子どもに障がいや特性があることで、子どものトイレに悩む方は多いのではないでしょうか。でも、なかなか話せる相手や相談できる人がいないこともありますよね。
そこで今回はファミケア編集部で障がい児を育てる親に集まってもらい、「子どものトイレどうしてる?」「今のお悩みはこれ!」を話してもらいました!
これってうちだけなの?
みんなはどうしてるの?
ということを知りたい方はぜひ読んでみてください。
本稿は「障がい児のトイレのお悩み徹底解明特集」の企画として排尿予測デバイスを提供するDFree社の企画協賛でお届けしています。
参加者と子どもの障がい・トイレの状況
あやこさん
- 子どもの年齢:6歳(小学校1年)
- 性別:男の子
- 疾患・障がい:重度発達障害・腎不全
- トイレの状況:おむつ常用。気分が乗れば排尿はトイレでできることもある。便はトイレでしようとしない
ヨーゼフさん
- 子どもの年齢:4歳(年中)
- 性別:男の子
- 疾患・障がい:聴覚障害、下肢・身体障害、軽度発達障害
- トイレの状況:おむつ常用。保育園ではつい最近トイレでできたと報告を受けた。家では手話で教えてくれたことはあるけど、座って満足してしまい、用を足すまではいかない。「出た」と教えてくれることはある。便は浣腸で出さないといけないくらいの便秘、体調悪くなると逆に頻回になる
柏木さん
- 子どもの年齢:4歳(年中)
- 性別:男の子
- 疾患・障がい:ASD(自閉スペクトラム症)、知的障害グレーゾーン。こだわりが強い、感覚過敏あり。
- トイレの状況:日中はパンツ着用だが、最近1日1回くらいは漏らしてしまう。夜はおむつ着用。便は3歳くらいでトイレでするようになった。
子どものトイレの悩み
ーーファミケア編集部内でそれぞれ子どもの障がいの程度や状況が違う3人に集まってもらいました。まずは現時点でのお子さんのトイレの悩みについて簡単に教えてください。
あやこさん:いつかはトイレでの排泄ができるようになってほしいなと思っているんですが、そこまでのイメージが全くつかないというのが悩みです。自立できるまでにどういうプロセスをたどるのか、どれくらい時間がかかるのかということがわからないので「いつまでに」という目標も立てづらいんですよね。
何かきっかけがあればと思うんですが、何をきっかけにしたらいいのかもわからなくて…。学校では、担当の介助員さんに促されればちゃんとトイレに行けることもあるんです。だから、できるとは思うんですが、どう進めたらいいのかなって。
あと、息子は腎不全という病気の影響で多尿もあり、トイレに行くペースをつかむのが難しいということにも悩んでいます。
ヨーゼフさん:私の息子は再来年就学を迎えるのですが、トイレの進み具合が進路にどの程度関わるのかが不透明なところが悩みの種です。できるようにならなかったら就学先の選択肢が変わるのか?とか、トイレの進み具合によっていろんなパターンを考えて就学先を検討しないといけないのか?とか、どこに相談したらいい?みたいなことをまず自分で調べないといけないことが負担で。
あと、ちょうど今朝、おむつを変えて10分で「出た」と教えてきたので、膀胱に尿をためる機能がどのくらいあるのかな?と気になっていているところです。
柏木さん:我が家の場合、息子は4歳になったときから日中はおむつをはずしたんですが、今はトイレを限界まで我慢してしまうことが悩みというか、なんでだろう?って思ってますね。その影響で1日1回くらい漏らしてしまうんです。我慢している時は、ずっともじもじしたり。動画を見てる時なんかだと走りまわりながら見てる時があったりします。
「トイレ行きたいんでしょ?行ってきな」と言ってもなぜか行かなくて、ふとした拍子に漏らしてしまい「出ちゃった」と申告されるんです。一度本人に理由を聞いてみたら、たまっているかどうかの感覚がわかるときとわからないときがあったり、あとは自分のタイミングで行きたい、というのがあったり、本人なりに理由はあるみたいです。でも、我慢すると膀胱炎になるのも心配だし、やめてほしいなぁって。なんで行かないのかなぁって、思ってます。
子どものトイレの自立、どうすればいいの?
