オストメイトが排せつ物をためておくために常につけているストーマ装具。
オストメイトの間では「パウチ」と呼ばれるこのストーマ装具ですが、
しっかりと貼り付けしているはずなのにはがれてしまう
外出先ではがれてしまうのではと不安
とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、パウチがはがれる原因やその対策、万が一はがれた際に準備しておくとよいものなどを、オストメイトの娘を持つママが実体験もまじえながら紹介します。
ストーマのパウチははがれるの?
ストーマのパウチがはがれることはよくあることです。人によっては毎日はがれるという方もいます。
パウチ(ストーマ装具)は皮膚に接着させる面板(めんいた)部分と、排せつ物をためるストーマ袋でできていますが、この面板部分がさまざまな理由でしっかりと密着させられないと、パウチがはがれやすくなります。
筆者の娘も外出先ではがれてしまった、という経験をしたことが何度もあります。多くのオストメイトが経験しているのではないでしょうか。
パウチがはがれると排せつ物がもれてしまう場合もあります。特に外出時は衣服に汚れが目立ったり臭いがするなど気になることもありますので、できるだけはがれないように対策ができるといいですよね。
パウチがはがれる原因と対処法
では、どんな時にパウチがはがれてしまうのでしょうか。原因と対処法を合わせて紹介します。
汗や汚れによるはがれ
パウチがはがれる原因として、汗や汚れは多いです。面板は水分に触れると溶けて膨らむ性質があります。そのため、面板に汗がつくことで面板が変形しパウチがズレ、はがれる原因となります。
対処法
夏場など汗をかきやすいときはパウチを取りつける前に、しっかりと皮膚の汗や汚れをふき取り、皮膚を乾燥させてから装着しましょう。
ストーマは粘液でぬれているため、ストーマ付近の皮膚は湿りがちです。パウチをつける際はなるべくストーマに沿って、ガーゼなどで粘液をしっかりふきとりましょう。
シワやくぼみでパウチがしっかり装着できていない
皮膚にシワがよっていたり、ストーマ周辺にくぼみがあったりすると面板が皮膚と密着しにくくなり、パウチがはがれやすくなります。
対処法
パウチの装着時に前かがみになってしまうとお腹にシワがよりやすいので、なるべく身体を伸ばす、仰向けになるなど姿勢を工夫し、シワやくぼみ部分が平らになるよう工夫しましょう。
娘のケアをする際は、片方の手でストーマ周辺の皮膚を引っ張りながらなるべく平らな状況をキープしつつ、パウチをつけていました。
面板とストーマの形が合っていない
パウチを皮膚につけるときは、面板をストーマの大きさに合わせて切りぬく必要があります。しかし、切り抜く部分が実際のストーマよりも大きすぎると、排せつ物がもれやすくなりパウチのはがれの原因にもなります。
対処法
面板を切る時にはなるべくストーマにぴったりと合うよう気をつけましょう。ストーマは日々の体調によって、微妙に大きさが変化しますので、横幅、高さなど、こまめにストーマを測って切るとベストです。
面板は硬くなく、少し伸縮性があるので、少し小さめに切り、貼り付ける際に面板をひっぱるようにつけると密着しやすいです。
運動によるズレ
激しい運動で身体を動かすことで、皮膚と面板との間にすき間ができやすくなります。
対処法
ストーマ装具メーカ―各社からは、運動をサポートする効果的なベルトも発売されています。気分転換や体調管理に欠かせないスポーツを気兼ねなく楽しめるよう、こういった補助グッズを使うとよいでしょう。
運動前にはパウチの中身をあらかじめ空にしておくのも大切です。
便の形状によるズレ
水分を多く含む便が出ると、面板が水分を吸いやすく、はがれる原因となりえます。
対処法
体調によって水様便が出るときは、排せつ物を固める凝固剤をパウチ装着の際に入れておくと安心です。
排せつ物をゼリー状にして、もれや面板のはがれを防いでくれます。
外出時にパウチがはがれたときの対処法
外出中に「パウチがはがれ、排せつ物がもれてきた!」となったとき、まずは「トイレを探す」ことが先決です。トイレでパウチの交換や着替えなど必要な処置をしましょう。
その際、オストメイト対応トイレがあればなお便利です。外出の際はあらかじめ、外出先の近くにオストメイト対応トイレがないか確認しておくと緊急時にも慌てず対処できるためおすすめです。
全国のオストメイト対応トイレが検索できるサイトもあります。
オストメイトjp
筆者も楽しみにしていたお出かけのタイミングで娘のパウチから便がもれ、衣服にまで染みてしまい焦った経験が何度もあります。安心できる環境を整えて、外出が不安にならないようにしたいですよね。
パウチのはがれに備え持ち歩くもの
パウチがはがれたときに備え、以下の持ち物は、常に持ち歩くようにしましょう。
- 交換用の新しいパウチや装着用具一式
例)新しいパウチ
補助テープ
皮膚保護剤
凝固剤 - ウェットティッシュ、ガーゼなど清拭用グッズ
- 汚物入れ(臭いもれ防止の袋があるとうれしい)
- 着替えの衣類
自分にあった最適なケアを探そう
ストーマからの排せつを完璧にコントロールすることは難しく、「しっかりと装着できたぞ!」と思っても、思いもよらずパウチがはがれることは起こりえます。
だからこそ、はがれること、もれることは事前に想定し、緊急時に焦らないよう準備しておくことが必要です。
「こうすれば、はずれない!」といえる、絶対的な正解のないストーマケア。だからこそ、それぞれの生活に沿った最適なケアを探すうえで、こちらの記事がひとつの参考になれば嬉しいです。
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