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【経験談】感覚過敏のある自閉スペクトラム症の娘の公園での遊び方、遊びを楽しめるようになるまでの道のり

自閉スペクトラム症の娘の公園での遊び方
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我が子は特性もあるし、公園で遊ばせるなんてできる気がしない

前に公園遊びをしたときにあまりいい思い出にならなかったから…

他の子ども達が公園で元気にはしゃぐ姿を見ながら、そんな風に考えることはありませんか?自閉スペクトラム症の娘と暮らす筆者も、初めての公園遊びは苦い経験でした。

この記事では、感覚過敏を持つ娘が自分の「苦手」と向き合いながら公園遊びをしている様子や、楽しく遊べるようになるまでの道のりをご紹介します。

これなら真似できそうかも!

というものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。

【子どもの情報】

  • 年齢:9歳(2024年現在)
  • 診断名:自閉スペクトラム症(知的発達の遅れなし/興味やこだわりが強い/感覚過敏あり/強迫症、不安症あり)
  • 診断時期:4歳4ヵ月
目次

自閉スペクトラム症の娘の公園での遊び方

感覚過敏、お友達の集団に入るのが緊張する、遊具の遊び方が分からない…自閉スペクトラム症の娘は、自分の「得意ではないもの」と向き合いながら次のような遊び方で公園を楽しんでいます

砂場遊び

公園では、同年代だけではなくさまざまな年齢の子どもが集まって遊びます。そのなかでも砂場遊びは、一つの空間で各々の子どもたちが別の遊びをしたり、時折集まって協力しながら遊びを広げていったりするのが面白いポイントです。

感覚過敏のある娘は、ざらざらとした乾いている砂を触るのが苦手な様子。そのため、あえて雨上がりを狙い、濡れた状態の砂で思いっきり遊ぶようにしました

ライターMizuki

つまり「砂」ではなく、ほぼ「泥」遊び。もちろん着替えはマストアイテムです。

ちなみに雨上がりの公園は人が少なく、お友達とつかず離れずの距離感を保ちながら一緒に遊びたい娘にとってはぴったりです。

遊具遊び

ブランコ、ジャングルジム、すべり台…どれも「公園といえば」な遊具ですが、娘にとっては純粋に楽しめるようではありませんでした。

遊具を先に使っているお友達がいる場合、当然ながら「順番が回ってくるのを並んで待つ」必要があります。ところが、自閉スペクトラム症の娘は先の見通しが想像できない状態に不安を覚えやすく「どのくらい待てばいいの?」とそわそわしがちに。

ライターMizuki

とはいえ娘の訴えは「どうしても遊具で遊んでみたい」…!

そのため「遊びたいときは列に並ぶ」「並んでいれば必ず順番がきて遊べるから安心すればいい」など、先の見通しが持てるようにルールを伝えました

また「列の先頭の子が遊んだら次は二番目の子、前から一人ずつ順番だよ」など、並ぶ行為自体の意味と必要性も同時に伝えることで、自分が遊ぶときのことをイメージしやすくなったようです。

滑り台の頂点にある壁面の飾りで遊ぶ子ども
いざすべり台の頂上に到着しても壁面に夢中な3歳頃(約6年前)

ときには遊びたい気持ちを抑えきれずに、ルールを無視して失敗してしまうかもしれません。そんなときは一緒に並んで順番を待つなどしながら、焦らず「次は守ってみよう」と声を掛ければOKです。歩幅には個人差があるかもしれませんが、子どもはゆっくり一歩ずつ成長していきます。

落ちている葉っぱなど自然でも充分楽しめる

せっかく公園へ行ったのだから、砂場や遊具でのびのび遊んで欲しい

ついそう思いがちですが、実は公園には他にもお楽しみポイントが満載。自然が大好きな筆者の娘は、落ち葉や木の実を拾ったり植物にくっついている虫を観察したりと、どちらかといえば「遊具以外」のほうが興味を持つようでした。

黄色い花に触ろうとする子ども
遊具はさておき「お花の中心のもふもふ」に夢中な3歳頃(約6年前)

