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小児慢性特定疾病はメリットがない?医療費助成制度でお得になるかどうかの確認ポイントを経験者ママが解説

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小児慢性特定疾病の医療助成を使っても負担が減らないケースがあるって本当?

小児慢性特定疾病の医療助成を使った方がいいのかってどうやって検討すればいいの?

小児慢性特定疾病の医療費助成の利用を検討している方の中には、このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、助成制度を利用したことのある筆者が、制度の利用で医療費の負担が減る場合とそうでない場合、また制度を利用した方がメリットあるかどうかを検討する時に確認したいポイントについて解説します。

目次

小児慢性特定疾病の医療費助成の内容

まずは、医療費助成の主な内容について簡単にご紹介します。

  • 窓口の負担額が2割に
  • 自己負担上限額に達した場合は支払いが不要に
  • 入院中の食事が半額に
  • 病院や診療所での診察・治療費だけでなく、薬局で調剤されたお薬代、訪問看護や訪問リハビリ等の費用も対象
  • 日常生活具の給付が受けられる

▼小児慢性特定疾病の医療費助成制度についての詳細はこちら

小児慢性特定疾病の助成にはメリットがない?

小児慢性特定疾患の医療費助成は、実は「メリットがない」とよく言われます。つまり、小児慢性特定疾病の医療費助成を使っても医療費負担が減らないケースが存在するのです。

小児慢性特定疾病の医療費助成を使っても負担減にならないケースとは

小児慢性特定疾病の医療費助成を使っても負担減にならないのは、子ども医療費助成で医療費がまかなえるケースです。

小児の場合、子ども医療費助成があるため小児慢性特定疾病の医療費助成を使わなくても医療費負担が無料、もしくは数百円と低く設定されている自治体が多いです。

子どもの医療費負担がそもそも0円、という自治体の場合、何も手続きをしなくても医療費がかからないため、小児慢性特定疾病の医療費助成を使うことは申請・更新などの手続きや上限管理の手間が増えるだけ、という声はよく聞かれます。

ファミケアちゃん

小児慢性特定疾病の医療費助成にメリットがないと言われるのは子ども医療費助成があるからなんだね

ライター あやこ

そうだね、でも、子ども医療費助成や小児慢性特定疾病の医療費助成は自治体によって内容が違うから、一概にメリットがないとも言えないんだよ

小児慢性特定疾病の医療費助成制度でメリットがあるかどうかの確認ポイント

お住まいの自治体によって小児慢性特定疾病医療助成制度の内容が異なるため、医療費助成を使うメリットがあるかどうかを知るためは下記のポイントを確認してみましょう

子ども医療費助成を使っても医療費の自己負担が発生するか

小児慢性特定疾病の医療費助成を使ってメリットがあるかどうかを判断する場合に真っ先に確認したいのが、お住まいの自治体の子ども医療費助成制度です。

子ども医療費助成を使っても医療費が無料にならない自治体の場合、小児慢性特定疾病の医療費助成を使うことで医療費が抑えられる可能性があります。

子ども医療費助成の自己負担上限金額と小児慢性特定疾病の医療費助成を使った場合の自己負担上限金額を比較して判断しましょう。

ここで大事なのは、子どもの年齢が上がったら改めて確認をすることです。子ども医療費助成制度は、子どもの年齢に応じて負担額が変わる自治体も多く、今は自己負担0円でも年齢が上がると負担額が発生することもあります。

お住まいの自治体の子ども医療費助成では何歳から負担額が上がるのか、上がった場合に小児慢性特定疾病の医療費助成の負担上限額と比較してどうなのか、についても合わせて検討しておきましょう。

所得制限があり子ども医療費助成を利用できないか

小児慢性特定疾病の医療費助成には所得制限はありません。そのため、もし自治体の子ども医療費助成が所得制限で利用できない場合、小児慢性特定疾病の医療費助成で医療費負担を下げられる可能性があります。

子どもの入院が多いかどうか

入院が多い子どもの場合、小児慢性特定疾病の医療費助成で入院中食事代が半額になるため、メリットがある可能性があります。特に長期入院になる場合はメリットが大きいです。

ただし、お住まいの自治体の子ども医療費助成で同様の助成を行っているケースもありますので、助成内容が重複していないかどうかは確認するとよいでしょう。

県外の病院を受診する機会があるかどうか

今住んでいる県以外の病院を受診する機会がある方は、小児慢性特定疾病の医療費助成を使うと立て替え払いの上限額が少なくなります

子ども医療費助成の場合、県をまたぐと受給者証が使用できないため、子ども医療費助成が適用されない医療費を一度支払う必要があります。後に自治体に申請することで自己負担上限額までお金は戻ってきますが、治療によっては高額の請求になったり、何度も受診すると費用がかさんできたりと立て替え費用が重くなっていきます。一時的とはいえ、財布から高額のお金が出ていくのは負担になりますよね。

しかし小児慢性特定疾病の医療費助成は県をまたいでも利用できるため、自己負担上限金額以上に支払う必要はありません。県境に住んでいて他県の病院を受診する機会が多い、かかりつけの病院が他県にあるなどの場合に、立て替え払いの金額が少ないというのはメリットになるかもしれません。

子どもが重症認定されている、もしくは人工呼吸器の使用をしている場合

子どもが小児慢性特定疾病の重症認定をされた場合や人工呼吸器を使用している場合は、医療費の自己負担上限額が低く設定されることがほとんどです。自治体によっては自己負担0円になることもあります。その場合、子ども医療費助成で負担金額が発生する年齢になったとしても医療費の負担は0円になるため、小児慢性特定疾病の医療費助成を申請するメリットになり得ます。