ーー3人とも、お子さんは能力的にはトイレの自立ができそうだけど、現段階で完全に自立はしていないという状況なんですね。今ご家庭でされていることはありますか?
ヨーゼフさん:特に何かしているというのはないです。うちはお姉ちゃんがいるので、お姉ちゃんが行く時に一緒に行くというのがあるかなという程度で、本人の意思表示に任せています。
あやこさん:私もこれといって特にしていることはないです。今小学校にあがったばかりで、環境も変わり、外でいろいろ頑張ってきていると思うので、できれば家ではリラックスさせたいとも思ったりしてて。でも、さっきも言いましたが、どうやればいいの?というのがわからないというのもあります。
ヨーゼフさん:進め方わからないですよね!トイトレって、健常児だと保育士さんが関わってやってくれるけど、障がい児の場合って誰に相談したらいいんでしょう?関わる人は保育士さん、療法士さん、主治医とかいろいろいるけど誰に相談するのが適切なのかは実はわからないです。
あやこさん:たしかに保育士さんって、トイトレでは重要な役割を担ってくれてますよね。下の娘を保育園に入れてから、保育士さんのすごさがわかりました。引っ張り上げてくれるというか、失敗も加味して導いてくれる存在だなって思ってます。息子の場合、就学してそのタイミングを逃したので、そうやって引っ張り上げてくれる人がいてくれたらいいなって思います。
就園、転園、就学…何かの節目がトイレを進めるきっかけに
ーートイレを進めるには家族以外で助けてくれる人の存在も鍵になりそうですね。
ヨーゼフさん:たしかにそれはあると思います。息子は今年の春に保育園を転園したんですが、保育園が変わって、保育士さんのアプローチ方法が変わったらひと月くらいですぐ「トイレでできましたよ」って報告を受けて、すごくびっくりしたんです。
柏木さん:それはすごいです。あやこさんのお子さんもこの春から小学校に通い始めたと言っていましたが、それで変わりましたか?
あやこさん:はい、すごく変わりました。介助員さんがトイレでできるとほめてくれるし、周りの子が行くのを見たりすることで、トイレに行くことについてポジティブな気持ちになったみたいです。
ヨーゼフさん:そうなんですね!私も「就学」はトイトレのひとつのタイミングとして捉えてますのですごく参考になります。ちなみに、おむつがはずれるかはずれないかで就学先って変わるものですか?
あやこさん:私が話を聞いた教育委員会では、学校でおむつ替えをすること自体は特に問題ないと言われました。今回就学にあたり転居することにしたので、転居先候補の複数の自治体に話を聞いたのですが、おむつ替えは問題ないというところが多かったです。
ヨーゼフさん:そうなんだ。
柏木さん:私の息子もヨーゼフさんのところと同じタイミングで就学なので、学校のことは気になります。今限界まで我慢したり、自分のタイミングじゃないとトイレ行かないけど、学校入ったら「休み時間に行っておこう」が必要じゃないですか。授業中におもらししたりしない?と思うと心配になります。
だから今のうちに家で教えたいなって思うんですが、本人が感じてる「もじもじしちゃう感じ」は「尿がたまっている」ということなんだよ、と教えることがすごく難しくて。だから結果的に今おもらししちゃうんですけど…。
自立はもちろんさせたいが自立までの道のりが大変
あやこさん:おもらしの片付けって大変ですよね。だけど柏木さんは子どもの「パンツにする」っていう意志を尊重しててすごいなって思います。
柏木さん:でも、思うことは色々あります。というのも、おむつからパンツに変えたばかりのときはおもらししなかったんですよ。それなのに1,2ヶ月経ったらするようになったから、私としては「わざと?」というふうに思ってしまって。
「困らせてやろう」という意図はないかもしれないけど、もしかしたら「お漏らしした時の親の反応が見たい」というのはあるんじゃないかなって推測しています。そこに障がいの特性がからんでいるんじゃないかな、とか色々考えちゃいますね。