自然との触れ合いは、普段は見落としてしまいがちなところにも視線がいきやすいのが魅力。生き物や植物、環境の大切さなどを学べるなど、新たな発見にも繋がります

発達障害児にとっての公園遊びのメリット

発達障害児が公園遊びをすることには、次のようなメリットがあります。

「運動機能」の発達効果が期待できる

「手先が不器用」「一定の姿勢を保つのが難しい」「転倒しやすい」「ボールを投げる、キャッチするのが困難」など、発達障害児は、運動機能や感覚の発達に偏りが見られる場合があります。公園遊びは、まさに運動機能へのアプローチにぴったりです。

▼公園遊びから得られる「運動機能」の発達効果の一例

  • 公園の広いスペースを走ったり跳ねたりする:筋力アップ
  • 遊具をくぐる、またぐ、よじ登る:ボディイメージ(※1)のトレーニング
  • 遊具のバーにつかまる、植物に触れる:固有覚(※2)のトレーニング

※1 自分の体の輪郭や大きさ、体をどこまでどのように動かせるのかのイメージ

※2 関節の角度や筋肉の収縮をとらえて、体のどこにどのような運動が生じてどのくらい力を入れているかを無意識にコントロールする感覚

「社会性」が育まれる

公園は、異なる年齢や能力の子どもたちが集まってさまざまな遊びをする場所です。「遊ぶ順番を守る」などのルールや「協力して遊ぶ」などチームワークが求められるなど「誰かと遊ぶこと」の社会性が育めるのも公園遊びの魅力です。

我が子は公園へ行っても誰かと遊ばずに1人で遊んでるけど、社会性は育まれない…?

そんなことはありません。直接的な関わり合いはなくても、他の子どもの表情や動きを見る機会が増えます。劇的な変化ではないとはいえ「大きな集団の中に身を置いて遊ぶ」ことで、コミュニケーションや言動に選択肢が生まれやすいものです。

「想像・創造」力が育まれる

砂場や遊具だけが遊び場ではないのが、公園遊びの大きな魅力。子ども一人ひとりのアイデアや興味に基づいて遊びを展開できるため、想像・創造力を育むことができます。公園内のお散歩や自然観察、ボールなど持参した道具で遊ぶ、芝生に寝転がる…遊びの数は無限大です。

ライターMizuki

自由な発想と新しいアイデアを「遊び」で具体的な形にする楽しさは、子どもの柔軟性や適応力の向上にも繋がります。

「成功体験」を得られる

「成功」の基準は子ども一人ひとりの特性や興味に応じて異なります。数々の遊びができる公園は「遊びたい!」「やってみたい!」の好奇心を搔き立てられる絶好の場所。遊びを実践する喜びは成功体験として積み上がり、子どもの自信に繋がっていきます。

普段している遊びを繰り返して退屈そうな様子が見られる場合は、大人がそっと新しい遊びを提案してみるのもおすすめです。

ライターMizuki

「お友達と遊べた」「列に並んで順番を守れた」「ブランコを少し漕げた」「ジャングルジムに一歩登れた」だけではなく、「自分で考えた遊びを実行できた」など一人でじっくり遊びぬくことも立派な成功体験です

アメリカのシアトル北西にあるサーモン・ベイ・スクールという学校の校庭には、2012年に自閉スペクトラム症の子どもたち向けの公園が整備されました。リズミカルな繰り返しの動きを好む子どものニーズに考慮した遊具の設置や、個々の遊び活動に集中しやすい配置など、子どもたちが安心して拠り所にできる設計です。

お手本がない。課題や制約が多い。完璧な答えには辿りつけないかもしれない。それでも誰かを置き去りにすることなく、「君たちのためにできることがあるなら、私たちは真剣に取り組む」という学校や地域の大人たちの意思が反映されたこの遊び場は、子どもたちにとって素晴らしい贈り物となっています。

【引用】自閉スペクトラム症/ASDの子どもと遊び場・アメリカ|みーんなの公園プロジェクト
URL:https://www.minnanokoen.net/playground-abroad/playground-abroad-27/

発達障害児にとっての公園遊びの注意点

発達障害児にとっても、メリットの多い公園遊び。次のようなことに注意すれば、子どもの特性に寄り添いながらより楽しく遊べます。

衝動性がある場合は道路の近くへ行かないようにする

思いついたことを即座に行動に移してしまう「衝動性」を持つ子どもの場合、何らかの拍子に危険な場所へ入り込んでしまう可能性があります。特に道路沿いの公園で遊ぶ場合は、衝動性から車の近くに飛び出してしまわないように注意が必要です。

