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自閉スペクトラム症の小学生が抱える困りごとって?効果的な対策や家庭でできる支援方法も解説

自閉スペクトラム症の小学生が抱える困りごとって?効果的な対策や家庭でできる支援方法も解説
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自閉スペクトラム症(ASD)、またはその傾向があると考えられる子どもが、小学校生活を送るうえでさまざまな困りごとに直面するケースは珍しくありません。しかし、主な内容を事前に知っていれば、子どもに合わせた対処法や支援を考えられます。

自閉スペクトラム症の子どもが直面しそうな小学生ならではの悩みって?

事前にしておけることはある?

そう思っている方に向けて、この記事では、自閉スペクトラム症の娘と暮らす筆者が小学生特有の困りごとや具体的な対策、家庭でできる支援について解説します。

目次

自閉スペクトラム症は小学生になるとなぜ困る?

小学校入学後は、新しい環境での適応や学習面での要求が高まる時期です。例えば、時間割に沿った行動や暗黙のルールの理解、感覚過敏への対応など、社会性やコミュニケーションの課題も顕著になりやすいといえます。

さらに、学年が上がるにつれて、授業内容の抽象度が増し、先生からの口頭指示も複雑になっていきます。給食、掃除、係活動など日常的な集団活動も増えるため、同級生とのペースの違いやコミュニケーションの取り方に戸惑うことも多くなりやすいのです。

運動会や遠足などの学校行事では、普段と異なる環境や予定変更により不安を感じやすく、事前の準備や配慮が欠かせません。表面化した困難に適応するために、家庭と学校が連携した継続的な支援体制の構築が重要となってきます。

教室での学習における困りごとと対処法

小学校での学習場面では、自閉スペクトラム症の子どもならではの特性から、さまざまな困難が生じる可能性があります。しかし、子どもの特性を理解して適切な支援があれば、充実した学校生活を目指しやすいのも事実です。

授業中の指示の理解が難しい

自閉スペクトラム症の子どもは、複数の指示が重なると混乱してしまう場合があります。「教科書の〇ページを開いて」「赤線を引いて」など、教師からの口頭指示を正確に理解するのが難しいケースも少なくありません。

また「みんなと同じように」「きちんと」などの抽象的な表現は、自閉スペクトラム症の子どもにとっては具体的に何をすればよいのかわからず、混乱を招いてしまいます。そのため、視覚的な手がかりをうまく活用するのが有効です。

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例えば「教科書のページに付箋を貼る」「手順表を机に置く」「やるべきことをチェックリスト化する」などの工夫で、スムーズに行動できるようになります。また、先生へ「具体的に何をすれば良いのか」を確認する習慣をつけることも重要です。

集中力が持続しにくい

自閉スペクトラム症の子どもにとって、45分間の授業に集中し続けることは難しいものです。特に、興味のない科目や抽象的な内容が多い授業では、途中で気が散ってしまう場合があります。また、教室内の些細な音や動き、窓の外の景色なども集中力を持続しにくい要因の一つです。

このようなときは、授業中に短い休憩を設けたり、クールダウンの時間を確保したりするのが効果的といえます。また、先生と相談のうえ、教室の後ろに落ち着けるスペースを用意するのもいいでしょう。

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窓から離れた席や前列の席など、集中しやすい座席を選ばせてもらうのも有効です

学習内容の理解と記憶が難しい

個人差はあるものの、自閉スペクトラム症の子どもは、黒板の文字を正確にノートに書き写したり長文問題を読解したりするのが苦手な傾向があります。このような特性に対しては、視覚的な教材の使用が有効です。

抽象的な概念を具体的な例で説明したり、タブレットでの撮影や録音機能を活用したりすると理解を深めやすくなります。

友人関係でのつまずきと支援方法

対人関係は、自閉スペクトラム症の子どもにとって最も大きな課題の一つといっても過言ではありません。特に小学校では、クラスメイトとの関係作りや維持が、快適に過ごせるための大きな要因ともいえます。

グループ活動での困難

小学生のグループ活動は、他の児童との協力や役割分担が求められがちです。しかし、自閉スペクトラム症の子どもは「暗黙のルール」の理解が難しい傾向にあるため、トラブルになる場合があります。また、自分の考えを主張しすぎたり、逆に全く発言できなかったりするパターンも少なくありません。

このような場合は、事前に役割を明確に決めておく、あるいは視覚的な手がかりを用いて進め方を示すなどの工夫が効果的です。また、グループのメンバー構成を工夫したり得意な役割を担当させてもらったりすると、活動へ参加しやすくなります。

休み時間の過ごし方

自閉スペクトラム症の子どもは、急な予定変更や遊びのルールの変更が苦手な傾向があります。そのため、休み時間に何をして遊べばよいか分からず、一人で過ごしてしまうことも。

もちろん「休み時間=必ずしも友達と過ごさなければならない時間」ではありません。一人で過ごすのが心地よい子どももいます。

しかし「友達の輪に入れない孤独感がつらい」と訴える場合は、やはり対処が必要です。興味のある活動を見つけ出し、同じ興味を持つ友達との交流のきっかけを作るとよいでしょう。

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図書館での読書や決まった場所での特定の遊びなど、本人が安心できる休み時間の過ごし方について、いくつかの選択肢を用意しておくのも効果的です

コミュニケーションの課題

自閉スペクトラム症の子どもは、冗談や比喩表現を文字通りに受け取って誤解してしまう場合があります。また、相手の表情や声のトーンから感情を読み取るのが難しく、コミュニケーションに支障をきたすケースもあるでしょう。

