子どもを療育に通わせてみたい
医師から療育を勧められた
このように療育の利用を検討する際、気になることの一つが費用についてではないでしょうか。
そこでこの記事では、これから療育に通わせたいと思っている方に向けて、療育にかかる費用や自己負担額を軽減できる制度について解説します。実例も紹介しますので、実際いくらかかるの?と気になる方はぜひ参考にしてください。
療育とは?
障がいのある子どもたちが日常生活をスムーズに送ること、社会的に自立した生活ができることを目指して、子どもの成長や発達を支援する取り組みのことです。
子ども達一人ひとりの発達段階や障がいの特性に合わせたアプローチをすることで、運動機能やコミュニケーション能力、社会性の発達を促進します。また、特性より生じる困難の乗り越え方、特性との付き合い方も訓練します。
療育は主に以下の3つの方法で受けることができます。
1つ目は障害福祉サービスを利用して療育を受ける方法です。就学前の子どもであれば児童発達支援事業所や児童発達支援センター、就学期(小学1年から高校3年)の子どもは放課後等デイサービスで療育を受けることができます。
2つ目は療育センター等で医療の一環として療育を受ける方法です。医療機関で療育が必要と判断された場合に利用することができます。
3つ目は民間事業者による療育プログラムやオンラインサービスです。
▼療育についてはこちらの記事にて詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
療育にかかる費用
療育を受けるためにかかる費用は、どの療育を利用するかやどこで療育を受けるかによって異なります。
特に民間事業者による療育の場合、事業者によって自由に価格が設定されるため、数万円〜数十万円と高額になるケースも多く、また事業者によってかなり金額の差がありますので注意が必要です。
一方、障害福祉サービスを利用する場合や医療としての療育を受ける場合には、国によって報酬単価が決められているため、施設によってそこまで大きな差は開きません。
さらに、負担軽減制度がありますので、実際の負担金額はかなり少なくなります。
療育にかかる費用の負担軽減制度
療育にかかる費用を軽減できる制度は、以下の通りです。
受給者証を利用した費用の負担軽減
障害福祉サービスを利用して療育を受ける際には、費用は原則として利用料の1割が自己負担となります。例えば、療育の利用1回につき10,000円の費用がかかる場合、自己負担は1割の1,000円です。
さらに障害福祉サービスには世帯年収に応じた自己負担金額の月額上限額が設定されています。そのため、上限額を超える負担は発生しません。
世帯年収による上限額は以下の通りです。
非課税世帯 | 0円(自己負担なし) |
市町村民税課税世帯(※所得割28万円未満) | 月額4,600円 |
それ以外 | 月額37,200円 |
※世帯収入がおおむね890万円以下
参照:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html
自己負担額の上限が4.600円の場合、自己負担が1割1,000円の施設を10日利用しても4,600円の支払いで済むということです。上限額は前年度の世帯収入によって計算されるため、基準額より収入が増加した場合は翌年の上限額が上がる可能性があります。
▼受給者証についてはこちらの記事で詳しく解説しています
幼児教育無償化
幼児教育の無償化により、満3歳になってはじめての4月1日から就学までの3年間無償でサービスをうけることができます。
幼児教育無償化制度の利用には新たな手続きは不要です。
保育園や幼稚園と同様に児童発達支援も幼児教育無償化の対象となるため、障害福祉サービスの利用料は0円となります。
多子軽減措置
児童発達支援を利用している子どものほかに、小学校就学前児童がいる場合は2人目以降の保育料の負担額が軽減されます。
多子軽減措置の利用には手続きが必要ですので、お住まいの自治体窓口へご確認ください。
参照:就学前障害児の発達支援の無償化について|厚生労働省
医療保険を使った負担軽減
病院のリハビリテーション科などで療育を受ける際には、乳幼児医療証や小児慢性特定疾病医療費助成制度といった医療費助成制度を使用できる場合があります。
自己負担額は自治体によって異なるため、お住まいの自治体窓口へ問い合わせしてみましょう。
▼小児慢性特定疾病についてはこちらの記事で解説しています
実際にかかった費用は?ファミケアメンバーの実例を紹介
では、療育にかかる費用は実際どのくらいなのでしょうか。ファミケアメンバーの事例をご紹介します。
Aさんの場合
- 年齢:2024年9月時点で3歳3ヶ月(6月生まれ)の一人っ子
- 児童発達支援事業所への通所:週5(障害福祉サービス受給者証利用)
- 療育センターでのリハビリ:月2回(小児慢性特定疾病医療費助成制度・乳幼児医療証利用)
- 児童発達支援利用負担額:37,200円
- リハビリ利用負担額:0円(乳幼児医療証と小児慢性特定疾病医療費助成で自己負担なし)
- ひと月の合計負担額:37,200円
我が家の娘は、2024年4月時点では2歳であったため3歳児以上の無償化制度は対象外、また一人っ子のため多子軽減措置も対象外です。リハビリは乳幼児医療証と小児慢性特定疾病医療費助成を利用しています。小児慢性特定疾病医療費助成は療育以外の外来や入院手術等で毎月負担額上限額に達するため実質負担額は0円です。
Bさんの場合
- 年齢:5歳、一人っ子
- 児童発達支援事業所への通所:週3(障害福祉サービス受給者証利用)
- 病院でのリハビリ:月に2回(STとPTを1回ずつ)(乳幼児医療証利用)
- 児童発達支援利用負担額:0円(幼保無償化)
- リハビリ利用負担額:0円(乳幼児医療証で自己負担なし)
- ひと月の合計負担額:0円
我が家の息子の場合はリハビリに小児慢性特定疾病の医療助成が使えないため、乳幼児医療証で精算しています。医療費は未就学児の間は自己負担なしの自治体に住んでいるため、費用は無料です。
Cさんの場合
- 年齢:7歳、2人兄弟の長男
- 放課後等デイサービスへの通所:週5(障害福祉サービス受給者証利用)
- 放課後等デイサービス利用負担額:4,600円
- おやつ代:1日100円
- ひと月(20日利用の場合)の合計負担額:6,600円
我が家の息子の場合、療育センター内に併設されている放課後等デイサービスを利用しており、放課後等デイサービスの利用時間内でリハビリを受けることができます。医療保険制度の使用はありません。おやつ代は実費となるため、その分の費用がかかっています。
ここでは3つの事例を紹介しました。それぞれ年齢や使うサービス、月負担上限額の違いなどによって月々の負担額が大きく異なります。療育施設に通う場合は、食事代やおやつ代が別途実費でかかる場合があります。金額は施設により異なりますので、確認が必要です。
療育にかかる費用を理解して利用しよう
療育にかかる費用は、受給者証や公的医療保険を利用することで自己負担額を軽減できます。さらに、要件を満たせば幼児教育の無償化や多子軽減措置、医療費助成制度を利用することができるため、実際には数千円もしくは無料で利用できることが多いです。ただし、利用時間によっては食事やおやつなどの実費が発生することもありますので注意が必要です。
受給者証を利用する場合、世帯年収や家族構成によって月上限額や利用できる制度が異なります。「我が家の負担額はどのくらいになるかわからない…」という方は、一度お住まいの自治体窓口に問い合わせてみると確実です。
この記事で療育にかかる費用について知ってもらい、利用への不安感を軽減することができると嬉しいです。
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