あやこさん:自立するまでの途中の段階がすごく難しいですよね。おむつをつけててくれるのが親としては楽だけど、やっぱりいつかは自立してもらいたいし、でも自立までの過程が大変だからなかなか踏み出せないです。もしこれで「おむつがはずれてなかったら希望する学校に行けない」とかがあればそれに向けて頑張ると思うけど、我が家の場合もうそれがなくなったら、ゆっくりでいいや、ってなってます。
ヨーゼフさん:たしかに「ここまでに」というラインがはっきりしたらそこの課題への優先順位が上がるから取り組めますよね。私も保育園転園の時にそれがあったのを思い出しました。
でも息子の場合、保育園を探すにあたって他にクリアしないといけない課題(身体や聴覚の障がい)があったから、そこを重視できなかったというか、おむつOKな園は探せばあるからそこでいいやってなってしまってました。他の課題が大きいから、トイトレは後回しになってしまいます。正直、そこに向き合う親のストレスから解放されたい気持ちもありますね。
あやこさん:わかります!別にトイレでしなくても、ずっとおむつはいてて、自分で脱いでゴミ箱に捨ててくれればそれでもう自立じゃない?って思ったりします。
ヨーゼフさん:めっちゃわかります!うちも最近自分で脱いで捨ててくれるようになったからもうこれでいいじゃん、って思います!チャレンジさせて成長を促したい気持ちももちろんあるけど、日によっては「今すぐこの状態から解放されたい」と思って今はいいや、ってなってしまうこともあります。気持ちの余裕がないというか。親の負荷から解放されたいとか、親としてよくないな、とは思うんですが…。だから私は保育士さんがトイトレやってくれるうちに卒業したいなって思います。
柏木さん:タイミングが難しいから、本人の意欲が高まっている時にトイトレできるといいけど、それが難しいですよね。息子の場合は自分から「4歳になったらパンツになる」と宣言してくれたから助かりました。
あやこさん:本人から発信してくれるといいですよね。自立はさせたいけど、おむつがはずれるまでずっと介助すると考えると二の足を踏んでしまうので…かといって、ずっとおむつだったらどんどんサイズは上がっていくし、費用がかさんでいくという心配もあります。やらないといけないなとおもいつつなかなか手をつけられない課題を今改めて掘り起こした気分ですね。笑
相談先やサポートがほしい
ーーやらないといけないと思いつつも、大変だしいつまでに、というのがないとなかなか踏み切れないということなんですね。トイレの自立を実現するために、こんなサポートがあったらいいなと思うものはありますか?
一同:うーん・・・
ーー難しい質問してしまいましたかね。笑
柏木さん:こんなサポートがあったらいいなと思い浮かぶならもう探しているかなというか…
ーーなるほど、じゃあ、存在するしないは関係なく、理想を言うとどうでしょうか?
あやこさん:ほんとの理想をいえば、健常の子と同じように進められるのがいいですね。保育士さんとかがきっかけをくれて、誰かがサポートしてくれて…みたいな。やっぱり誰かに助けてもらいたいのが本音です。障がい児育児の場合、自宅で親が頑張ることが結構多くて、一人でやるのは正直しんどいなって思います。
ヨーゼフさん:わかります。私の場合はさっきも言ったように保育園が変わったらすぐにできるようになったので、環境や周りの声かけが変わると子どもの行動が変わることを実感しました。だから、家庭以外で誰かが声をかけてくれたり促してくれたり、というのがあるとすごくありがたいですね。
課題を乗り越えられる仲間や支援があると嬉しい
障がい児を育てていると、日常生活を送るにあたっての課題が多い家庭もあるため、限られた時間の中では優先順位をつけて取り組む必要があります。トイレの課題もその一つ。
課題を乗り越えるために、親の頑張りだけではない何かがあると安心です。親や家庭だけではなく、周りや支援者の力も借りて進めていけると安心ですね。
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