このような特性に対しては「困ったときの定型文」を用意したり感情カードを使って表情と感情の関係を学んだりなど、具体的なコミュニケーションの方法を練習するのが大切です。

感覚過敏による課題と環境調整の方法

自閉スペクトラム症の子どもの多くは、さまざまな感覚過敏を持っています。学校生活では、感覚過敏に配慮した環境調整が必要です。

授業や学校行事での「音」が苦手

聴覚過敏の自閉スペクトラム症の子どもは、運動会や音楽の時間などの大きな音、教室内の椅子を引く音、廊下の足音などが気になる場合があります。また、給食の時間の食器の音や、休み時間の騒がしさに敏感だという声も少なくありません。

このような際は、イヤーマフの使用を検討したり、音の小さい場所で過ごせたりするような配慮が有効です。また、事前に音が出る場面を予告すれば、心の準備がしやすくなります

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自閉スペクトラム症と診断されている筆者の娘は、イヤーマフを持参して登校したり必要に応じて別室での活動を認めてもらうなどの配慮をしていただいています

給食の食感や匂いに抵抗感を持ってしまう

食感や匂いへの敏感さから、給食の時間が苦手な自閉スペクトラム症の子どもも多くいます。特に、食材が混ざっている料理や新しい味付けの食事は抵抗感が強いようです。

また、決められた時間内に食べなければならないというプレッシャーも、苦手さを増大させる要因といえます。そのため、無理に食べることを強要せず、少しずつ慣れていけるような配慮が大切です。

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筆者の家庭では、給食と同じような食材を使って練習しながら、徐々に食べられる物を増やしていけるようにしています

感触や接触に苦手意識を持ってしまう

制服や体操服の素材、タグの感触が気になったり、特定の触感を強く不快に感じたりするのも自閉スペクトラム症の特性です。また、他の児童との身体接触や、混雑した場所での接触も苦手な場合があります。

このような特性には、衣服の材質を配慮したり、タグを除去したりするなどの対応が有効です。また、体育の時間や休み時間など身体接触が起こりやすい場面では、本人が安心できる距離や場所の確保が重要といえます。

自閉スペクトラム症の小学生のために家庭でもできる支援

学校での学びを支えるためには、家庭での適切な支援と生活リズムの確立が欠かせません。保護者の方の理解と支援が、子どもの成長を支える大きな力になります。

宿題への取り組み方を工夫する

宿題の量や種類が多いと、自閉スペクトラム症の子どもは、どこから手をつければよいか分からなくなりがちです。また、学習内容の理解度によって、宿題の所要時間に大きな差が出る場合もあります。

家庭でできる対策は、宿題を小分けにして取り組んだり、タイマーを使って時間を区切ったりすることです。また、終わった項目をチェックできる表を作成すると、達成感を味わえるようになります。

生活リズムを確立する

規則正しい生活リズムは、学校生活を送るうえで重要です。特に、睡眠時間の確保朝食の摂取は、集中力の維持や体調管理に直接影響します。

就寝時間と起床時間を決め、朝食をしっかりとる習慣をつけることで、心身ともに安定した状態で登校できます。また、視覚的なスケジュール表を活用しながら生活リズムを整えるのが効果的です。

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就寝前に体をほぐすなどリラックスタイムを設けると、質のよい睡眠を取りやすくなります

教師や専門家と連携する

自閉スペクトラム症の子どもの困りごとへ適切に対応するには、学校の先生や専門家との連携が不可欠です。

担任の先生との情報共有

子どもの特性や困りごとについて、担任の先生と定期的に話し合う機会を持つとよいでしょう。苦手な場面や得意な場面、効果的な支援方法について、具体的に伝えるのがポイントです。

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連絡帳やメモを活用して日々の様子を共有することで、適切な支援につながります

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専門家への相談

「専門的な知識や意見も聞いてみたい」という方は、特別支援教育コーディネーターや専門機関への相談も有効です。専門家の助言で、より適切な支援方法を見つけられます。

また、医療機関療育機関と連携すれば、定期的な相談や評価を通じて子どもの発達段階に応じた適切な支援を受けられるのも利点です。さらに、学校と医療機関との連携で、より包括的な支援体制の構築を目指しやすくなります。

自閉スペクトラム症の小学生の支援ポイントは「連携」

子どもの「できた!」という笑顔を見ることができると、ほっとしますよね。自閉スペクトラム症の子どもが小学校生活を送るうえで受ける支援は、子どもの可能性を大きく広げます。

「学校にどこまで支援を頼んでいいかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、子どものための適切なサポートは、ご家族が心にゆとりを持って日々を送るためのものでもあります。一人で抱え込まず、学校、家庭、専門家で連携しながらサポートを積極的に活用してください。



ファミケアの掲載記事およびコラムに関しては、当事者および専門家によって作成しておりますが、全ての方に当てはまる情報ではございません。投稿された情報の利用により生じた損害について、ファミケア運営元では責任を負いかねますので、あくまでもご家庭での判断のもと参考情報としてご利用ください。また、特定の施設や商品、サービスの利用を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

日本心理学会認定心理士、サービス介助士。「自分らしさを忘れない」をコンセプトに、自閉スペクトラム症の娘との暮らしをゆるりと楽しむママです。フリーライターとして臨床心理・介護・児童福祉・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集などに携わりながら、児童福祉施設へも訪問しています。

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