衝動的に走り出した子どもに追いつくのは、大人でも難しい場合があります。そのため、道路や危険なエリアへのアクセスを物理的に防げるよう、フェンスなどが備わっている公園を選ぶのがおすすめです。

無理はさせない

遊具を活用しての遊びやお友達と集まって遊ぶ状況に対して敏感、あるいは無関心な子どももいます。「みんな遊具で遊んでるのに何故行かないの?」「せっかく公園に来たんだから混ざっておいで」などと無理に遊びへの参加を促すと、かえって不安やストレスを感じてしまうかもしれません。

また、感覚過敏によるものや身体的なものなど、さまざまな理由が関係している可能性もあります。

公園遊びに限らず、あくまで「遊び」は子ども自身が快適に感じられる内容やペースが大切です。無理なく遊べる環境を提供したり、見つけたりできるように支援しながら見守りましょう。

ファミケアちゃん

「我が子にとっての不安要素は何か」を把握するところから始めてみるといいね

公園遊びができるようになるまでの道のり

「遊具がある!遊ぶぞ〜!」とは、一筋縄にいかなかった筆者の娘。ジャングルジムや鉄棒のヒヤッとした感触が苦手、周りから聞こえる声が気になるなど、触覚や聴覚の過敏さから公園内で立ちすくんでしまう様子が見られました。

ライターMizuki

「感覚的に何が不快か」を把握したうえで、無理に克服させようとせずに「好きなことで好きなように遊ぶ」ことを促してみました。遊具で遊ばなくてOK、お友達と無理して混ざらなくてOKです。

鉄棒に触りながら地面の落ち葉を踏みしめる子ども
少しずつ鉄棒に触れるように…と思いきやまたしても「パリパリ落ち葉」に夢中な6歳頃(約3年前)

また、そもそも公園遊びは「自由に遊べる」のが大きな魅力。この「自由」こそが、臨機応変に対応したり空気を読んだりするのが苦手な自閉スペクトラム症の娘にとって、不安そのものだったようです。

そのため「一緒にすべり台すべってみる?」「あそこに珍しいお花があるから見に行こうか」など、これから何をするのかが具体的にイメージしやすい言葉で話すことを心掛けました

ファミケアちゃん

「好きなことしていいよ」自体が苦しいんだね

さらに、見慣れない大型遊具がずらりと並んだ公園では「やってみたい」よりも「圧倒されてどう遊んだらいいか分からない」が上回ってしまう様子。そのため、実際に筆者がお手本を見せてから一緒にやってみることで、見通しをつけやすくしました。

  • 大人がお手本を見せる
  • 一緒にやってみる
  • 子どもが一人で挑戦
ライターMizuki

自閉スペクトラム症は、子ども同士での関わり合いが苦手な傾向にあります。そのため、大人がお手本を見せるのがおすすめ。子どもに混ざっての公園遊び、意外と楽しいものです…!

まずは公園遊びで「我が子なりの楽しみ方」を見つけるところから

公園は、子どもの五感を刺激して可能性を引き出す場所です。

とはいえ、遊び方は子ども一人ひとり異なるもの。「公園ではこうして遊ぶのが当たり前」との固定観念にとらわれず、我が子なりの楽しみ方をゆっくり見つけていきましょう。

我が家では、こんな風に工夫しながら公園遊びを楽しんでいます

そんなエピソードがありましたら、ぜひファミケアにお寄せください!


ファミケアの掲載記事およびコラムに関しては、当事者および専門家によって作成しておりますが、全ての方に当てはまる情報ではございません。投稿された情報の利用により生じた損害について、ファミケア運営元では責任を負いかねますので、あくまでもご家庭での判断のもと参考情報としてご利用ください。また、特定の施設や商品、サービスの利用を推奨するものではありません。

自閉スペクトラム症の娘の公園での遊び方

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この記事を書いた人

日本心理学会認定心理士、サービス介助士。「自分らしさを忘れない」をコンセプトに、自閉スペクトラム症の娘との暮らしをゆるりと楽しむママです。フリーライターとして臨床心理・介護・児童福祉・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集などに携わりながら、児童福祉施設へも訪問しています。

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