障がい児を育てるうえで保護者同士の繋がりって必要?
必要なことは支援者に聞けばわかるのでは?
近い境遇のママ友はSNSでもできるし、わざわざリアルで他のママと話さなくてもいいかな…
医療的ケア児を育て始めたばかりの、数年前の私はこんなことを考えていました。
でも、児童発達支援事業所に通い始め、保護者同士の交流の場を経験してから「同じ地域に住む保護者との交流も大切」と考え方が変わりました。
そこで今回は、実際に筆者が参加した家族交流会の様子をレポートしながら、どんなことをするのかやどんなメリットがあるのかをお伝えします。保護者同士でのつながりについて疑問に思っている方、または興味がある方について発見のある内容になれば嬉しいです。
児童発達支援事業所の家族交流会へ参加!
今回参加したのは、東京都多摩市にある児童発達支援・生活介護支援事業所「+laugh(アンドラフ)」の家族交流会です。
「+laugh(アンドラフ)」
一般社団法人Lifeisが運営する児童発達支援・生活介護事業所。
団地商店街のなかに溶け込む重症心身障害児・者の通所施設です。
+laugh(アンドラフ)HP:https://lifeis-llc.com/and_laugh/
医療的ケアのある筆者の子どもはアンドラフを利用しています。
今回「保護者の交流会も兼ねて芋煮会を開催します」とのお知らせを受けて、筆者と我が子、ファミケアちゃんで参加してきました。
保護者交流会の内容
今回開催された交流会は、保護者同士の懇親会と子どもを交えた芋煮会の2部構成でした。
保護者同士の懇親会(1時間程度)
まずは保護者同士の懇親会から始まりました。参加者は児童発達支援に通う未就学児の親、生活介護支援に通う18歳以上の方の親です。
みんなが円になって座り懇親会がスタート。
最初は参加者の自己紹介です。職員の進行により、子どものことだけでなく「お父さん、お母さんの趣味は?」などの話題で盛り上がりました。
「親」として過ごす時間が長くなると自分の話をすることが少なくなりがち。久しぶりに「私自身」について話すと、自分を取り戻したようでワクワクしますね!
その後、先輩ママパパへの質問コーナーとして、生活介護に通う18歳以上の方の親から、就学の時のことや成人後の生活について教えていただきました。
具体的には、放課後等デイサービスはいつごろから探し始めたか、学校の授業はどんなことを行うのか、就学を迎える際の心構えについてなどです。
また、学校を卒業して、成人向けのサービスに切り替わる時の苦労なども、臨場感たっぷりに話されていました。
未就学児を育てていると、成人なんてだいぶ先のことに思えましたが、みんなあっという間だったとのこと。児童発達支援と生活介護の2つの機能を持つ事業所だからこその交流ですね!
他には、自己紹介から派生して趣味の話を深掘りしたり、各々の仕事の話をしたり。
職員の方からは、事業所が参加したイベントの裏話や、新店舗の案内なども聞くことができて非常に有意義な時間でした。
話している間に、芋煮の良い匂いがふわっと漂ってきます。
子どもも一緒に芋煮会(1時間半程度)
懇親会が終わり、メインイベントの芋煮会会場に移動しました。
きょうだい児もテントの組み立てをお手伝いしてるね
山形名物の芋煮と玉こんにゃく!美味しそう!
食形態に工夫が必要な子どもたちには、職員がミキサーをかけて食べさせてくれました。ぺろっと舐めるだけの子もいれば、胃ろうから注入する子もいます。それぞれのペースで食事を楽しむ、インクルーシブが体現されたような空間でした。
せっかくのイベントだから、飲み込みが難しい子たちもみんなと同じものを味わえているというのが嬉しいね!
大人だけで話していた懇談会とは違い、障がいのある子もきょうだいも思い思いの場所で芋煮を食べたり遊んだり。楽しそうにはしゃぐ本人たちを前に、保護者同士は現在の子育てについて話をしました。連絡先の交換をするほど打ち解けた方もいます。
話に夢中になっていると1時間半の芋煮会はあっという間に終了。順次解散となりました。短い時間でしたが、個人的にはとても実りのあるお話ができた会でした。
保護者会の開催は厚労省も推奨
アンドラフ職員に今回のイベントの背景を聞いてみると、厚生労働省から出されているガイドラインに保護者会の開催を推奨する文言があると教えてくれました。
厚生労働省が設定している「放課後等デイサービスガイドライン」には以下のような記載があります。
“父母の会の活動を支援したり、保護者会等を開催したりすることにより、保護者同士のつながりを密にして、安心して子育てを行っていけるような支援を行うことが望まれる”
【引用】放課後等デイサービスガイドラインについて|厚生労働省
今回のイベントが開催されたのは、ガイドラインが根拠にありつつも「おいしいものを食べるという楽しみをふまえて、保護者同士が集まれる場所を作りたかった」「ラフな雰囲気で、保護者や支援者が垣根を越えてお互いを知ることができたり、普段なかなか伝えられない事業所への要望なども聞き取れたら良いな」という事業所さんの考えだったそうです。
保護者会に参加して地域の保護者とつながろう
アンドラフの家族交流会に参加してみて、楽しさはもちろん、有意義な話がたくさん聞けたと感じました。
同じ施設を使うということは、子どもの状況も近いということです。ショートステイの施設、日常生活用具の給付業者、宅配弁当のサービスなど、子どもの状況や悩み、必要な支援も似ているからこそ、生活の質が上がりそうな支援策を教えてもらえました。
また、この地域で障がいを持つ子を育てているのは私だけではないんだ、と改めて励まされるひとときでした。
他の保護者の方からも
ネット上の情報は限られるため、地域のサービスについて、忌憚のない口コミが聞けたのがよかった!
保護者同士での繋がりはもちろん、職員さんともいつもよりも深く話せて、より一層信頼感が増した!
生活介護のパパママたちから情報をもらえただけでなく、先輩と繋がりができたことにより地域に心強い味方ができた!
など前向きな感想がありました。
SNSからは得られにくい、同じ地域で顔の見える関係性。それによって生まれる安心と信頼は、地域で障がい児を育てる私たちにとって非常に価値のあるものだと感じます。
前述のように保護者会の開催は厚労省のガイドラインで推奨されています。つまり、全国どこの児童発達支援・放課後等デイサービス・生活介護事業所でも重要視されているということです。
この記事を読んで、家族交流に興味を持ったけど通っている事業所にこのようなイベントがない、という方は、ぜひ利用している事業所に「家族交流会を企画してほしい」と伝えてみてください。
その勇気ある一言が、新たなつながりを生むかもしれません。
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