始するまでに時間がかかることにメリットはないと思うので、日本ももっとスムーズに開始できる仕組みになったらいいのになと感じます。
アメリカのPTの収入は医師並み!?
「アメリカの医師の年収は相当高い」というのはだいたい予想がつくと思います。
ではアメリカのPTの年収は?というと、「1,000万円も夢ではない」というのが現状です。
最初にこの話を聞いた時、「これがアメリカンドリームかー!」と驚きました。日本のPTの年収が約400万円と言われているので、倍以上の差があります。
しかし、PTになるまでの道のりが険しかったり、「診断する権利がある=責任も大きい」ということを考えると、1,000万円という年収になるのも頷けます。
アメリカのPTリハは中身も濃い
息子が経験したアメリカのPTによる訪問リハビリは、とても中身の濃いものでした。
例えばある日は、リハビリの開始と同時に親は離され、息子は約50分間ひたすら歩行器で外を歩かされたことも…!
この詳しい話については次の記事でご紹介したいと思います。
日本のPTも社会的地位と報酬を上げるべきなのでは
アメリカは医師だけでなくPTの収入が高いのは驚きですが、それに見合った中身の濃いリハビリをしてくれるのもまた事実です。
日本のPTも、必死になって患者を良くしようと頑張ってくれているのは同じはず。質の高さをPTに求めるだけでなく、それに見合う報酬を支払い、PTの社会的地位を上げることも必要なんじゃないかな?
もしかしてこれって日本の大きな課題(これはPTに限らずセラピスト全体にかかる話かもしれません)なのかも。
アメリカで子どものリハビリを受け、私はそんなふうに思いました。
「アメリカの小児リハビリ事情について」はこのコラムを含めて、4回にわたってお届けします。
次回は「小児リハビリの流れ」についてお送りいたします。
先程述べた中身の濃いリハビリについて、具体的にどのような内容だったのか、ご紹介したいと思います。
どうぞお楽しみに!
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