自己上限額を確認する際には、子どもの状態が各区分に該当するかに注意しましょう。

障害者手帳で申請できない日常生活用具が必要な場合

人工呼吸器や吸引器などの日常生活用具の給付を受けたい場合にも小児慢性特定疾病の助成制度が使えます。まだ年齢が小さく障害者手帳を申請できない場合や障害者手帳での日常生活用具給付に該当しない医療・福祉機器を使いたい場合でも、小児慢性特定疾病の助成制度を利用することで給付対象となることがあります。

申請や継続にあたり文書代がかからない病院を受診している場合

小児慢性特定疾病の医療費助成の申請や毎年の更新手続きには、医師の意見書が必要です。自治体や病院によって、この文書の作成費用が自己負担となる場合と健康保険でまかなえる場合があります。文書代が健康保険でまかなえる場合、コストをかけずに小児慢性特定疾病の医療費助成制度のメリットが受けられることになります。

自立支援事業が使える場合

小児慢性特定疾病の患者や家族のための制度は医療費助成だけではありません。各自治体が独自に必要な支援を決めることができる「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」という制度があります。

たとえば、患者同士の交流の場を設けるなどのピアサポートや小児慢性特定疾病いついてのセミナーの実施、患者向けのレスパイト事業通院介護費用の給付など、自治体ごとに地域の実態に合った支援を実施しています。

お住まいの自治体で家族が必要な支援が実施されていれば、小児慢性特定疾病の医療費助成を申請するメリットの一つと言えるでしょう。

ライター あやこ

上記に該当しないからといって必ずしもメリットがないと決まったわけではありません。小児慢性特定疾病の助成制度に関する情報はホームページにすべて載っていないこともあるので、検討の際はホームページの情報を参照するだけでなく、必ず自治体窓口や制度に詳しい医療ソーシャルワーカーなどに相談してくださいね!

メリットがある事例・ない事例をそれぞれ紹介

では、実際にメリットがあるケースはどんなケースなのでしょうか。一例として、兵庫県神戸市と宮城県仙台市に住んでいるファミケア編集部のメンバーの事例を紹介します。

使用した事例の詳細

  • 小児慢性特定疾病で受診2回+薬局利用2回、小児慢性特定疾病に該当しない診療科(歯科やその他持病の経過観察など)の受診2回+薬局利用2回、合計4回の受診と4回の薬局利用を行ったケースを紹介
  • 神戸市在住のAさん、仙台市在住のBさん両者とも、小児慢性特定疾病、こども医療以外の医療費助成は該当しない
兵庫県神戸市在住のAさん(5歳)宮城県仙台市在住のBさん(5歳)
小児慢性を使った場合ひと月の医療費
(小児慢性特定疾患で月2回の受診+月2回の薬局利用、小児慢性特定疾患以外の診療科で月2回の受診+月2回の薬局利用)
2,400円(小慢上限額800円+子ども医療費助成適用科受診代1,600円)0円
文書代有料0円
訪問看護0円0円
その他給付なし+3,000円(通院1回につき1,500円の通院介護費給付)
合計2,400円+文書代医療費自己負担0円+3,000円給付がもらえる
使わなかった場合(子ども医療費助成を使用)ひと月の医療費(月4回の受診+月4回の薬局利用)1,600円(1医療機関につき1回400円負担、3回目以降負担なし)0円
訪問看護0円(上記上限額に含まれる)0円
合計1,600円0円
メリットの有無※小慢を使うメリットなし※小慢を使うメリットあり(通院介護給付がもらえるため)
※2024年7月現在の制度を使用した場合の事例
ファミケアちゃん

同じ年齢の子どもでも住んでいる自治体によってここまで自己負担金額やメリットのあるなしに差が出るんだね!

ライター あやこ

そうなんだよ。だからこそしっかりと自分の自治体の助成制度を理解して、メリットがあるかないかを判断していく必要があるね。

申請を検討するときは助成内容を理解して申請しよう

「メリットがない」と言われることも多い小児慢性特定疾病の医療費助成。たしかに、子ども医療費助成の内容が充実している自治体にお住まいの場合には、申請の手間がかかりメリットがないと感じられる方もいるかもしれません。

それでも、小児慢性特定疾病の助成制度の中には他にも利用できるものがあり、医療費以外のメリットを受けることができます。ただし自治体によってその助成内容は大きく異なるため、制度の申請を検討する際は、今回ご紹介したポイントを参考に、お住まいの自治体の助成内容をしっかり理解した上で判断しましょう。

その際、自治体の窓口やかかりつけの病院の医療ソーシャルワーカーなど、助成制度を理解している専門家への相談をすることも検討してみてください。

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ファミケアの掲載記事およびコラムに関しては、当事者および専門家によって作成しておりますが、全ての方に当てはまる情報ではございません。投稿された情報の利用により生じた損害について、ファミケア運営元では責任を負いかねますので、あくまでもご家庭での判断のもと参考情報としてご利用ください。また、特定の施設や商品、サービスの利用を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

腎不全と共に生きる医療的ケア児の息子(6歳)と、娘(2歳)を育てる2児の母です。制度の狭間での困難さ、そして見えない想いやニーズについて、声に出していきたいと思い執筆活動をはじめました。

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